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行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

人手不足を補う女性労働力、65歳以上の女性労働力に注目

2024-01-17 11:18:43 | 労働
毎月国際労働財団(JILAF)のメルマガで海外へ日本の労働事情を紹介している。最近の日本の労働事情では、人手不足が大きなテーマとなっている。特に物流、アコモデーション、介護分野での人手不足が大きい。

国の統計を毎月見ていると、11月の就業人口は6689万人で前年に比べ43万人増(0.6%)とかなり増えているが、男性は3686万人、6万人増(0.2%)に対し、女性は3003万人、38万人増(1.3%)と女性の増勢がここのところ大きく、人手不足の緩和に大きく寄与している。

労働参加率を見てみると、全体では62.2%で、0.5%増、男性71.1%、0.1%増、女性53.9%、0.8%となっている。この参加率から見ると、ざっくり女性の半分が労働市場に出ているだけで女性労働力にはまだ可能性がある。15から64歳の主労働力層の参加率を見ると、全体では80.2%で0.6%増、男性86.3%増、0.2%増、女性は74.1%、1.1%増とこの主力層では女性の参加率は7割を超えている。

このことから65歳以上の女性労働力の参加率を上げれば労働力不足緩和に寄与できる。特に介護やアコモデーション分野で可能性がある。きめの細かい労働政策が望まれる。


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5%賃上げへの確率は高まった

2024-01-09 16:48:03 | 労働
本日発表された11月の家計調査では、勤労者世帯の収入は名目で1.6%減、実質で4.7%減、消費支出は名目で2.1%減、実質で5.2%減と慎ましい結果となっている。これでは政府の「デフレからの脱却」はかけ声倒れだ。否が応でも春闘での賃金引き上げが最低でも5%は必要となる。最近の5%賃上げへの環境は以下のごとく良好だ。

経団連の十倉雅和会長ら経済団体トップは報道各社のインタビューなどで、2024年への抱負を語った。十倉氏は賃上げについて「23、24年だけでは終わらない」と述べ、継続が必要と訴えた。経済同友会の新浪剛史代表幹事は賃上げを「社会通念にしていくことが重要」と語った。

十倉氏はインタビューで、24年の賃上げ率について「一過性で終わらせてはならない。前年以上の熱量で臨む」と改めて強調した。23年の大手企業の実績である3.99%を超えることに意欲を示した。物価上昇の家計への影響を和らげるには、基本給を底上げするベースアップ(ベア)が重要とした。
新浪氏もインタビューで「賃上げを人への投資として、ノルム(社会通念)にしなければならない。ノルムに反する企業は評価されない環境づくりが大切になる」と強調した。最低賃金については理想としながら「3年くらいで2000円まで引き上げるというのがめざすべき像だ」と述べた。

昨年末に日経新聞が行った主要企業「社長100人アンケート」でも「5%台」の賃金引き上げが最多だった。

政府も積極賃上げには補助金を出す。中堅企業の賃上げ重点支援策として、最低賃金の伸び率を上回る賃上げを実施する計画を立てた企業を対象に、大規模な設備投資を支援する補助金を今春までに新設する。対象企業は従業員2000人以下の企業で、投資額が10億円以上の場合、投資額の3分の1を補助する。

また、従来から有る「賃上げ促進税制」を見直し、従業員300人以下の中小企業が給与を増やしたら、企業の法人税負担を軽くする税優遇を受けやすくする仕組みをとりいれる。

春闘史上これほど、政財が賃上げに熱を入れたことは無い。労働組合の出番が無い事態になりかねない。3月中旬の集中回答が注目される。

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宝塚事件を糧とするべき、メンタルヘルス

2023-11-15 22:39:01 | 労働

華やかな宝塚の舞台からは想像ができない踊り子のやりきれない自殺事件、事業者や経営者は従業員のメンタルヘルスに向き合うべきだ。
メンタルヘルスに1980年代から取り組んできた生産性本部が第11回「メンタルヘルスの取り組みに関する企業アンケート調査」結果を9日発表した。企業の人事担当から見た従業員のメンタルヘルスの現状と組織の状況についての調査で「心の病」が最も多い年齢層について、何と10~20代との回答が43.9%に急増し、過去最多。初めて30代(26.8%)を上回り、「心の病」が最も多い世代となった。責任が重い中高年層かと思っていたが意外と若い人という結果に驚いたが、宝塚事件で裏付けた。直近3年間において「心の病」が「増加傾向」と回答した割合は45.0%となり、「横ばい」と並んで最多という結果で、最近流行りのウェルビーイングの前提がメンタルヘルスだろう。

これからという10~20代の自殺行動は何としても防がなければならない。労使で有効なカウンセリング体制の構築に全力で邁進すべきだ。また職場のメンタルヘルス調査も定期的に実施し、未然に防ぐ環境を整えることが肝心だ。

