認知症道半ばの義理母をショートステイのつなぎの3日間看た。
先ほど、施設の理学療法士のイケメンお兄ちゃんが迎えに来てくれた。
ホッ。
イケメンお兄ちゃんは、義理母のお気に入りなので、そこは覚えているんだと思った。その前の会話で、この1か月自分がどこにいたかの認識がなかったから、記憶力もかなり落ちていると思ったところ。
ショートにお願いするに至った経緯は、後で書くとして、義理母は、朝起きたら、パーマをかけたいと思ったのだろう。朝7時ごろに家を出発して、美容室目指して歩いていて、転んでしまった。その1か月前にも転んで右手首を骨折して入院し、やっと、退院できたと思ったとたん、また、転んで、でも、上手に転べず、目の下の骨折とまた、右手の指の骨2本骨折してしまった。
一人では生活できない。
最初にかかった整形外科がクリニックだったのが、災いした。介護のにおいのする人は、入院設備のある病院を受診すべし。認知症道半ばで右手がギプスな義理母を残業ありの私は毎日は看れない。
紆余曲折あって、ショートを利用しながら、義理母の状態を観ながら、ケアマネさんと検討していくこととなった。
で、とりあえず、ショートステイは連続29日までしか看てもらえないとい制度のため、そして3日間経ったら、また、29日看てもらえるという仕組みとのことなので、3日間、わが家で看ることとなった。しかも、夕方、連れてきてくださって、朝8時半くらいに迎えに来てくれるというありがたい話。しかも、しかも、真ん中の一日は、デイケアにお願いすることができた。
介護保険、少々高くても、ありがたや
そして、義理母の実態が浮き彫りにされた。
その最も悲惨な出来事が、ウンチ事件。
昨夜、お風呂に入ろうと思って、浴槽を洗いに行ったら、恐るべき光景が目に飛び込んできた。
これは、一体、何?
浴槽の底に、長さ30センチメートルくらいで、バナナよりも太い黒い物体がプカプカ・・・・。
え?
何?
オーマイガット!!!!!
最初は、猫がウンチした?
て、思った。
でも、猫って、水の中にウンチする?猫砂ってあるくらいだから、ネコの習性上、砂とかで隠そうとするはずだから、水の中になんかしないよね。だいたい、ネコのウンチって、そこまで太くないし、そこまで長くない。
え~~~~。もしかして、義理母が、トイレの場所を間違えて、お風呂だと気づかずに、ウンチをしてしまったの?
寝る前、少し、不安がよぎった。
いつもと違う環境が認知症には一番よくない。
混乱する。
夜間のトイレは大丈夫かな?
おそらく、案の定だった。
義理母は、トイレとお風呂の入り口を間違えて、トイレだと思って大きい方をしてしまった。
でも、どうやって?
下手をすると、ウンチもろとも義理母も冷めた湯船の中へ落ちていく・・・。
右腕はギブス。
一度、こたつに入って、寝そべったら、自力で立てない筋力。
そんな義理母は、お風呂でどうやって大きい方をしたのだろう?
ウンチが大きすぎた。
昔、赤ちゃんがお風呂でウンチするってことはあったけれど、赤ちゃんだもの。かわいかった。義理母のウンチは、プードルとかミッキーを作ってくれる大道芸人が扱う細長い風船のように太かった。流しても流しても浴槽の排水溝から、去って行ってくれない。
まさに悪戦苦闘。
一度、沸かして、捨てて、もう一度沸かした。
第一発見者の息子は、二度と湯船につからないと言う。
きれいに洗ってあるのに入らないということではなく、映像がよみがえってきて入れないというのだ。トラウマっぽくなってしまったよう。
思春期だもの。そりゃそうなるかもしれない。でも、今は寒気団のさなか。
男の子だけど、湯船で血流をよくしてほしい。
真冬に、湯船に浸からないなんて、冷え性の私にはあり得ないこと。
翌朝、義理母は、何も覚えていなかった。
それくらい、認知症も進んでいるということだろう。
それはそれでいい。
ただ、次の29日後、わが家で看ることは消滅した。
たった、3日預かっただけだけど、わかった。
義理母の認知症、相当、進んでいると。
しかし、それよりも、もっと、びっくりしたことがあった。そっちの方が、むしろ、一人で生活していくことは厳しいかもというものであった。
