世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●日米同盟基軸の国家では、本来の民主主義は無理である

2019年01月18日 | 日記

 

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●日米同盟基軸の国家では、本来の民主主義は無理である


外遊の安倍か、外交の安倍かという話題で、大学の同窓会で盛り上がったが、7対3で「外遊の安倍」が勝利した。問題は、安倍が外遊をし過ぎるために出てきた話題なのだが、結論は、どういう訳か、国内にいたくない事情でもあるのだろう、というのが結論だが、その理由については、確率の高い答えはなかった。

都市伝説的な話としては、潰瘍性大腸炎の治療を行うためではないかと、尤もらしい解説があったが、国内で投薬可能なメサラジンを内服か直腸に直接投与することは可能なので、あれほど頻繁に外遊する理由にはならない。

ただ、この病気の発症は日本人に比べ欧米人に多いので、高度な治療が受けられる可能性は否定できない。しかし、外遊中は番記者も随行するので、かなり困難。やはり、国内のスポーツジムでの治療が専らだろうという結論になった。

都市伝説としては、昭恵夫人が、大麻系のサプリ“CBDサプリ”を常用しているので、夫人が、ときおりガッツリ大麻が吸いたいと駄々をこねるので、森永製菓令嬢の我がままを、夫の晋三さんが聞いてあげている、というものだが、これも頻繁な外遊の理由とは断定しがたい。

結局、「外交の安倍」を演出するためには、嫌でも海外に出向いて、各国首脳を握手をしている映像をメディアを通じて流し、話のつじつまを合わせているのだろう。そこで、受入れ国探しが外務省の最大のミッションになっているというのが正しいようだ。

先進諸国に関しては、受け入れて頂く立場なので、相手国の首脳が暇なときに合わせるので、結構無理な日程が組まれている。それに対し、後進国や発展途上国への訪問は、支援金という鼻薬が有効なので、ふんぞり返ってファンファンな外遊を愉しんでいるらしい。

そこでだ、外遊ではなく、外交の方は如何なっている、という評価は、ナプキンに書きこみ投票した結果、0点が5票、−50点が2票、50点が2票、60点が1票だった。

0点や−50点の人々は、米国との外交は言われっぱなし、中国には見下され、韓国からは喧嘩を売られ、北朝鮮からは蚊帳の外に追い出され、拉致解決は、私の政権で、とは程遠いものになっている。

本人は、私は言ったおぼえがない、と触った触らない、の押し問答になっている。ロシアとの領土交渉も、プーチン・ペースで運んでおり、最高でも、最低でも二島返還で平和条約だ。場合によると、主権の帰属は日ロ共同主権等という奇妙なものになることも想定できる状況なので、状況から評価に値しない。

今年6月のG20開催にしても、8月アフリカ開発会議(TICAD)にしても、多くの面でセレモニー化しているのが現状なので、NHKのテレビ映像に、安倍首相が大きく取り上げられる機会が増えるだけで、外遊とは異なる意味で、無駄な歳出だ。筆者は無難に0点の評価だったが、60点評価哲学者の意見が面白く有益だった。

彼が言うには、「日米同盟」という基軸がある限り、日本の外交というものは、後進国外交なら、ある程度のお目こぼしがあるだろうが、先進諸国や発展途上国との外交は、「日米同盟」の範囲においてと云う条件のある外交だから、誰がやっても大差ない。自民党じゃなく、立憲民主党がやっても、大きく変わるものではないので、日本の政治を評価する場合、外交や安全保障分野は、政治の枠の外に置くべきだと主張していた。

たしかに、彼の言う通りだ。大胆に解釈してしまうと、内政も、「日米同盟」が基軸で組み立てられるため、アメリカ同様のグローバリズムにうつつを抜かし、一億総中流だった経済大国ジャパンを、プラザ合意で中流国に貶められ、最近のわが国の展望は、3流国家になるとみられている。同盟国アメリカ様の命令通りに生きてきたのに、そりゃないわけだが、戦後の歴史が、そのようにさせてしまったのだから、アメリカの誰に抗議していいか判らない。

考えてみると、戦後日本の民主主義の歴史というものは、「日米同盟」に準拠するかたちでだけ成立していたわけだから、相当狭いレンジにおける民主主義だったことが、今にして初めて悟るわけである。このような歪んだ民主主義は、時には有利に作用したが、平均すると、本来の民主主義、“民主主義の結果を引き受ける責任”の精神が欠落していたように思える。宮台風に言えば、任せてブーたれるだけの日本人、と云うことになる。

しかし、このような現象に気づくまで、日本では、それなりに民主主義や国民主権は、それなりに機能していると思っていたのだが、安倍政権が登場してくれたおかげで、まったく機能していない事実を突きつけられている。投票率も国政選挙でも50%前後で、国民の半数が参加しない民主主義が続いている。ただ、棄権する人々に対し、国民の義務と権利を同時に捨てている愚か者、といった批判をするのは筋違いに思えてきた。

どうせ、日米同盟基軸で動くわけで、アメリカの意のままにしか動かないのが、我が国の政治なのだから、投票しても、それほどの意味はない。極論を言えば、「日米同盟」からの脱退、自主独立とでも主張する政党が出てきた場合に、それは、それ相当に考えなければならないが、「日米同盟」枠内なら、折角の日曜日の貴重な時間を潰す必要はない。その上、アメリカから、ある程度距離を置こうとする政権は数少ないが実現した。しかし、それら政権は、ことごとく、アメリカの手を煩わすことなく、官僚や検察によって潰されている。

こういう側面で、学習機能が働くことは良いことではないが、責められない。原発政策がやめられないのも、アメリカが、原発技術を継承させる役割を日本に命じたからである。辺野古新基地建設も、アメリカが命じた形になっているミッションだから、合理的検証など無関係に、“アメリカに逆らう奴は許さない”と云う呆れた論法で進んでいる。

市場原理主義の流れも、やはり、アメリカが求めた流れだ。この点だけは、多少の希望がない訳ではない。トランプの本音は判らないが、少なくとも市場原理主義ではない。市場権威主義的で、独り勝ちしたいというあけすけな政権だ。今までの、アメリカ搦め手統治よりは、判りやすくて面白い。

