世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●隷属と云うぬるま湯 米国よりも早く沈むわらい話

2019年05月28日 | 報道

●隷属と云うぬるま湯 米国よりも早く沈むわらい話

此処ここに至って、今さら、日本の経済を好転換するとか、更なる経済成長を目指すとか、そのような言辞に政治が明け暮れているようでは、根本的に自国の問題を捉えていない、いわば、為にするキャッチコピー政治なのである。


最近、コラムの執筆が途絶え気味なのは、激動の世界情勢から隔離された自民安倍のファンタジー政治が、善かれ悪しかれ、何の意味もない政治だと判っていながら、その政治に“NO”を突きつけない主権者が多数を占めていると現実を知った所為かもしれない。



安倍晋三が、どれほどの悪政を行おうと、或いは、善政に気づいたとしても、現在の日本の構造的根本問題に与える影響は軽微と見ている。そう思うと、今さら、安倍の悪口を書いても、徒労だと気づいたからである。



やはり、日本が変わるには、誰が何と言おうと、対米従属な濃密な不貞関係を清算しない限り、永遠に意味のない政治は繰り返されるだろう。



令和に入り、初の国賓として、日本のメディア界が大フィーバーして歓迎している米国大統領ドナルド・トランプ報道だ。共同声明も何もなく、ただ、宗主国の大統領が、支配国の象徴天皇に会いに来た、それだけのことに、あんな馬鹿げた警備を敷いたのである。



無論、第二次大戦の敗戦国から立ち直る方法として、米国追随は、歴史的に必然だった面が大きいのは事実だ。



東西冷戦という世界的構図においても、西側の一員として、対米従属には“理と利”があったと言えるだろう。



しかし、東西冷戦の崩壊と云うターニングポイントにおいて、日本では、東西冷戦の崩壊後の世界秩序などについて、本気で議論された痕跡が見られない。



つまり、東西冷戦時に出来上がった、日本国中に“隷米マインド”が充満していて、対米独立など、意味のない議論だと思い込まれてきたわけである。



しかし、世界全体を見まわしたとき、英国を含むEU諸国、ロシア、中国、アフリカ、中東、南米諸国では、米国追随に関して多くの議論が交わされていた。



韓国、北朝鮮、ASEAN諸国においても、対米関係に関して、それなりの議論がなされた。



しかし、唯一、日本と云う国だけは、対米関係の距離感など考える余地もなく追随した歴史的経緯がある。



政界も、官界、経済界も、国民の末端に至るまで、パックスアメリカが永遠と云う幻想の中で思考停止していた。



当然だが、そのような思考停止の中で、ポジションの獲得競争がなされていたわけだから、日本と云う国は、時間を追うごとに、病的なまでに“親米国家”の道まっしぐらになったわけである。



そんな中でも、対米従属関係に抵抗した政治家はいる。石橋湛山、鳩山一郎、田中角栄、鳩山由紀夫等々だが、田中角栄を除けば、明確な政治的足跡を残すことは出来なかった。



今の日本は、対米従属の中でのポジション争いが行われ、その勝者が、支配層に、然るべくポジションを得ているので、対米自立を目標にしても、何ひとつ得るものがない世界が出来上がっている。



つまり、政治における環境が、岩盤に近い強靭さがあるため、だれ一人、手も足も出せない状況になっている。



このような状況では、“嫌米主義”の筆者といえども、手も足も出せないのが現実だ。



おそらく、お利巧な国民の多くは、“嫌米”な態度を取ること自体、自分や自分の家族にマイナスな影響が及ぶと考え、仮にそのような気持ちがあっても、押しとどめているのだろう。



このような状態になると、自力で、対米従属な日本の状況を変えることは不可能になってしまう。



どこかの国が、米国を滅ぼしてくれるか、連邦制が崩れて米国が消滅するか、米国にだけ隕石が落ちるなど、SFな想像の世界で愉しむしかなくなることになる。



我が国の三権が、対米従属を続け、重要な自己決定権を失っている限り、国民が、疑似主権者として、疑似的主権を行使しても、国の仕組みが変わらないことを自覚している国家では、選挙にどれ程の意味があるのか、甚だ疑問だ。



このように考えていくと、正直、身もふたもないのだが、本気で、自分の国を考えれば考えるほど、対米従属、隷属が、国を腐らせていると思わざるを得ないのだ。



無論、対米従属によって70点や80点と云う合格点を貰える世界情勢であれば、それも良いだろう。しかし、今後の対米従属・隷属はリスキーなものであり、30点、40点と落第点を取る可能性が濃厚になっているのだから、思考停止の呪縛から解き放たれて貰いたいものだが……。

コメント

●否応なく近づくファシズム 政治が機能しない恐怖社会(追記)

2019年05月27日 | 報道

●否応なく近づくファシズム 政治が機能しない恐怖社会(追記)

結局、今の日本の流れは、片山教授が指摘する社会に雪崩を打って突き進んでいる。

その答えは、必ずしも安倍政権が目指すようなものではないだろうが、似たり寄ったりの社会が、日本と云う国に現れるのは避けられないかもしれない。

なかには、こういうファシズムと云うか、全体主義に馴染みそうな世相だから、国家主義が実現できるのではないかと云う幻想を抱くイデオロギー層もいるだろうが、彼らの思い通りになるなるとも言えない。

引用の片山教授インタビュー記事の冒頭、日刊ゲンダイ編集部が語った『権力によって民衆が「束ねられている」状態を指すという。7年に迫ろうとする安倍1強政治の下、この国はどう変わっていったのか。』と、安倍政権の力でどうこうされた部分は少ないと筆者は考える。

片山氏の論も、時代によるファシズム化が主体であり、あくまで安倍政権は、そこにいろどりを添えているに過ぎないと云うことだろう。

 いま現在、安倍政権が一強状態で権力を掌握しているように見える状態も、謂わば時代の要請(あだ花)であり、安倍政権も時代が求めた変化のための通過儀礼に過ぎない、一時のモラトリアム政権なのだと云うことだ。

つまり、いずれは崩壊する安倍一強であり、蜃気楼のような政権だったと気づく日は、それほど遠いものではないと考える。

ここから以下は、片山教授のインタビューを参考にして、筆者の考えをまとめさせて貰おうかと思う。

安倍自民党政権は、現時点で独裁政権のように見えているが、有権者の25%程度の支持の上に乗っかった危うい政権でもあるのだ。有権者、つまり主権者と言われる人々の多くが、その主権の行使を放棄している時代の権力なのだ。

つまり、有権者の25%が反政権政党に投票する行動を、何らかのキッカケで起こせば、改憲の発議どころか、政権の座を追われる可能性もあるわけだから、独裁政権とまでは言えない。

無論、その何らかのキッカケが中々起きず、一時のあいだファシズム体制が構築されたように思える時期が来ることもあるが、歴史から見れば、瞬間的現象だと言えるだろう。

片山氏が言うように、政治が、現実を無視して、維持が不可能になっている自由主義経済と民主主義と福祉国家の接続可能性を主張して政党のベースを作っている限り、その政党はフェイクなのである。

そういう意味では、将来の日本の姿を包含したイデオロギーを持ち合わせている政党は日本共産党だろうが、現時点ではなまくらな印象だ。

これからの時代は、不幸の負担をどのように分配するか、そういうニヒルな政治が求められるわけだが、国民の空気が、それを言ったら、即座に“否定”するもののようだ。

国民の間に階級らしきものが出来つつある現状では、真実をどのように捉え、愚かな国民を騙しながら誘導する、神の手のようなものが必要になる。

金持ちではないが、貧困と云うほどでもない幸福だと思える社会。このイメージを訴える政党が出てくるまで、日本の政治は、国民の心から乖離するに違いない。

 市場原理主義で、経済成長を謳う政党であるなら、それらの幻想につきあう国民だけの政治の時代が続くのだ。

また、加えて言うならば、世界がそっぽを向き始めた米国と云う国との距離を、どのようにマネージメントするかと云う問題にも向き合わざるを得ない。

しかし、現状では、日本共産党といえども、対米自立の旗幟を鮮明にしているとは言えないのが現状だ。


≪片山杜秀氏 日本は“束ねられる”ファシズム化が進んでいる

この国は再びファシズムに侵されている――。現実を鋭く分析した思想史研究者の対談集「現代に生きるファシズム 」(小学館新書)が話題だ。第1次世界大戦後のイタリアで生まれたファシズムはヒトラーのナチズムとも、中国や北朝鮮の全体主義とも、ロシアのそれとも違う。権力によって民衆が「束ねられている」状態を指すという。7年に迫ろうとする安倍1強政治の下、この国はどう変わっていったのか。






◇  ◇  ◇  

 ――ファシズムはどの程度まで進んでいますか。

 数字で示すのは難しいですが、かなりファシズム的状況にあると言っていいと思います。独裁政党こそありませんが、野党は与党に似たり寄ったり。保守主義的で、資本主義の延長線上に立って「この国をもう一度豊かにします」と幻想をうたっている点では、共産党以外の野党は与党と変わらない。

 ――国民に選択肢がないと?

 自動的に大政翼賛会化しています。55年体制のような与野党のイデオロギーの差異がない。思想や政策に十分な相違がないとすれば、有権者は同じことをやるなら経験を積んでいる政党の方が安全と考える。だから、安倍首相が面目を失うことがあっても、「悪夢のような民主党政権」とリフレインすると、一定数の国民がリセットされてしまう。現政権の方がマシだと考えて、失敗が棒引きになる。左派が警戒する憲法改正などしなくても、戦後民主主義の常識とは異なるフェーズに入っていることを深刻に認識する必要があります。

■没落する中間層が“希望の星”にすがりつく  

 ――ファシズムは全体主義と混同されやすいですが、「特定の政治や経済の体制を呼びならわす言葉ではないと考えるべき」「体制論ではなく情況論の用語」と指摘されています。

 個を原則的に認めないのが全体主義で、個のスペースが幾分なりとも保障されているかのような幻想を与えるのがファシズムと言えばわかりやすいでしょうか。みなさんを自由にするため、夢を取り戻すため。いっとき不自由になっても我慢して下さい。これがファシズムのやり方です。しばしば不自由のままで終わるのですが。同質化までは至らず、「束ねる・束ねられる」ことをたくさん感じているときがファシズム的状況と言えるでしょう。ファシズムは社会主義か自由主義かで割り切れない。変幻自在に形を変える。精神論や右翼的な旗印が有効であれば、それをトコトンやる。国民の団結を保つために社会主義的施策が有用であれば臆面もなくやる。理屈は抜き、束ねられれば手段を問わないのがファシズムです。  

 ――右派に支えられる安倍政権が教育無償化などの福祉政策に走るわけですね。一方、国民が「束ねられてもいい」と考えるのはどういう背景が?

 資本主義の危機の時代に没落する中間層の“希望の星”としてファシズムが現れるからです。典型例はワイマール共和国時代のナチス支持者、トランプ米大統領に熱狂するラストベルトの白人労働者。もっと豊かになるはずだったのにどうもおかしい、社会のせいでうまくいかない、と感じている階層です。日本も似たような状況です。就職先は終身雇用で、何歳で結婚して子供を何人つくって、何歳までにマイホームを持って……といった従来の生活モデルが崩れた。そうすると、自由を少しばかり差し出しても、みんなで束ねられることで助け合い、危機的状況を乗り切ろうという発想になる。自由を取り戻すステップとして、束ねられることが必要だという思考に入っていきます。

■3・11でフェーズが変わった  

 ――ターニングポイントはいつですか。

 3・11でしょう。冷戦構造崩壊後、そういうフェーズに入っていく流れはありましたが、3・11が決定的だと思います。この経験でフェーズが変わってしまった。日本が災害大国だという認識は共有されていましたが、政府は対応可能な防災計画を立て得ると説明し、国民の不安を打ち消してきた。ところが、東日本大震災では日本列島全体が揺れ動き、原発事故はいまだに収束しない。その後も各地で地震が頻発している。南海トラフ地震のリスクもある。いつ巨大災害に襲われても不思議ではない状況をウソとは言えない。地震予知は不可能だとオフィシャルに認めている状況下で、われわれは明日をも知れぬ身で生きている。2011年以降、日本人は刹那主義と虚無主義に陥ってしまいました。真面目に考えても対応できない災害と隣り合わせで暮らしているわけですから。

 ――危機感の点で言うと、安倍政権は一時は中国包囲網に躍起になり、核・ミサイル開発に猛進する北朝鮮を“国難”と呼び、足元では韓国と対立を深めています。

 内政で国民に対する訴えかけが弱くなると、外に向かうのは歴史が物語っています。富の再分配といった社会主義的政策で国民のガス抜きをするには、経済成長が必須。それができない場合は非常時の持続が有効に働く。北朝鮮がミサイルを発射するたびにJアラートを作動させれば、5年や10年は簡単にもってしまう。  

 ――刹那主義、虚無主義、対外的緊張が重なればますます思考停止です。

 リアルに考えれば、この国は経済成長しないかもしれない、貧富の格差が拡大するかもしれない、社会保障はますます削られていきそうだ……。安倍政権が夢物語を喧伝しても、不安は払拭されない。さらに、AI社会になれば人間は不要とされかねない。しかし、こうした問題が国民的議論に結びつかないのは、安倍政権がだましているからというよりも、国民が厳しい現実から目をそむけているからです。国民の気分も問題なのです。なぜかというと、現実を直視しても解決のしようがないから。こうして刹那主義や虚無主義が増幅され、便乗したファシズムのオポチュニスト(ご都合主義者)的な部分がかぶさってくる。世論ウケのいい政策を次々に打ち上げ、中途半端なまま別のテーマに移っていく。  

 ――本来は、いい加減な政治に対する国民の怒りが爆発する局面です。

 声を上げ続ける人は少数派。「実現不可能なことでも言ってくれるだけでうれしい」というレベルまで国民の思想が劣化していると思います。お上はうまく統制するため、下から文句が噴き出ないようおべんちゃらを言う。それを期待する国民感情がある。上下の平仄が合っている怖さがある。「おかしい」と訴える人の声は、「平仄が合っているんだからしょうがない」と考える人のニヒリズムにかき消される。原発事故への対応、反応もそうです。嫌な話を聞いても解決できないし、東京五輪の話題で盛り上がった方がいいという雰囲気でしょう。元号が変わった、新しい時代を迎えた、お札も変わる、それぞれの花を大きく咲かせることができる……。そんなことで内閣支持率が上がる。政府の考えと国民の求めが無限にかみ合っている。終末的ですね。

