行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

今年の終わりに、NHKドラマ、坂の上の雲で思うこと

2011-12-31 18:12:20 | Weblog

3年がかりのNHKドラマ、坂の上の雲が終わった。日本は日露戦争に勝利をしたが、国民は貧困に喘ぎ、国家財政はピンチになった。軍人達も如何に戦争を早期に有利な内に終わらせられるか腐心したことも取り上げられていた。

日本が坂に上り詰め、頂点に立った時期は何時だったのか? 1904年日露戦争勝利から太平洋戦争で沈み、驚異の復興を遂げた高度成長の後、1980年代後半のバブル時期ではないかと思う。Japan as number oneと囃され、ニューヨークやロンドンの不動産からオーストラリアのリゾートまで買いまくり、欧米を坂の下の雲と見下した。日本人の美徳である質素倹約だとか清貧という言葉はなくなり、強欲が支配しだし、銀行はとにかく貸し出しを殖やし土地を買わせ、余った金は株式投資にまわった。当時、昼飯でよく利用した9坪の一膳飯屋が立ち退き料9億円もらった時代だ。

バブルがはじけると不良債権の山が残り、銀行マンや大蔵官僚のノーパンしゃぶしゃぶ店での乱行、政治家では、金丸自民党幹事長が金の延べ棒を床下に隠してた事件等が指弾された。結局は国民の税金で銀行を救い、長い失われた20年に入って今日に至るが、その間グローバル化が進行し、企業は徹底したリストラと海外投資を推進、終身雇用は捨て去られ、非正規雇用の比率が1990年20%が35%までとなった。これだけの労働力構造の変化にも拘わらず、有効な対策はうたれてこなかったため、貧困という坂の上の雲の時代と同じ問題に直面している。生活保護受給者はなんと200万人をこえ、国家財政は同じようにピンチにめんしている。

これは日本だけでなく、米国での1%が99%の富を支配しているというキャンペーンが欧州にも波及しているごとく、先進国全体の問題だ。来年の重たい課題となるが、東日本大震災で示された日本人の連帯感で、何とか乗りきりたいものだ。


今年の終わりに、
ブログのご愛読感謝しております。平均1日1000件の閲覧、訪問される方は平均130人という結果で、多くの人に毎日読んでいただいているという責任感でこれまで通り、隔日に更新をして行きますので来年もご愛読下さい。


今年のテーマでは「放射能問題」が最も関心が高かったようで、1980年代エネルギー政策に関わり、労働者の放射線防護に取り組んだ経験から書いたものですが、改めて最近の福島原発の推移には驚いております。特に私たちは当時、ICRP(国際放射線防護委員会)の基準を金科玉条として労働者保護を推進していたのですが、ICRPの実態と基準に対し不信をいだかざるを得ないNHKの報道を見て、これは大変な事態だと思います。
日本が自ら福島の経験に基づいて放射線防護の基準を作り上げなければならないのです。
また、季節によって様々な姿を見せる昭和記念公園の写真にも訪問者は多く、つたない写真技術ですが今年も勉強したいと思います。

 

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2012年春闘の視点

2011-12-29 23:13:12 | Weblog

かつて私が労働運動をしていた拠点の電機連合から今春闘の要求案が送付されてきた。賃金要求は定期昇給だけでベースアップは要求しないで、企業の業績によるボーナス要求はするという内容だ。まさにデフレ型の要求で増税が現実になれば業績の悪い企業の組合員は可処分所得はマイナスになる。電機産業大手の企業ではこの10年、何とか賃金水準は維持しているが中小企業は数%のダウンという背景分析をした上での要求で、組合の存在価値が問われることになる。

一方、2011年の「パートタイム労働者総合実態調査」(厚生労働省)の結果、6月1日現在の雇用労働者に占めるパートの割合は27.0%で、5年前の前回調査(25.7%)より上昇している。業種別では小売業、外食産業などは8割、9割パートという企業もあり、パートの処遇改善も春闘での大きな課題である。均等待遇を基本に、時間給の改善はもちろん、社会保険対象にする運動をしないとやがては正規従業員の負担が増えることになる。大手スーパーの経営者はこぞってパートを社会保険対象にすると企業負担が増えるとして反対しているが、視野が狭い、保険という性格は広くうすく多くの人が参加して成り立つものだ。