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2024年問題、サボりの責任をすり替えている

2023-11-10 17:59:18 | 労働

働き方改革関連法で5年間猶予されていたトラック運転手などの残業時間の上限規制が2024年4月から始まることにより、人手不足や配送の遅れが懸念されるという問題、マスコミも行政も大騒ぎで「1人あたりの運転時間が制限され、企業は追加雇用や配送量減などを迫られる。一方労働時間が減るドライバーも、働きやすくなる一方で収入が減る懸念がある」と連日の報道、何かおかしい。

働き方改革関連法で世の中一般は世界でも長い労働時間を改善したが、長距離輸送など長時間労働が常態化している運送業では早期の対応が難しいことから5年間適用を猶予していた。つまり、5年間の間に企業も労働組合も対策しなくてはならなかった。それが猶予が終わると大変だと騒ぎ、更に猶予を求めている。つまり自分たちがさぼった責任を放棄している。

2024年4月より、残業の労働時間上限は年960時間、これでも月平均80時間の時間外勤務となる。併せて終業から始業までの休息時間(勤務間インターバル)を8時間以上から9時間以上にする。働き方改革で人間らしい労働に一歩近づく、しかし欧米の組合なら一蹴するレベルだ。

建設業や医師でも同時に上限規制が始まる。建設業は残業時間の上限は年720時間までで、災害復旧時は特例的に月間の上限を撤廃する。医師も残業時間の上限は年960時間となるが、地域医療の維持などの理由があれば最大で年1860時間まで残業が可能だ。

EUの労働法ではトラック運転手の労働時間は
①1日の運転時間は原則最大9時間まで (但し1週間内で2日は最大10時間まで可能)
②1週間の運転時間は最大56時間まで
③2週間通算の運転時間は最大90時間まで

 

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UAW異次元の賃上げ、4年間で25%増、初任給でも年収720万円

2023-11-01 14:29:22 | 労働

全米自動車労働組合(UAW)は28日、フォードに続き、クライスラーの親会社であるステランティス、30日にはGMとも労使交渉で合意に達し、9月からの1ヶ月半にわたる長期ストは終了した。

3社ほぼ同じ内容での合意、フォードとUAWの労働協約で暫定合意には、労働協約の全期間における25%の時間給引き上げが含まれ、時給最高額は40ドルを上回るとされている。年間労働時間1600時間とすると、年収は960万円に達する異次元の賃上げだ。
具体的には4年間で25%(批准後直ちに11%)の昇給、生計費調整(COLA)の復活によって組立工の賃金は最高で30%の昇給(時給は40ドル超となる)。初任給は68%の増加とこれも異次元のアップだ

その上、GMは新労働契約に基づき、退職者に2500ドル約37万円の一時金を支払う。初任給は生計費調整額と合わせて70%増え、時給30ドル(約4500円)以上になるという。年間労働時間1600時間とすると720万円という初任給となる。

UAWの今回の成果は2007年以来の総賃上げ額を上回る史上最大。

 

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床屋談義、ようやく週休2日制

2023-10-20 11:12:30 | 労働

いつもの床屋での話、この床屋子供の頃から通っていて、現在は2代目が継いでいる。小中と同窓なので共通の知人も有り、昔話によく花が咲くが、昨日は「来年から月火と休みます」という張り紙で、中小自営業の労働時間を考えたことも無かったのではっとした。「古希になるのを機会に遅ればせながら週休2日制にさせてもらいます」との店主に「長い間ご苦労様、少しゆっくりして下さい」と答えたが、床屋に限らずパパママストアーの労働時間の厳しさに気付いた。

理容組合では月曜日が定休だが、全体では週休2日制にはなっていない。美容院などもその類で、従業員が多くいる大手の場合を除き、夫婦二人の経営だと夏休みとか年始のみぐらいしか長期の休みが取れない。日本はようやく年間の労働時間が1600時間、週休2日制になったようだが、、労働基準法の労働者に該当しない自営業者は自分たちで決めるしか無い。従って取り残されている中小自営業がいる。ドイツなどは昔からのギルド(職業別同業者組合)できっちりと休暇や労働時間は決められている。

厚労省の調査では、自営業のものは有るが、パパママストアーの労働時間調査は無い。「自営業者の業務に関連したストレスや悩みの原因」という調査では「収入の低さ」45.5%に次いで「休日・休暇の少なさ」22.9%、「長時間労働の多さ」20.1%と労働時間関連が併せて43%となっている。
働き方改革は運転手など2024年問題がマスコミを賑わしているが、中小自営業にも注目して欲しい。

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国税庁発表、昨年の民間年収給与実態、正社員523万円、それ以外201万円

2023-10-10 16:23:30 | 労働

いろいろな統計があるが、対象者は事業者に税金を天引きされているので、より正確な実態だろう。ちなみに源泉徴収により所得税を納税している者は 4,360 万人で、その割合は 85.9%と高い、働いてる人は殆ど税金をキチンと納めている。また、その税額は 11 兆 7,742 億円で、納税者の給与総額に占める税額の割合は 5.41%で前年より0.19ポイント増えている。