それは、一度、横になったら、自力では起き上がれなくなっているという事実。
我が家は、介護に備えた家ではない。
まず、手すりがない。
義理母を預かるとあった時、まず、トイレの立ったり座ったりが手すりなしで大丈夫だろうかという不安がよぎり、施設に電話して確認した。
「大丈夫ですよ。」
よかった。
もし、手すりが必要なら、4本足の杖みたいなものを借りれないかなと考えていた。
もう一つ、たった3日のことなので、ベッドとかも用意できていない。日本式の布団生活、大丈夫かな?と過った。
でも、これは、立ち上がるときに、椅子を枕元のあたりに用意して、椅子を支えに立ち上がれるはず、大丈夫だろうと自分で納得させた。
で、実際。
義理母はこたつに入りっぱなし。
そして、だんだんずれていき寝そべって、座布団3枚で首を支えて、テレビを観ているようなぼ~っとしているような時間をただただやり過ごしているだけのように見えた。
夜9時が過ぎた。
そろそろ、歯を磨いて布団に寝ましょうと声をかけた。
ところが、こたつに寝そべった姿勢から、立ち上がれない。
右手がギブスなので大丈夫かなと思いつつも、こたつに左腕をついて、体を支えて起き上がれると予測していたが、その考えが甘かった。
なぜか、仰向けの姿勢から、うつ伏せになり、そばにあった柱に左手をかけて、立ち上がろうとした。
柱なので、握るとことがない。だったらと、椅子を左手のところに持っていったけれど、椅子に左腕を預けて、踏ん張って立ち上がるということができない。
手すりが縦にある理由は、ここか?
義理母は、柱をつかまえて立とうとする。
踏ん張って立つのではなく、引き寄せて立つ。
老化による筋力低下の謎を実感した。
仰向けからうつ伏せになるときも、一苦労した。
寝返りを、めちゃめちゃがんばらないとうてない。
腹筋とかインナーマッスルがかなり落ちている。
ヤバい。
このままなにもしないと、寝たきりにすぐになっちゃう。
布団に寝るときも、一度、仰向けになって、枕の位置に頭をもっていくことができない。つまり、お尻が上がらないので、ずって動くこともままならない。布団の上で体を微調整することができない。
筋力がかなり低下しているので、すべての動きがしんどくて、めんどくさくなって、じーっと固まったままの姿勢になっているという悪循環がスタートしている。
ベッドの生活では、発見しにくいと思った。
不思議だ。
どうやって、お風呂の浴槽にトイレをしたのだろう?
布団から起き上がれないくらい、腹筋周りの筋肉が落ちているカラダで・・・。
未来の自分のためにも、ギリギリまでベッドではなく、布団生活をしようと決めた瞬間だった。
布団から起き上がるためには、腹筋周りの筋肉が必要なのに、ベッド生活では、その筋肉を使わないから、知らないうちにどんどん落ちていく。ワザワザ、筋トレするのはめんどくさい。生活の中で、維持できるものは維持したい。時短だし。
本当は、トイレも和式がいいよね。大きな筋肉である大腿筋が鍛えられる。
実は、私、小をするときは、座らない。
かがんでいる。
えへッ!
ショートステイで迎えに来てくれた理学療法士のお兄さんに、そのことを伝えたら、腹筋がないですね。施設だとベッドなのでわからなかった。腹筋のリハビリもしますね。と言ってくださった。
そうだ。わからないのだ。
ベッド生活では。
ベッドは最終手段だ。
もし、ベッド生活をするなら、ベッドの上で一度立ち上がってから降りるようにしたらいいかも。結構、いろんな筋肉を使いそう。クッションのきいたベッドなら、少し、揺れるので、しっかり立つために筋力がつくはず。
そして、もう一つ、60歳になったら、コロコロ大会なんてあってもいいかな?
手を伸ばして横にコロコロ。でんぐり返りのコロコロ。
施設でも、朝、起床時に音楽をかけて、お尻を持ち上げるたり、右向いたり左向いたり、寝返りしたり、足上げたり、グーパーしたりする体操とか取り入れてほしい。すでにやっているところもあると思うけれど・・・。
たった三日、義理母を預かっただけだけど、今まで見えなかったものが一気に見えた。手すりもベッドもなかったからこそ見えやすかった。
そして、見えてきたものが、
最後に、筋力は 勝つ!
愛ではない。筋力!!!