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いのっちの電話に出逢えた奇跡

2024年06月01日 | エッセー
 図書館の新刊コーナーに『中学生のためのテストの段取り講座』という本があって、何気に借りて読んでみた。
 生きるとは、段取りだという切り口が、斬新で新鮮で、坂口恭平さんっていったい何者?って興味を持った。
  『どうして勉強しないといけないの?数学も古文も社会に出たらほとんど必要ない知識なのに・・・。計算も計算機やエクセルでササっと正確にできちゃうじゃん。』
 子どもからこんな質問をされた時、一瞬、詰まる。
 『脳トレよ。』って答えてきた。
 『筋肉も使わないと脂肪になってしまうでしょ。脳も使わないと脳がスムースに働かなくなるからね。』
 

 『良い成績を取って、よい大学に行って、大手企業に就職して、あるいは、お医者さんになって、はい、安泰。だから、勉強するのよ。』
 という解答はしたことない。

 『別に、僕は食べていければいい。勉強好きじゃないし・・・。』なんて返されたら、何も言い返せなくなるから。
 
 坂口恭平さんの
 テストは『段取り力』をつける力を養うためのいい訓練の場であるという発想は衝撃的だった。
 段取りか・・・。段取りも脳トレの一つとも言えそう。

 『大人ってどういうこと?』 
 これも、思春期の子どもたちの大きなテーマ。
 思春期の子どもが大人を見るとき、自分のことは棚に置いといて、嘘をつかないか、忖度しないかってめちゃくちゃ敏感に感じ取る。
 そして、少しづつ、実は、自分の心の中にも、しっかり、嘘をつく心や忖度する心が存在することを実感して打ちのめされていく。もがく。
 そしてそして、最終的に、人間って、大なり小なりよい心とよくない心(妬みや批判、差別)を持っていて、自分もそうなんだともがきながらも納得し、分裂した心を再構築していく。そうやって、自分の良くない心にも人の良くない心にも寛容になっていく。 

 それが、大人だと私は考えていた。
 そして、私は、まだまだ大人になりきれていない。
 批判の対象が、身近にいるために、人の良くない心にしょっちゅう出会ってしまって、自分の良くない心が常に刺激され続けている。
 つまり、寛容になれない。
 よくない心って、威嚇射撃する心かな。
 先日も、農業の会社に勤めている夫が、雨の日は行かないと宣言したので、雨が降っていたし、起きてこなかったから、起こさなかった。
 寝坊した夫は、なんで起こさなかったんだと怒って、ギャーギャー言いながら、慌てて出て行った。
 もう、がっくり。何歳だ。子どもじゃん。
 
 何で、人を責める?
 夫は、そういう人間である。
 自分の非を認めない。意地でも認めない。
 認めたら、自分で自分を支えられなくなるからだと思う。
 もちろん、本人は、気づいていない。

 自分で自分を支えるために、自分には非があっても、非を認めないという思考で自分の弱い心を支えて生きてきたんだと想像する。
 おそらく、思春期を乗り越えていない。
 自分の心の中の正邪の邪を認めることに耐えらないから、邪を他人から指摘されようなものなら、瞬時に攻撃する。もはや、生活習慣病だ。
 
 
 坂口恭平さんは、大人ってどういうことでしょう?という問いに、『自分で自分を支えてあげられる』ってことだと答えている。
 ただし、こう付け加えている。

 自分が自分で救える、助けなくちゃいけないからといって、できないのに、誰にも言わずに一人で黙々と助けようとするのも大人ではありません。
 それも子どもです。
 子どもはすぐにできないと拗ねます。
 できないことを受け入れることができません。
 だから、どうしたらできるようになるのかと人に聞くことができません。
 すぐに、拗ねて、拗ねてしばらく時間がたってから、少しずつ、素直になって行きます。

 そして、この『素直になる』っていうこともとても重要な大人になるための技術です。
 
 坂口恭平さんは、社会に出ると、段取りしか求められないと言ってもいいという。大人になるって、この段取り力がつくことだとも。でも、学校では、学校の先生が段取りを決めているから、その訓練ができていない。
 その段取り力をつけるのに最も適したものが、テストで好成績を取るために、自分でスケジュール表を作って実行するという訓練。
 そして、自分で段取りしてテスト勉強をして好成績を収めるということこそ、自分で自分を救うことの訓練になる。
 だから、テストはそんなに悪いものではない。
 
 『今日一日何をやるのかを朝仕事を始める前に全て決める』

 これがまず、段取りの基本。

 坂口恭平さんは、建築の大学に入って、大工さんについて、仕事を教わったことがあって、その時の大工さんから、『大工の技術とかどうでもいいから、まず、段取りを覚えろ』って言われて、『段取りって何?』って聞いたら、『今日一日何をやるのかを朝仕事を始める前に全部決めるだけだよ。』って。

 段取りする力がつくと、不思議と自然と自分で自分を救う力がついてくるそう。
 坂口恭平さんは、『自分で自分を救えるようになったら、今度は人を助けるんです。もっと言います。人を救うんです。』とはっきり言う。
 将来の夢とかほっといていいです。そんなの気にしなくていい。
 人間にとって、生きのびるための技術で一番重要なのは、この、人を助けるってことなんです。それは、ボランティアでやりましょうみたいな空いた時間にすることではありません。率先して、最初にやるべき、人間にとって一番、大切な行為です。

 目が覚めた。
 それこそ、四男が来年、いなくなったら、空いた時間に『いのちの電話』のボランティアとかできたらいいな・・・なんて、チラッと浮かんだばっかりだったので、甘い考えだったと思い知らされた。

 

 

 


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