極端な話、パートの比率がこのまま増え、50%になったら半分の労働者で社会保険を支えなければならないが不可能なことだ。労働者を雇用し企業を経営する以上、その国の社会保障制度に組み込むというのが社会責任というものだ。自分だけが楽をしたい、儲けたいではその企業や業界は社会的存在価値がない。イオンにしろ、ヨーカドーにしろこのご時世に大幅な増益決算の発表だ。率先してパートの処遇改善に取り組んでもらいたい。

年間労働時間にしても、労働者平均2010年1754時間でこの10年300時間減少しているような統計が出てるが、パートの比率が上がっているための現象で正規従業員の労働時間は2008時間、電機連合の要求は10年前と変わらず1800時間だ。
賃金が上がらない時は、労働時間短縮で実質賃金を改善するのが労働運動だ。  

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民主党瓦解の予感

2011-12-27 22:59:31 | Weblog

12月に入り、野田内閣の支持率も日経調査で36%へ落ち、他の調査でも同じような結果だ。目下の最大の課題「税と社会保障の一体改革」の進め方で実に稚拙な失敗をしているのが原因だ。世論調査でも現在の1000兆円にものぼる国と地方自治体の借金を認識し、後世の負担を軽減するため、増税は仕方ないと多くの国民が考えている。

ところが、マニフェストの行政改革の一環である公務員改革、国会議員の削減、歳費の削減などの実行もせずに進めようとしている。それどころか議員会館の建設をしようとして世論の反発を受け中止に追い込まれた。

政権交代のシンボルと私自身は思い入れた「コンクリートから人へ」の理念が八ッ場ダムの建設再開だけでなく、3新幹線未着工区間の同時着工という信じられないことまでやろうとしている。後者の事業費だけで3兆円もかかる。高度成長時代でない今日、東京から札幌へ行くのには世界で最も輸送能力のある航空便で充分なのにだ。

野田内閣は鈍感なのか、官僚に牛耳られているとしか思えない。政治主導は政権交代時のかけ声だったはずだ。

こうしたことから小さなネズミが泥舟から逃げ出しているが、それとは違う大きな動きが総選挙が近づくと出て来る予感がする。民主党の議員は今、悩んでいるだろう。選挙資金のことを考えると168億にのぼる政党交付金を有する民主党に残るべきか、かといって今の民主党支持率で当選できるのか??

鍵を握るのは離党する議員の受け皿に、世論の支持の高い橋下大阪市長や河村名古屋市長が新党を立ち上げるか否かだ。自民党も支持率は低迷したままだから、自民党からも新党に加わる動きも出てこよう。無党派層の動きで風が起き、新しい流れが出来る。

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昭和記念公園のXmasイルミネーション

2011-12-25 22:29:54 | Weblog

ドイツから帰国したら、新幹線は作るは、ダムは作るは、新聞を見て目を疑った。政権が交代したのかと思った。財政難は関係なしに土建国家の復活で怒り心頭。

頭を冷やしに昭和記念公園のXmasイルミネーションへ出かけた。節電のため25日で終了というのですごい人出だった。今年は子供向けにイルミネーション列車を仕立て人気を呼んでいた。
名物のシャンペングラスの滝は健在だった。看板代わりの4mを超えるシャンペングラスピラミッドは赤と青に色が変わる。

入口から広場へのプロムナード、水に映えるイルミネーションは昨年よりきれいだ。

プロムナードの反対側から入口方面に向けて撮ったのだが、1枚は手ぶれによりオーロラが降りそそぐような幻想的な作品となった。

   

奥の広場は花と動物をイメージしたイルミネーション

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ドイツは規制の国か?

2011-12-23 23:26:11 | Weblog

ドイツは良い意味で規制の国、規則の国で特に食の安全については世界のトップクラスだろう。EU経済圏になった時、ビールの原料規制がドイツはきちんとしていて、ホップと麦からだけで作ったものだけにビールと言い、コンスターチなどが少しでも入っていたらダメなのでバドワイザーはビールと呼べないということでもめた記憶がある。

クリスマスの飾りにも使うドイツの名物クッキー、レープクーヘンは最もポピュラーなお菓子だが、これさえ、原料がきちんと法に定められそれ以外のものを使用することは出来ない。なんとなくドイツに来ると安心してワインも飲め、食事ができる。