本来なら、この後で、中国に対抗するアメリカという、昔の東西冷戦構造が再現すれば云々の話になるが、それは、明日、続きとして語ってみよう。



 ≪ 次の扉へ 日本外交の構想力 国際協調を先導できるか
 今年は日本を舞台に外交が目まぐるしく動く。  6月に大阪で主要20カ国・地域(G20)首脳会議、8月に横浜でアフリカ開発会議(TICAD)があり、10月には新天皇の「即位の礼」に伴う首脳外交などが控える。
 国際的な政治や経済の課題に解決策を示し、途上国への支援をうたう。新時代を迎えて晴れやかな日本の姿を世界に披露する機会にもなろう。
 しかし、米国、中国、ロシアなど大国相手に利害を調整するのは容易ではない。大国によるアフリカへの投資競争は過熱するいっぽうだ。
 複雑に国益が絡む外交で成果を出し、日本の評価を高める戦略を構築するにはどうすればいいか。日本外交の構想力が問われる1年になる。
深まる同盟のジレンマ
 「自由で開かれた、包摂的かつ持続可能な未来社会の実現を推進したい」。先月のG20首脳会議の閉会にあたり、次のG20議長国として安倍晋三首相が掲げた目標である。
 裏返せば、「保護され閉ざされた、排外的かつ持続不可能な現代社会の現実」が横たわる。
 次々と思い浮かぶ。保護貿易主義、権威主義的な政治、移民や難民の排除、地球環境の劣化……。いずれも出口は見えない。
 中でも、世界に多大な影響を与える米中関係の行方は、今年最大の焦点だろう。貿易戦争の着地点は見通せず、サイバー攻撃も絡むハイテク覇権争いは長期化が避けられない。
 日本外交の基本は日米同盟と国際協調だ。だが、足元は危うい。問題は、米中対立により日米同盟のジレンマが深まっている現実である。
 「米国第一」を掲げるトランプ米大統領は貿易赤字削減を目的に中国だけでなく日本にも矛先を向ける。鉄鋼などに制裁関税を課し、本格的な貿易交渉に引き込んだ。
 米国の軍事的優位を脅かすと対中強硬姿勢を示しつつ、日本には高額兵器の購入を次々と迫る。防衛費は5年連続で過去最大になる。
 日本は、軍事的に中国に強い姿勢をとる米国を支持する一方で、貿易問題では米国と対立するという引き裂かれた状況に置かれている。
 北朝鮮の核・ミサイル、中国の海洋進出など日本周辺の厳しい軍事情勢を踏まえれば、米国への軍事的な依存が深まることは否定しない。
 それでも日本の安全を「人質」のように取られて、言われるままに防衛装備品を調達するのであれば、健全な同盟関係とは言えないだろう。
 トランプ米大統領は同盟を国益ではなく負担と考えている--。こうした論評は以前から日米両政府内にあったが、同盟重視のマティス国防長官辞任を機に再燃している。
 次期国防長官に強硬派が就けば北朝鮮情勢が再び緊張するのでは、という不安も出よう。そうなれば、東アジアの安定は遠のく。
 トランプ政権下の日米関係は不安定にならざるを得ない。同盟を基軸としつつ、対米一辺倒から抜け出すことが、日本外交の新たな展開力を生み出すのではないか。
米中露とのバランスを
 中国はやがて経済規模で米国を追い抜き、軍事でも米国と競う時代が訪れる。日本が軍事力で対抗するには限界がある。むしろ外交による日中関係の安定を優先すべきだろう。
 「競争から協調へ」と訴えて中国との関係改善を進める安倍政権の姿勢は評価できよう。経済分野での連携をてこに協力の道を探るべきだ。
 その際、日中衝突を回避するとともに、日本が米、オーストラリア、インドと進める「自由で開かれたインド太平洋」構想を対決の枠組みにしないよう留意する必要がある。
 安倍首相はロシアとの平和条約締結に強い意欲を示す。北方領土問題を解決して日露関係を強化すれば中国に対するバランス装置にもなる。だが、安易な妥協は、日露接近を懸念する米国の不信を招く。
 競い合う大国がそれぞれ同盟を形成する際、「第三国はより強い国を選ぶ」という「バンドワゴン」の力学が働く。国際社会で米国の地位が低下し、中露が台頭する中、途上国への目配りは欠かせない。
 アフリカには日米中からの投資が集中する。日本には近代的なインフラ、質の高いサービスなどのノウハウがある。だが、覇権争いに映れば地域に分断をもたらすだけだ。
 他にも核軍縮など世界の多くの課題は多国間の協力なくして解決できない。安定した秩序構築に向け国際協調を主導してほしい。
 ≫(毎日新聞2019.1.6付社説)


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コメント

●岸・安倍の確信犯的悪行 本土だけ、自分達だけのエゴ

2019年01月17日 | 日記

 

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『沖縄と本土』いま、立ち止まって考える 辺野古移設・日米安保・民主主義
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●岸・安倍の確信犯的悪行 本土だけ、自分達だけのエゴ


沖縄の県民投票が揺れている。県民の投票権を奪うことは、憲法に違反する。下位の法律・地方自治法の一文を楯に、市長や市議会が、当該市民の、県民としての権利を侵害することはあってはならない。が、しかし、わが国では、公衆の面前で自民党という与党が、憲法違反を推奨している。

沖縄市、宜野湾市、宮古島市、石垣市、うるま市の5市は、当然のことだが、自民党が議会で多数を占めているわけだが、自民党系国会議員から、蓋然性のある自民党指示書らしきものが出ており、幹事長か官房長官筋からの命令があったことを疑わせる。


まぁ、対沖縄県に対して、おとなしく言うことを聞けば小遣いを与え、首を横に振ろうものなら、地獄の果てまでも追詰めようとする日本政府の姿勢には、ほとほと呆れかえる。ただ、これを安倍政権だから、汚い手を使う、とばかりも言えない点が問題だ。旧民主党時代でも、似たような答えを出したかもしれないと云う悩みだ。日米安保体制においては同じような光景が見られることは、想像に難くない。

もしかすると、ホワイトハウス直訴の署名活動が、トランプ大統領の目に留まり、「シンゾウ、辺野古基地建設は順調だと言ったじゃないか」ホワイトハウスから詰問されたのではないのだろうか。この方向性は同時進行だったので、どちらが先とは言えないので、署名活動の所為ではないだろうが、安倍政権としてみれば、県民投票が100%実施され、沖縄県民投票で、知事選同様の惨敗を喫すると、トランプへの言い訳がなくなる可能性があることになる。

ということは、この沖縄県民投票は、アメリカも非常に重視していると云う事実が見えてくる。最近は、自然保護団体の力も強くなっているだけに、知事選以上の大差で、辺野古新基地反対が鮮明になった場合、辺野古基地への海兵隊移転は白紙から見直すと、アメリカが考えだすきっかけになることもある。特に、台湾有事、南沙諸島有事など、沖縄基地の重要性が高まっているだけに、沖縄県民から拒否される米軍基地の存在は、軍事的には脅威の一つになるだろう。さらに深読みをすれば、対韓問題で、トランプの気を引きたい下卑た意識があるかもしれない。

つまり、岸信介が流れを作った、沖縄を米軍基地の島、日本本土の防波堤という構想(日米安保)に齟齬が生まれることになる。アメリカが、日本の米軍基地を縮小しないとなれば、沖縄に70%集中させている基地を、日本全土に分散しなければならなくなる。岸・安倍ラインにとって、日米安保体制、日米地位協定の基盤に亀裂が入ることになる。つまり、再び、本土における、基地反対運動が再燃することを意味する。結果的に、日米安保体制が日本人の興味の範囲に入ってくると云うことだ。今までは、見ざる聞かざる言わざる、で済んでいたが。

無論、現状の日本人の空気を読む限り、1955年の砂川闘争のようなことが起きる可能性は低そうだが、基地が来ることにより、自民党離れが起き、日米安保体制が脆弱になる危険は大いにある。三段論法風に、沖縄基地を本土分散化になった場合を考えたが、自民党にとっては悪夢だ。公明党は反対派に回らざるを得ず、自公長期政権が危うくなる。そう云う意味で、今回の沖縄県民投票は、日米安保の喫水線に位置している。ゆえに、安倍自民党は、県民投票を無効化しようと企んでいる。

以下、朝日の参考記事を載せておくが、どうも「投票権侵害」の国家賠償請求訴訟については、幾分、首を傾げる。それよりも、玉城知事は、早々に、県民すべてに投票用紙が配られる行政的手法の検討に着手して貰いた。いまどき、隣の市に車を飛ばすくらは朝めし前、沖縄の共同体であれば、相乗りで、ワイワイガヤガヤ隣町の投票所に行けるよう、是が非でも実行すべきだ。地方自治法に抵触する云々でビビってはいけない。県が、憲法違反を看過することはあってはならない。しかし、現状は厳しい。

玉城知事も、ぬるま湯論を語っている場合ではなかった。「県民の権利を守る、憲法を守る」、「県民の一部の皆さまには、遠方の投票所を用意せざるを得ない状況になりましたが、各戸に投票権を送付いたします」を早々に決意すべきだったが、5市の選挙管理委員会から有権者名簿の提出は、期待出来ない状況で頓挫したよようだ。安倍官邸の動きは早く、行政を熟知した悪代官に、またも邪魔をされた格好になる。つまり、沖縄県民が考えている以上に、米軍辺野古基地建設は安倍政権の死活問題になっているのだ。

正直、これほどまでに、辺野古新基地建設が、日本政治の核心的マターだと云う認識は、筆者自身薄かったのだが、安倍がトランプから、「シンゾウ、辺野古基地建設は順調か?」と、問われたという推測をしてみたが、実は、そこから、安倍は、鬼気迫る勢いで、遮二無二、土砂投入に突入した。もう、国民が唖然とするほど必死なのだ。国内最大で一強の大総理が、慌てふためき、嘘を並べ立てて、トランプ・ミッションの貫徹に向けて暴れ回っている。

そうなのだ、安倍を潰すには、辺野古を潰せばいい。辺野古を潰すには、県民の民意だ。7割での県民投票は、たしかに揶揄の元になる。しかし、7割住民の投票で7割が「反対」であれば、その結果は反対が7割という答えにもなる。不参加の賛否は、その当該市の議員の所属政党で案分するのだ。

