行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

原発安全神話が危機管理を機能不全に

2012-02-29 17:50:46 | Weblog

民間原発事故調査委員会の報告が公表され、大震災に原発の過酷事故が重なり、日本の政府中枢が右往左往しながら対策に追われた恐怖の状況が明らかになった。原発のメルトダウンという過酷事故に対する危機管理が政府にはなかったことが証明されたがその起因するところは原発安全神話だった。

今回の事故調には肝心の東電からのヒアリングがないので全体像はまだ未知の部分が多いが、事故発生時の東電の対応で恐怖のあまり福島原発からの撤退を申し出、内閣から却下されたことから、東電自体が先ず、安全神話でメルトダウンに対する危機対応訓練がなされてなかったことが判った。

事故当時、内閣を補佐するべき原子力保安院や原子力委員会が、日本の原発では多重防護でメルトダウンは起こらないという安全神話で思考停止、危機管理ができてなかったことも判った。「原子力災害対策のマニュアルは頭に入っておらず、当初、事務方からの説明もなかった」などと首相をはじめ政治家の証言。官僚の補佐がない状態で、爆発を防ぐべく原子炉のベントを開くことまで首相が指示したということは他国ではあり得ない。他国では現場の責任者の判断(今回の場合東電吉田所長)でやることだ。

その後、水素爆発が起き、放射性微粒子が空中に飛び散って事故が大きくなり、住民避難や待避の範囲を決めたが、微粒子の飛散するシミュレーション「スピード」の存在を内閣では知らずそのデータを利用できなかった。運用する文部科学省が内閣に知らせなかったという大きなミスも日常の危機対策訓練がなされてなかったことが原因で、これも日本の原発では危機に陥る事故はないという安全神話に起因する。

 

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追悼、鷲尾悦也さん

2012-02-27 18:56:04 | Weblog

労働運動の先輩であり、同志であった鷲尾さんが昨日26日に亡くなられたとの報道、年賀状で「今年、75歳になるがなんとか元気に頑張って現役並みの仕事をする。何よりも健康に気をつけ長生きしたい」と宣言され、日本社会福祉業大学理事長として意欲を燃やしていたが誠に残念なこととなった。

古くは金属労協で、連合では事務局長、会長として、元気のなくなった労働運動をなんとか活性化したいと努力された。連合では、春闘の再構築へのプロジェクトチームを立ち上げ、私もその一員としてお手伝いをさせてもらった。

繊細にして豪放磊落、政界にでも出ていれば小鳩、菅などを押しのけて首相にでもなっていただろう。ワインをこよなく愛し、良くワイン談義をしたが、私の飲むワインとはレベルが違った。多忙の中、高円寺の阿波踊りに参加する江戸っ子でもあった。

今年は春が遠い中、まさに巨星逝くという寂しさだ。昨日撮った手向けの花を捧げたい。合掌

 

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シーガイヤ、自然破壊のリゾートの末路

2012-02-25 18:41:54 | Weblog

シーガイヤは国の総合保養地域整備法(リゾート法)の第1号指定を受け、宮崎県と宮崎市、地元企業が出資する第三セクター「フェニックスリゾート」が1993年に開業。屋内遊泳施設「オーシャンドーム」や高層ホテル、国際会議場、ゴルフ場などを展開し、「バブル経済」の象徴とされた。2000年7月にはサミット外相会合も開かれたが、バブル崩壊と過剰投資で経営は赤字が常態化。01年2月にグループ3社で負債総額3261億円を抱え、会社更生法の適用を申請した。同年に米投資会社リップルウッド・ホールディングスが162億円で買収し、経営再建を進めていた。11年3月期の売上高は96億9200万円、2億4300万円の最終赤字。セガサミーホールディングスが買収するという報道があった。

