行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

低すぎる賃上げ、中小組合の頑張りに期待

2017-03-31 14:53:48 | Weblog
連合の春闘二回めの集計が発表された。平均賃上げで要求した1243組合の回答は6224円、増加率は2.05%となってる。昨年の同時期の回答に較べても111円下回り、率では0.05%低下した。ほぼ大手組合の結果とみて良いだろう。求人倍率も失業率も20年来の逼迫した数字を考えると経済学上では考えられない低い賃上げだ。
 
しかも大企業の豊かさは史上最高だ。内部留保は年々増え続けて、所有現金預金は250兆円、役員報酬も史上最高レベル、当然株主からは要求が強く株主還元の一環で、1株当たりの価値を上げるために自社株買いは15年度5兆3100億円、16年度4兆7900円に達した。配当も11兆円と10兆円の大台を超えた。
 
労働組合も労使協議会を通じて、自社の豊かさを実感していると思うのだが、賃上げとなるとどうして昨年より下回るのだろうか?今の組合リーダーは大幅賃上げの時代を知らない、デフレマインドが染みついているのではと分析するアナリストがいるが、どこへ行っても人手不足の局面、これから回答をもらう中小組合は賃金格差を縮める良い機会だ。
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マイナス金利の効用が不良債権を生む?

2017-03-29 22:41:25 | Weblog

先日いつもお客が来るときに貸してもらってる駐車場、管理してる不動産屋から地主がアパートを建てるので利用できないと言ってきた。聞くと大手不動産が建て、入居借家人は保障するから地主は安心だという。調べてみると、マイナス金利の効用の一つに銀行が融資を促進し、設備投資が増えるということがあったが、こうした住宅投資も含まれるのだ。なるほど2015年の新設住宅着工戸数は90万9299戸と前年比で1.9%増になったのに続き、2016年は96万7237戸と前年比で6.4%増と大幅な伸びだ。ところが、持ち家となる一戸建て住宅は3.1%しか増えていないのに対し、貸家となるアパートなどの集合住宅が10.5%と大幅に伸びている。
 
相続税対策ということのようだが、人口減少社会でこんなに建設して借り手がいるのだろうか?幸い先の近所のアパートは全戸入居済らしいが、埼玉県羽生市では空室率が10年で倍になり当てにしていた税金も入らず、下水道の管理費がかさみ、建築制限も視野に入れているとの報道もある。
 
日銀の統計では金融機関の不動産への新規融資は16年で12兆円に達し、あの土地バブルの89年を上回ってる。あのときのように地価は暴騰してないが、逆にアパートの空室率が高まり、ローン返済が滞り、銀行が不良債権を抱えるリスクが大きくなっている。相続税対策が逆回転し、家主も負債を残す結果となり、負債は相続放棄できるが、肝心の相続財産が消滅する。
米国のサブプライムローンから発した金融危機リーマンショックを画いた映画「マネーショート」を思い出した。
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大相撲春場所、諸手を挙げて喜べない

2017-03-27 18:54:39 | Weblog
劇的な新横綱稀勢の里の優勝で終わった春場所、列島は喝采の声で大騒ぎだ。確かに日馬富士戦で負傷し、痛さにゆがんだ稀勢の里の顔がテレビで大写しになったのを見たら、これは休場と皆思った。翌日鶴竜戦ではあっさり土俵を割った。負傷の程度は相撲を取れるものではないと思った。それでも千秋楽、照ノ富士に連勝し、奇跡の優勝が起こり大相撲史に残る劇場型大一番となった。
 
しかし、諸手を挙げて喜べない。先ず千秋楽の照ノ富士の状態だ。14日目に琴奨菊との一番、大関を賭けた琴奨菊が突進してくるのは判っていて、照ノ富士は飛んではたいて勝ち、場内から大ブーイング。この日照ノ富士は場所入り前に医者に掛かったほど、昨年稀勢の里戦で痛めた膝の靱帯の状態が悪化していたのだろう。まともに琴奨菊の当たりを受けられないと判断したのだろう。つまり、稀勢の里は左肩、照ノ富士は膝に負傷を抱えての大一番だったのだ。
 