■サンダース目線の民主社会主義的発想が必要

 ――流れを変える手だてはないのでしょうか。

 仮に安倍政権が倒れても、世の中がガラリと変わることはないと思います。「決められない政治」を否定した結果、政治主導の名の下に内閣人事局が設置されて官僚は生殺与奪権を握られ、官邸は霞が関の情報を吸い上げて権力を肥大化させ、戦前・戦中にはなかった強力なファシズム体制を敷いた。「決められる政治」の究極の形態を実現したのです。唯一可能性があるとしたら、来年の米大統領選に再挑戦するバーニー・サンダース上院議員のような民主社会主義的な発想を広げることでしょう。人権を擁護し、ファシズム的なキレイごととは一線を画す社会を目指すのです。最大多数の国民がなるべく束ねられずに、しかし助け合って生きていく。人間社会の当たり前の理想を思想的にハッキリ表明する政党が大きな形をなさないとまずいでしょう。難しいですが。  

 ――民主社会主義的なプランを掲げる政治勢力が必要だと。

 高度成長が再現できれば、新たな政策実行にいくらでも予算が付き、昔ながらのパイの奪い合い政治でも結果オーライでうまくいく。しかし、もはやそこには戻れないでしょう。戻れるかのような甘言に何となくごまかされているうちに、残された貯金すら減らしているのが今の日本ではないですか。この現実認識を持てるか持てないかです。本当の現実を思い知れば、民主社会主義的な目線で考えるしかないのではないですか。最大多数の国民の人権と暮らしが守られ、人間を見捨てない国を目指すサンダース目線の政治が必要でしょう。  (聞き手=坂本千晶/日刊ゲンダイ)

 ▽かたやま・もりひで 1963年、宮城県生まれ。慶大大学院法学研究科博士課程単位取得退学。慶大法学部教授、教養研究センター副所長。音楽評論家としても活躍。著書「未完のファシズム 」で司馬遼太郎賞受賞。元外務省主任分析官の佐藤優氏との対談シリーズ「平成史 」「現代に生きるファシズム 」の刊行を記念し、6月24日午後7時から、東京・紀伊國屋ホールでトークショー開催。問い合わせは℡03・3354・0141へ。
 ≫(日刊ゲンダイ)

コメント

●米大統領二期目に向けて 強硬策は経済政策に留まるのか?

2019年05月15日 | 報道

 

日本人の知らないトランプ再選のシナリオ―奇妙な権力基盤を読み解く
渡瀬 裕哉
産学社


●米大統領二期目に向けて 強硬策は経済政策に留まるのか?


NY市場が600ドル下げても、東京市場が124円しか下げなかったのは、おそらくドルが売られなかった現象があったからだろう。

為替の安心感が株式市場の精神安定剤となった模様だが、“トランプライザー”と云う世界恐慌のひきがねは、常に腰だめ状態なので、安心と云う期待は、常に裏切られている。

トランプを大統領選の泡沫候補と認定した時点から、過去の知恵や知識の多くが使い物にならないと云う証明がなされている。

英フィナンシャル紙がコラムニストの名を借りて、今後のトランプによる、米中経済摩擦について語っているが、彼らが使った写真では、米中ロのロシアの国旗に焦点があっているのが気になった。

気になったと云うか、今回のトランプ関税戦争は、そのまま、現実の物理的戦争にまで繋がるリスクがあることを頭の片隅に置いておくのが、21世紀の大人の常識かもしれない。

トランプさんにしてみれば、世の中人々があり得ないと思うことを、ちゃぶ台返しする快感に酔いしれているわけだから、絶対に再選を成功させようとしている。

その第一弾が、世界中を巻き込む“大関税戦争”なのだが、この経済戦争だけでは不十分であれば、ホンマモンの戦争も再選戦略リストにと、含ませているのは確実だ。

これは、筆者だけの想像ではないだろう。正常に想像力が養われた人々なら、僅かな杞憂としてでもお腹の底の方に持っているに違いない。

米中や日米の通商問題で、トランプ大統領の再選に目途が立てばいいのだが、そう思うようにはいかないと考えておくべきだ。

そうなると、トランプ大統領に残された手は、歴然たる米軍の戦争状態の設定である。

おそらく、米国本土への、ICBMによる核攻撃の不安がない国が相手の戦争だ。 直接、米軍がメインの戦闘である必要はないが、米軍が出動している事実が必要だ。

 一番可能性があるのはベネズエラだが、大統領再選への影響が大きい戦闘とはいえない。

中露と米軍が戦うことは想像しがたいので、イラン、シリア、ゴラン高原辺りが、最も候補として有力だが、シリアやウクライナにも火種は残っている。

朝鮮戦争と自衛隊という構図も、無理すれば危機的戦場候補になる。

たかが、大統領の再選のための戦争相手に選ばれる、多くの国々も、いい面の皮だが、しばらくはつきあう以外選択肢がない。

まぁ、取りあえず、英フィナンシャルの常識的経済見通しを読んでおこう。


≪[FT]勢いづく米通商タカ派、最悪のシナリオは?
トランプ米大統領が10日、2000億ドル(約22兆円)分の中国製品に追加関税の発動を決定し、中国も13日に報復措置を発表したことで、その影響を注視するのは米中両国だけではなくなっている。 トランプ政権の発足以降2年4カ月にわたり、世界各国の経済外交当局者は米国との通商関係の管理に苦慮し、米国が中国との摩擦を強めるなかで次は自国が標的になるのではないかと不安を募らせてきた。


 


米政権内外のタカ派が通商政策に関して勢いづいていることは明らかだ。

トランプ政権が米国と最も近い関係にある同盟国や多国間貿易体制を犠牲にすることもいとわず、中国以外の国々にも攻撃的な姿勢を取る事態が危惧されている。

これまでは、脅しをかけて交渉で優位に立とうとするのがトランプ流だという楽観的な受け止め方があったが、現実にはごり押しの姿勢を強める一方だ。25%の対中関税はトランプ氏でもリスクが大きすぎるとみていた多くの人々も、ここにきて他国との貿易摩擦についても見方を改めるようになっている。

最も注目される3分野それぞれに関して、排除できない可能性を盛り込んだ最悪のシナリオをまとめてみた。

(1)自動車関税の発動 トランプ大統領は16日、米商務省が提出した報告書に関する判断の期限を迎える。報告書は未公表だが、自動車の輸入は米国の安全保障上の脅威であるとしているとみられる。これが、トランプ氏には関税発動の法的根拠となる。 この可能性を受けて、自動車メーカーへの影響が最も大きい欧州連合(EU)や日本、韓国を中心に懸念が高まっている。

これまでは、そうした措置は経済的影響があまりにも大きく、(米国内にも自動車関税への政治的支持はほとんどないため)トランプ氏も実行には移さないものと思われていた。 トランプ氏は判断の期限を6カ月延ばし、この問題について各国と協議に入ることが可能だ。だが、もっと攻撃的な措置として、関税を発動した上で実施を一時的に凍結し、EUと日韓に剣を振りかざすというやり方がある。ただちに自動車関税を課すという「最後の手段」は現時点でも予想されていないものの、「ダモクレスの剣」のような一触即発の事態となる可能性も、排除できなくなっている。

(2)北米自由貿易協定(NAFTA)の破棄 2018年12月にアルゼンチンで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議に先立ち、トランプ氏は鳴り物入りでカナダのトルドー首相、メキシコのペニャニエト大統領(当時)と共に、NAFTAを改訂した「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」に署名した。

だが、米議会民主党と一部の共和党議員の抵抗で、協定の批准は難航している。通常であれば、トランプ氏が議会に譲歩し、メキシコとカナダ両国の鉄鋼・アルミニウム製品に対する関税撤廃などの要求に応じることが見込めるかもしれない。だが、中国との摩擦がさらに激化したことから、トランプ氏がごり押しの姿勢を一気に強め、言い分が通らなければ、米国に重い代償を伴う現行NAFTAからの離脱を言い出すのではないかとの懸念が高まっている。

(3)世界貿易機関(WTO)との決別 米国はWTOから離脱すべきだというトランプ氏の主張は、しばらく鳴りを潜めていた。だが、中国との協議の失速で再び現実味を帯びるかもしれない。関税が高まり、中国を抑制するものが少なくなった現在の世界において、WTOは2大経済国を対話に引き戻し、ルールに従って行動させるための理想的な場になりうる。 だが、米国がそう考える可能性は低い。トランプ氏は、WTOを中国との商業的戦争を邪魔する存在とみなし、米国はWTOの改革を求めるのではなく、WTOに対する支持を完全に取り下げることになるかもしれない。

このような状況下、同じく貿易大国のEUと日本は身を潜め、米中の交戦に巻き込まれないようにしてきた。 先週来の米中間での報復関税の応酬合戦の後でも、EU当局者は依然として、トランプ氏が今週に判断期限を迎える欧州車への関税発動を延期し、昨夏に開始が合意され間もなく正式に始まるEUとの通商協議の結果を見極めようしているとの見方を崩していない。 それでも、協議で取り上げる内容について(農業問題を含めたい米国と、除外したいEUの)双方の意見には大きな隔たりがある。

トランプ氏がけんか腰になるようだと、大西洋をはさんだ米EU間の停戦協定は、EUが見込んでいるよりも早期に破棄される可能性もあるのだ。

By James Politi & Alan Beattie (2019年5月13日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/) (c) The Financial Times Limited 2019. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.  ≫(日経新聞)

参考世界の動き
■激動必至 令和日本、世界どう動く 安全保障で迫られる乏しい3択のリセットが日本の起点に
■米国が仕掛ける「通商椅子取りゲーム」の五里霧中
■不気味な上昇を続ける株式市場…これは「不景気の株高」か?(「令和」後は流石に下がっているが・・・。)
■「同時崩壊」もありえぬ事ではない韓国・北朝鮮の苦しい現状
■米朝決裂が中東に飛び火し「第3次世界大戦」を招く可能性
■米中露で拡大する「軍隊の民営化」その語られざる実態
etc

【中東大混迷を解く】 シーア派とスンニ派 (新潮選書)
池内 恵
新潮社

 

中東から世界が崩れる イランの復活、サウジアラビアの変貌 (NHK出版新書)
高橋 和夫
NHK出版

 

GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略
田中 道昭
日本経済新聞出版社

 

コメント

●世界同時多発戦争 巻き込まれる自衛隊、米国は一枚岩なのか?

2019年05月10日 | 報道

●世界同時多発戦争 巻き込まれる自衛隊、米国は一枚岩なのか?

見出しを書くだけで疲れてしまった。

安倍晋三では乗り切れない、世界の現状。

菅官房長官の人物査定が実行されつつあるのか。

つまりは、地検特捜により、国会閉会後の内閣上層部の逮捕も視野か?

すべて、あまりにも荒唐無稽なので、すべて、筆者の妄想の範囲での話にしておこう。

今夜は、状況を分析できる、幾つか目についた記事の“見出し”を並べておこう。

検索すれば、その記事にヒットするはずだ。

これ以上の話は、明日?明後日?。

■激動必至 令和日本、世界どう動く 安全保障で迫られる乏しい3択のリセットが日本の起点に

■米国が仕掛ける「通商椅子取りゲーム」の五里霧中

■不気味な上昇を続ける株式市場…これは「不景気の株高」か?(「令和」後は流石に下がっているが・・・。)

■「同時崩壊」もありえぬ事ではない韓国・北朝鮮の苦しい現状

■米朝決裂が中東に飛び火し「第3次世界大戦」を招く可能性

■米中露で拡大する「軍隊の民営化」その語られざる実態

5月10日は以上まで。

コメント

●夏前に起きる改憲のリスク? 安倍はW選でも勝てない

2019年05月08日 | 報道

●夏前に起きる改憲のリスク? 安倍はW選でも勝てない

10連休で、頭、身体、そして財布もズタズタだ。おそらく、多くの日本人の大人はいい迷惑の日々を送っていたに違いない。

当然のように、ブログも2週間ほど手つかずだったが、一応、ニュースは見聞きしていたので、浦島太郎にはなっていない。

今夜は疲労困憊なので、いま一番気になることに関するコラムと特集記事をピックアップしたので、通読願いたい。

最近は、衆参同日選云々で政治ニュースは騒がしいが、安倍自民が、この夏に、衆参同日選を行ったとして、現在の改憲勢力、衆参2/3議席以上の議席を確保することは、相当困難と考えている。

つまり、参議院選単独であろうが、衆参同日選であろうが、衆参2/3議席確保は、あまりにも不確実だと思う。 :現在の衆参2/3議席確保は奇跡のような偶然であり、もう二度と、日本の政治シーンに現れない現象だとも考えられる。

と、いうことは、安倍官邸が、確実に「改憲」をしたいのであれば、現在の衆参2/3議席がある6月下旬までに、衆参本会議で議決できるよう、現行法の解釈を“閣議決定”等々の手を使い、捻じ曲げてでも強行採決する可能性があるのではないかと危惧している。

少なくとも、上記のような強硬手段を選択しないと、日本会議等改憲宗教右派勢力を見え見えで裏切ることになり、安倍晋三の命運は、心身ともに抹消される危険すらあるのではないのか。

「憲法審査会」云々の決まりごとが明確ではないだけに、一気呵成、一夜にして「改憲」が姿を表すリスクがあることを、頭も片隅に置くべきだろう。

参議院選単独でも、衆参W選挙でも、現在の衆参2/3議席以上の結果は望めないわけで、八百長が得意な政権なのだから、必ず何か仕掛けてくると考えておくべきだ。


≪「いまの改憲論はフェイク」憲法学者・樋口陽一氏の危惧
 新天皇の即位から3日目で迎えた憲法記念日。日本国憲法の第1章が定めた象徴天皇制とは、政府と国民にどのような態度を求める制度なのか。また、9条に自衛隊を明記する憲法改正が必要だと訴えている安倍晋三首相の問題提起は妥当なのか。憲法が直面する課題について、日本を代表する憲法学者・樋口陽一さんに聞いた。    
  ◇  
――この国では今、憲法改正にこだわる首相が長期政権を維持しています。安倍晋三首相は今度は、自衛隊を憲法に明記する改憲が必要だと訴え始めました。