シーガイヤの工事が1990年前後に始まり、出張で宮崎を訪れた時、美しい松林が根こそぎブルドーザーで破壊されるのを見て何が始まるのか理解できず聞いたほどだ。国と自治体が一体となった自然破壊でしかも、開閉式ドームの波のある海岸を模したプールを作ると聞いて驚いたのを鮮明に覚えている。都会の中の波のあるプールなら判るが、すばらしい海岸が目の前にあるのにわざわざ防風林を削り取り建設するとは人間の奢りと思えた。

当時の何かの雑誌に、自然破壊で作ったシーガイヤは必ず失敗すると書いたが、その通りの歴史だ。国際会議場も立派で、2004年国際自由労連の世界大会を開催した際、私も出席したが、ホテル代も食事代も高かったので宮崎市内のビジネスホテルに宿泊し、会議には通勤した。巨大な設備投資をすればコストが高くなり、利用しづらくなる。会議の出席者の昼食もホテルでは高くつくので、仕出し弁当を取ったのを覚えている。

人間が休養するために自然とふれあえるのがリゾートで、豪華な設備や巨大なプールは必要なかった。当時の金余りバブルがそうさせたのかもしれない。北海道のトマムなどもその類で、自然林が全く残されてないゴルフ場と高層ホテルで、風情もなかった。日本のスキー場リゾートの中には木を切りすぎて、夏になると無残な姿をさらけ出すところが多い。そのため、削った斜面に百合だとかコスモスを植えて冬以外にもお客を呼ぶ苦肉の策を取っている。

スキー場でも志賀高原は比較的自然との調和を考えているので夏訪れても癒される。

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高卒35歳、大企業で働く労働者の生活

2012-02-23 22:34:07 | Weblog

私が顧問を務める金属労協から春闘前の労働条件や実態の資料が送られてきた。金属労協は自動車、電機、鉄鋼、機械、造船等日本のものづくりをになう200万人の組織だ。円高と震災、タイの洪水の被害を最も被った産業群で春闘の要求も賃金カーブが上方へシフトするベースアップの要求はできず、定期昇給の実現と賞与の要求だけとなった。

高卒35歳の生産労働者の実態をデータから見てみると、月例賃金は扶養家族3人で30万円、賞与は年間4ヶ月から6ヶ月、年収は500万円前後だろう。不況とはいえ、10%ぐらいの時間外収入や、奥さんもパートに出て100万円前後は収入を得ているので、家族年収は600万円ぐらいと推定できる。残念ながら、この水準は20年前とほとんど変わらないか産業によっては減少している。

年間労働時間は1900時間前後、20年前に目標としていた1800時間にまだ到達してない。

正規労働者の賃金がこの程度だから非正規労働者は年収で半分ぐらい、生活は大変だろう。企業の海外展開を含む設備投資増に労働条件の向上が取り残された感じだ。

日本のデフレの元凶がここにもある。高度成長時代は賃金の上昇が内需を拡大し、企業は売り上げを伸ばせた。現在は賃金の引き下げで内需が不振となり、企業は外需を求め海外生産、輸出にたよらざるを得ない、そして円高は以前に増して企業業績を悪化させる。

このブログ「2012春闘の視点」で指摘したが、この悪循環を断ち切る春闘を期待したい。

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ギリシャ、ユーロの夢が覚めて

2012-02-21 22:52:52 | Weblog

21日未明、夜を徹しての協議でユーロ圏財務相会議で13兆6500円のギリシャ支援が追加された。民間債権の半分以上11兆2000億ユーロが放棄されることになった。ギリシャは160%にのぼる政府債務のGDP比率を120.5%へ低下させることになった。

これまでの緊縮財政政策で国民生活は危機に陥っているが、これに追い打ちをかける形となり労働組合を中心に激しいデモでアテネは混乱している。ユーロになって、金利が下がり、ローンを組んで家や車を買って豊かな生活になったが倒産続出による失業者があふれ、就業者も賃金や年金のカットで夢から覚めて新生活を再建しなければならない。