 無論、参考票という扱いだが、メディアの見出しには使える。つまり、7割の県民での県民投票で、70%の反対票があれば、沖縄県民の70%が辺野古基地に反対しているとホワイトハウスに届く。不参加自治体の案分表示はメディア上目立つわけで、海外メディアにとって格好のネタだ。海外メディアが報道すれば、トランプの目に留まる。どうも、推理小説のようにして、安倍政権は追詰めないとならないようだ。しかし、それにしても岸信介という政治家は悪魔だね。悪魔の孫は小悪魔か?小悪魔ってのは可愛いすぎるな、悪魔の亡霊ってところだろう。


 ≪辺野古投票、不参加の市を提訴へ 市民ら「投票権侵害」
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設の賛否を問う県民投票(2月24日投開票)をめぐり、不参加を表明している5市の市民が16日、実施されなければそれぞれの市を相手取り、公務員の不法行為に対する国家賠償請求訴訟を起こすことを決めた。
 県政与党の県議や5市の市議らが協議して決定。投開票日以降の提訴に向けて、原告を募り始めた。市長が実施しないと表明しているのは沖縄、うるま、宜野湾、宮古島、石垣の5市。実施されなかった場合、投票権を侵害され精神的苦痛を与えられたなどと訴えるという。
 一方、県は16日、県民投票での選択肢を4択にするよう求めていたうるま市に対して、2択のまま変更しない考えを伝えた。投開票日についても「予定通り実施する」と回答した。(伊藤和行)  
≫(朝日新聞デジタル)


 ≪沖縄県民投票、3割投票できぬ恐れ 任意投票所の模索も
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画で、名護市辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票(2月14日告示、24日投開票)が混迷している。明確な県民の意思を示す機会だが、実施しない意向を表明する市長が相次ぎ、県内有権者の3割が投票できない事態に陥りかねない。告示まで1カ月を切る中、何が起こっているのか。
 「現段階では執行できない」。うるま市の島袋(しまぶく)俊夫市長は15日、県に対し、選択肢が賛否いずれかを選ぶ2択のままでは県民投票を実施できない、と文書で伝えた。これにより、市長が不参加の意向を示した沖縄、宜野湾、宮古島、石垣の各市と合わせて、計5市で実施されない可能性が高まっている。
 5市長が共通して挙げた理由は「市議会の判断の重さ」だ。いずれも保守系議員らが多数を占め、審議をやり直す再議にかけたが、関連予算が否決されたり、認められなかったりした。
  地方自治法はこうした場合でも「市長は経費を支出することができる」と定めている。だが、普天間飛行場がある宜野湾市の松川(まつがわ)正則市長は「今後の市政運営では市議会との信頼関係は不可欠。その意に反して実施はいたしかねる」と述べた。
 このほか「県民投票で移設反対が示されれば、普天間飛行場の固定化につながる」「知事選で移設反対が多数という民意は示されており、県民投票は予算の無駄遣いだ」などの理由も挙げられた。5市長は、いずれも辺野古移設を進める安倍政権に近く、玉城デニー知事と距離を置く立場だ。
 また、沖縄を地盤とし、弁護士資格も持つ自民の宮崎政久衆院議員=比例九州ブロック=が、地方議員との勉強会で配ったとされる文書の存在も明らかになった。各市長が挙げたものと同じような理由を列挙したほか、「議員としては、県民投票の不適切さを訴えて、予算案を否決することに全力を尽くすべきである」などと呼びかける内容だ。
 県幹部は5市長と個別に会い、投開票の事務は市町村の義務として、実施するよう要請。一部には地方自治法に基づく「勧告」もしているが、翻意した市長はいない。今後は同法で「必要な措置を講じなければならない」と定められた「是正の要求」をする方針だ。
 だが、これも強制力はない。5市長のうちの一人は「状況が変わらなければ、同じ回答をするしかない」と話す。(伊藤和行) 不参加は「法制度の悪用」
 県が、不参加を表明している市に参加を強制できないのは、地方分権が進められたことも要因の一つだ。
 県レベルの住民投票の前例である1996年の沖縄県民投票では、県と市町村は上下関係にあり、全市町村で実施された。だがその後の地方自治法の改正で、県と市町村は上下関係から対等な関係になった。地方分権に詳しい新藤宗幸・千葉大名誉教授(行政学)は「2000年前後の地方分権改革の時には、今回のような事態は想定していなかっただろう」と話す。
 ただ新藤さんは、県民投票の不参加は法制度の悪用だと指摘する。「地方自治法より上位規範である憲法は、国民の参政権を保障している。意思表示の機会を、首長や議会が奪うことは憲法上できない」  一方、憲法改正に関する国民投票では、市町村の投開票作業は「法定受託事務」と国民投票法に明記されている。総務省によると、自治体が参加しないことは考えられないという。(伊東聖) 危機感を強める県、意思固い5市長
 「私自身も沖縄市民なので投票できない。そんなことがあっていいのだろうかと日々思っている」。玉城氏は14日夜、記者団に複雑な心中を吐露した。
 5市長の不参加の意思は固く、県民投票の全県実施は極めて困難な状況だ。危機感を強めた県は、条例を改正して、投開票事務を代行することも検討した。しかし、5市の選挙管理委員会から有権者名簿の提出を受けられる保証はない。一部の市長が求める選択肢の見直しも「いったん譲歩し始めると、収拾がつかなくなる」(県政与党幹部)。
 その結果、条例を改正せず、予定通り実施する方針を決めた。市町村が投票の入場券の発注など本格的な準備に入る時期で、判断の先送りも難しかった。県民投票は9万筆以上の県民の署名をもとに決まっただけに、中止もあり得ない。
 玉城氏は「民意を示すことに大きな意義がある。全県実施をあきらめたわけではない」と強調する。これまで知事選などで何度民意を示しても、政権から無視されてきた経緯がある。
 一方、条例制定を直接請求した市民団体は15日、うるま市の島袋市長に再考を求めた。また市民団体や5市の市民からは、条例改正を求める意見も出始めているほか、公務員の不法行為に対して起こす国家賠償請求訴訟の動きもある。
 5市でせめて投票だけでもできるようにと、県政与党などが検討しているのが、有志による任意の投票所の設置だ。ただ正規の手続きではなく、結果は「参考値」にとどまる。
 有権者の3割が参加できない事態が現実となれば、「県民投票と呼べるのか」という批判も予想される。昨年9月の知事選で「誰一人取り残さない政治」を掲げた玉城氏の求心力が低下する可能性もあり、難しいかじ取りを迫られている。
 知事に近い県議は「投開票事務を拒否する首長の動きに対応できなかった県の調整不足は否めない。批判の矛先が知事や県政与党に向きかねない厳しい状況だ」と危機感を強める。
 安倍政権は「全力で埋め立てを進める」(菅義偉官房長官)として辺野古沿岸部での土砂投入を続けている。最初の区域では2割程度が土砂で埋まった。玉城氏は、県民投票で多数の反対票を得て、政府に辺野古移設の見直しを求めたい考えだったが、この戦略にも影響しかねない。(山下龍一)
 ≫(朝日新聞デジタル)