 「今ある自衛隊の存在を書き加えるだけなら大きな変更ではないのではないかという意見も聞きます。書き加えるという行為の持つ法的な意味について理解が足りないと感じますね。基本的な法原則の一つに『後(のち)の法は先の法を破る』があります。ある法規範にそれまでと違うことを書き加えたら、前からあるルールは失効するか意味を変えるという原則です」

 「憲法9条の条文は削らないまま単純に自衛隊の存在を書き足したら、場合によっては残った現在の条項は失効する恐れがあるのです。戦争放棄をうたった1項と、戦力不保持を定めた2項です」  

――今ある平和憲法の原則を手放す改憲をするのと、同様の行為になりかねないのですか。

 「そうです。軍備拡大への歯止めがなくなり、あらゆる戦争を遂行できることになりかねません。そういう認識をきちんと共有しないまま提起されている今回の改憲論は『政治的な主張』と呼べるレベルのものではありません。フェイク(虚偽)です」  

――自衛隊を書き込むタイプの改憲案が、もしフェイクでなく、政治的な主張になりえるとしたら、その条件とは何でしょう。

 「たとえば、専守防衛を原則として集団的自衛権の行使には厳格な制限をかけた自衛隊であることをきちんと明示する。そんな改憲案を提示すれば、私自身は賛成しませんが、一応フェイクではなく一つの政治的主張にはなるでしょう。しかしそんなことを書き込もうという姿勢はうかがえません」  

――自衛隊を書き込む改正について国民投票が行われたら、賛否はどうなると見ますか。

 「予測はしませんが、単なる個人的な見方を言うならば、現政権の下、安倍晋三氏とその周辺が旗を振る形での改憲ということであれば、幅広い支持には至らず挫折するでしょうね。言葉を積み重ねることで公共社会に共通の枠組みを築き続けていく――そういった文明社会の約束事をあまりに軽んじる政治家たちだからです」  

――日本社会は新しい天皇を迎えました。国民主権の日本国憲法下では2回目の経験になります。憲法と天皇制についていま気になっていることは何ですか。

 「元号は元々は中国の伝統ですね。帝王が時間を支配し、歴史を支配するという意味が元にあります。それを国民主権の今の日本の状況に当てはめるとどうなるでしょう。仮に国民主権が時間を支配し、歴史を支配するとして、その際の国民主権とは具体的には何か。制度的に言えば有権者・国会・内閣ということでしょう」

 「そう考えると、今回のように内閣の長が元号の決定過程で非常に目立ったことをしても、国民主権の論理から外れているというわけではありません。しかし、それで本当によいのか」

 「日本国憲法は天皇を国民の統合の象徴と定めています。新天皇は後世『令和天皇』と呼ばれる存在であり、元号とは、国民がその名で天皇を歴史の中に記憶することになるものです。そうした場面に無遠慮な介入はしないよう、政権はもっと自覚すべきだったと私は考えます。『安倍さんが決めた元号だから私は使わない』という人が現れてはいけないのです」

 「もし『国民の支持で首相になったのだから、私がすべてを決めて何が悪いのか』という首相がいたとすれば、それはあしき国民主権です。ヒトラーが権力を掌握していく際の論理だったのですから。国民主権という言葉を使うときにはそういうリスクがあることを知っておくべきでしょう」  

――樋口さんは長年、「個人の尊厳」の大事さを説いてきました。個人の尊厳という考えは日本社会に根づいたでしょうか。

 「もともと根づくのは難しいものだと思います。自分自身の考えを基準にして生きるというのは、生きにくいことだからです。周囲から浮いてしまうことは避けた方が暮らしやすいと人間は考えがちです。社会の心性で見ても日本は、個人というものを表に出すことが難しい社会の一つです」  

――国民は「個人として尊重される」と憲法13条は規定しています。他方、2012年に発表された自民党の憲法改正草案はその部分を「人として尊重される」に変えました。樋口さんはなぜ、「人」ではなく「個人」と書くことが大事だと考えるのですか。

 「集団のために自分の意見を殺して犠牲になることを『人として価値がある』とみなす傾向があるからです。日本の歴史を振り返っても、その傾向は強く見られます。『個人』を尊重することの大事さは失われていません」  

――第2次世界大戦での敗戦を機に現憲法が施行されて、3日で72年になります。日本国憲法は戦後日本に根づいたでしょうか。

 「ほかの政治課題より憲法改正の方を先にして進めてほしいという意識は国民の間にはない、と私は見ています。その傾向は戦後という時代を通じて大筋では変わっていないでしょう」

 「政治の世界を見ても、55年体制と呼ばれる時代は日本国憲法が根づきつつあった時期だと思います。リベラルデモクラシー(自由民主主義)が大事だという認識を基盤に、日本国憲法へのコンセンサス(合意)が緩やかに共有されていました」  

――55年体制は1955年に始まり、89年の冷戦終結を経て90年代に終わっています。憲法が社会に根づきつつある傾向は20世紀で終わってしまったのですか。

 「いえ、違います。たとえば11年に起きた東日本大震災という悲劇的な危機状況の下で、そのことは確認できたと思います」

 「一つ目はボランティア活動として、組織に依存しない『個』の連帯が見られたことです。憲法13条にうたわれる『個人』が、誰にも命令されずに実践しました」

 「二つ目は、明仁天皇と美智子皇后(当時)の一連の言動が、象徴天皇制を定めた憲法第1章の一つの表れとして人々の記憶に刻まれたことです。三つ目は、泥まみれで救助にあたる自衛隊員を被災者のおばあちゃんが拝んでいたという話です。専守防衛の枠の中で、外に攻めていくことも内に銃を向けることもせず、国民の生活防衛を果たしてきた。そんな自衛隊の長年の積み重ねが背景にあります。憲法9条の定着です」

 「危機的な局面であるからこそ、そこにある憲法コンセンサスが見えてきたのです。憲法が根づきつつある状況は決して失われてはいません。もちろんこれは希望ではあるけれど、希望を超えた現実でもあると思っています」  

――3・11の翌年に誕生したのが今の安倍政権です。樋口さんはこの間、国会周辺にも出て近代立憲主義の大事さを訴えましたね。

 「憲法改正草案を出した12年以降、自民党は5回の国政選挙で勝利し、それを正当化の根拠にしています。そうした状況だからこそ、それでも権力は抑制的に使われるべきだという近代立憲主義が存在意義を強めたのです。たとえ時の民意が圧倒的に支持した場合であっても、権力が自己抑制しなければいけない局面はあります」  

――世界で今、日本国憲法はどういう位置にいるのでしょうか。

 「憲法から『先輩国が逃げ出す』風潮に直面していると思います。明治以降の日本が憲法を考える際のお手本にしてきた欧米で、憲法から逃げ去る傾向が見られる現象です。典型はトランプ大統領の米国でしょう。ほかならぬ西欧デモクラシーの総本山で、反リベラル化が進んでいるのです」  

――日本がお手本になる時代がやって来たのでしょうか。

 「逆でしょう。米国には、日本よりはるかに強靱(きょうじん)な『政権への抵抗の岩盤』が形作られてもいます。強権政治が台頭したとされるポーランドやハンガリーにも反発する力は現れている。政権の金権腐敗を追及するジャーナリストが暗殺された東欧スロバキアでは、抗議する人たちの中から、45歳の政治家としては素人に近い女性が大統領選挙で当選しました」

 「日本では、遠くから見れば表面的には大きな波風が立っていないように見えるのかもしれませんが、フェイクが横行し、すべての議論の前提である『言葉が持つはずの意味』が失われています。深層で何かが溶解し始めた状況、頑丈だと思われてきたものが崩れ去り始めている感覚があります」

 「人口の減少、財政の破綻(はたん)、国としての友人がいない日本の姿……。ぼけっとしていていいのか、と言いたくなります。これは決して自虐ではありません」(聞き手 編集委員・塩倉裕)
     ◇  
〈ひぐち・よういち〉 1934年生まれ。東京大学名誉教授。「いま、『憲法改正』をどう考えるか」など著書多数。「立憲デモクラシーの会」の共同代表にも。
 ≫(朝日新聞)


≪憲法改正を訴える日本会議の「危ない」正体
「宗教右派の統一戦線」が目指すもの

政権と密接な関係を持ちつつ、憲法改正を訴える任意団体「日本会議」。取材を続けるジャーナリストが、近著でその危険性を明らかにした。

安倍政権のコアな応援団となっている日本最大の右派組織、日本会議を端的にどう評すべきか。先ごろ上梓した『日本会議の正体』(平凡社新書)を取材・執筆しつつ考えたのだが、ある雑誌で対談した先輩記者・魚住昭さんの言葉に膝を打った。「宗教右派の統一戦線」。魚住さんはそう評した。そのとおりだと私も思う。

1997年5月、当時の2大右派組織──日本を守る会と日本を守る国民会議が合併する形で日本会議は発足した。現会員は約3万8千人、日本会議に呼応する日本会議国会議員懇談会に名を連ねる衆参両院議員も約280人を数えるに至り、組織の役職などには右派系の著名文化人、学者、財界人らが就いてきた。初代会長はワコール会長だった塚本幸一氏。2代目会長は石川島播磨重工業会長だった稲葉興作氏。3代目会長は元最高裁長官の三好達氏。現会長は杏林大学名誉教授の田久保忠衛氏。

しかし、組織運営の中枢を担うのは新興宗教団体・生長の家に出自を持つ元活動家の面々である。

■地道で執拗な右派運動
強調しておかねばならないが、現在の生長の家は政治とのかかわりを絶っており、日本会議となんの関係もない。だが、戦前に谷口雅春が創始した生長の家は、右派色の強い新興宗教として知られ、戦中は軍部の戦争遂行を賛美して教勢を拡大した。戦後もその姿勢は長く変わらず、60年代には生長の家政治連合(生政連)を結成して政界進出を果たす一方、右派の学生組織として生長の家学生会全国総連合(生学連)も立ち上げ、全国の大学を席巻した全共闘運動に対峙させた。

ここに集った元活動家がいま、日本会議の中枢を牛耳っている。事務総長として組織実務を取り仕切る椛島有三氏。政策委員として理論構築などを担う百地章(日本大学教授)、伊藤哲夫(政治評論家)、高橋史朗(明星大学特別教授)の各氏。伊藤氏は安倍首相のブレーンに数えられ、現在は首相補佐官に就く衛藤晟一参院議員もかつては生学連の活動家だった。

同じく生学連の元活動家で、現在は評論家、作家として幅広く活動する鈴木邦男氏はこう断言した。

「日本会議の大もとは、生長の家だと僕も思います」

彼らは全共闘運動と対峙する中で組織運動のノウハウを身につけ、ある種の「宗教心」に突き動かされて地道な、そして執拗な右派運動をつづけてきた。とはいえ、彼らに巨大な資金力や動員力があるわけではなく、強力に下支えしているのが神社本庁を筆頭とする神社界と、数々の右派系の新興宗教団体である。なかでも全国に8万以上の神社を擁する神社界のパワーは圧倒的だ。しかも戦前・戦中期、国家神道にもとづいて厚く庇護された神社界には、戦前回帰願望に似た復古思想がくすぶっている。

■「武道館一杯」の動員力

その頂点に君臨する神社本庁は、自らの政治団体である神道政治連盟(神政連)などを通じて右派政治家や日本会議を支援している。私の取材に応じてくれた神政連神奈川県本部長で、師岡熊野神社(横浜市港北区)の宮司・石川正人氏は、日本会議などが主催する集会の費用などを神政連が応分負担していると明かし、その動員力を次のように語っている。

「例えば『武道館を一杯にしましょう』というなら、それはすぐにできることだと思います」 ──つまり1万とか2万とか?

「その単位なら普通に(動員)できると思います」

読者の多くは奇妙に思うかもしれない。いったいなぜ、神社本庁を筆頭とする神社界は、新興宗教などとタッグを組んで日本会議を支えるのか、と。これについても石川氏はこう明かしてくれた。

「多くの(新興宗教の)教祖は、ありがたいことにお伊勢さん(伊勢神宮)を大事にするし、地域のお宮さんを大事にしましょうとおっしゃってくれている」 ──そうした新興宗教も日本会議や神政連の活動を下支えしていると。
 
「下支えしていますよ。日本会議の活動も、いろいろな宗教団体とか、あとは自衛隊のOB会や日本遺族会などが力になっている。動員面では、まさに神社界と宗教教団です」

実をいうと、こうした宗教右派の内部には従来、改憲論ひとつをとっても、「教理問答=カテキズム」と称される主張の相違があった。例えば生長の家の開祖・谷口雅春は、占領下につくられた現憲法は「無効」であり、明治憲法を「復元」すべきだと訴えた。その主張を絶対視する者には、現憲法の「改正」など許し難いものに映る。こうした小異を措(お)いて大同に就こうと結成されたのが日本会議だった。まさに“宗教右派の統一戦線”というにふさわしい。

もちろん、宗教団体や宗教家が政治運動をしてはならないわけではない。しかし、宗教団体や宗教家の政治活動は政教分離を侵しかねず、「宗教心」に駆動された日本会議の運動と主張は、実際に近代民主主義社会の大原則を容易に踏みにじる。

その兆候は、事務総長・椛島氏の主張にも端的に見てとれる。長年にわたって椛島氏が率いた右派組織、日本協議会・日本青年協議会の機関誌「祖国と青年」には、こんな“アジ文”がいくつも掲載されてきた。
 
< 今日の日本は、祭政一致の日本の国家哲学を政教分離の思想によって否定する思想風潮がある。(略)政教分離思想によって、祭政一致の国家哲学を否定することは(略)、まさに歴史を冒涜する愚挙と言わねばならない >(同誌90年8月号)
 
< 天皇が国民に政治を委任されてきたというのが日本の政治システムであり(略)、主権がどちらにあるかとの西洋的二者択一論を無造作に導入すれば、日本の政治システムは解体する。現憲法の国民主権思想はこの一点において否定されなければならない >(同誌93年4月号)
 
政教分離や国民主権の否定。さらには過大なまでの国家重視と人権の軽視。プンプンと漂う天皇中心主義と自民族優越主義=エスノセントリズム。宗教学者の島薗進氏(東京大学名誉教授)はこう警鐘を鳴らす。
 