ところが、アウトバーン(高速道路)となると速度規制がかなり緩い、山間部になるとカーブも多く霧も発生するので、80キロ、100キロといった制限が掛かるだけで通常は規制がなく、フランクフルト空港から市まで短い間だがドイツ人の友人は得意そうに200キロを出し驚いたことがあった。しかも高速料金はトラック以外は無料だから自動車産業にとっては有利だ。ドイツ経済を支える自動車産業への手厚さは何重にも自動車諸税を掛けている日本とはかなり違う。

緑の党の躍進で環境への関心は強く、脱原発をすすめ、風力発電量は日本の10倍、太陽光発電は4.7倍となっている。エネルギー構成比で見ると、17%の原子力を再生エネルギーが20%弱と上回っている。ただ、石炭を中心とする火力が54%を占め、主役であることが悩みの種だ。

こんな環境大国でも、不思議な光景にしばしば出くわす。かなりの人混みの中でもくわえたばこの人が多いことだ。混雑するクリスマスマーケットでも子供の手を引き母親がくわえたばこで歩いている。全てを法で定めると、息詰まり多少の抜けが必要なのだろう。

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ドイツのワイン事情

2011-12-21 18:40:03 | Weblog

クリスマスマーケットのグリューワインは赤ワインに丁子やシナモンを入れた熱燗で、子供用にアルコール無しのもある。店によって若干味が異なるのは入れるハーブによるもので、2.5ユーロと安い。環境重視の国柄、5ユーロでカップごと買い、カップを返すと2.5ユーロ戻ってくる。カップのデザインが気に入ればお土産に持って帰れる。この熱燗とパンにはさんだ大きなソーセージで簡単食事となり、ランチはこれで十分だ。

ドイツワインというとリースニング種の白ワインだが、最近は世界の需要が赤ワインということでドイツでも3割近く赤ワインを生産しているとのこと。以前はライン川沿いの南斜面でのみピノノワール種の赤ワインを生産していたが、最近ではワイン生産の北限に近いフランケン地方でもレゲント種やピノノワール種の赤を生産している。地球の温暖化が幸いしていると言われている。

フランクフルトの大聖堂の裏手にゲーテがよく利用した古いレストランがあり、ステーキやラムを取り、ドイツ赤ワインを試した。日本と違い 肉は固いのでかんで味わうことが要求され、ワインの味はもう一つで、肉はソーセージ、ワインは白がご当地では最高だ。

最高級は貴腐葡萄のワインで、ライン沿いのワイナリーで試飲させてもらった。デザートワインとしてはすばらしい。ガイドに聞いた話だが、この辺の領地は遠隔地の諸侯により支配されていたため、ある時、葡萄摘み取りの許可を得るために使者が王のもとに派遣されたが、何かの事情で時間が掛かりせっかくの葡萄が腐ってしまった。捨てないでその葡萄でワインを付くったら極甘のワインができた。貴腐ワインは偶然の賜という話だ。

 

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ドイツの消費税率は

2011-12-19 00:17:43 | Weblog
NHKの海外放送で税と社会保障の一体改革を議論した特別番組を見た。テーマが大きいために議論百出で散漫になり、不満だけが残った。

後世に負担を残さないことでは一致するが実際に増税や社会保障の減少となると反対する。学者が無責任に煽って混乱する。出演してた竹中博士は消費税反対をアピールする中で「ドイツのように消費税が17%になっても解決しない」と発言したが、ドイツの消費税率は19%弱だ。1%で2兆円以上も違う中、アバウト過ぎる。学者は正確なデータをもとに発言してほしかった。

竹中博士は所得税を上げることを主張し、払ってる人の80%が税率10%と低いことを根拠にしている。しかし、所得補足が日本の場合トウゴウサンピンと不公平極まりない事実を知りながら触れない。所得税を払ってる人はむしろ優遇されてしかるべきだ。所得税を上げるならグリーンカードを導入してから議論するのが正論だ。

そうした不公平のない制度の上に欧州各国は20%前後の消費税を導入し社会保障の財源としている。その代わり病気になっても老後になっても安心なので庶民は貯金はしない。振り込み詐欺も発生しにくい。