 ≪沖縄「基地の島」化、岸信介氏の思惑 外交文書に一端
 なぜ、沖縄に米軍基地が集中しているのか。1950年代、米国は本土に展開していた地上部隊を撤退させ、その一部を沖縄に移していく。現在の米軍基地固定化の「源流」ともいえる時代だ。当時の岸信介首相と米国の動きを、外交文書から読み解いた。
 岸氏は57年6月、就任後初めて訪米。訪米前、首脳会談に向けたマッカーサー駐日米大使との予備会談で「10年後の沖縄返還」を求めた。72年の沖縄返還の15年前だ。外務省が12月に公開した関連文書からは、岸氏が沖縄をめぐる問題をどう考えていたかの一端がうかがえる。
 訪米前、マッカーサー駐日米大使との会談に用意された資料には、沖縄返還への熱意が記されている。「米国が沖縄住民は本来の日本国民とは異なった特別の種族であるとみているならば、これは重大な誤り」
 首脳会談後、ニューヨークで開いた「言論機関」との懇談では、こう語った。
 「沖縄問題は日本本国における9千万の日本人の問題でもある」
 「両者は切り離すことの出来ない一体関係にある」
 一方、沖縄の米軍基地についてはこう語る。
 「日本国民の大多数は沖縄の戦略的重要性を十分認識している」
 米国が、沖縄を基地の島として使い続けることに積極的に同意することで、領土問題の解決につなげようとの意図がうかがえる。
 外務省も、首脳会談前にまとめた文書「沖縄問題に関する対米方針案」で、返還によって「沖縄住民も同胞として祖国の防衛の念に徹し、基地に積極的協力することが可能となる」と記していた。
 岸氏や外務省は、領土や安全保障の観点から沖縄をとらえていたが、その基地負担に言及した言葉は乏しかった。    
  ◇  
日米会談で、沖縄返還要求は明確に拒まれた。一方、成果とされたのが、日本本土に展開する米軍地上部隊の撤退合意だ。
 この時代、米軍は全国各地に駐留し、拡張計画や事件事故への反発を招いていた。57年1月には群馬県の演習場で、薬莢(やっきょう)を拾っていた女性を米兵が射殺する「ジラード事件」が発生。米側は反米感情の高まりを恐れていた。
 57年4月12日付「日米会談に対する米国政府の動向」には、米国務省職員が、ワシントンの日本大使館員に語った言葉が残されている。  
「在日米軍基地に関連して起こっている情勢が沖縄に生ずることは極力避けねばならない」
 沖縄でも53年に始まった「銃剣とブルドーザー」とよばれる土地接収に対し、「島ぐるみ」の抵抗運動がおこる。ただ、米国は経済的な締め付けも絡め、沈静化に成功しつつあった。
 58年、日本の本土から米軍地上部隊は大半が退く。米国は、本土から地上部隊を撤退させて反米感情を抑えると同時に、米軍統治下で制御可能な沖縄に、地上部隊の一部を移す道を選んだ。本土の反米感情を抑えることで、親米岸政権を安定化させる狙いもあった。
 琉球大講師の山本章子さん(日米関係史)は53~60年の米軍資料で部隊配置を調べてきた。米公文書では、富士山麓(さんろく)から沖縄への移駐などが記録され、海兵隊と陸軍の兵力数は56~60年で、本土は約3万5千人減、沖縄は9千人近くの増。その中で見つかっていなかったのが岸氏訪米後の本土から沖縄への移駐を、日本政府が認識していたかどうか。
 今回の公開文書には、米国務省職員が外務省に伝えた内容があった。
 「在日米軍のできる限りの撤収は原則として可能と思う。現在戦闘部隊は2分の1師団のみであるが、沖縄その他へ移駐が可能と思う」
 日本政府の返答は書かれていない。山本さんは「部隊撤退は、政権の安定に好都合な一方、米国の日本防衛義務がない旧安保条約下、本土防衛への不安をもたらした」と指摘。「米国にとっての沖縄は制約なしに基地が使える島だが、日本にとっても、本土防衛の空白を埋める存在に位置づけられていった」と言う。
 岸氏が訪米した57年。このころ沖縄では、辺野古集落の土地が接収され、米軍基地キャンプ・シュワブの建設が始まった。60年後。ここで「新たな基地建設」といわれる普天間飛行場の移設計画が進むことになる。(木村司) 野添文彬・沖縄国際大准教授(国際政治)の話
 今回公開された外交文書からは、軍事的ではなく、政治的な理由で、沖縄に米軍基地が集中していった過程の一端がわかる。岸首相にとって沖縄は、憲法改正のための一段階である領土返還の対象だった。その返還要求によって米国側は警戒感を強めた。返還によって、本土の反基地運動が沖縄にも波及し、沖縄の基地の自由使用が難しくなるかもしれないからだ。1957年の岸訪米は、結果として、沖縄への基地集中と固定化を進めることになった。
 一方、今日にもつながる日本政府の認識の限界や問題点も感じる。沖縄返還を要求しながら、本土から沖縄への米軍移駐を容認するという姿勢には、沖縄で基地負担を背負わされている住民の視点が欠けている。本土のために沖縄が基地負担を負わなければならないという不条理への地元の不満は当時も、今も続いている。
 ≫(朝日新聞デジタル)


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●鼻息荒い中国 狂い出した米国、その尻を舐める、あゝ日本

2019年01月16日 | 日記

 

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●鼻息荒い中国 狂い出した米国、その尻を舐める、あゝ日本


以下は、温厚なジャーナリスト・笠原敏彦氏の2019年の展望的コラムである。同氏は、敢えて我が国日本に触れないところがお利巧なのだが、当方のコラムでは、そうもいくまい(笑)。グローバリズムのバブル的ほころびが、各処に生じ、小さな風船は、既にいくつか破裂している。2019年は、中くらいの風船が幾つか破裂することは確実だ。

そして、2020年、安倍首相と小池百合子が晴れて“東京オリンピック・パラリンピック”の開会式で、どのような顔で望むのか、想像しただけでもおぞましい。いや、悲惨な顔で、望んでいる可能性も充分にある。千に一つくらいは、第32回東京オリンピックは再び幻のオリンピックになることもありそうな世界情勢だ。

個人的には、汚い金で「おもてなし」をしたのであれば、福島原発処理も「アン・アンダーコントロール」と云う状況なのだから、それはそれで、赤っ恥をかかずに済むと云う意味では、悪いことばかりではない。

現在の世界情勢の流れから考えると、中露韓が出場しないオリンピックなどという現実的悪夢までありそうだ。まぁ、このようなもの言いには、ニヒリズムな愉快犯的要素があるので、読み飛ばしていただいて結構だ。


さて、問題はここからだ。先進各国が、グローバリゼーションの潮流の中、累進課税、法人税の減税競争に突入し、相対的に、中間層の実質賃金を低下させ、戦後の自由主義経済で恩恵を受けていた多くの国民を、より底辺の所得住民に変貌させてきた。

市場原理主義とグローバリゼーションは、国境をなくし、資本利益の最大化を目指したわけだが、極めて自由すぎる競争原理なので、弱肉強食は節度なく進行し、階級闘争の様相を見せ始めた。


風変わりなドナルド・トランプが、本命と目されていたヒラリー・クリントンに勝利して、米国大統領になったという事実が、アメリカの変質を如実に表している。中間層の崩壊は、現状の社会システムの接続可能性へのコミットメントの必然性を失わせていた。

それに対して、そもそも米国の底辺で生活していた人々は、もうこれ以上生活が悪くならないなら、意味不明なナショナリズムに賭けてみようかと云うきぶんになったのだろう。彼らは、さして守るものが少ないので、面白い方が良いと云う心境なのだろう。


つまり、自由主義、民主主義を標榜して、覇権を握ったアメリカが、飼い犬に手を咬まれ、機能不全寸前に陥っている。

或る意味で、トランプ大統領は「反グローバル経済主義者」なのである。ただ、保護主義者と云うよりも、権威主義と云って良いのだろう。かなりの面で、彼はカーボーイを演じている。彼が商売人であることと、愉快犯的資質が複雑に交錯して、現在があると考えておいた方が良い。

考えぬ抜かれた独裁者ではないので、ターゲットが日替わりなので、米国にカーナビはなくった。それもこれも、資本利益の最大化を要求する金融資本の市場原理主義が米国から製造業を追い出したことに起因する。


それに対して、21世紀台頭著しいのが中国だ。グローバリゼーションの結果、中国は馬鹿にされながらも世界の製造業を引き受け、貧しさから、徐々に脱出し、後進国から、発展途上国になり、気がついてみたら、発展途上国と先進国の間にいながら、スケール的には大国的存在になってきた。

アメリカとの相対的比較において、中国は、アメリカと覇権を競う存在にまで登ってきている。まだ上り詰めたとは言えないが、成長度が落ちたとは謂えど、まだまだ成長を続けている。


こちらの国のリーダーは、無論、中国共産党の総書記である習近平で、任期なしと云うのだから、余程の革命でもない限り、「一帯一路」と云うビジョンは進捗してゆく。

アメリカは、傾きと混乱を招いているわけだから、徐々に、その差が縮まるとみるのが自然だ。

日米の識者は、中国の欠点を最大化し、長所を最小化する傾向があるので、彼らの言説は、多くは的外れだ。無論、彼らは世論に迎合的だから、日本人の忸怩たる気分を害さないような言説に努めるのである。


流石の安倍も、中国も詣でをしたわけだが、5%程度、親中の顔をしたまでで、経団連の票繋ぎくらいの気分だったのだろう。

つまり、95%の軸足はアメリカの上に乗っているわけだ。

それはそうだ、我が国のエリートの殆どが、米英の大学や博士課程、研究所で、親米の洗脳教育を受け、且つ諜報機関から緩やかに監視されているわけで、現在の地位を獲得し維持しているわけだから、口が曲がっても、筆者のような言説は言えないのである。