「停滞期において不安になった人びとは、アイデンティティを支えてくれる宗教とナショナリズムに過剰に依拠するようになる。戦前の場合、国体論や天皇崇敬、皇道というようなものに集約されました」 ──それはやはり危ういと。
 
「ええ、非常に危ういと思います。かつては“危ない勢力”と認識された者たちが、いまや立派に見えてしまっている。これは驚くべきことです」

■各地の神社で改憲署名
そう、少し前まで日本会議に集うような宗教右派は、極論を唱える「危ない勢力」と認識されていた。だが、中国の経済成長などで日本の国際的地位が相対的に低下し、国内でも格差や貧困が広がり、不安や焦燥が社会を覆うなか、日本会議的な主張に共感する層はうっすら広がっている。何よりも安倍政権の存在が彼らを勢いづけている。
 
椛島氏は、安倍政権誕生後の運動について、こんなふうに語ったこともある。

「日本会議は阻止・反対の運動をする段階から、価値・方向性を提案する段階へと変化した」

その日本会議が現在、総力を挙げて取り組んでいるのが改憲に向けた運動である。戦後体制を憎悪する日本会議にとって、現憲法は唾棄すべき戦後体制の象徴であり、同じ方向を向く安倍政権下こそが改憲の最大チャンスと捉えている。フロント組織である「美しい日本の憲法をつくる国民の会」を立ち上げて発破をかけ、1千万人を目指して全国各地の神社の境内でも改憲賛成の署名集めが行われたほどだ。本稿執筆時点では参院選の結果は不明だが、その結果次第では改憲が具体的な政治スケジュールに上ってくる。戦後70年の歩みは、現政権と“宗教右派の統一戦線”によって突き崩されてしまうのか。時代の大きな分水嶺である。(ジャーナリスト・青木理)

【日本会議の役員を代表者などが務める宗教団体】
神社本庁 、伊勢神宮 、熱田神宮、 靖国神社、 明治神宮、 岩津天満宮 、黒住教 、大和教団、 天台宗 、延暦寺、 念法眞教、 佛所護念会教団 、霊友会、 国柱会、 新生佛教教団 、崇教真光 、解脱会

※アエラ編集部が2016年1月、日本会議との関係が取りざたされている宗教団体に取材・アンケートした。無回答でも、日本会議のホームページなどで確認できた団体は掲載した。
≫(東洋経済ONLAINE:本の紹介:AERA 2016年7月18日号)

コメント

●「アベを倒したい!」金平茂樹vs室井佑月対談

2019年04月27日 | 報道

●「アベを倒したい!」金平茂樹vs室井佑月対談

本日多忙につき、以下に、リテラ掲載の正統派言論人、金平茂樹氏と室井佑月氏との対談「アベを倒したい!」を参考掲載します。リテラでは、前・後半に別れていましたが、一気掲載です。

:全体に流れている情報に捏造や盛ったような話がないことは、筆者が確認した。

しかし、産経新聞がすべて無料でネットにニュースを流し、朝日。毎日、日経、読売などとの差別化が、実は、若者世代のメディアリテラシーに重大な瑕疵があることが判ったことは重要だ。




≪室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第13回ゲスト 金平茂紀(前編)


金平茂紀と室井佑月、萎縮するテレビで孤軍奮闘を続ける二人が語る実態! メディアはなぜ安倍政権に飼いならされたのか



 



 安倍政権の言論弾圧体質によって、どんどん悪化している報道の萎縮。なかでも、ひどいのがテレビだ。第二次安倍政権発足以降、政権に批判的なキャスターやコメンテーターが次々と降板に追い込まれ、上層部から現場までが政権の顔色を窺い、批判的な報道はほとんどできなくなっている。

 そんななか、今回は地道に果敢に政権批判を続ける数少ない番組のひとつ『報道特集』(TBS)キャスターを務める金平茂紀氏をゲストに迎えた。金平氏といえば、『筑紫哲也NEWS23』番組編集長、TBS報道局長、アメリカ総局長などを歴任。定年退職後の現在も、『報道特集』キャスターを継続し、政権への厳しい批判も厭わない姿勢を貫いている。

 そんな金平氏に、やはりテレビでコメンテーターを続けている室井佑月が迫る。なぜテレビはここまで萎縮してしまったのか。御用ジャーナリストが跋扈する理由とは何か、そして、安倍政権下でテレビに何が起きたのか。テレビで孤軍奮闘を続ける二人の激論。まずは、前編をお読みいただきたい。 (編集部)

********************

室井 金平さんがこの対談に出てくださってすごいびっくりしました。これまでレギュラー的にテレビに出ている人にはみんな断られていたんです。金平さんは『報道特集』のキャスターをしているのに、こんな対談に出てくださって!

金平 僕はもう2016年にTBSの執行役員の任期も終わっているから、契約ベースでやっている。というか、TBSも扱いかねているんじゃないですか? TBSには定年まで長く勤めていたけど、以前、室井さんと一緒に共謀罪反対の呼びかけ人をしたことあったでしょ? あの記者会見をやった1週間後に呼び出されて上層部に言われたんです。「お引き取り願おうか」と。呼びかけ人と直接の因果関係はないんだろうけど、「もうそろそろ、こういうことをやる人間は扱いかねる」っていう空気があったんじゃないかな。

室井 あると思います(笑)。だって、わたしも同じですから。かれこれ20年情報番組に出ていますが、最近は毎回、会議で名前が挙がってるみたい。「次、降板」って。でも、わたしを降ろしたあとに番組と同じ考えの人を呼んじゃうと、わかりやすすぎるし、ちょっと休んだだけでネットにすごく書かれるから、降ろされそうで降ろされない(笑)。まあ、今後は分かりませんけど、たぶん、五輪前に辞めさせたいんじゃない。

金平 こう言っちゃなんだけど、同じような立場の2人で対談なんかやっていいのかな(笑)。

室井 TBSはかつて“報道のTBS”と呼ばれていて、とくに『筑紫哲也NEWS23』 時代の、家族でやっているような雰囲気は大好きでした。金平さんも筑紫ファミリーだったでしょ。

金平 筑紫時代は全スタッフ、そして番組もが一体となった感じで、うまく回っていた。筑紫ファミリーという疑似家族のような。でも、いまでは良き疑似家族はとっくに壊れています。「老壮青」って言っていたんですけど、いまは誰もファミリーとか思っていない(苦笑)。

室井 でも、TBSと言えば報道だったじゃないですか。

金平 かつてね。

室井 いまでも他局よりは頑張ってると思うけど。

金平 他が酷すぎるんでしょう。論評にも値しないようなところがほとんどになっちゃって。僕はいま65歳だけど、僕らが学生時代のテレビは、NHKは体制を代表する本当のことは絶対言わないメディアで、“お上の代弁者”として捉えられていた。そんななか、民放の報道ではTBSが圧倒的に強かった。かつて『JNNニュースコープ』(1962〜1990年放送)という番組があって、田英夫や古谷綱正、入江徳郎とかのベテランどもがいて、結構な迫力があったんです。当時、「NHKとTBS、どっちが本当のことを言っているのか」と問われれば、みんながみんな「TBSに決まってるじゃん」と言うくらいに力があった時代だった。その頃、他の民放は、テレ朝は、NET=「日本教育放送」時代で報道には力を入れていなかったし、フジテレビは娯楽路線、日本テレビはプロレスと野球。報道をやっていたのがTBSだった。だから本来強いのは当たり前なんです。

■ワイドショーが報道化して報道がワイドショー化、重要な問題が無視

室井 でも今後はどうなんですか? わたし、情報番組に20年出てますけど、どんどん変わってきていると実感していて。たとえば政治的な問題が起きても、ワイドショーで取り上げるのは「細野豪志が二階俊博と会った」とか本質に関係ない話ばかりで、あとは安倍応援団が安倍首相の代弁を主張していて。

金平 かつてワイドショーとストレート報道の関係は、新聞社でいうと週刊誌と本紙みたいな、妙な上下関係があった。「報道は偉いんだ」という意識ですね。ワイドショーや情報番組はいわゆる井戸端会議。でも、現在のようなネット社会になり、ネットで出ている言葉と、印刷されて出るオールドメディアの言葉が受け取る側から見ると等価になっている。そんな時代ですから、報道番組もワイドショーも等価と捉えられる時代になっちゃった。だからテレビの本質からいうと、どっちもどっちなんです。

室井 テレビも視聴率至上主義だから、森友事件や辺野古新基地建設のことより、「貴乃花が離婚した」ということを取り上げる。ある意味仕方ないとは思うけど、カルロス・ゴーン事件では、その本質にはほとんど触れず、ゴーンが釈放されて変装していることを延々とやる。すごく変だし、本質をごまかそうとしている意図を感じるほど。

金平 ワイドショーが報道化して、報道がワイドショー化したということじゃないかな。いま、夕方のニュースを見ていてもほとんどワイドショーじゃないですか。やってるネタも変わらない。「テレビなんだから同じ」と平準化されてしまった。

室井 テレビ局も番組づくりを制作会社に任せている体制だし、制作会社もなんだかネトウヨ路線の会社も多くなっていて。だからそういう政治ネタを延々流されるより、むしろ「スズメバチが民家の軒先に巣をつくっちゃった」という特集を組んでくれたほうがマシって思っちゃいますよ。しかも沖縄の基地問題という日本にとって需要な問題も、アリバイ的に触れるだけ。

金平 興味ないもん、制作側も視聴者も。実は本土の多数派は沖縄のことに興味ないんですよ。悲しいですけれど。

室井 あります! わたしは興味ありますよ。だって基地問題は沖縄だけの問題じゃないもん。

金平 本来はその通りなんです。僕も在京メディアのなかでは沖縄問題を取り上げ続けている自負はあるし、通い続けてもいる。でも、普通の報道マンは違う。「沖縄やったって数字ついてかないから、やったって仕方がない」と平気で公言している局員もいます。

室井 取り上げ方だと思う。「安倍政権に歯向かってる」みたいなつくり方したら、みんな面白いから絶対見るはず。

金平 いやいや、「安倍政権に歯向かってる」というつくり方をしようと思う報道関係者なんて何人いると思ってるんですか? 室井さんも本当はわかってるでしょう。どんなスタッフがどういうことを考えながら原稿を書いているか(笑)。

室井 確かに、すっとぼけて論点をずらしてるとは思います。それは嘘をついているのと同じことだと思う。たとえば、消費税を取り上げるにしても、ポイント還元の話を何時間も延々とやる。それより増税前の約束と違う使われ方をされようとしていること、大企業は減税されて税収入のトータル額はほとんど変わってないということを指摘すべきなのに。

■メディアが生み出した安倍政権の傲慢、統計不正問題でも厚労省が酷い会見

金平 わかりやすいからね。自殺した西部邁さんが言ったようにJAP.COM(アメリカ属国株式会社)になっちゃったんだよ、日本は。西部さんの言う通りで、国全体が株式会社みたいになっちゃって、儲けをいくらにするとか、ポイント還元とかの話ばかり。日本人のなかに数値主義、視聴率主義がすっかり根付いてしまった。でも、日本の1968、69年頃はめちゃくちゃ面白かったんです。たとえば最近、「1968年 激動の時代の芸術展」に行ったけど、赤瀬川原平のニセ千円札事件についての展示があって。ニセ札をアートとして制作したが起訴された事件だったけど、裁判になって、法廷で証拠物として“ニセ札”が陳列された。それを彼らは「展覧会」と称していて。しかも当時、時代の最先端にあった彼らは数値をバカにするんです。何でも数値化して何かやるのって「バカじゃないの?」って。でも、いまは数値、数値、ポイントポイントばかり(笑)。原子力資料情報室の伝説的人物の故・高木仁三郎も、1970年代、すでに「朝日ジャーナル」で数値化への批判をしていた。数字を物神化させ、それが唯一の価値の尺度となっている批判だったけど、実際、いまの世の中そうなってしまっている。もちろん税金の話もね。

室井 消費税増税にしても「ポイント還元で儲かる」って言われても、そもそも自分たちが払った税金でしょ。それを還元するって言われてもなんだか詐欺にあっている気分だもの。詐欺といえば、福島第一原発の事故対応費が民間シンクタンクの資産によると最大81兆円だというのが朝日新聞に出ていたけど、数値化がそんなに好きなら、81兆円ってすごく大きい金額だし、ワイドショーで出したら国民ぶったまげだと思うけど、ぜんぜんやらない。

金平 いまの政権にとって数値は自分たちの主張を通すための後ろ盾として使う道具だって考え方だから。数値は客観的な事実とか、そういうものではないという。道具だから。だから都合のいい数値しかあげられない。都合の悪い数値は隠す。

室井 最近では厚生労働省の統計不正なんか典型でしたよね。国民を騙すために政権と官僚が好きなように数字を操作できちゃう恐ろしい時代だと実感しました。

金平 ひどい話だよね。あのとき、厚生労働省が報告書を出したときの記者会見に行ったんです。厚生労働省特別監察委員会の樋口美雄委員長が、とにかくひどかった。会見の時間を区切っちゃって、ろくな解説もしないし、記者もあまり突っ込んだ質問しないんだよ。見てて腹立っちゃって。こんなことで記者クラブの連中も納得しているのか?と大いに疑問に思いましたよ。そのなかで僕は一番の年寄りだから「こんなので納得すると思ってるんですか?」というような質問をしたら、会見場が何だかシラっとするわけです。

室井 すっかり飼いならされてる感じがします。番記者なんか政治家が外遊するときにも同じ飛行機で同行したりして。

金平 ドキュメンタリーをやっていた先輩にこんなことを言われたことがあるんです。「記者の起源なんて(取材対象者に)同行して飯食わされたり飲まされたりして情報の密使の任務を果たす、そういうやつがおまえらの起源だよ」って。たとえば今野勉とか村木良彦などTBSが輝いていた時代のドキュメンタリストは「報道のストレートニュースをやっている記者は敵だ」なんて言ってたからね。「どうせ御用聞きだろう?」って。そのくらいラディカルだった。そういう人たちと番記者の間には緊張関係があったから、逆に僕なんかは悔しいから「そんなことストレートニュース部門の俺たちは言われたくない」って思って、一生懸命がんばって、スクープをモノにしようとしましたけどね。

