行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

大転換2009年の回顧

2009-12-31 17:05:52 | Weblog
2009年は何と言っても政権交代という歴史的な事象があった。20年にわたる失われた時代で一人あたりGDPは世界第2位から19位に下がり、国民はチェンジを望んだ結果だ。
かつて、1970年に入り高度成長の結果、日本は世界のトップを走りながら国民の生活実感はかけ離れ、公害で水も空気も汚れ何のための成長かくたばれGDPとさえ言われた。国民を不幸にする日本経済とまで批判された。

この20年間は、企業の国際競争強化が叫ばれ続け、膨大な貿易黒字→外貨準備を積み上げ、バブルの発生そして崩壊で日本経済は金融面からきしみだした。失業率は5%台となり、90年に大幅解禁された派遣労働やパート労働など非正規社員の比率が30%をこえ、格差社会というこれまでの均質であった日本社会では考えられない事態となった。

この間政財官癒着の政治は無駄な公共投資を加速させ、国家財政を危機的なまでに悪化させ、さらにバブルの甘い蜜で日本の指導層である高級官僚や大企業経営者のモラルは低下し、国民生活のことは二の次となった。この20年間は暗黒の時代と評価されることになるだろう。

そして2009年、国民は何とかして欲しいということで政権交代が実現したのだ。民主党を中心とする連立政権、鳩山首相の指導力不足もあり、かなりもたついたがこれまでの自公政権にはない透明性のなかで予算案ができた。しかしこれまでのレガシーコストは大きく歳入を上回る44兆円というかつて無い規模の赤字国債を発行せざるを得なかった。

日経新聞など一部マスコミはいまだに企業の国際競争力強化を叫び法人税の減税や派遣労働の規制反対を主張している。2009年の大転換を体で理解できないのだろう。2010年は国民を大切にする北欧のような社会をめざす元年にして貰いたい。
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正月ぐらいは休みませんか

2009-12-29 23:25:22 | Weblog
スーパーやデパートが正月営業をやり出したのいつ頃だったか?かつて正月営業は伊達政宗が始めた仙台に限られていた。高度成長が終わり石油ショック後、売り上げが伸びない中、流通革命でスーパーが気を吐いていて競争が激化し、正月営業を開始したのが嚆矢だったと記憶している。デパートがそれに続いたが当初、元旦営業は避けていた。

正月営業の影響は物流業や卸に及び、31日出勤、そしてやがて元旦出勤につながっていった。消費者は便利かもしれないが関係するところで働く人は正月を家族で過ごせないことになる。最近では飲食店も正月営業が当たり前になって多くの労働者が正月に働いている。

限られた成熟社会のマーケットではボリュームは限られている。正月営業は需要の先食いの面が強く、ようやく最近それに気がついて、元旦営業は避けようとする動きが出てきたのは喜ばしい。下記のように普段から満足に休暇も取れないのだから元旦ぐらいは家族と一緒に過ごしたいものだ。

厚労省の調査によると、昨年、有給休暇の取得日数は8.5日、取得率は47.4%自分の有給休暇さえきちんと取れてない。特に飲食・サービス業は取得率29%、小売業34%と世界でもまれな実態で、外国人にどう説明するかいつも困る。先進国はもちろんアジア諸国でも有給休暇は100%取ることは常識だからだ。

この不況の中、有給休暇を取らないことは誰かの失業につながっていると考えて貰いたい。外国並みに100%有給休暇を全員が取れば雇用も生まれてくる。
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日米のクリスマスプレゼント、国民健康保険と子供手当

2009-12-27 14:03:05 | Weblog
25日米国国民にすばらしいクリスマスプレゼントがあった。オバマ大統領が公約した国民健康法案が上院を可決したことだ。世紀の課題と言われ、クリントン元大統領が実現しようと努力したができなかったことがようやく達成できる見通しだ。これにより3100万人の米国民が救われるが、10年間で78兆円の財政負担がかかる。また2019年においてもまだ2300万人はこの保険制度に入れない、その3分の1は不法移民で、課題は残る。

オバマ大統領はロックスターのように世界を飛び回ったが政治的成果は何も上げてない、飛行マイルを稼ぐだけだという厳しい批判がされ、支持率も5割を割るという情勢だけにホッとしていることだろう。

一方、鳩山政権も100日を越え、同じように外遊は活発で体力のあるところは判ったが政治資金虚偽記載や指導力不足を批判され支持率が50%を割った。

25日にまとまった来年度予算案の目玉でクリスマスプレゼントになりそうなのは子供手当と高校授業料無償化だろう。所得格差が開き、非正規社員では賃金は月20万円くらい、結婚して共稼ぎをしても所帯賃金は30万円、子供を育てるには子供手当がどうしても必要な時代になったことを現実として受け止めなければならない。
鳩山首相が言う「人が安心して暮らせる予算」で景気が持ち直せば支持率も回復するが、当分茨の道だ。
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製造業派遣禁止は一歩前進