しかし、将来的見通しは、上述のように、米中の差が縮まってくるわけで、「中国では数年以内に革命が…」等と云うたわごとまで言い出すようでは、もう識者でもなんでもない。

そういう輩に限って、中国には一度も行ったことがないとか、香港に行ったなどと平気で嘯く輩が多い。

まぁ、今夜は遅くなったので、中途半端に締めくくるが、上記のようなアメリカに95%軸足を置いておかないと、政権が潰される日米関係というもの、抜け出す方策を、そろそろ、沈思黙考の範囲で、考えるべき時代が接近しつつある。近々、アメリカからの脱却方法など、鳩山政権を参考に論じてみたい。



≪米中が独裁的国家となった今、世界が歪み始めているという「現実」

世界の行方を占う二つのこと
笠原 敏彦  ジャーナリスト・長崎県立大学教授・元毎日新聞欧州総局長

 ■世界の行方を占う二つのこと
 2019年の始まりにあたり、やや出遅れた感はあるが、国際社会の「ゆく年くる年」を行ってみたい。
 昨年起きた出来事のうち、これからの世界の行方を占うために特筆したいのは次の二つである。
 ①グローバリゼーションのラッダイト運動(イギリス産業革命下の機械破壊運動)にも映るフランスでのマクロン大統領に対する抗議デモと、その結果としてのマクロン改革の挫折
 ②二大経済大国(アメリカと中国)がともに独裁(的)国家となり、世界のモラル・コンパス(道徳的羅針盤)が麻痺しかけているという現実
 それぞれのケースを考察する前に、まずは世界の潮流を押さえておきたい。 今、世界を見渡して認識を新たにせざるを得ないのは、「グローバリゼーション病」の症状悪化だ。
 カルテに記されるその症状は、格差拡大が導く「エリートVS大衆」の緊張関係と社会の様々なレベルでの分断(貧富、世代間、都市と地方など)、破壊行動に転化する怒りのポピュリズム、その不満を外に向ける排他的なナショナリズムの高揚、などである。
 これは14世紀の黒死病や20世紀初頭のスペイン風邪の流行にも似た、21世紀初頭の主権国家のパンデミック(世界的流行)なのではないかと思えてくる。
 そしてこれに追い打ちをかけているのが、IT(情報技術)やAI(人工知能)、ロボット技術の加速度的な進歩に伴う劇的な効率化という社会の激変だろう。
 来るべき大激流に飲み込まれず生き残ることは、多くの人々にとってこれまでのグローバリゼーション以上に困難となるかもしれない。
 制御することがますます困難になっているかに見える世界の在り方について、先に挙げた二つの出来事から考えてみたい。

■反マクロン運動が映し出す政治の危機的現状
 フランスで昨年11月以降、波状的に激化した反マクロン政権デモはグローバル化時代の国家運営の難しさを分かりやすく映し出した。
 それは、グローバルな市場経済で国家が生き残ることを最優先する政治的エリートの「論理」と、グローバル経済の恩恵から見放され、将来になんら期待の持てなくなった大衆の「怒り」が、真っ向からぶつかり合う姿である。
 マクロン大統領は、フランス経済の競争力を高めるため、財政規律を重視(緊縮財政)し、高額所得者への富裕税の廃止や法人税減税で投資を呼び込むインセンティブ(誘因)を設け、企業活動優先の労働市場改革(従業員のクビを切りやすくする)などを急ピッチで進めた。
 これは、弱肉強食の市場経済を勝ち抜くための教科書的な処方箋なのだろう。 :分かりやすいのは、各国による法人税率の引き下げ合戦だ。
 「race to bottom(底辺への競争)」と形容されるこの競争は、自らの首を絞めると分かっていても、やらなければ企業の誘致合戦で負けてしまうという市場経済の宿痾だ。
 言うまでもなく、格差拡大の根源的な問題は、仮にこうした改革がGDP的成長を呼び込んだとしても、その配当が庶民大衆層まで行き渡らないという経済社会的に不平等な構造にある。
 そして、反マクロン運動の呼び水になったのは、温暖化対策のための燃料税引き上げだった。収入が上がらない一方で生活コストの上昇に苦しむ労働者層、低所得層の不満を爆発させたのである。
 温暖化対策という公共善を追求するマクロン大統領には、燃料税の引き上げが庶民大衆に及ぼす影響への想像力が働かなかったのだろう。
 その結果は、「黄色いベスト運動」として知られるデモの全国的な拡大と、それを受けた燃料税増税の中止やボーナス・残業収入への非課税措置導入というマクロン改革の挫折である。
 反政権デモが一部暴徒化する中での劇的な政策転換は、マクロン大統領のポピュリズムへの転落にも見えた。 フランスは革命の国だ。そのフランスで主要政党に背を向けた大衆行動が政府をねじ伏せた動きは、政治がより市民に近づく兆候なのだろうか。

 ■エリート層と大衆で世界が異なる
それでは、フランスでの出来事からいかなる教訓が見いだせるのだろう。
 筆者がまず指摘したいのは、エリート層と大衆では世界の現状が異なるプリズムを通して見えているということである。
 エリート層にとってグローバル経済の深化は正しい方向性であり、そうしたプリズムを通して政策が判断される。一方、大衆のプリズムを通して見える姿は破壊衝動さえもよおさせる忌むべき世界ではないかということだ。
 フランス人にとって、マクロン以前の政府は英米的なグローバリゼーションの荒波から国民を守ってくれる存在でもあった。グローバリゼーションに抗う現在の潮流は、産業革命が進んでいた19世紀初頭のイギリスで失業や地域コミュニティの喪失を恐れた大衆が機械を破壊したラッダイト運動との類似性でも語られる。
 実態はともあれ、イギリスの欧州連合(EU)離脱決定とアメリカでトランプ大統領を誕生させた大衆の心情に通じるものだろう。
 そして、こうした反エスタブリシュメントの運動を駆動させたのは、「正解は我々が知っている」というエリートの驕りであり、国民への丁寧な説明を欠いた政治指導者の怠慢である。
 マクロン大統領はそうしたエリートの典型に見える。 :マクロン大統領は国内の支持率が20%台であるにも関わらず、フランスだけでなく、加盟国の十分な支持がないままにユーロ圏共通予算や欧州軍創設などのEU改革を推し進めようとしてきた。
 こうした姿勢は果たして、民主主義の手続きとして正当なのだろうか。 :欧州統合プロジェクトが行き詰まった原因の一つが、理想の実現を急ぎ過ぎたエリートの驕りにあることは明らかだ。
 主権国家など時代遅れ、と言わんばかりの驕りである。
 イギリスのEU離脱問題で言うなら、歴代政治家はEU加盟には大きなメリットがあるにも関わらず、国民にそうした面は強調せず、何か問題が起こるとEUのせいにする傾向があった。
 そうした中でイギリス国民のEUに対するイメージ、認識が培われ、離脱という衝撃的な結果を導く土壌が形作られていたという面は否定できない。
 現在、グローバリゼーションをめぐっても同じような事態が進んでいるのではないだろうか。
 グローバリゼーションにも多くのメリットがあるはずだ。しかし、ポピュリズム的なネガティブな解釈ばかりが増殖し、バランスを欠いた認識が拡散してはいまいか。
 時代は「反グローバリゼーション」から「脱グローバリゼーション」に向かおうとしているように見える。
 各国の政治指導者らが国民への丁寧な説明、啓蒙を怠り、大衆の不満への想像力を欠けば、グローバリゼーションのラッダイト運動は今後ますますエスカレートしていくことだろう。