■望月衣塑子記者問題の官邸前デモに参加した記者はわずか20~30人

室井 番記者との緊張関係といえば、東京新聞の望月衣塑子さんが話題ですよね。それまでほとんどまともな質問をしなかった記者クラブのなかで、菅偉義官房長官に果敢に質問して。それで官邸から排除され恫喝されているのに、他の記者は知らんぷり。逆に「彼女がいると邪魔だ」って言われちゃったりして。会見を見ていても、記者はみんなうつむいてパソコンをカタカタしてるだけ。

金平 3月14日に首相官邸前で新聞記者などメディア関係者らと市民約600人がデモをおこなって、望月記者への嫌がらせに抗議したけど、しかし現役の報道記者は、正直に言うと、20~30人くらいかな。あとはOB、OG、リタイアした人。現役記者としてはデモに参加すると会社に睨まれる可能性もあるからね。でも、それでは大きな力にならない。一線にいるメディア関係者が大挙してやらないと。人ごとじゃなくて自分たちの問題だという意識が希薄なんてすね。しかも望月記者が孤軍奮闘しているなか、江川紹子などが“どっちもどっち論”を主張するなど、ひどい状況です。

室井 自分は関係ない。自分の問題じゃない。番記者なんだから政府幹部センセイの言い分を聞いていればいい。そんな意識なんじゃない。だから望月さんの記者としての当然の問題意識も理解しないし、ひとり怖い思いをしているのも理解できない。わたしも秘密保護法のデモに行ったことありますが、周りを見渡したらメディア関係者や新聞社の人すら本当に少なくて。味方がいないって、本当に怖い。

金平 僕らの本来の仕事は、「権力は監視するものだ」ということで、とにかく権力を批判することです。「ウォッチドッグ」とも言うけど、そうした批判精神を失ったらメディアは存在価値がない。あと、これは筑紫さんが言っていたことだけど「マイノリティになることを恐れちゃダメだ。マジョリティなことを言い出したらダメ」だと。ダイバーシティ、多様性が大切で、一色に染まるのは「気持ち悪い」と。それはメディア人にとって基本ですよね。権力監視、少数派を恐れるな、多様性を尊重する。この3つがあれば少々の失敗は仕方ない。でも、いまのメディア状況を見ると、全部逆の方向にいっている。権力監視じゃなくて、ポチ、御用記者に成り下がり、それを恥じるどころか嬉々としている。田崎史郎とか岩田明子とか、大昔の山口敬之とかね。権力の真横にすり寄って、人事にまで口を出すようになる。

室井 なんでそんな御用記者がうじゃうじゃいて、まかり通っているのか、まったくわからない。

金平 特に最近顕著だと思うけど、テレビの制作側からしたら「政権に近い=便利に使える」という意識もあると思う。一方、御用記者は、政権や総理に近いことを、社内的生き残りの処世術、人事に使うわけです。「わたしは総理と直接話ができますから」と。みんな苦々しく思っているけど、そういう記者は社内的に力を持ってしまう。

室井 安倍政権で置かれた内閣人事局の構造、やり方と一緒じゃない。安倍さんに近い人、お友だち、イエスマンばかりが出世する。

金平 そうです。それがメディアがダメになった原因のひとつですね。御用記者が優遇され社内で出世する。メディア企業で、安倍政権と同じような構造が出来上がっている。ガタガタうるさいことを言う奴はパージされ、吠えないやつのが「かわいい、かわいい」と重宝される。

室井 なんか話を聞いていると、悔しくて絶望的な気持ちになるね。
(近日公開予定の後編に続く)


≪ 室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第13回ゲスト 金平茂紀(後編)

『報道特集』金平茂紀と室井佑月が激論! なぜメディアは沖縄を無視し、韓国ヘイトに覆われてしまったのか 『報道特集』(TBS)キャスターの金平茂紀氏をゲストに迎えた室井佑月の連載対談。前編では、安倍政権下で萎縮するジャーナリズムや御用メディア化、テレビの現場で何が起きているかを語ってもらったが、後編ではさらに、無視される沖縄基地問題と嫌韓報道の増殖、リベラルの退潮と排外主義の蔓延がなぜ起きたのか、にも踏み込む。ヒートアップするふたりの対論をぜひ最後まで読んでほしい。 (編集部)

********************

室井 メディアの御用化について話してきたんだけど、私が怖いのは、直接的な圧力とか忖度で黙らされてるうちに、みんなの価値観じたいが変わりつつあるということなんです。昔は社内的にマイノリティでも、カッコいいジジイがいて、頑張っていた。本多勝一とか筑紫哲也とか、リベラル左寄りのカッコいいジャーナリスト、メディア関係者が多かったと思うけど、いまは逆。ヘイト発言をするネトウヨみたいな人や、「高齢者の終末医療費を打ち切れ」なんて新自由主義的な主張する古市憲寿みたいな人、体制寄りの人がもてはやされて支持される。百田尚樹や高須クリニッックの高須克弥院長にも熱狂的ファンが付いている。いま、なんでこっち側が「カッコいい」と思ってもらえないんだろう。カッコよければ流れも変わると思うのに。

金平 “カッコいい”。それは大事なキーワードで、今後考えなければならないテーマだね。たとえば沖縄のキャンプシュワブの前で座り込んでいる人たちのスタイルは、確かにカッコよくはない。沖縄平和運動センター議長の山城博治さんとかが「すっわりっこめ〜♪ここへ〜♪」と歌うように促して。これって1950年代の三井三池闘争のときの労働運動歌なんです。それじゃあ若い人はついてこない。安保法制のときのSEALDsの成功を見て、ラップなど新しい試みが必要だね。ところが、いまの若者のなかには、「人と違ったりすることが嫌」という意識も大きい。自分の意見を自分だけで言うのがストレスだと。でも、戦前には自分の主張を貫いた若者もいた。先日『金子文子と朴烈』という韓国映画を観たんです。金子文子は大正天皇の暗殺を計画していたとされ、大逆罪で逮捕有罪(死刑判決、のちに無期に減刑)になった人物だけど、公判で「天皇陛下だって人間だろう。クソも小便もするだろう」と言い放ったらしい。それを演じる韓国人女優のチェ・ヒソもめちゃくちゃ魅力的で、セリフも自分たちで公判記録に基づいてつくって。“天皇陛下だって人間”のセリフも再現している。

室井 カッコいい人はいるんだもの。でも、それが広がらないしムーブメントにならない。若い人たちにもなかなか受け入れられない。そもそも弱者でもある若い人が、自分たちの首を絞めてる安倍政権を応援しているんだから。そういう人に議論を挑んだりもするけど、「自民党以外にどこがあるの?」「安倍首相以外、適任者いないですよ」なんて言われるだけ。

金平 僕も絶望的な気持ちになることもありますよ。僕からすると「格好いいな」と思う若い人はいるんです。でも、同世代にとってそういう若者は「怖くてついていけない」存在らしいしね。ラディカルだったり、自分で考え主張することを嫌う。お利口で聞き分けがいい。しかも30代、40代のメディア企業でいうと編集長とかデスク、キャップクラスがものすごい勢いで保守化している。韓国の金浦空港で厚生労働省の幹部が酔ってヘイト発言して逮捕されたけど、メディア関係者だって「いまの韓国政権なんか大嫌いだからあんなの叩きゃいいんだよ」って平気で口にする人もいるんだから。

■ポータルサイトに氾濫する産経の記事、無視される沖縄の米軍基地問題

室井 そうした保守化というより国粋主義・排外主義化ってどうしてなの? わたしには本当に理解できない。

金平 はっきり言うとお勉強していないんです。たとえばここ数年、ベネズエラでは深刻な経済危機で略奪が頻発し、強権的な政権の下、危機的状況が続いている。でも、ベネズエラのことを語るとき、南米の国々が、これまでアメリカにどんなことをされてきたかを知らないと、まともな報道はできないはずです。しかしそうした歴史に興味を示さないし、勉強しない。

室井 勉強じゃなくても、映画とか小説からとかでもいいのにね。わたしはそうして勉強した。

金平 みんなスマホしか見てないからね(笑)。これってすごい大事なことで、つまり、知識を得るときに、最初の入り口がスマホだと、ここで目にするのはポータルサイト。そしてそこにはライツフリーの産経の記事が氾濫している。僕のようにアナログ世代は、新聞を読み比べることでリテラシーを取得してきたけど、それがない。しかもネットニュースの字数は少ないから、ロジカルに物事を考える機会も少なくなる。しかもコミュニケーションの基本が変わってきているから、考え方も大きく変わる。僕らの仕事も、スマホとPCがないとなりたたなくなっている。

室井 価値観も大きく違っちゃってるしね。でも、ある意味、楽。若い編集者は飲み会もしないし誘ってもこない。原稿をメールで送って終わりだから(笑)。

金平 でも、そうした変化には弊害も感じますよ。ポリティカル・コレクトネス(PC)ってあるじゃない。PCがあらゆるところに行き渡った社会ってどういう社会になるかって話をある哲学者が書いていたけど。ベトナム戦争の時代にアメリカ軍が空爆してナパーム弾で村が焼かれて、裸の女の子が逃げてくるピューリッツァー賞を取った写真があった。戦争の悲惨さを伝える写真の一枚でベトナム戦争終結にも寄与したはずだけど、いまあれはダメなんだって。女の子が真っ裸で局部も写っているから、PC的に言うとNG、ダメだと。その話を聞いてびっくりして。それがまかり通ってる。

室井 すごい時代になった。文脈とか一切無視なんだね。効率主義がここまできたのか。

金平 だから右の政治家たちが「文学部とか廃止しよう」なんて言い出す。そしてポスト・ヒューマニティ、つまりAI・人新世・加速主義といった社会の諸問題が絡み合うという新潮流のことだけで。でも、効率主義で言うと、これは実は沖縄問題にも通じると思っています。沖縄の基地や経済について東京のメディアは「面倒臭い、関わりたくない、数字取れない」と。沖縄のことは自分たちに関係ないというスタンスがまかり通る。彼らにとって沖縄のことは実感がない=バーチャルなんでしょうね。それがいまの沖縄と本土、そして政府との関係を二重写しにしている。だから沖縄タイムスや琉球新聞が報道しようが、東京のメディア関係者には関心さえない。これはひどいよね。

室井 基地だって、アメリカのまともな学者や軍人は「いらない」って言ってるんでしょ。しかも沖縄では1995年に小学生の少女がアメリカ兵3人に暴行されたというひどい事件があったじゃないですか。それで沖縄だけじゃなく日本全体が反基地・反米感情で盛り上がって。でも、いまは沖縄問題を取り上げない。テレビ関係者は「視聴率が取れない」って言うけど、それは言い訳で嘘だと思う。東京オリンピックだってこれからますます盛り上げる気満々でしょ? テレビで取り上げた商品も爆発的に売れるでしょ? そう考えると、能力はあるくせに、基地問題をやろうとしない。安倍政権になって沖縄と政府の関係が悪くなって。だから忖度している部分もあるんじゃないかと勘ぐってます。

■局内にアンチ筑紫哲也の人たちがたくさんいることに気づかなかった

金平 残念ながら、いま僕が担当している番組だって、「沖縄の基地問題をやろう」って言ってもあまり反応はないと思います。生活密着型と称して、身近な、小さなストーリーを取り上げるのは一定の意味はあるでしょう。けれども一方で、社会的なこと、政治的なこと、世界のホットスポットで起きている論争や対立を取り上げることは、どこかで面倒臭いという意識が強いのではないかと思う。

室井 でも、韓国軍のレーダー照射問題とかは喜んで延々と放送して。みんな拳をあげて「けしからん。韓国許せない」って。政治評論家もコメンテーターも煽ったほうが儲かるからか、煽る煽る。しかもネトウヨ評論家になったほうが、講演の仕事も来るし。わたしは安倍政権前は講演がたくさんあったのに、いまはほとんどこない! 原発事故もそう。放射能はきちんと測るべきと言ったらバッシングされ、メディア関係者も「そういうことを言うのはいじめだ。福島の物を食べて応援しよう」って。食べてもいいけど、まず測れって言っただけなのに。本当に変な世界にいると思っちゃった。

金平 すぐに風評被害を持ち出すのがメディア。子どもの甲状腺がんにしても、すごい数になったら「検査をしちゃいけない」って。室井さんの言うように本当に変な世界に迷い込んだようだ。昨年、文科省の放射線副読本が改定され、そこから「汚染」という文字が全部消えた。その代わりに強調されるようになったのが、「復興」と「いじめ」という言葉なんですから。

室井 でも、こうして金平さんと話していると、考え方は似てるけど、ひとつ違うのは年代です。金平さんの時代は筑紫さんとかカッコいいジャーナリストがいたけど、わたしたちの世代にはいない。上の世代から引き継げなかった。

金平 僕らの時代にしても、先行世代の背中は見てた。日本赤軍とか連続企業爆破とか、三島由紀夫とか。それらの現象は、内実が解明されないまま、いまだに突出している、宙づりになっている、と僕は思ってるんです。そして、幸いなことに筑紫哲也というオヤジがいた。一緒に何でも話し合い、好き放題できた。迂闊だったのは、それを快く思っていなかった人が局内にいっぱいいたってこと。気づかなかった(笑)。だから筑紫さんが死んだ瞬間に、「なんだこのやろう」と反発を受けた。本当に迂闊だった。いまのテレビがなぜダメになったかというと、こうした継承がうまくいかなかったというのはあると思う。

室井 それで逆に左翼オヤジでもヒドいのが広河隆一。あれは本当に許せない!