2009-12-24 22:52:59 | Weblog
ようやく厚生労働省の労政審議会から製造業派遣原則禁止を含む報告が出され、法改正に準備が進められている。本来の派遣法にもどり専門職に限定することになる。派遣労働者を専門職から一般労働に広げることによって人間扱いされない悲惨な結果になってから一年、ようやくという気がする。

それでも日経新聞や一部学者からおかしな理解のしがたい反対論が喧伝されている。そのキーワードは「働き方の多様性が損なわれる」と「企業は海外に移る」だ。昨年の派遣村で年をこした人はもちろん、製造業派遣労働者ですすんで望んだ人はいない、異口同音に正社員になれないからなったのでこれを多様化というのは経営者が望むことだ。

トヨタをはじめ企業は派遣労働者が禁止されても直接自ら、期間社員やパートとして雇用しており、企業の海外移転と直接結びつけるやり方は恫喝みたいなものだ。派遣労働者を製造現場に可能にした90年代、企業は中国を中心に海外に工場進出を加速した。海外立地は多くの要因でなされ特に為替、円高が大きな要因だ。今回の派遣切りを見ても雇用関係と使用関係が別々の企業ということで、使用する側から見れば部品と同じ感覚で人を入れている。雇用関係が無ければ専門職でない労働者は人間扱いされない。

製造業派遣が禁止されても、非正規労働者は上記のように減ることはない。直接雇用で対応するので一歩前進といえるが、タイで最近実施されたように正社員との均等待遇を実現することが次の目標だ。
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昭和記念公園イルミネーション

2009-12-22 22:57:45 | Weblog
例年の行事で昭和記念公園のイルミネーションを見に行った。気温はどんどん下がり、手袋の手もかじかむ、たまらずホットワインで身体を温めた。昨年札幌の大通公園でのドイツ屋台村で飲んだグリューワインの熱燗を思い出したが今日のワインは甘すぎた。
立川駅前のクリスマスツリー

今年のイルミネーションは予算が削られたのか例年に比べるとさみしいが入口のシャンペングラスでの三角錐は健在で、青、赤と変化をする。

ふれあい広場の欅のイルミネーションもいつも通り

今年のテーマは海、昨年のお花畑よりちょっと工夫している。幻想の世界だ。でも昨年あったX’masツリーがない。



24日には8時過ぎに5分間冬の花火が打ち上げられる。
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COP15の失敗に怒りを覚える

2009-12-20 23:43:13 | Weblog
20カ国の首脳や多くのマスコミ、NGOが集まったコペンハーゲン、結果は悲惨であった。期待されたポスト京都議定書の枠組みどころか数値目標合意もできなかった。多くの人間がジェットで世界中から移動したという結果、多くのCO2をまき散らすだけの会合となった。ジェット燃料をどのくらい使ったのだろうか??

CO2問題は世界の40%を排出する米中の問題と言っても良いくらいで、4%程度しか排出してない日本が25%削減などと言っても話にもならない。その米中がほとんど削減努力をしないというのであれば、国際会議など開いても意味はない。米中がやる気を見せて削減目標を出してから開催すればよい。
不思議なのは40兆円の政府の余剰資金で世界の企業を買収しようとしている中国が資金援助を要求していることだ。よくわからないことが多すぎるCOP15だった。

途上国は自分たちの規正や監視なしで援助が受けられると喜んでいる。ODAは我々の税金だ。財政難のおり削減目標をきちんと立て監視を受け入れることが援助の最低条件だろう。
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竹中・菅副総理・国家戦略担当相論争

2009-12-19 22:59:10 | Weblog
成長戦略策定会議の「検討チーム」に竹中平蔵氏を招き意見を聞き、その上で菅副総理と大いなる議論があったと報道された。このデフレの経済をどう立て直し成長するかが焦点で、竹中氏は企業強化論を中心に供給重視、菅副総理は子供手当など家計を支援することで、需要を重視ということで議論があったとのこと

先日のブログで紹介したシンガポールの戦略は理念として双方を含んでいる。もちろん両者とも供給も需要も戦略として必要なのは承知の上での論争だ。
私が最初に接した経済学の教科書は先日亡くなったサムエルソン教授のECONOMICS 第5版だった。最初は分厚い原書に悪戦苦闘したが内容はグラフが多くわかりやすく今でも参考になる。その後翻訳本が出て後輩は楽になった。


サムエルソン教授は今回の危機に対し、ケインズ理論を重視した需要創出を主張されたと聞いている。レーガノミックスと言われた時代は供給重視のフリードマン教授の全盛時代で、小泉・竹中改革はこれによく似ている。オバマ大統領の戦略は国民健保の導入や新エネルギー投資、公共投資増でサムエルソン教授の薫陶を受けた学者の影響力が強い。