 ■世界のモラル・コンパスの麻痺
次は、二大経済大国がともに独裁(的)国家となってしまったという驚くべき世界の暗転についてである。
 今年の国際社会最大の関心事は何と言っても米中貿易戦争の行方だろう。
 3月は米中貿易問題での90日間協議の期限(1日)と、イギリスのEU離脱(29日)が重なる。世界経済にとってのダブルリスクの現状を見れば、国際社会は立て続けにロシアン・ルーレットを引かされることになるかもしれない。
 そのことはさておき、筆者は、現在の世界の混迷の一因はアメリカの政治制度にあると考えている。
 アメリカは厳格な三権分立制度を持ち、チェック・アンド・バランスが機能することを想定した国である。だが、時代の変化に合わせて憲法解釈の変更が進み、外交・安全保障・貿易などでは大統領権限が強化されてきた。
 例えば、宣戦布告の権限は憲法の規定では議会にあるが、実際の運用では大統領が握るようになった。合衆国憲法が制定された18世紀の国際情勢とは異なり、戦争のスピード感が劇的に増したことに伴うものである。
 指摘したいのは、アメリカ建国の歴史的「正しさ」が想定していない規格外の人物が大統領になれば、アメリカは対外的には独裁国家と成り得るということである。
 世界最強の超大国の政治制度こそが、トランプ政権下の国際社会の混乱を生み出している根源なのである。
 トランプ大統領のアメリカはモラル・コンパスを失い(捨て)、中国通信機器大手「ファーウェイ」副会長、孟晩舟氏のカナダでの拘束をめぐっては、中国から「人権」問題だとして非難される国になってしまった。
 価値観が錯綜する世界を象徴する事態だろう。
 外交面では昨年5月、トランプ政権がエルサレムをイスラエルの首都と認定し、大使館を移転したことが特筆される。
 トランプ大統領は、自らの一大支持基盤であり、聖書を通してイスラエルの立場を支持するキリスト教福音派を喜ばせるため、決めたのだという。
 だから、国連決議違反だと反発する幅広い国際社会とアメリカの対立は「国際法と聖書の戦い」とも形容された。 アメリカ国内に目を転じれば、昨秋、性暴力疑惑で告発された人物(ブレット・キャバノー氏)がトランプ大統領の指名を受けて議会で最高裁判事に承認されたことが、道徳的羅針盤の麻痺を端的に物語る。
 アメリカは、日本を含む多くの国が期待するような、世界の安定装置でなくなってしまったのだ。
 道徳的にも突っ込みどころ満載となってしまったアメリカ。そのアメリカを頂点とする世界が歪まないはずはないのである。
 日本が昨年12月末に国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を決めたことも、アメリカが関与を弱めた世界の緩みと無縁ではないだろう。
 今年、世界はどこまで無秩序化へ突き進むのか。不安である。
 ≫(現代ビジネス:国際・世界の行方を占う二つのこと(笠原敏彦))


アメリカに潰された政治家たち
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小学館

 

米中衝突-危機の日米同盟と朝鮮半島 (中公新書ラクレ)
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中央公論新社

 

米中もし戦わば
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文藝春秋
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●倒錯政権倒すべし! “社会の為の経済”が“経済の為の社会”に

2019年01月15日 | 日記

 

習近平と米中衝突―「中華帝国」2021年の野望 (NHK出版新書 568)
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NHK出版

 

自衛隊の弱点: 9条を変えても、この国は守れない (単行本)
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集英社インターナショナル

 

丹羽宇一郎 習近平の大問題: 不毛な議論は終わった。
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東洋経済新報社


●倒錯政権倒すべし! “社会の為の経済”が“経済の為の社会”に


適菜収が、日刊ゲンダイ「それでもバカとは戦え」シリーズで、“「平成」の改革バカ騒ぎが行き着いた“安倍政権”という悪夢”と云うコラムの中で、良いことを言っている。

ニーチェらしい言葉であり、適菜収がニーチェ的なのも理解出来る。ついでに、ハイデガーも取りあげて貰えると嬉しいのだが。

≪ ニーチェは、現代は「排泄する力をもはやもたない一つの社会」(「権力への意志」)だと言った。排泄物をため込めば、今のようなクソまみれの社会になる。国家の解体はすでに最終段階に入った。平成の30年にわたる「改革」のバカ騒ぎが安倍政権という悪夢に行き着いたのだとしたら、たとえ手遅れであったとしても、事なかれ主義と「大人の態度」を投げ捨て、バカとは戦わなければならない。これは人間の尊厳に対する義務なのだ。 ≫(日刊ゲンダイ引用)

今年、今上天皇が譲位し、新たな年号が始まる。

しかし、折角、新たな気持ちになろうと云うのに、安倍首相が4月1日に、みずから新年号を発表すると言い出した。アゝそうか、安倍も辞めるのかと思ったら辞めないのか……。

ライバルだった今上天皇の退位に合わせて日本の政治シーンから消えてくれれば大助かりだったが、そういうことではないようだ。

安倍政治と云うものは、悪い経済統計を、良い経済統計と言い。

政権の意のままに動かせる金を注入して株価を買い支え、株が上がっていると言う。

法人税の大減税で、大企業利益は4倍近くに膨れ上がり、企業(金融・保険業を除く全産業)の「内部留保」が446兆4844億円と、おんぼ日傘のような保育器の中で、日本の大企業を潤わせている。

これらの多くの企業は、本来の自由競争をさせた場合、既に退場しているような企業群が目立つ。

つまり、安倍政治とは、アベコベなことをして、辻褄を合わせるものだから、時間経過を通じて、政治の嘘が次々と発覚する。

そして、いよいよ2019年、新自由主義経済の行止まりと、グローバリズム経済の限界が露呈する。

米中貿易戦争だけに注目が集まるが、日米FTA交渉の中で、為替操作問題は必ず持ちだされ、アベクロ財政ファイナンス疑惑を、米国に強く指摘されるのは確実だ。

トヨタ・ホンダなど自動車メーカーの利益の殆どが消えるような事態も想定できる。

日経225の筆頭株主になっている、実質黒田日銀は日銀本体に不良債権を抱え込む事態も想定できる。

英国のEU離脱(Brexit)問題も佳境に入っている。

英議会での承認が残されており、予断を許さない状況だが、再び国民投票と云うもの現実的ではない。

この問題は、根が深く、イタリアの財政状況も問題化し始めており、EU全体を崩壊の方向に揺さぶるリスクをはらんでいる。

シリア、イラン問題も小康状態だが、いつ火を吹くか判らない状況だ。

このような世界情勢の中、外交の安倍だとNHKや日経新聞が囃し立てている。

結果、よく外国に行くから、外交をしているように見せてる感だが、米国からは、不要な武器を買わされ、FTA交渉で自動車に目を瞑ってくれと懇願しているようだが、為替と云う俎上に乗せられアウトというのが、専らの噂だ。

プーチンとのトップ会談も、上手くいっている感の演出に苦慮しているが、日米安保・日米地位協定の枠組みから、プーチンの首を縦に振らせるのは無理だろう。

つまり、主権付き二島返還はアウトで、二島ロシア主権で二島帰属返還と云う奇妙な返還協定になりそうな按配だ。

中国との関係は、留保状態と言って良いだろう。

当面、保護貿易みたいな自由貿易論者のトランプ大統領が双方にとって敵と云うことで、休戦状態なだけで、いつでも対立する素地は、日本側に多くある。

お隣韓国との関係は、もう一触触発状態だ。互いのヒートアップひとつでは、国交断絶と云う選択しまで話題に上る。

北朝鮮とは、北の外交官とさえ話せない状況で、こちらも完全アウトである。

これだけ証拠が揃っても、NHKは「外交の安倍」と言い続ける。こういうバカと、我々は戦うのをあきらめてはいけないのだ。

安倍政治と云うものは、経済もアウト、外交もアウト。

挙句に嘘のつき放題、広告用語に騙されてはいけない。

海外メディアに目を通そう。見出しだけでも目を通そう。

国内メディアの報じる話が、まるで逆さまな事実として報道されることが多い。

そう云う意味では、ネットは大いに役立つ。ニュースサイト10社くらい登録、見出しくらいなら中学生英語で充分訳せる。

ただ最後になるが、安倍政治と云うあだ花は、時代の終焉にふさわしいとも言える。

アメリカ追随に大きく貢献した、吉田茂と岸信介の孫二人(麻生・安倍)が、社会の為の政治経済を逆さまにして、政治経済の為の社会をつくろうと試みているのだから、壊れる時の両巨頭は、安倍首相と麻生財務大臣でピッタリともいえる。


原発ゼロ、やればできる
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太田出版

 

フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器 (角川新書)
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KADOKAWA

 

はじめよう、お金の地産地消――地域の課題を「お金と人のエコシステム」で解決する
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英治出版
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●国際情勢混迷 だからって、日本が存在感を示すチャンス!?

2019年01月14日 | 日記

 

日本の深層 縄文・蝦夷文化を探る (集英社文庫)
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集英社

 

葬られた王朝―古代出雲の謎を解く (新潮文庫)
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新潮社

 

隠された十字架―法隆寺論 (新潮文庫)
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新潮社


●国際情勢混迷 だからって、日本が存在感を示すチャンス!?