金平 実際、ひどいことをされた被害者がいっぱいいたわけで、僕も申し訳ないけど、知らなくて。昔、「DAYS JAPAN」のDAYS国際フォトジャーナリズム大賞の審査委員を3、4年やったけど、結構勉強になったんです。3日間くらい写真ばかり見るんだけど、報道写真は目に焼きついているものが多い。広河さんが編集部でそんな権勢をふるって、そんなことをやっていたなんて思いもよらなかった。

室井 御用ジャーナリスト山口敬之の事件と重なっちゃう部分もあるしね。自分の立場を利用したっていう。でも、山口事件のような、体制寄りの人が、性暴力ふるってもあちらの陣営は権力を使ってもみ消すけど、広河さんみたいな人がやると致命的になる。わたしが正直に思うのは、右のオヤジと左のオヤジがいて、両方女性差別主義者なんだけど、右のオヤジは「女は自分より下で弱いものだ」と思っているから庇ってくれることもある。でも左のオヤジはそれさえなくて、ただ差別してくる(笑)。「どうせバカなんだから」って。女性差別オヤジで言うと、右も左もひどい。ちなみに左のオヤジは食事しても割り勘にしようとする。でも右のオヤジは「俺が払うよ」って金は払う。

金平 わかりやすすぎる。ただそれでその人の、写真家としての業績も同じように終わっちゃう、全否定されるというのは……難しい問題も残りますね。

室井 ピエール瀧が逮捕されたときに作品をお蔵入りにしたのとも似ている話で、ピエールには被害者がいないけど、広河問題は被害者がいる。単なる愛人問題とかじゃなく、性暴力の問題だから。

■エコー・チェンバー・エフェクトをどう乗り越えるか

室井 それにしても金平さんと話していると、メディア状況は最悪だし、その背後の安倍政権を言葉や言論によって倒せそうにないし、どうしたらいいんですか!

金平 並大抵じゃないんですよ。今回の対談もそうだけど、結局、室井さんと僕の考え、ベースは同じでしょ。それは市民運動をやってる人たちや、“良心的”ジャーナリストなどもそう。“内輪”だけで話をしても、「そうだよね」「そうだよね」となる。それは密室のエコー・チェンバー・エフェクト、こだまになっちゃう。これではやはり、政権は倒れないし、カッコ悪いと思っていて。そこから一歩進んで、安倍政権を支持している人々とも対話する。マイケル・ムーア監督の映画『華氏119』なんかいい例だと思うけど、ムーアはドナルド・トランプの熱狂的支持者と話をすることで、トランプ大統領を誕生させたアメリカ社会に切り込んだ。そして全員が「トランプ! アメリカファースト!」と叫んでいるなかで、講演をする。すごかったのが「お前たちの言っていることはわかるし、だけどお前たちも俺もアメリカ人で、こういう方向を目指してたじゃないか」って言うと、みんなトランプ支持者だった奴らが泣き出して。最後は「マイケル・ムーアが選挙出ろ!」みたいなことになる。日本でもこれは可能なんじゃないか。もちろんネトウヨや在特会なんかはしんどいかもしれないけど、安倍政権を支持している普通の人とは会話ができると思っている。「他に誰がいるの?」くらいに思っている人たちって、結構いっぱいいるはずだからね。

室井 確かに、一方的なテレビの報道で、ここ数年で考える正義の方向性がちょっと歪んでしまった人、いびつになっちゃった人って多いかもね。でも、そういう人たちに対して、上から目線で距離を置いたり、自分が無関係なスタンスを大人だと考えている人はずるいよね。

金平 安倍首相の自民党総裁4選も大っぴらに語られているし、元号が変わって大騒ぎしてるけど、このままでは何も変わらない。変わったのはむしろ若い人たちの考え方、思考様式だと思う。望月衣塑子記者の件でも思ったけど、たとえばスマホの普及で、スマホ的価値、つまり記者会見で「なに面倒臭いこと言ってるんだよ」「もっと簡略にお願いします」「質問は10秒以内」などと邪魔する人間は、すでにそうした価値観に毒されている。ロジカルに長々と質問することだって記者にとっては大切なはずだし、面倒臭いことは大切なんことだと思う。面倒臭い奴は必要だとさえ思う。

室井 わたし、生まれたときからずっと面倒臭い人間だから。あっ、金平さんも同じだね。

*金平茂紀 1953年生まれ。1977年にTBS入社後、モスクワ支局長、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長などを歴任。2016 年執行役員退任後も現在まで『報道特集』のキャスターをつとめる。
* 室井佑月 作家、1970年生まれ。レースクイーン、銀座クラブホステスなどを経て1997年作家デビューし、その後テレビコメンテーターとしても活躍。現在『ひるおび!』『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS)、『大竹まこと ゴールデンラジオ』(文化放送 金曜日)などに出演中。
 ≫(リテラ)

コメント

●薄っぺらな議論 日本は独立国家なのかなんて

2019年04月26日 | 報道

●薄っぺらな議論 日本は独立国家なのかなんて 

公式な発言としては、日本と云う国は独立国だ。国連に加盟して、安保理の非常任理事国などに、何度も就任しているのだから、国連的には独立国なのだろう。

なのだろう、と疑問符を付けておいたのは、国連憲章の条文に「第二次世界大戦中に連合国の敵国であった国」(枢軸国)に対する措置を規定した第53条および第107条等による「敵国条項」は、事実上、無効化しているは言うものの、いまだ削除されていない現状があることだ。

つまり、国連に加盟できているから、独立国なのは当然だと云う論にも、実はどこか怪しげだ。

昨日書いた点でも、わが国が、純粋な意味で独立国とは言いがたい幾つかの要件がある。

それにしても、英国やフランスと戦ったドイツやイタリアは、戦後、英国が覇権国の座から下り、米国に、その座が移ったことで、独伊に対する米国支配は手ぬるく見える。

理論的ではないが、白人国家と東洋人国家の差別も感じないわけにはいかない。

その思いを鮮明にするのが、唯一、人体実験のような原爆投下だ。それも、唯一の人体実験だと強く認識した、周到な準備を経た原爆投下で、2都市を壊滅的に破壊した。

そして、戦後70年を過ぎても、米国による日本占領は、事実上継続していると言って過言ではない。

日本では、一見、自由な選挙により、国会議員が選ばれ、立法行政が民主的に運営されているフリを、国民全体で、欺瞞の世界を作り上げている。

テレビから新聞に至るマスコミも、多くの学者や文化人も、全員が、本当に独立国かどうか訝しく思いつつも、ポジショントークで時代を見過ごしている。

自分達から仕掛けた戦争だとはいえ、開戦間際を除き、物量作戦でボコボコにされ、沖縄戦では沖縄県民に犠牲を強い、最終的には、東京大空襲と二発の原爆投下で完全降伏。

諸事情から、わが国にも言い分はあるのだが、戦勝の白人系諸国から見れば、東洋人の敗戦国、日本を痛めつけることは、国際的承認欲求に対応できるものだった。

その東洋の敗戦国を明治以来の、天皇制と官僚制を温存することで、米国に隷属することを、暗に示し、見えない統制力で70年以上、日本を植民地並みに支配しているのが米国なのは、知識人の多くは薄々知っている。

しかし、その事実を有効に使い泳ぐように生きている、属国の支配階級が、見せかけの支配を行っている。

ただ、この見せかけの支配をしていること自体、行っている人間が自覚的かどうか、その辺は曖昧だ。

この曖昧さが、罪の意識を薄め、不思議な安定を生んでいる。まさか、ここまで都合よく、隷米な日本が復興し、70年も、いや、今後の70年も続くのかと思えば、米国にしてみれば、笑いが止まらないだろう。


≪ F35墜落事故と武器“爆買い”の闇 事故原因究明まで米国の言いなり 日本は独立国家なのか

【 中谷元・元防衛大臣、山崎拓・元自民党副総裁、宮本徹・共産党准中央委員、半田滋・東京新聞論説兼編集委員が深層を語る 】

 航空自衛隊三沢基地の米国製戦闘機F35Aが青森県沖で墜落した。日本は同機を米国に105機発注しており、安倍首相とトランプ大統領の密月の証しとも言えるが、かねて様々な欠陥を指摘されてきた。事故原因の調査、同機「爆買い」の理由究明など、日本の主権が問われる重大な課題が浮上している―。

 気になる事故である。

 航空自衛隊三沢基地所属の米国製最新鋭ステルス戦闘機F35Aが、4月9日青森県沖に墜落した。

 F35Aとしては世界初の墜落事故。自衛隊からすると飛行隊編成後2週間足らず、しかも、ベテランパイロットによるものだった。同機は最先端の軍事技術の結晶とも言われ、今後数千機レベルで量産される米国最強の輸出商品である。日本も100機レベルで発注、安倍晋三首相、トランプ大統領の日米蜜月同盟のシンボルとも言える。

 それが落ちた。両政府の衝撃は深く重い。連日自衛隊中心に懸命の捜索作業が続く。米国は在韓米軍から高高度偵察機U2を派遣、異例の対応をしている。

 このニュースをどうとらえるか。実は苦手な分野である。政治記者として防衛省を担当したことがない。  ただ、専門家の話を聞くにつけ、これはある意味、日米安保体制の核心を突く事故ではないか、と思えてきた。以下取材報告をしたい。

 まずは、中谷元・元防衛相である。事故発生直後、某テレビ番組でご一緒した時の彼のコメントだ。

「大変なことが起きた。世界最新鋭の機密が詰まった戦闘機が、部隊配属されて2週間もたたないうちに事故が起きて墜落した。ただ事ではないと思う」

 自衛隊出身で現場を誰よりも知る中谷氏の言である。私の中でニュースバリュー判定の針が激しく揺れた。その後改めて聞いた。

 欠陥機だった? 「世界の中で一番技術を持った航空機だ。導入自体は間違いなかったと思う」

 操縦士はベテランだ。 「F35Aで約60時間、他の機種を含め、約3200時間の飛行経験があり、編隊長として訓練を率いていた。ただ、最新ハイテク兵器を使いこなすためには、F1レーサーのようなテクニックと、IT機器を使いこなす能力の両方必要だ」

 事故原因はどっちにあるのか。機体の問題か。それとも操縦ミスなのか。中谷氏は事故原因の推測には慎重だった。さもあらん。尾翼の一部しか回収されていない段階である。

■F35は様々な欠陥が指摘されてきた

 調べると、一つ手がかりが見つかった。今年2月15日の衆院予算委員会で共産党の宮本徹衆院議員がF35について、米国会計検査院(GAO)から未解決の欠陥を966件指摘されていたことを明らかにし、政府を追及していたのである。

 早速、宮本氏に聞いた。

「墜落したと聞いた時? ショックですよ。私も欠陥機だと追及してきたが、本当に落ちてしまったと」  なぜF35の質問を? 「安倍政権が昨年12月18日の閣議了解で、F35を新たに105機追加取得することを決めた。そんなに買うのか、という素朴な疑問だ。防衛計画大綱と中期防衛力整備計画を決めた同じ日に、大綱や計画にはないF35大量購入を別途決めている。一体どういう代物なのかと調べ始めたら、いろんな欠陥が会計検査院や国防総省運用試験・評価局で指摘されていることがわかった」

「すべて中身が公開されているわけではないが、『主要な技術的なリスク(危険)』の一つとして、F35のパイロットが酸欠症状を訴えた事例が2017年5~8月までに6件発生したと指摘している。『墜落の危険』ともあったので、そんな危ないものを飛ばし続けていいのか、と政府を質(ただ)した。岩屋毅防衛相は、原因は米国で調査中で、各国に情報を提供している、という」

「F35に関する情報については全部米国頼みであって、日本政府が独自に検証できるものは何もない、ということがわかった。検査院の欠陥指摘も米国に大丈夫だと言われているだけできちんとした情報をもらっていない。パイロットにも国民にも極めて無責任な形で運用されていると感じた」

 ここからは、東京新聞・半田滋記者に疑問をぶつけてみる。F35について軍事ジャーナリストの中では最も精通している、と言われる人物である。中谷、宮本両氏からの推薦もあった。 

 あなたは、F35は技術的には未完成の戦闘機だ、と以前から指摘していた。

「ついに起きたかと。F35の先輩機種にF22があるが、これは1機も落ちていない。なぜか。空軍が使う専用機で、米の技術陣が総力を挙げて真剣に取り組んだ末にできたものだ。それに比べ、F35は、空軍、海兵隊、海軍の3軍が使うので、それぞれの要求を一つの機体に盛り込み重量オーバーになる。しかも、F22が2個のエンジンなのに、F35はコスト削減のため重たい機体を1個のエンジンで飛ばさなければならない」

「結局F35はあれもこれも詰め込まねばいけなくなりコスト高になり、トランプが就任前にツイッターで『高い』と呟(つぶや)いたら製造元のロッキード・マーチン社の女性社長が値引きした、という話もあった」

 機体発見の可能性は?

「戦闘機が海に落ちると、墜落場所を探すのが難しい。戦闘機自体が凄(すご)い速度で飛んでおり、海に落ちてもコンクリートに激突するのと同じで、バラバラになる。青森沖は親潮があり、日によって流れも変わる」  操縦ミス、体調不良の可能性は低い、との見方だ。

「いずれも考えにくい。自分の体と相談しながらやっていたはずなので、無理のない、基地に戻れる範囲で訓練を打ち切っているはずだ。ただ捨て切れないのは、空間識失調(バーティゴ)という平衡感覚喪失状態に陥った可能性だ。機体が逆さまになっているのにパイロットが気付かず操縦桿(かん)を引くと逆に海に落ちてしまう。最近の戦闘機はボタン一つで機体制御してくれるが、パイロットの自覚がないとそういう動作をしないことはある」

 現時点では、墜落機はノック・イット・オフ(訓練中止)と通信してから1分後にレーダーから機影消失した、という状況証拠しかない。 「緊急脱出していれば救難信号が自動的に出るが、それがなかった。1分間の間に機体を立て直そうとして何もできないうちに海に突っ込んでしまった……」

 1分間に何があった? 「機体がアンコントロール(制御不能)になった、というのが一番わかりやすい解釈だ。F35はよくできていて、人工知能で機体を自動的に制御できる設計になっている。多少変な操縦をしても飛行機のほうが正しく制御してくれる。だとすると、全く別の要因でそういった機能が全く失われた可能性がある。御巣鷹山に落ちた日航ジャンボ機も、垂直尾翼が吹き飛んで制御不能となった。F35に詳しい関係者は、エンジンが爆発するなど深刻事態の発生ではなかったかと指摘する」

■貿易摩擦を武器購入で解消?

 17年に米ルーク空軍基地で6件の酸欠症状があったこととの関連は? 「あの基地だけで起きたというのがわからない。ただ、深刻なのは、防衛省がGAOの指摘を米国防総省から伝えられていない疑いがあることだ。彼らは自分たちにとって不都合なこと、自分のポストが危うくなるような事態が起きると平気で嘘(うそ)をつく。そもそもF35選定時は未完成の機体だった。マイナスになるような情報を出すわけがない」  遡(さかのぼ)って機種選定に問題があった?