以下は現地のルポを報道するニューヨークタイムスの記事から

銀行は何時つぶれるか判らないので、預金は下ろして箪笥預金、銀行は貸出不能で中小企業は倒産し、失業者が出て来る。2009年以来、四分の1の企業が倒産し、残りの企業も賃金が払えない状態だ。25歳以下の若者の半分が失業者となり、2011年前半で4割も自殺が増えた。

ある一家は、仕事を何とか確保しても、月1730ドルあった賃金は1260ドルへ、年間での家族収入が43000ドルと豊かだったのが半分になっている。これに増税が追い打ちをかける。毎日通る高速料金3ドルもバーを押し上げ払わないで通過、追加請求の増税なども払わない。

ギリシャの年間総労働時間は2116時間、緊縮財政を要求しているドイツ人は1426時間しか働かないと恨み節が出てくる。

アテネはユーロ圏になってから人口が2倍に膨れ上がった。稼いだ金で故郷に家を建て、持ち家比率は80%と高い、これからは故郷の島に帰って農業や、ワイン造りでのんびりと過ごすという人と、米国や豪州に移住を目指す若者に分かれる。もちろん豊富な観光資源を活用するべくカタールなど中東から資金が入りだし、中国マネーも動きだした。

バブルは夢とともにはじけ、地道な生活へと縮む。

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企業行動規範が問われるアップル社

2012-02-19 13:48:51 | Weblog

私はiPod touchの愛用者で、家では寝ながらメールを読んだり、判らないことはすぐに検索にかけ、百科事典はいらない。出かける時はポッドキャストでダウンロードしたBBCや好きな音楽を聴く。しかし、1昨年来のアップル製品組み立て工場での事故で多くの労働者が被害に遭ったためか、磨き上げられたバックの鏡面製作で爆発事故(中国成都)がおきたことを思い出し、鮮やかな液晶画面を見ては有機溶剤による事故(中国深セン)を思い出す。

13日のニューヨークタイムスで報じられたが、アップル社のサプライチェーンに対する責任を明確にするため、同社は米国ワシントンにある公正労働協会に加盟して同協会の監査を受けることを発表した。今まで秘密にしていたサプライチェーンリストを同時に発表した。

これまで、事故をおこしたフォックスコン社(深センだけで23万人を雇用)だけが焦点になり、中国労働法に反する低賃金、長時間労働、未成年者労働が大きく報じられてきたが、多くのサプライチェーン各社の実態も明らかになり、一歩前進と言える。

しかし、ニューヨークタイムスも報じるように、公正労働協会自体がクリントン大統領の肝いりで作った企業の団体で、労組の関与はなく、しっかりとした監査ができるのかそれも監視する必要があるようだ。香港のNGOグッドエレクトロニクスは公正労働協会を100%信頼せず、これまでどおり、フォックスコン社をはじめ、アップルのサプライチェーン各社を監視して行くと言っている。

 
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野田首相の40分に渡るインタビュー、80点のできだ

2012-02-17 23:20:24 | Weblog

本日NHKで珍しく、40分に渡り、野田首相の単独インタビューを生放送した。もちろん狙いは大綱を閣議決定した社会保障と税の一体改革で、人口構成から高齢者を一人で支えなければならないという予測から入り、消費税による社会保障の安定財源確保を中心に首相は丁寧に説明をした。意識的にか財政健全化を同時達成させるという点には触れなかった。

大越キャスターの元投手らしい突っ込みも、首相は80%まともに受けていたが、防衛大臣問題とマニフェスト問題にはするりとよけた感があった。公務員の給与引き下げが政党間協議で決まり、次に選挙制度改革も決まるといよいよ、社会保障と税の一体改革が焦点となる。

首相が言う「社会保障改革は待った無し」については、世論の支持が日を追って強くなる傾向だ。(NHK世論調査)政権を取った時のことを考えると野党としても潰した犯人にはなりたくない。できたら小沢あたりに民主党以内で潰してほしいところだろう。

そうした複雑な政局を大局を主張する野田首相が乗り切れるか、いよいよ正念場となってきた。年金制度を含め、社会保障改革は国の長い将来の問題だということから政権交代があっても継続できるように政党間協議で決めるべき事柄で、ここを突破口に野田首相は乗り切ろうとしている。

小泉以来、メリーゴーランドにようにくるくる代わってきた首相の中でまともな首相がようやく出てきたのではないかと期待したいのだが、

今回の改革では若い無党派層の動向が鍵を握る。

 
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ソニーやパナソニックの再建はアップル流でという説??