現代ビジネスの国際ジャンルに載っていた篠田英朗東京外国語大学教授の「米中新冷戦、対テロ戦争…国際情勢がこれだけ複雑を極めるのはなぜか 今、日本の存在感が試されている」と云うコラムを目にした。

特に「日本の存在感が試されている」と奇妙な結論に達している点が気がかりで通読した。

同氏の国際情勢全般への目は曇っていなかったが、突如、きり絵でも貼りつけたように、見解が真っ暗になっていた。彼のコラムの最後の力説部を拾うと以下の如くだ。


≪2019年の先行きは不透明だ。 はっきりしているのは、自由主義の勝利とも謳われた冷戦終焉の余韻は今や消滅してしまっており、世界各地で生じている力の空白、および価値観の空白が、複雑な国際情勢を形成しているということだ。 この状況の中で、日本はどのように立ち位置を決め、針路を見定めていくべきか。いくつもの選択肢がある。多様な議論があっていいだろう。≫

ここまでの考えも至って常識的だ。しかし、これ以降が奇妙だ。書き手がケント・ギルバートにチェンジしたような結論だ。


≪だがやはり今こそ日本は、自由主義的価値観にもとづく国際社会の秩序を支えることによって、積極的に進むべき方向を見出していくべきではないか。 100年前の1919年、第一次世界大戦の戦勝国として講和会議に参加していた日本は、人種平等条項の挿入を提案し、否決され、米英主導の国際秩序に反感を抱いた。そして国際法を軽視し、孤立し、破綻の道を歩んでいった。 2019年、日本は、同じ道を歩むことはできない。 国際秩序が動揺しているときだからこそ、日本がその存在意義を国際社会に広く印象付ける好機があるかもしれない。今、日本の存在感が試されている。≫

と書かれている。


問題は、書いた餅に終わらないために、日本が世界に存在感を示せる方策が、どこにも書いてない。

≪印象づける好機≫と書いているので、実態は伴わなくて良いから、パフォーマンスを頑張ろう、と言っているのかもしれないが、火事場泥棒を奨励しているに過ぎない。

結局、夢の結論だけを披露しているが、どのようにしてが、完璧に抜け落ちている。同氏が本気で、今のわが国が国際的発言力を所持しうる立場かどうかご存じないのだろうか。

アメリカと経済界と岩盤ネトウヨ支持母体の3通りの勢力へのご奉仕で目一杯の安倍内閣に、どのように存在感を示せと言うのか、夢想主義者かと戸惑ってしまう。こんなのが、失礼だが大学の教授なのか、声も出ない。


 安倍政権には「存在感」を世界に示せる実力は皆無だが、「喪失感」を世界に開陳することは、間違いなく出来る。

・人口減少が加速度的に起きている
・米国の命令なら国民の意志を足蹴にする強固な統治能力がある(日米地位協定)
・第三?第四?「開国」を実行移民政策に舵を切った
・原発依存(再稼働)を促進、輸出は大失敗
・低所得者課税強化、消費税10%(年内)
・相対的貧困、子供の貧困も自慢の種だ
・累進課税減税と法人税減税
・カジノ解禁、賭博王国をめざす
・種子法も廃止したので、モンサント・ノープレブレム
・水道の民営化法整備実現で、日本のインフラを国際市場に提供している
・今後、日中の賃金が逆転するまでに至っている
・実質賃金は確実に低下し、年収300万以下が普通になった
・社会保障費の削減と負担増 ・アベノミクスは国民すべてが誤りと理解した
・米国からの武器輸入リボ払いで永遠の借金
・etc

ざっと国際的に比較できる事項を書きだしたが、こんな国が、混迷する現在の国際情勢に口を出すチャンスが、どこにあると云うのか?貧困だからとか、後進国だからとか、独裁国家だからとか、そういう基準ではなく、自主的な意思決定能力のない国だと云う自覚がなければ、このような結論をコラムの最後に書く筈もない。

同氏が意図的に、このようなオベンチャラを書いたのだとすれば、安倍政権擁護学者なのだろう。

或いは、本気で国際的に自主的言動のとれる国と誤解しているらしい。

多分そう云う人のことを「●鹿」という。

まぁ、コラムの始めの方で
≪今、日本が、弱体化している自由主義的な国際秩序の維持・強化にあらためて貢献できるかが、問われている。2018年にも問われたし、2019年においても問われ続けるだろう。≫
とまで書くのだから、米英プロパガンダのお先棒担ぎなのだろう。


安倍政権の外交成果とは何なのか?

プーチンに手玉に取られることか?

トランプに金のクラブを送りに行き、中古のような武器を買いに行ったことか?集団的自衛権行使で米軍所属にしたことか?制裁関税課せられに訪米を繰り返しバンカーに落ちることか?

あの陰謀国家イスラエルと準同盟国になったことか?

親日イランを敵に回すつもりか?

韓国とは敵愾心剥き出しになり、北朝鮮とは電話外交も出来ないのだが?

たしかに、外遊した国々に、大きな手土産を配ったようだが、”金の生る木論”は、日本外交のお家芸だが、存在感とはかけ離れた印象だ。



 ≪米中新冷戦、対テロ戦争…国際情勢がこれだけ複雑を極めるのはなぜか
今、日本の存在感が試されている

■あれから100年
:2018年は、第一次世界大戦が終わってから100年目の年だった。2019年は、ベルサイユ条約が結ばれ、国際連盟が設立されてから、100年目にあたる年だ。
:100年前と比べて、今日の世界は、自由主義的な価値観にもとづいて、大きく刷新されている。自由主義を基調とした国際秩序の刷新が、1919年から開始されたことには、異論がないだろう。
:国際連盟の設立を主導したウッドロー・ウィルソン米国大統領の強烈な個性は、ウィルソン主義(Wilsonianism)という言葉で記憶されている。
:ウィルソン主義は、冷戦を終結させた30年前の1989年の東欧革命の際にも、よく思い出された。なぜなら冷戦の終焉は、自由主義の勝利として理解されたからだ。
:実際、1990年代以降の世界においては、自由主義的価値観を基盤としたアメリカが主導する国際秩序の強化が、大きな潮流となった。ウィルソン主義が、世界を席巻していると考えられた。
:今日、そのような時代の流れは、過去の歴史の一コマとなっている。
:2018年は、自由主義を基盤とする国際秩序が、停滞し、退潮していることが、さらにいっそう明確になった年であった。
:かつて日本は、アメリカ主導の国際秩序に反旗を翻した。そして第二次世界大戦にアメリカを引きずりこむことによって、大きな歴史の流れを作った。戦後、日本は自由主義的価値観を標榜し、アメリカの同盟国となることによって、国際秩序の安定化に寄与した。
:今、日本が、弱体化している自由主義的な国際秩序の維持・強化にあらためて貢献できるかが、問われている。2018年にも問われたし、2019年においても問われ続けるだろう。