 F35はF4の後継機種として、野田佳彦民主党政権の11年に42機の導入が決まった。

「航空自衛隊がステルス性戦闘機が欲しいと、他の意見に聞く耳を持たなかった。欧州のユーロファイターがいい、という意見もあったが押し切った。今さら空自も泣き言を言えない」

 なぜステルスに?

「F22の存在が大きかった。相手から見えないのに、こちらからは丸見え、戦えば必ず勝つ、という性能だ。F22は海外には売らないと米議会が議決、F35しか買えなくなったからだ」

「だが、実はその時は立ち止まるチャンスでもあった。中露でもステルス機の開発が始まり、ステルス機を発見して撃墜する能力を各国が身につけ始めた時期でもある。ステルス機といってもエンジンから出る熱は隠しきれない。赤外線探知で一発でばれる。レーダーでも近代的高周波でなく低周波、例えば第二次大戦のころ使っていたレベルの低いのだと見えてしまうとか、いろんなことがわかり始めていた。だが、米国も採用している、ステルスがいいと凝り固まってしまった。ライバル機との飛行テストを排除して、カタログ性能だけで選択した。ボタンの掛け違いがあった」

 それから7年後。安倍政権はそのF35を計147機体制とする方針を決めた。決定済みの42機に加え、1兆2000億円以上かけてF35A63機、F35B42機、計105機を追加する、という。短距離離陸・垂直着陸型であるF35Bは、空母化される「いずも」型護衛艦での運用が念頭にあった。トランプ政権との通商摩擦解消策ともいわれた。トランプが米国の対日赤字を重視し、自動車への関税措置をちらつかせていたからだ。

「今回は自動車との引き換えだ。それ以外は考えられない。一石二鳥だ。自動車の引き換えにもなるし、いずもの空母化にもなる」

 17年11月の日米首脳会談後の共同記者会見が思い起こされる。トランプが「日本の首相が、必要な防衛装備品を大量に購入しようとしている。完全なステルス能力を持つ、世界最高のF35戦闘機や、様々なミサイルだ。率直に言って、1~2年前はそれほど購入していなかった」と発言している。その時点でディール済みだった可能性がある。

「貿易摩擦を安易に武器購入で解消しようとするべきではない。武器は適正価格がない。丼勘定で、相手の言い値で買う。赤字解消に役立つように見えるが、戦争になった時に欠陥品を買い続けることにもなる」

■日米関係の根幹に触れる問題

 今回の事故は、対外有償軍事援助(FMS)という現行調達システムの問題点も浮き彫りにした。値段から作り方、機密維持などすべて米側の言いなりだ。

「墜落機は三菱重工業小牧南工場で組み立てられた1号機。ただし、その実態は、三菱重工がロッキード・マーチン社の『下請け』に入ったようなもので、指示通りに組み立てるだけで、部品の大半はブラックボックス化され、部品の持つ意味も製造技術も日本側には開示されていない。しかも、最終検査は日本人関係者を締め出した別棟で米側だけで行われた。こういう米政府による秘密保持の姿勢が、今後の事故原因解明の妨げとなるおそれがある」

 責任だけは日本が押し付けられる可能性があると?

「工作上の問題だと言ってくる可能性がある。ロッキード・マーチン社で作っているのは1機も落ちていない、と。情報がない中、丁々発止のやりとりをするのが不可能だ。事故調査は一方的なもので、結果だけが伝えられる可能性もある。今回のことを機にFMSについて、こんな不公正な取引は改善してほしいと言うべきだ」

 調査結果はいつごろ? 「事故発生から4カ月以内に防衛相に報告する義務がある。機体引き上げができるか、フライトデータレコーダーが見つかるかがポイントだ。飛び方によって機体の問題か操縦ミスか、ある程度推測できる。問題は、機体の安全性について確証が持てない段階で、米国のお墨付きによって使い続けるかどうか、だ」

 自民国防族のドン、山崎拓元自民党副総裁は、以下の見解を示してくれた。

「問題は二つある。一つは、FMSで買っているから原因究明を我が国の手でできないということだ。企業機密を盾に本当のことは教えてくれない。もう一つはそれにもかかわらず、105機も追加注文したことだ。安倍氏が貿易赤字解消のためトランプにおもねった。負債、負担を国民に与えるとんでもない買い物だった。しかも不必要だ」

 F35は必要なかった?

「ステルス能力は価値がある。ただ、そんなにたくさん買ってどうするの、ということだ。どこに置き、誰が操縦するのか。自衛隊も新たにパイロットを養成しなければならない」

 戦闘機購入といえば、かつては商社や政治家の介在もあり、カネも動いたが?

「そんな小さな利益の問題より105機も必要ないものを買った国民的不利益のほうがずっと大きい」

 二つの問題がある、と思う。一つは、自国の防衛装備の欠陥について、FMSの壁を突き破り、どこまで納得のいく調査を行い、それを今後に生かせるか。それができなければ独立した主権国家とはいえない。  今一つは、なぜ105機も爆買いするに至ったのか。トランプ側からどういう圧力があり、安倍政権がどう応えたのか。国会でぜひ検証してほしい。日米関係の根幹に触れる問題である。
≫(毎日新聞)

コメント

●限界と綻び鮮明 国連と米国による日本支配の構図 

2019年04月25日 | 報道

 

「縄文」の新常識を知れば日本の謎が解ける (PHP新書)
関裕二
PHP研究所

 

戦争にチャンスを与えよ (文春新書)
Edward N. Luttwak,奥山 真司
文藝春秋

 

国連の政治力学―日本はどこにいるのか (中公新書)
北岡 伸一
中央公論新社


●限界と綻び鮮明 国連と米国による日本支配の構図 


米国による日本支配は、戦前からのことである。第二次大戦中に一時途絶えたが、戦後、再び元の支配体制に戻っただけだ。

特に、第一次大戦の勝利に酔う我が国は、ウォールストリートの金融マフィアらと共謀して、金儲けに勤しんでいた歴史がある。

日本の旧財閥の殆どが、このウォールストリートの金融マフィアとは友人関係にあった。

当然、ユダヤ人を中心とする金融マフィアの連中だったので、安倍首相などは、イスラエルに親近感を抱いているのだろう。

ただ、歴史の皮肉なのだろうが、ドイツにおいては、この金融マフィアの横暴な支配が、ナチスを生み、トンデモナイ、ユダヤ人迫害に繋がったのだから、歴史はボタンの掛け違いで、右にも左にも激しく転ぶものである。

日本と米国の関係は、日米の軍事同盟(日米安保)に限らず、米国は、戦後の官僚制と天皇制を保持することを選択、支配構造に、その力を組みこんだ。

ゆえに、戦前の天皇制と官僚制は、戦後においては、米国の意図に逆らう選択のない永遠のポジションと云う哀しげな地位が与えられたと理解する。

天皇制は、相当程度、治外法権な位置づけで、政治とは一線を画しているので、米国の意を汲む思想は、特段に壊されるリスクはなかった。

ただ、今回の天皇の生前退位などは、おそらくCIAの協力があったことが窺える。その後ろ盾があったので、安倍政権も、嫌々従ったと観るのが自然だ。


現在も、安倍政権が宮内庁にゲシュタポを送りこむものの、天皇制の存在依拠である「日本国憲法」護憲の精神は、米国の意志で維持されている。

安倍政権が、声高に「改憲」を一部の支持者にアピールしているようだが、両院で2/3議席を有しているにも関わらず、改憲発議まで持って行かないのは、持って行けないと云うより、持って行く気がないのが真実ではないかと思う。

表立った「改憲」には、日本国憲法を共同作業で生みだした、米国による、日本封じ込めの精神に反するわけで、米国中枢の怒りを買うリスクは残されている。

或る意味で、戦勝国全体への約束を反故にする意志表示にみえるリスクを抱えている。


天皇制を堅持したい皇室は、あくまで、“このままこのまま”を望むのは当然だ。

官僚制の側は、天皇制と異なり、日々日常において、政治との軋轢があり、米国支配と現行政権支配と云う、二重の管理者に使える身になっている。

このような立ち位置にある官僚たちは、原則は、行政のサボタージュを行う。

しかし、現在の安倍政権のように、官僚らの人生にまで手を突っ込むような管理体制を敷き、強圧的支配に置かれる。

米国というビッグ・ブラザーと政治と云うビッグ・ブラザーの両方の顔色をみる慌ただしい行政が必要になる。

結果、自己矛盾に満ちた法律や行政に手を出し、あやふやだった自分の国のバランスを、己の手で掻き交ぜる愚行に走っているのが現状だ。

つまり、ふたつのビック・ブラザーに挟まれ、身動きが取れないならいざ知らず、この二つの管理人は、言うことが異なるため、あちこちと命じられるままに弄りまわし、わが国の行政の仕組み自体を破壊した。

だいぶ前に書いたことだが、消費増税再々延期と衆参同日選を占ったが、現実味を帯びてきたようだ。

最近気づいたことだが、安倍政権と云うのは、米国を裏切ろうと云う心根を持ちながら、接近するたびに、様々なミッションを言い渡され、唯々諾々とそのミッションを受け入れてきた。

結局、安倍晋三の心根などは、些細なもので、米国の意志の前では、常に風前のともし火に似たもののようである。

つまり、日本の政府は、条件闘争は或る限られた範囲で認められているが、基本的な戦後の条件を覆すことはまかりならぬと戦勝国に言い渡された国家だと云うことだ。

このように考えてしまうと、なんだか、籠の鳥のようで物悲しいが、筆者は、さほど気にならない。

エコノミック・マニアな日本人の場合、経済大国という誇りとか、“ニッポン最高”みたいな感覚の人々にとって、現状の世界の枠組みは、息苦しいのは理解する。

ただ、その息苦しさは、偶然得たポジションに汲々として、己の真の姿を見失った人々と言えるだろう。

我々は、いつまで、経済大国の亡霊につきまとわれるのか、不思議でならない。

NHKを中心とするマスメディアの方向性が、日本人をエコノミックな価値にのみコミットする人々に教育したと言っても良いだろう。

世論調査の結果、政治に望むことは、景気・雇用、社会保障・年金など、経済事情に限定され、平和とか、豊かとか、平穏とか、融和とか、共生とか、そういう方向に人々が向かうような方向性を提示しないのだから、利己的動物の人間が向かうはずもない。

 災害が起きた時にだけ、経済以外の価値観を賛美してもダメなわけで、経済というものは、人間の煩悩であり、或る意味賤しいものでさえあると云う教育が欠如しているとしか言いようがない。

何が言いたいかと云うと、国連主義における戦勝国である常任理事国5か国+5Gが、ビッグ・ブラザー(ここまで来ると、ブラザーズになるのだが)であり、この基本的考えは永久に?変わらないのが国連主義である。

日本の一部の人には、だから再度戦争をして、戦勝国にならなければならない、と力む人もいる。

このようにギュウギュウ締めつけられている状況であれば、国連主義が保持している価値観から抜け出せば、彼らビッグ・ブラザーとの接点も消える。

つまり、彼らの管理範疇の外の世界にいることは可能なのだと思う。

国連主義も万能ではないわけで、彼らの価値観から遠ざかれば、彼らは、自らの枠をはみ出して、管理範疇の外の世界に足を踏み入れることはないのだ。

おそらく、まだ明確には見えていないが、これからの日本が国連主義の管理下から脱出する方法は、第三次大戦の戦勝国になるのではなく、戦勝国の管理下以外の価値観の世界に向かって行くことではないかと考える。

その姿は、まだおぼろげだが、幾分見えてきている。


思いつきで世界は進む (ちくま新書)
橋本 治
筑摩書房

 

「明治礼賛」の正体 (岩波ブックレット)
斎藤 貴男
岩波書店

 

「縄文」の新常識を知れば日本の謎が解ける (PHP新書)
関裕二
PHP研究所

 

コメント

●F35の墜落 官邸は最新戦闘機で何がしたいのか?

2019年04月24日 | 報道

●F35の墜落 官邸は最新戦闘機で何がしたいのか?

安倍官邸は、アメリカが推し進めるForeign Military Sales(FMS)の制度に沿って、見境もなく、自衛隊が欲しいと言っているわけでもない米国製の最新鋭?とセールストークされる戦闘機やイージス艦やミサイル防衛システムを買い込んでいる。

その金額は、米国に支払う購入費のほかに、その戦闘機等の維持管理費も含めると、5兆から10兆円の出費が確定している。当然ながら、これらの費用は防衛費なので、本来自衛隊が必要とする日常的防衛装備品の予算を圧迫し、トイレットペーパーもまともに支給されないと冗談はなしまで出ている。

そもそも、憲法第9条の専守防衛の枠をあきらかに逸脱した武器の購入に、何の意味があるのかが判らない。

防衛に役立つからと言う屁理屈を並べれば、核兵器だって、当然だが防衛に役立つだろう。

いや、官邸などに棲んでいる人間の中には、防衛上致し方ない行動だったと位置づけながら、どこかの国と戦争になることを望んでいるフシさえ見られる。

無論、現状の仮想敵国としてイメージしているのは「対中」らしいが、核を一発見舞われて、へなへなとなるのは火をみるよりもあきらか、流石の安倍官邸にも、中国と戦火を交えるバカはいないだろう。

それに、アメリカ自体が世界の権力図を変えようとは思っていないのだから、対中戦争などに共同歩調を取ることはない。我が国は、孤立無援だ。

となると、北朝鮮か?いや、これも、制御不能な核を撃ち込まれた場合、「対中」以上に怖い結果が生まれそうである。

核大国ロシアも同様で、手も足も出ない。

近隣の国で、核を保有していない国は、どうみても一国しかない。

同盟国であるアメリカは、三国同盟のつもりでコントロールしているわけだから、戦火を交える筈はないと考えている。

しかし、交戦状態になれば、米軍は日本から撤退するだろう。しかし、北朝鮮がある以上、隣国から撤退するとは限らない。

戦火を交えると、米軍基地にも被害が及ぶ可能性があり、腰の引けた戦いになる。 :まかり間違って、米軍基地に撃ち込むようなことが発生したら、一発アウトだ。

つまり、最終的には、米国製の戦闘機等は、宝かどうか別にして、宝の持ち腐れなのである。

それでも、どこかと戦火を交えたい心根の人々がいるようだ。

おそらく、その勢力の狙いは、日本経済を「戦争経済」の坩堝に投げ込みたい意図がある場合だけだ。

常識的にはあり得ないのだが、現実の世界では、不合理で、非常識なことが起きるものである。

どこか日本の権力中枢には、常に、この戦争を好むDNAが潜んでいるように思われる。

それを封じ込めるのが憲法なのだが、解釈改憲で、法はどのようにでも扱えると味を占めた連中が手ぐすねを引いているのは事実だろう。


≪ F35A事故が照射する 防衛政策 根源的疑義=高村薫
 季節外れの寒波で関東甲信越が雪景色になった10日、早朝からメディアはどこも「平成最後の雪」と騒ぎ続け、前日夜に青森県沖で消息を絶った航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Aについての続報は、見る影もなかった。

