財務省の矢野康治事務次官が月刊誌で衆院選などに絡む政策論争を「バラマキ合戦のようだ」と批判した。バラマキとは一律支給することで、与野党が競って発表している。全て日本の将来を背負う子供たちに負担となる。何を勘違いしたのか高市早苗政調会長が「大変失礼な言い方だ。困っている方や子どもたちに投資しないことほど、バカげた話はない」と不快感を表明している。上司の鈴木俊一財務相は12日の閣議後記者会見で「手続き面で問題はなく、寄稿の内容も政府の基本方針に反するものではない」と述べて擁護する姿勢を示した。国の財布を預かる財務官僚として黙っていられなかったのだろう。勇気ある行動だ。
一方新型コロナウイルス対策の「家賃支援給付金」をだまし取ったとして逮捕された経済産業省キャリア官僚の櫻井眞容疑者(28)と新井雄太郎容疑者(28)。慶應義塾高校の同級生だった二人は、共謀してコロナ禍で収入が減った中小企業を装い、1500万円余りの詐欺罪に問われた。初公判が10月11日、東京地裁で開かれ、2人はいずれも起訴内容を認め、櫻井被告は交際相手に月150万円の小遣いを与えていたことなどが分かった。
国の基本となる経済政策や産業政策をになう経産官僚がこともあろうか自ら行っているコロナ対策支援金をかすめ取り、夜な夜な豪遊するとは情け無い。こんなことは史上初めてだろう。
私が現役のころ、1980年~1990年代、私の知っている通産省の官僚は日本の行く末を絶えず考え、深夜遅くまで働いていた。半導体にしても日本の全メーカーを結集することを公取との間を計りながら策していた。
その後失われた20年、何をやっていたのだろう。昨日萩生田経産相は、半導体が日本のモノ作りを支える「コメ」の部分であり、「外国生産品に頼らなければ国内製品が作れない状況をブレークスルーするためにも、国内での製造拠点を設けることは極めて重要な国策」と今更寝ぼけたことを言っている。
熊本に台湾のTSMCを誘致するとの報道、熊本は元々三菱電機やNECの半導体工場があり、荻生田経産相は国内に先端半導体の製造基盤を持つことは「極めて重要」との認識だが、今更何千億も税金を投入し外国企業を誘致しなければならないのだろうか?
TSMCの会長は最先端の5ナノ~10ナノの半導体を国外では造れないと言明している。かつての通産省の官僚ならどう舵取りをするのだろうか?詐欺罪で逮捕された情け無いキャリアを出したが、経産シフトを強めた岸田内閣のリトマス試験紙となるだろう。