■米中新冷戦の時代
:現代の国際政治の仕組みを大きく決定しているのが、超大国・中国の勢力拡大と、それに伴う米中の間のせめぎあいである。
:中国は、自由貿易の原則を吹聴する世界第2位のGDPを誇る経済大国となった。しかし、人権の分野では、必ずしも自由主義的価値観を標榜する国となっているとは言えない。
:それどころか権威主義的体制を維持したまま超大国化した中国の存在は、世界の数多くの権威主義体制に、勢いを与えている。
:人権擁護や民主化などの条件を付して行われていた自由主義諸国が主導していた国際的な援助体制は、巨大ドナーとしての中国の台頭によって、大きな挑戦を受けることになった。
:権威主義体制をとる国は、もはや援助のために自由主義的価値観を受け入れる必要がない。中国の経済発展を見習い、中国の支援を期待して、国家運営をしていけばよいからである。
:2018年は、各地で中国の「一帯一路」攻勢の影響が語られた年だった。
:スリランカやモルディブでは、国内政争が、親中派と非親中派の対立の構造そのままで展開した。パキスタンからシエラレオネ、そしてベネズエラに至る広範な地域の諸国で、中国からの巨額の援助を受け入れるべきかどうかで大きな政策論争が起こった。
:これに対抗する米・日・豪を中心とする諸国が推進する「インド太平洋戦略」の考え方は、2018年を通じて着実に定着していった。欧州諸国がトランプ政権に対する警戒心を強める中、安倍首相が主導する日本外交は、「インド太平洋戦略」の強化に貢献している。
:現在、日本と中国の二国間関係には改善が顕著に見られるが、中国側の戦略的計算によるところが大きい。大きな流れは、米中の両超大国間の緊張関係の高まりである。
:米中貿易戦争とも呼ばれる関税政策の応酬が続く中、2018年10月4日に、マイク・ペンス米国副大統領が、中国をアメリカに介入する危険な国と非難する講演を、ハドソン研究所で行った。
:この講演は、冷戦勃発を象徴したチャーチルの「鉄のカーテン」演説に匹敵する、米中新冷戦の時代の到来を象徴するものだと評されるものとなった。
:2018年6月にシンガポールで開催されたトランプ大統領と金正恩・北朝鮮最高指導者の会談は、その中身の薄さにかかわらず、歴史的な事件ではあった。だが全ての計算は、米中という二つの超大国間の緊張関係を背景にして成り立っていた。
:経済制裁に苦しんでいた北朝鮮の金正恩が米朝会談前に行ったのは、北京に赴いて習近平・国家主席と会うことであった。
:北朝鮮は、中国への伝統的な忠誠心を思い出すことによって初めて、アメリカとの間の対等な関係にもとづく交渉に入ることができた。
:逆にアメリカは、米朝会談後に、思い通りには動かない北朝鮮を見て、中国への苛立ちを募らせた。
:2018年を通じて北朝鮮との関係改善に邁進し続けた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、在韓米軍撤退の可能性をほのめかしているトランプ大統領のアメリカとの関係すらも微妙なものにしてしまっている。
:加えて、日本と韓国の関係悪化も放置し続けている。韓国は、朝鮮半島統一への夢を強く追い求めていると評されることもあるが、米中新冷戦の時代にあって、米中の間で中間的な立ち位置を追い求めている。
:その立ち位置の自己認識が、韓国の現在の外交姿勢に影を落としている。

■東南アジアでは何が起きたか
:ミャンマーのロヒンギャ問題は、解決策の見えない袋小路に陥ったままだ。その背景にあるのは、ミャンマー政府の後ろ盾としての中国の巨大な存在だ。
:その他の東南アジア諸国で発生した国内的紛争や政治的係争事件をめぐっても、強権的な手法による解決が追求されてきている。
:フィリピンのドゥテルテ大統領は、2018年3月、国際刑事裁判所(ICC)からの脱退を表明した。麻薬犯罪容疑者の超法規的殺害をめぐり、ICCが予備調査の開始を決定したことを不服とした措置であった。いわゆる西側諸国はドゥテルテ大統領を批判的に見るが、フィリピンはチャイナ・カードを巧みに利用した外交術も駆使して、基盤を固めている。
:ロヒンギャ問題に対して国連PKOが展開することはないのか、といった論調を見かけることもあった。しかし、よほどの急展開がなければ、起こりえない。
:過去に日本の自衛隊も施設部隊を派遣したカンボジアや東ティモールでの国連PKOは、極めて稀な例外的な国連PKOのアジアでの事例だった。
:カンボジアのPKOは冷戦期の代理戦争の終結に伴う処理であったし、東ティモールの事例は脱植民地化の処理であった。そもそもオーストラリア軍に依存した東ティモールへの国際的な介入は、ソロモン諸島などのオセアニアにおけるPKOのパターンに属するものであった。
:なぜアジアでは国連PKOが展開しないのかと言えば、中国の意向を踏まえることなく、国連安全保障理事会がアジアでの介入行動に踏み出すことが、実態として不可能だからだ。
:2018年末、ついに中国が国連本体への拠出金額で2019年から日本を抜いて2位に躍り出ることが決まった。PKOへの拠出金ではすでに2位になっていた。2018年末の段階で、中国の国連PKOへの要員提供数は2,500人規模で、193の加盟国中10位である。常任理事国としては圧倒的な貢献である。
:中国は、国際機構を通じた多国間外交を軽視していない。むしろアメリカのほうが国際機構への警戒心が強い。ただし、価値観としての自由主義を国際秩序の原則とするか否かという問題は、それとはまた別の次元において存在し、米中対立の構造を性格づけている。

■対テロ戦争の行方
:2018年末、アメリカのマティス国防長官が退任した。背景にあったのは、トランプ大統領との政策的姿勢をめぐる確執であった。
:マティスは、2001年9.11以来のアメリカの「対テロ戦争」の中で、職業軍人としての華々しい経歴を持つようになった人物である。
:共に戦ってきたNATO同盟諸国との関係を重視するマティスは、シリアやアフガニスタンからのアメリカの撤収・兵力削減にも反対していたという。 もちろんトランプ大統領も、国防の重要性を掲げている。イランに敵対的であり、テロ対策では強硬路線を標榜している。
:しかし「対テロ戦争」を半ば文明論的に捉える傾向があるマティスに対して、トランプ大統領はもっと実利的だ。大統領は、アメリカ本土の安全を最優先しつつ、効率的に安全保障政策を遂行することが合理的だと確信しているようだ。
:トランプ大統領の下で、「対テロ戦争」を勝ち抜こうとするアメリカの立場は、大きく修正された。もはやアメリカは、終わりなき戦争の勝利を求めているわけではないように見える。現状維持へと目標を下方修正したうえで、「対テロ戦争」を継続していくようだ。
:シリアの戦争は、アサド政権の事実上の勝利で収束しているが、まだ終わったわけではない。2018年9月、危惧された反アサド政権勢力の最後の砦であるイドリブへの総攻撃が、ロシアとトルコの間の合意によって回避された。アメリカ不在を前提にして、シリア情勢が管理されていく既定路線は、すでに固まっていた。
:「アラブの春」以降の中東の騒乱の中でも、2018年のイエメン情勢は、最も深刻な部類に入るものだった。国連によれば、約1600万人が食料危機に陥っているという。
:「対テロ戦争」の副次的効果として激化したスンニ派とシーア派の対立構造の中で、サウジアラビアとイランの代理戦争が果てしなく繰り広げられている。 :2018年に紛争が激化し、人道的惨禍が深刻に広がったのは、アフガニスタンだ。
:延々と戦争が続くアフガニスタンだが、9.11後のアメリカによる攻撃が行われた2001年以降、タリバン勢力がここまで勢力を回復させ、国土の半分を掌握するに至るようなことはなかった。
:アフガニスタンでは2018年だけで4万人が戦争によって死亡したとされるが、これも2001年以降で最悪だった。結局、2017年の米軍増派も目に見えた効果はなく、ただ戦争の激化という結果に終わった。
:こうした状況で2019年に実施される予定の大規模な米軍の撤収は、果たしてアフガニスタンに何をもたらすのか。「対テロ戦争」の帰趨にとって、大きな意味を持つ問いとなる。
:アフリカでは、ソマリアから中央アフリカ共和国やマリをへてナイジェリアと続く、サヘル地域を中心とする一帯が、2018年を通じて相変わらず不安定だった。
:アル・シャバブ、ボコ・ハラム、マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)といったイスラム過激派勢力の動きは、続いた。それに加えて、南スーダンやカメルーンなどで、激しい地域紛争が継続・悪化・勃発した。

■日本の針路
:国際政治の国家間闘争の視点からは、2018年は米中間の確執が顕在化した年であった。また2018年は、「対テロ戦争」の構図は、さらに混迷を深めていった年でもあった。
:2019年の先行きは不透明だ。
:はっきりしているのは、自由主義の勝利とも謳われた冷戦終焉の余韻は今や消滅してしまっており、世界各地で生じている力の空白、および価値観の空白が、複雑な国際情勢を形成しているということだ。
:この状況の中で、日本はどのように立ち位置を決め、針路を見定めていくべきか。いくつもの選択肢がある。多様な議論があっていいだろう。
:だがやはり今こそ日本は、自由主義的価値観にもとづく国際社会の秩序を支えることによって、積極的に進むべき方向を見出していくべきではないか。
:100年前の1919年、第一次世界大戦の戦勝国として講和会議に参加していた日本は、人種平等条項の挿入を提案し、否決され、米英主導の国際秩序に反感を抱いた。そして国際法を軽視し、孤立し、破綻の道を歩んでいった。
:2019年、日本は、同じ道を歩むことはできない。 :国際秩序が動揺しているときだからこそ、日本がその存在意義を国際社会に広く印象付ける好機があるかもしれない。今、日本の存在感が試されている。  ≫(現代ビジネス:国際・篠田 英朗・今、日本の存在感が試されている)


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