この場所、久しぶりの4横綱がそろうと喧伝したが、白鵬は足の故障で6日目から休場、豪栄道も膝の故障で7日目から休場と最後まで体調が良かったのはようやく腕の負傷が回復した日馬富士ぐらいだった。会社なら幹部がほとんど怪我してる状態だったらつぶれてしまう。照ノ富士はこの二場所かなり怪我の状態が悪くても無理して出場していた。力士の怪我が多いのは4場所制から6場所へ移したことが影響しているのかもしれない。経営上の問題もあるかもしれない力士がまともな身体で相撲を取れる制度をこの際考えるべきだろう。又、稽古のやり方も再点検すべきだ。
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サラリーマン経営者の失敗

2017-03-25 22:13:03 | Weblog
 
三菱商事、三井物産の決算予想、巨額の減損損失で赤字

エネルギー・資源価格の大幅下落は日本経済にとって棚ぼたで、もしそれが無かったら今頃日本経済はマイナス成長で不況になっていただろう。昨年は石油だけで6兆円も産油国から富の移転があった......
 

3月期決算の時期で、大企業の決算が固まってきた。昨年大赤字であった三菱商事、三井物産も世界経済の立ち直りで資源価格が上げ潮となり、今期はそれぞれ4400億円、3300億円の当期利益へ大幅改善だ。しかし、日本の大企業は外国案件で大失敗を続けている。東芝のWH社がらみの7000億を超える新たな損失は企業の存続に拘わる。日立と三菱重工合弁企業の南アの火力発電建設でも7000億円の損失がほぼ確定している。千代田化工建設では海洋油田関連で1800億円で買ったシンガポールの会社が368億円の損失を出し、16年ぶりで赤字に転落するようだ。経験豊富な大企業がここへ来て海外プラント案件で失敗している。

共通しているのはサラリーマン経営者で、経営者としては経験が浅いことで、大型案件の割りに部下へ丸投げしているのではないかと言うことだ。ソフトバンクの孫社長は自ら外国企業を買っているが、その成否はまだ判らないが、自分の目で見て判断していることは事実だ。

途上国では、商社の情報が貴重だが、米国のようにかなり経験してる市場で失敗するケースが最近目立つ。技術の伝承と言うことは良く言われるが、積み重ねた経験、情報の伝承が大企業では薄くなっているのではないかとさえ思える。もちろん日本企業だけでなくインドのような複雑な国では韓国企業が土地買収段階でとん挫した例も見られる。

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事実は小説よりも奇なり、籠池氏証人喚問

2017-03-23 20:52:30 | Weblog
今日は1日、森友学園籠池証人喚問のテレビ中継で日本中が大騒ぎ、結果的には安倍首相の進退問題まで発展しそうだ。
「森友学園」理事長籠池泰典氏は本日参院(午前)と衆院(午後)予算委員会の証人喚問で、2015年9月に安倍昭恵首相夫人から封筒に入った100万円の寄付を受け取ったと証言した。職員が郵便局での振込、職場での安倍さんからの寄付を披露などかなり具体的に証言した。
 
また、昭江夫人と籠池夫人とのメールがしばしばされてることも明らかになり、学校用地については定期借地契約がごみが出てきたので買い上げ計画に変更したこと、10年の定期借地契約を巡り、午前の参院予算委の証人喚問で籠池氏は「もっと長い期間に変更できないかとの思いから、昭恵夫人に助けていただこうと携帯に電話した」と証言し、それに対する返事のFAXも実在が確認された。その証人喚問の間、FAXのコピーがマスコミに渡って公開されるといった不思議なこともあった。参院では自民党は金銭の授受より、森友学園の経営の粗雑さに質疑の大部分をさき、目くらまし戦術に出たが、焦点をそらすことが出来ず100万円問題が午後の衆院でも取り上げられた。
 
