名古屋場所は久しぶりに実り多い場所となった。名勝負もいくつかあった。特に日馬富士を破った嘉風のスピードあふれる相撲は何回見ても素晴らしい相撲史に残る一番だった。次には、豪栄道が白鵬を破った一番で、力負けしないで大関を確定した。
それにしても、豪栄道の大関昇進を受けた時の口上で大和魂が出てきたのには驚いた。あまりにも古色蒼然とした言葉で、何故この場でこの時に大和魂が出てきたのか思い巡らしてみた。
・稀勢の里のに期待が掛かった日本人横綱への期待がしぼんだことの反動、
・モンゴル勢は人材豊富で、10両の巨漢逸ノ城は大きさ重さで憎らしいほど強い。来場所は台風の眼になり来年の今頃は横綱候補になるかも
・和製横綱の候補として精神力で稀勢の里を上回る豪栄道に期待を掛け、今年中に横綱になってもらいたい
・常幸龍は187cm162Kgと大きく今場所も10勝をあげ、期待できるが未知数、遠藤や妙義龍のように小兵で巨漢力士を倒す醍醐味は有るが、横綱候補になるには課題が多く、時間もかかる
・実力は白鵬並みと言われながら、精神的に落ち着かない立ち会いで負ける稀勢の里に対する刺激にもなる
大和魂で豪栄道はもちろん、稀勢の里、栃煌山が頑張れば良いのだが、そもそも大和魂とは何かを理解することが肝心だ。
大辞林によると
やまとだましい【大和魂】
①大和心。和魂。(漢学を学んで得た知識に対して)日本人固有の実務・世事などを処理する能力・知恵をいう。 「才(ざえ)を本としてこそ,-の世に用ゐらるる方も強う侍らめ/源氏 乙女」 「露,-無かりける者にて/今昔 20」
②〔近世以降の国粋思想の中で用いられた語〕 日本民族固有の精神。日本人としての意識
今回のケースは源氏物語から出てきた和魂漢才を意味する大和魂でなく、戦前の軍国主義から出てきた大和魂「不足するものは大和魂で補え」「大和民族は優秀だから突撃しろ」といった方の大和魂なのだろうか?そうだとしたら精神論だけでは勝てなかった戦争の教訓を忘れてはならない。