2012-02-15 19:04:46 | Weblog

アップルの株価がついに500ドルを突破、まさに我が世の春を行く勢いで、大赤字のソニーやパナソニックと対照的だ。それ故に、野口悠紀夫教授は日本のメーカーもブランド力があるうちにアップルのように生産を世界最大のEMSフォックスコンに委託することを推奨している。

理屈は、コモディティ商品化したカラーテレビなどはスマイル曲線理論から、組み立て工程は利益が出ないのでその部分をEMSに任せろという。確かにそうしていたら設備投資負担が減少し、巨額の赤字は出なかったと考えられる。

しかしこのブログでも取り上げたが、iPhone,iPad生産の陰には悲惨な中国人労働者の犠牲がある。ニューヨークタイムスでもアップル製品の生産会社フォックスコンでの自殺者や爆発事故による犠牲者を大きく報道し、その事実を米国人の2%しか知らないと嘆いている。さすがのアップル社もフェアトレイド協会(米国)に加盟して誠意を見せようとしているが、中国人労働者の労働環境が劇的に良くなったとは聞いていない。

そのような実態を無視してソニーやパナソニックにアップルをマネしろとは言えない。日本でのものづくりがコスト的にあわないというより、アップルの新製品開発力に注目すべきだろう。今やスマホ最盛期に入ろうとしているが先行利益は当然アップルが享受している。次の製品は何が飛び出すかという期待でアップルの株価が500ドルを突破したのだ。

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NHKの世論調査、支持政党無しが約半数へ

2012-02-13 22:48:58 | Weblog

毎月実施しているNHKの世論調査で、初めて支持政党無しが49.4%と半数に迫った。野田内閣支持率は31%で1ポイント上がり、底を打ったのかもしれない。しかし、そんなことより各既成政党の支持率が問題だ。2大政党といっても民主党が17.6%、自民党が16.9%の支持しか集められない。最近よく言われる国会での場が議論より口論の場で大事な政策課題が進まない、生産性が悪い、国会の実況を見てるとイライラするということから既成政党への不信感が支持政党無し層を拡大してきた。

こうした背景で世論の期待は橋下大阪市長が主宰する「維新の会」にかたむこうとしている。この会の政治塾に3326人応募し、民主党の高橋昭一衆議員も応募したという報道、笑えぬ悲劇だ。解散を求め、協議に応じない自公は今解散して、政権が取れると判断しているのだろうか、今総選挙をしたらドングリの背比べ状態となり、混沌するか、政界再編成の名の下に数合わせの与党が出現し、今の民主党状態と変わりない均衡人事内閣となり、何人もの田中防衛大臣現象が起こるのではないだろうか。

維新の会が気付け薬になって、既成政党が本来の役割を果たし、後世に付けを残さない財政改革と年金改革をまとめあげれば、政党支持率も上がってくるだろう。

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福寿草ようやく咲き始め、昭和記念公園

2012-02-11 18:07:39 | Weblog

東京多摩地方は最低気温で零下が続いているが、福寿草がようやく咲き始めた。

昭和記念公園では花の木園売店近くに群生しているスノードロップは昨年あたりから勢いがなくなってきている。代わりに西立川口付近のドロップは立派だ。

 

前回紹介した節分草は開花が多くなっており、見ごろだった。

公園の最高地からはうっすらとスカイツリーが眺められた。

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