大阪府豊中市の国有地を評価額より大幅に安く購入した経緯については「神風が吹いたと思った。政治的な関与はあったのだろうと認識している」と籠池氏は証言した。特に大阪府に対しては府議会の有力OBを動かし、知事も認可へ協力してくれたが、最後は不認可としはしごを外されたと、松井知事に対し恨み節。維新はこれに対し、松井知事も証人喚問するとまで言いきり、籠池氏に偽証になると迫った。これに対し、籠池氏は「事実は小説よりも奇なり」と
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豊洲市場問題、専門バカの典型

2017-03-21 15:16:36 | Weblog

豊洲市場の安全性を検証している都の専門家会議は19日、市場敷地内の地下水から環境基準の最大100倍の有害物質が検出されたと公表した。9回目の調査では、201カ所中72カ所で有害物質が検出された。再調査では、特に濃度が高かった29カ所のうち検査ができた27カ所でベンゼン、シアン、ヒ素について調べ、環境基準を超す有害物質は25カ所で検出された。猛毒のシアンが検出されたのには驚いた。

もっと驚いたのは、専門家会議の平田座長が、市場では地下水でなく水道水を使うので、安全だと言い切ったことだ。それなら地下水調査などする必要もなかった。何故調査をしたのか?床に魚を並べる市場であるから万が一のことを考え、地下水を調査する必要があったのだ。都民の安心を得るために調査が必要だったのに、そんなことも無視して平気で安全という。典型的な専門バカといえる。東日本大震災で地下水が噴き出してきた光景は忘れられない。

そういった専門家の言葉を金科玉条に石原氏は豊洲は安全という。自分で決めた地下水の基準値は移転の正当性を主張するためネグってる。築地市場で働く水産仲卸業者の7割にあたる393業者が、豊洲市場への移転中止を求めていると、「移転計画の中止」を求める請願署名活動をしてきた「築地女将(おかみ)さん会」(山口タイ会長)が14日、発表した。これがそこに働く人達の正直な気持ちだろう。

それにしても、東京ガスと交渉した元浜渦副知事、基本合意は自分がしたがその後の契約書は役人が勝手に結んだなどと自分は役人でないような言い様は、瑕疵担保条項を含め、汚染物質除去に自分は関係ないと責任逃れが見え透いている。百条委員会では契約書を結んだ経過を明らかにしてもらいたい。

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年金生活者のワイン、ポルトガル編

2017-03-19 22:05:51 | Weblog

2年前にポルトガルを訪れ、有名なポートワインの地を訪れたが、ダン地方の赤ワインも美味しかった。日本には数少ないが1000円前後で手に入るこのカヴィポル カテドラル レゼルヴァはテンプラーニョ種だけのスペインのワインより軽めでミディアム・ボディに仕上がっている。ティンタ・ロリス (テンプラーニョ)40%、トウリガ・ナシオナル 40%、アルフロシェイロ 20%といった品種を使っており、このマリアージュはおそらく伝統的な技術が伝承されているのだろう。

数々のコンクールで金賞を獲得しただけにスパイスも香も良い。年金生活者のワインに加えたい。

作家の壇一雄がポルトガル・リスボンの近郊の漁村サンタクルスに昭和45年11月より昭和47年2月まで滞在していたが、このワインの名DAO(Aの上に~が付いている)ダンと発音するので、このダン地方のワインを愛飲したと現地のガイドが解説した。

因みに現在日経で連載しているサントリーの鳥井真二郎伝で、ポートワイン(ブランディを混ぜて酒精を強化している)を飲んで感激し、自ら苦労して赤玉ポートワインを開発している様子が掲載されている。

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23日の証人喚問、安倍首相の進退が掛かっている

2017-03-17 23:24:47 | Weblog
衆参両院の予算委員会は「森友学園」への国有地売却問題をめぐり、学園理事長の退任を表明した籠池泰典氏の証人喚問を23日に実施することを議決した。これまで参考人招致も拒んできた与党も、安倍首相から昭恵夫人を通じて「100万円の寄付を受けた」と主張する籠池氏の発言で証人喚問に応じざるを得なかった。
 