NHKも欧州取材をするなら、なぜ20%の消費税が可能なのか、問題となっている消費税の徴収漏れや低所得者対策はどうしてるのか?など焦点を当ててもらいたい。
ドイツでもフランクフルトの金融機関へのオキュパイ運動の座り込みが寒い中おきて、不安な影が発生している。万全の制度はないことも理解し、とにかく前に進むことだ。
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ドイツと日本のクリスマス

2011-12-18 03:24:35 | Weblog
フランクフルトで週末過ごしている。夜とともにドイツ各地ではクリスマスマーケットが華やかににぎわい、不景気を感じさせないほどだ。マーケットでは熱燗のグリューワインとソーセージで庶民は1年の憂さを晴らすように盛り上がってる。

ドイツ人のクリスマスは家庭で静かに過ごし会社や職場の同僚との飲み会をやるのがクリスマス前のこの時期だ。

ドイツ企業には日本の交際費のような派手なものはない。私がある工場を訪問し食事を社員食堂で接待された時は署名させられた。社内での飲み会や接待はまずない。この時期こそが年1度の職場飲み会の機会のようだ。

日本ではクリスマスというとレストランは稼ぎ時で特別料金を取る。かつてのように銀座や新宿で飲み明かすことは聞かなくなったが、この時期の忘年会は日頃の飲み会仲間や客との飲み会だ。ドイツのクリスマスでは街中は人出も少なく静かなものだ。

正月ともなると日本人は家庭で家族とすごす伝統があり帰省という言葉がある。ドイツ人は2日から稼働する。人間関係を重視する日本と合理性に傾くドイツとの違いなのだろうか
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年金生活者のワイン クリスマスに向けて

2011-12-15 22:32:52 | Weblog

このブログでかつて、1000円以下だが、なかなかのものとしてカベルネソービニヨン写真の2本を紹介した。この2本は定番で我が家では必ず在庫している。イエローテール(880円)のほうがレッドウッド(680円)よりも濃厚で、料理により選択をしている。

クリスマスの向けてはターキーやチキンの料理が増えるので、最近そうした料理に合うワインをチョイスしている。イトーヨーカ堂系のスーパーで買えるのが写真のオーストラリアワイン、カベルネシラーのタティアラ(880円、アボリジニ語で美しい大地の意)で先の2本より軽めだ。ニュージーランド、オーストラリアではカベルネメルローを結構飲んだが、カベルネシラーというのは初めて飲んだ。

クリスマスといえばシャンパンだが、年金生活者には重い、昨年はカバが評判で飲んだが期待に応えたものだ。今年は1000円以下のメキシコ産発泡酒が並んでいるがまだ試していない。シャンパンには手が出ないがモエ・エ・シャンドン社がオーストラリアで生産しているシャンドンは2300円ぐらいで買える。シャンパンと同じシャルドネ、ピノノワール、ピノムニエという3種の葡萄を使用し、同じ製法なので私にはシャンパンとの違いがわからないので今年はこれでメリークリスマスと行きたい。

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オリンパス事件で日本のマスメディアが触れない部分

2011-12-14 23:48:05 | Weblog

オリンパスが関東財務局に提出した訂正決算では、外部に隠していた損失をオリンパス本体に戻す過程で資産が減るため、07年3月期連結決算の自己資本は期初で1172億円も減った。純資産や自己資本が大幅に減り、財務の健全性を示す自己資本比率は11年9月末時点で4.5%に急落した。ただ、資産より債務の方が多くなる「債務超過」の状態は、訂正期間全体を通じてなかった。という報道が流れた。

オリンパスは1990年代からの財テク失敗による損失を隠すため、損失を飛ばす(移した)ファンドを設立。ファンドが企業買収の中心的役割を担った。今回の訂正決算ではこのファンドを子会社として連結決算に取り込んだもので06年3月期末の自己資本は1724億円だから4割も減少したことになる。

その内訳が全く報道されてない。しかもニューヨークタイムスやニューズウィークで懸念されている組織犯罪集団との関わりについては日本のマスメディアは触れていない。ニューヨークタイムスは2005年に約200億円で買収したハイテク会社は山口組と関係がある疑いと報じている。

特捜が乗り出しているので、遠慮しているのか判らないが、国際的に日本企業の組織犯罪との関わり合いについて大きく報道されているのに奇妙なことだ。80歳をこえた爺さんが日本のマスコミ界でドン等と言われているようでは国際感覚を求めても無理かもしれない。

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