民間の給与所得者数は 5,967 万人、内1年を通じて勤務した給与所得者は5078万人、その実態が明らかになった。年収は 458 万円(前年比 2.7%増)男性 563 万円(前年比 2.5%増)、女性 314 万円(同 3.9%増)で若干格差が縮まった。

正社員は523 万円( 前年比 1.5% 増)、正社員以外 201 万円( 同 2.8% 増)格差は倍以上ある。内給料・手当部分は 386 万円、前年比 2.4%増で、政府が目指した3%には達しなかった。内男性 472 万円(前年比 2.3%増)、女性 270 万円(同 3.4%増)で賞与部分は 72 万円(前年比 4.2%増)、男性 92 万円(前年比 3.5%増)、女性 44 万円(同 7.6%増)男女間の格差は縮まりつつあるが、特に賞与部分が大きい。

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最低賃金10月改定、政府目標の1000円に、

2023-09-09 21:10:55 | 労働

2023年10月からは平均43円最低賃金が引きあがる見通しで、最低賃金の全国加重平均額は1,004円(昨年961円)となり、政府目標は達成出来るようだ。次の目標について岸田首相は「30年代半ばに1500円」と「新しい資本主義実現会議」で7月末表明している。それには2030年代半ばを2035年とした場合、毎年3.4%の引き上げが必要となる。

今や、日本の非正規労働者は約4割、最賃の引き上げで影響を受ける労働者はこの10年でおよそ4倍になり、影響率は、30人未満の事業所で22年度に19.2%だった。日本経済へのプラス面の影響も大きくなっている。

ただ、労働政策研究・研修機構によると、最賃額は、為替により変動するが、英仏独が1800円前後、豪州は2000円超だ。米国は連邦政府の最賃は低めだが、半数以上の州が連邦最賃より高く設定しており、2500円を上回る地域もある。円安の影響で日本は韓国よりも低い。また、時給1000円だと、1日8時間で月20日間の160時間働いても年収は200万円未満、シングルマザーの場合だとワーキングプア家庭だ。2030年半ばまでとは言わず、インフレに対応する意味でも早急に最賃1500円実現が必要だ。

 

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在宅勤務形勢逆転、ZOOMまで出社要請

2023-08-12 17:24:40 | 労働

日本生産性本部の7月調査によるとテレワーク(在宅勤務)の実施率は前回の16.8%から15.5%に減少し、過去最低となった。特に1,001名以上の大企業では前回34.0%から 22.7%に減少し、全体の実施率低下に寄与しているという。コロナ下の20年では大企業では5割が実施していたが、2割強に減っている。テレワーカー自身は同調査で、自宅での勤務で「効率が上がった」「やや上がった」と回答した割合は前回の66.7%から71.6%に増加し、過去最高となり、評価は高いが、企業側からは上司や同僚との意思疎通の難しさなどの事情から出社を促している。

本家本元の米国でもその傾向は強くニューヨークタイムズによると、
テレワークで業績を伸ばしたZOOMでも、7,400人の従業員の多くにオフィスに出社するよう求めている。同社は先週、オフィスから80マイル以内の全従業員に対し、パートタイムで対面で働くよう要請し、この計画は8月と9月に展開するとズームは発表した。

この春から夏にかけて、多くの企業が労働者にオフィスへの復帰を呼び掛けた。ディズニーは週4日と発表、グーグルは大半の従業員に週3日オフィスに出勤するよう求めている

アマゾンは米従業員の一部に対し今週、最低週3日のオフィス勤務という会社の期待に応えていないと記した電子メールを送付した。オフィス勤務を避ける従業員に厳しい姿勢を取っているのはアマゾンだけではない。米IBMのアービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)は5月、オフィスで勤務しない従業員は昇進がより困難になると述べている。

いったん味わった自由な働き方、子育てにも便利なテレワーク、多少昇進が遅くなってもオフィスには行きたくないという人も出て来るだろう。

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最低賃金、30年ぶりの上げ幅、景気下支え

2023-07-29 17:59:39 | 労働

厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は28日、最低賃金(時給)を全国加重平均で41円(4・3%)引き上げて1002円とする目安をまとめた。過去最大の引き上げ額となる。岸田政権が景気対策の一環とした政府目標1000円を超えた。6月の消費者物価が3.3%と物価高で家計が厳しくなっていることから4%以上の引き上げは必須だった。

マスコミ報道で1000円が踊っていることから全国で1000円上がると勘違いするむきもあるが、目安は47都道府県を経済情勢に応じて分けたA~Cのランクごとに示し、今回は41~39円で、昨年1000円以上になっている東京、大阪、神奈川に加え、今年は新たに埼玉、千葉、京都、愛知、兵庫が1000円以上になる。10月に目安を参考に各都道府県の地方最低賃金審議会で実際の引き上げ額を決める。

最低賃金が大幅に引き上げられると、影響する労働者は増加し、2割以上の時給労働者の賃金が4%以上上がり、消費の落ち込みを支えると政府は期待している。

世界的に見てこれでようやく韓国に追いついたが、欧州では1600円~1700円、米国カリフォルニア州では2000円とかなり差がある。

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