国民としては安倍首相が国会で虚偽答弁をしたことが判れば当然辞任と考えるが、それだけでなく、9億の土地を1億で売った背景を明らかにしてもらいたい。交渉経過のメモは財務省が破棄したとして闇に葬られた訳だが、交渉当事者の当人達を証人喚問して明らかにしてもらいたい。
 
与党が篭池氏の参考人招致を拒んできた背景には、稲田法務大臣と森友学園との関係と、昭恵夫人の関与が国会で明らかにされることを恐れたからで、2つの焦点のうち、稲田法務大臣については予算委員会での虚偽答弁が明らかになった。昭恵夫人については、この問題が大きくなっているのに篭池夫人とメールのやり取りをしていたことが明らかになり、100万円寄付問題とのからみで場合によっては証人喚問の事態になる。
 
いずれにしても国会で全てを明らかにしてもらいたい。防衛省にしても、財務省にしても都合の悪い文書は破棄したとして逃れようとする。公僕たる役人の背信行為だ。
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特別時間外月100時間未満制限が歴史的??

2017-03-15 22:34:28 | Weblog
日本の特異性を示す時間外労働という働き方、特別協定を結べば月100時間まで時間外労働を認めるということが争点になって、経団連と連合が以上か未満かで対立していたが、安倍首相が中に入って連合の主張する100時間未満に決着した。なんとなく出来レースみたいで菅官房長官は「歴史的な判断だ」と持ち上げる始末。これに対して、電通の過長労働で高橋まつりさんを亡くしたお母さんは「(残業分だけで)月100時間働けば経済成長すると思っているとしたら、大きな間違いです。繁忙期であれば、命を落としてもよいのでしょうか」と厳しく批判している。過労死ラインが月80時間だから99時間は許されるということは奇妙で説明が付かない。
企業の大小を問わず、過長な時間外労働をさせている事業所があると労働基準監督署に訴える事例が絶えない。そうした事業所を厚労省が調査をしたところ驚くべき結果が出ている。
昨年11月に実施した労働基準関係法令の違反が疑われる7,014事業場に対して集中的に実施した結果、4,711事業場(全体の67.2%)で労働基準関係法令違反を確認し、そのうち 2,773 事業場(39.5%)で違法な時間外労働が認められた。
その内、時間外・休日労働が最も長い労働者の時間数が
1か月当たり80時間を超えるもの:   1,756事業場
うち、月100時間を超えるもの:     1,196事業場
うち、月150時間を超えるもの:         257事業場
うち、月200時間を超えるもの:      52事業場
 
よく死者がでなかったものだと唸ってしまう。官房長官が100時間未満に決めたことは歴史的だといってる意味が判った。春闘ではこの悲しい現実を1日も早くなくすことを労使で約束し、公表してもらいたい。
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理解できない春闘の低ベア予想

2017-03-13 23:53:13 | Weblog
春闘のリーダー役金属労協の傘下、自動車総連と電機連合の交渉が低調だ。報道によるとトヨタ労使の交渉では要求3000円に対し、昨年の1500円ベアを下回る1300円を軸に、15日の回答をむかえる。定期昇給が7300円なので賃金引き上げ額は8600円になる。昨年は8800円だった。電機大手の回答も同様、昨年の1500円に対し1000円のベアのようだ。電機の場合開発技術職の個別賃金要求で1000円のベアで333500円(パナソニックの場合)の賃金となる。
 
企業を取り巻く環境は世界的な景気拡大で16年度より、4月以降の方が良くなることはコンセンサスだ。これを受けて株価も4月以降に日経平均株価で2万円になるという予想が有力だ。日本経済にとって、最大のネックは実質賃金の伸び悩みで消費の拡大が停滞してるところにある。一方企業の内部留保は増え続け、投資家は自社株買いを要求している。先のブログで企業のサステナビリティの重要性を書いたが、その意味で言えば、従業員への還元は流行りの言葉で言えばfirstだろう。
 
貯め込む現金は何も生み出さない。低ベアは視野の狭い労使の結論といわざるを得ない。
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