高邁な理論より日本企業は輸出依存度が高いので、円高ストップが当面の要望だろう。1ドル100円になれば国際競争力は強くなり、増益効果は大きい。
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疑問だらけの民主党の予算要求

2009-12-17 18:44:43 | Weblog
連立政権だから与党の民主党から予算要求があって不思議ではないが、民主党のマニフェストを実行しようとしている政府にマニフェスト通りに予算を組むなと言う民主党の予算要求には驚いた。また高速道路や新幹線の建設まで要求しているがこれでは土建国家への逆戻りではないだろうか、財政が豊かなら地方の要求もわかるが、国債発行が44兆円をこえようかという時に高速道路だとか新幹線という話は我慢すべきだしそれを説得するのが政治家だ。

ガソリン税の暫定税率の廃止はガソリン代が安いから残せと言うのでは全く理屈に合わない。暫定税率を廃止し、欧州諸国がかけている環境税を創設した方が理にかなっているのではないか、企業経営が苦しい中で新たに環境税をかけることは労使ともに反対しているので難しい。とりあえず自動車重量税を含め諸外国より高い石油諸税を整理し、環境税を導入すべきだ。

子供手当の所得制限は理屈に合っているかのようだが、その前提は国民の所得がきちんと把握できているという前提だ。日本ではトウゴウサンピン(収入の捕捉率がサラリーマン10割、自営業者5、農家3、政治家1)といわれるようにサラリーマンは源泉徴収されるから所得は把握されるが、申告制で税金を納めている場合は極端に言えば脱税していれば所得制限はむしろ公平性を損なう。納税者番号制度をしいてからという厚労大臣の方針はどうなったのか

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労働相談急増

2009-12-15 23:35:20 | Weblog
本日の報道では東京都の労働相談窓口への契約解除に関わる件数が昨年より3割も増え最多になっていて、しかも最近は非正規、正規、年齢に関係なく増えているとのことだ。内容は突然の解雇が多く、ひどい例だと雇用保険を貰う要件である離職票すら発行を拒否する経営者もいる。

経営者の中には日本の労働法も働く権利をうたった憲法すら無視をする例が多く、希望退職でも会社都合でなく自己都合を強要する例が多く、よく知らない労働者が雇用保険をすぐ貰えず泣きを見ることになる。
経営者にとって解雇しやすいのは主婦パートで、抵抗力が弱いのを狙う。企業を経営し人を雇う以上、従業員の生活に責任を持つ覚悟が必要で、社会保険の加入、労働法の遵守などができないなら人を雇う資格はない。

組合があれば、団体交渉で解雇権の乱用がないか、退職金の金額は適正か、再就職先への努力は見られるかなどチャックができるが個人では労働相談窓口に駆け込むのが賢明だ。

報道のように自治体でも労働相談窓口があるが、連合では各県ごとの地方連合で労働相談を実施している。何かあったらすぐ電話をすることだ。連合の電話窓口は全国共通フリーダイヤル0120-154-052(イコウヨ-レンゴウニ)で架けた人の地方連合に自動的につながる。
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普天間問題が大化けになる可能性

2009-12-13 18:46:36 | Weblog
大もめにもめている普天間問題が大きな方向転換の起爆剤になる予感がする。本日の報道では米軍再編について、連立3党は9月に「見直しの方向で臨む」とする政策合意をまとめた。首相はこの合意に基づき、2006年の日米合意による名護市辺野古への移設計画を見直すとともに、その他のグアムへの海兵隊移転計画についてもさらに移転が加速できないかどうかなど、米軍再編のロードマップ(行程表)そのものの再検討も求める方針を固めた。

日米安保改定から来年は50年になる。この間冷戦体制が崩壊したにも拘わらず沖縄は依然として米軍基地の負担が減少されてない。自公政権下での米軍の再編成計画は海兵隊が8000名、家族が9000名グアムへ引き上げるが基地の現状は普天間が辺野古に変わるだけであった。当然海兵隊が引き上げるのになぜ辺野古に海兵隊の基地を作るのか住民は理解に苦しむ。

私の住んでる昭島には横田基地があり、石原都知事が国内空港に転換をなどと言っていたが米軍の極東唯一の物流拠点が置かれ、米軍での重要性は増している。この横田基地に対して亀井国民新党党首は日本防衛に必要ないとコメントしている。

かねてからの鳩山首相の持論である駐留無き日米安保体制を重ね合わせてみると、普天間をきっかけとして新たな日米安保体制という大きな課題が来年の争点になりそうだ。米国の居丈高な姿勢を見ると大波乱が起きるが、冷静な議論が必要だろう。日米対等を主張するからには集団的自衛権の問題も含め同盟の負担も対等を覚悟しなくてならないが、米国も周辺国も日本の軍事大国化を望まないことは明らかだ。参議院選挙は国民の判断を仰ぐ良い機会である。
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