 4月の大雪と、鳴り物入りで導入された一機140億円の次期主力戦闘機の、世界初となる墜落事故と。比べること自体がむちゃなのは承知の上で、いったい事故の扱いを極力小さくするよう国から圧力でもかかったのかと、思わず勘繰ってみたことである。

 というのも、AIで高度に自動制御された最新鋭の戦闘機で、搭乗員が緊急脱出もできないような事故とはいったいどんな事故なのか。この2月に山口県沖でF2戦闘機が墜落したときには搭乗員は脱出しているが、今回はなぜできなかったのか。最新鋭の機体でそんなことがあるのか。一国民の頭は単純な疑問でいっぱいである。

 搭乗員が飛行時間3200時間のベテランで、しかも機器はほぼコンピューター制御となれば、事故が操縦ミスである可能性は低いだろう。ならば、過去にも2度あったという機体の不具合か。何らかの設計ミスか、ソフトのバグか。自衛隊はもちろん、米軍も艦艇や哨戒機を出して水深1500メートルの海底に沈んだ機体を捜索しているが、仮にフライトレコーダーや機体の回収ができても、そもそも機体の全部が米軍の軍事機密であるし、点検整備さえ自前で行えない自衛隊は、原因究明の作業も当然蚊帳の外だろう。いったい、自ら事故の検証もできない兵器を戦力と呼べるのだろうか。

 報道によれば、2012年から順次導入が進むF35A、42機の取得費が約6000億円。30年間の維持整備費1兆2877億円。さらに昨年末の中期防衛力整備計画で追加購入が決まったA型63機、垂直着陸機のB型42機の取得費が合わせて1兆2000億円。そしてその維持整備費が30年で約3兆円。

 この莫大(ばくだい)な買い物はすべてアメリカ政府のForeign Military Sales(FMS)の制度を利用して行われている。同制度を日本政府はなぜか対外有償軍事援助と呼んでいるが、読んで字のごとく原意はずばり「セールス」である。

 同制度は、自国で開発できない最新兵器を入手できる半面、価格や納期などの契約条件をメーカー側が一方的に握っており、非常に割高な買い物になることが前々から指摘されている。しかも維持整備もメーカーが行うので、日本は大金を払って、まったくのブラックボックスを買うことになる。

 かくしてF35のほか、輸送機オスプレイ、早期警戒機E2D、無人偵察機グローバルホーク、迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」と、現政権はアメリカの言いなりに続々と高額な兵器を購入し続けているのだが、FMS調達の増大は当然、防衛予算を圧迫する。現に昨年末には、防衛省がついに国内企業62社に装備品代金の支払い延期を要請するに至り、私たち国民を唖然(あぜん)とさせた。

 さらにF35Aの導入以降、スクランブル用のF15をはじめ、訓練機や哨戒ヘリコプターの維持整備に十分な費用や要員を回せず、自衛隊本来の任務や備品の補充に支障をきたしているとも言われる。しかも、現場よりも官邸主導で購入されたこれら最新鋭兵器の一部は、現場が必ずしも必要としておらず、十分に使いこなすことのできない代物だという話も聞く。

 憲法9条の是非以前に、まともな戦略も知識もない非常識な官邸主導によって、自衛隊の装備と人員の双方で深刻な疲弊が進んでいる。墜落したF35Aは、去年6月まで機関砲や短距離空対空ミサイルさえ持たずに配備されていた。国会では2月、その機関砲の精度が米軍の仕様基準を満たしていないことが問題になった一方、専守防衛を逸脱する長距離巡航ミサイルを搭載する話が進んでいる。

 いったいこの国はF35Aに何をさせたいのだ? 戦争ごっこなら、せめて無人機でやれ。 (高村薫)

*たかむら・かおる  1953(昭和28)年、大阪市生まれ。93年『マークスの山』で直木賞。98年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞。2016年の『土の記』で野間文芸賞、大佛次郎賞、毎日芸術賞をそれぞれ受賞する。
 ≫(毎日新聞)

コメント

●吹き荒れるビッグ・ブラザー ノーテンキな「令和」な人々

2019年04月23日 | 報道

 

オーウェル評論集 (岩波文庫 赤 262-1)
小野寺 健,小野寺 健,George Orwell
岩波書店

 

東京プリズン (河出文庫)
赤坂 真理
河出書房新社

 

箱の中の天皇
赤坂 真理
河出書房新社

 

●吹き荒れるビッグ・ブラザー ノーテンキな「令和」な人々
後半の統一地方選が行われた。選挙の起動力となる市議レベルの選挙だが、あいかわらず自民党、公明党の強さが目だった。

未だに日本維新の会がそれなりの勢力を保っているのは不思議だが、大阪の不思議と云うか、東京への対抗心が変わった形で生まれた結果なのだろう。横山ノックさんが知事になったのだから、東京人が口出しすべき問題ではないと言われているようだ。

ただ、維新の力量は大阪地域のみなので、国政レベルで気になるものではない。気になるのは、共産党の退潮だ。最も野党共闘で、自己犠牲している同党が傷だらけと云う状況は幾分痛ましい。

しかし、同日に行われた衆院2補選は、鮮明に自民党が敗北を喫した。

このことは、自民にとって、相当の痛手だと言えるだろう。沖縄、大阪では、反自民と云う政治風土が定着したと言っても過言ではない。

同党議員の死去に伴う弔い選挙で楽勝だったはずの大阪12区でも、日本維新の会の新人に大差で敗れた。

最近、大阪は反東京と云う風が吹いているらしく、当分は維新にお任せムードになっている。

正直、安倍自民は、このまま参議院選挙に単独で突き進む気にはなれない情勢になっている。

つまり、消費増税の再々延期であるとか、5%への減税を謳い、その信を問うくらいの目玉政策を掲げ衆議院解散で、衆参同日選に打って出る可能性が高くなった。

5%への消費税減税案を持ち出された場合は、野党に勝ち目はなく、自公維の勝利で、改憲派で2/3議席を確保することになりそうだ。

ただ、現実に、消費税の5%減税案は、容易に打ち出せる案ではないだけに、再々延期程度でお茶を濁せば、安倍晋三お茶の間劇場の演出も空振りとなる確率が高い。

ウッカリすると、野党の闘い方にもよるが、衆参共に大敗を喫する悪夢を見ることもあり得るだろう。

安倍自民党にしてみれば、当面国会は休みなので、ボロも出ず一安心。安倍外遊で岩田明子とNHKで外交劇場を演出、トランプとも4月に続き、5月、6月と会談を行い、日米の絆を演出する。

現実には、日米同盟の蜜月が深ければ深いほど、日本の隷米度が深まり、不要な軍事費が肥大するのは確実だ。マスメディアの安倍一強報道で、そうなのかなと思ったが、実態は電通の振り付けで、安倍晋三劇場が演じられていただけかもしれない。

現に、外交面で、まともな成果がないと云うことは、霞が関の範囲で、嘘の世界を演出していると云うことだろう。

軍事費の肥大は、わが国の社会保障制度の崩壊を早め、与党自民党は思わぬしっぺ返しを食らうかもしれない。

政治は一寸先が闇と言うが、思いもよらないかたちで、最強の安倍自民党が崩壊する姿が見られるかもと妄想するだけで、愉快である。

話は全然変わるが、以下の3本の日経の記事は、様々な意味で、需要な意味を持つ情報だと思うので、参考掲載しておく。

個人的感情論だが、ルノーの記事は、日産が、ルノーとの提携を破棄するために出来る選択はあるのか。あるとして、それは、どのようなものか、記事として物足りなさを感じた。

アメリカと云う国は、イランが全面的に覇権国への忠誠を誓わないと云う理由で難癖をつけ、自国が産油国NO1になったことで、オイル産油国を自国のコントロール下に置こうと躍起である。

イラク、リビア、ナイジェリア、ベネズエラ、そしてイランだ。誰が見ても、アメリカのよる産油コントロールの陰謀と見て差し支えない。こんな国の言うがままの国が平和で安定した経済を営むのは無理である。

ロシアから引き剥がしを敢行したウクライナへの興味を失ったアメリカが、ウクライナ大統領選で取りこぼしをしたのもおかしい。

オバマが手を出したウクライナ、商売人のトランプにとって埒外の国なのに違いない。

いずれにせよ、安倍政権の外交方針で行くと、無駄な軍事費防衛費は増大するし、原油価格の上昇に寄与するばかりで、ほとんど売国政策の自民党になっていくのだろう。

それでも、国民は気づかずに屠殺場に送られて行くのだろうか。或いは、縄文のDNAのしぶとさが、そうさせるのだろうか。



≪ルノー、日産に統合再提案 日産は拒否へ
仏ルノーが今月中旬、日産自動車に経営統合を提案したことが22日、関係者の話で分かった。経営の独立性を求める日産は提案を拒否するとみられ、販売台数で世界2位の日仏連合の協力関係に影響が出る可能性もある。規模や技術力で日産に劣るルノー側は経営基盤を強化するため、かねて統合を目指していた。カルロス・ゴーン元会長が逮捕されて以後、両社間の具体的な動きが明らかになるのは初めてだ。


 


ルノー側は経営統合することで日仏企業連合の相乗効果(シナジー)を最大化できると主張した。ルノーに飲み込まれる形での統合を懸念する日産はこれを拒否し、より対等な資本関係を求めるもようだ。ルノーは43.4%を日産に、日産はルノーに15%をそれぞれ出資している。日産の持ち株には議決権がない。

日産はゴーン元会長時代の規模拡大路線が業績悪化を招いたとの考えから、経営統合ではなく、単独で経営効率を高めた方が企業価値が高まると判断している面もある。

ルノーは同社に15%を出資する筆頭株主である仏政府の意向もあり、かねて日産との経営統合を目指していた。規模などの面から単独では生き残れないとの考えがある。

ゴーン元会長によると、同元会長は2018年9月、ルノーと経営統合する意向を西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)に伝えた。仏政府も1月、共同持ち株会社方式を軸として、ルノーと日産を経営統合する意向を日本政府関係者に伝えた。

一方、日産は一貫して統合に否定的だ。ルノー中心の連合運営に弊害も出ていたからだ。ルノーの仏国内にある工場の稼働率を維持するため、日産のインドの工場で造る予定だった車種の生産を振り向けたこともある。

ただ、両社はゴーン元会長から新たな経営陣への移行が進むこの数カ月は表だった対立を避けてきた。4月12日には三菱自動車を含む3社の首脳らが集まってルノー本社で新しい会議体「アライアンス・オペレーティング・ボード」の初会合を開催。これまではゴーン元会長に権限が集中していたが、元会長の退場を受けて、3社トップの4人による合議制での意思決定に改めた。

資本面で優位に立つルノー側も、無理に主張を通そうとすると協力関係自体を壊しかねないとみて、最近は融和姿勢をみせていた。ジャンドミニク・スナール会長は3月の記者会見で経営統合について「仏政府を株主として尊重するが、ルノーや日産、三菱自にも将来がある」と統合棚上げを示唆した。

今回、対立が表面化したことで日仏連合の連携強化の取り組みが遅れる懸念も出てきた。日産は6月の定時株主総会後も西川社長が続投する方針だが、筆頭株主のルノーが反発する可能性もある。
 ≫(日本経済新聞)


≪米、イラン産原油の禁輸を発表 米が制裁強化、原油価格上昇も
【ワシントン=中村亮】ポンペオ米国務長官は22日、イラン産原油の禁輸措置について、日本など8カ国・地域を適用から外した特例措置を5月2日に撤廃すると発表した。アジアの主要国はイラン産原油の調達が難しくなり、原油価格の一段の上昇を招く可能性がある。米国の禁輸措置を受けて、中国やトルコなどが輸入停止に踏み切るかは不透明だ。

米政権は2018年11月にイラン産原油を制裁対象としたが、原油価格への影響を考慮して8カ国・地域については180日間の適用除外を認めていた。日中韓と台湾、インド、トルコ、イタリア、ギリシャが輸入を認められている。

米メディアが米国の全面禁輸の方針を先行して報じると、原油市場では買いが優勢になった。国際指標となるニューヨーク原油先物は日本時間の22日、前営業日(18日)より1.87ドル(約3%)高い1バレル65.87ドルまで上昇した。

市場には部分的な輸入制限にとどまるとの見方もあっただけに、全面禁輸の報道が原油先物への買いを加速させた。産油国ベネズエラでも大規模停電で3月から原油生産が細っている。同国の生産量は3月が日量87万バレルで、4月以降は一段の減少が見込まれている。

リビア、ナイジェリアといった産油国にも政情不安が広がる。これにイラン産原油の全面禁輸が加わり、世界的に原油の不足感が意識されやすい。

市場関係者によると、中国はイラン産原油を日量40万バレル程度、インドは30万バレル程度輸入している。この2カ国でイランの原油輸出の過半を占める。ただ中国の原油輸入全体に占めるイラン産の比率は5%程度とみられ、それほど高くない。

日本では1月からイラン産原油の調達が再開された。ただ2月のイラン産原油の輸入量は全体の4%強と前年同月(約6%)から低下していた。

JXTGエネルギーなど石油元売り各社は5月で特例措置が打ち切られるとみて、3月から順次イラン産原油の輸入を停止している。サウジアラビアなどから代替調達をしており、安定供給に影響はない。

菅義偉官房長官は22日の記者会見で、イラン産原油の取り扱いを念頭に「日本企業の活動に悪影響が及ぶべきではないとの立場から米側と緊密に意見交換している」と語った。

もっとも、米国の禁輸措置に8カ国・地域が同調するかは不透明だ。中国外務省の報道局長は22日の記者会見で「米国が国内法に基づいて単独制裁を科すことに一貫して反対してきた」と述べ、米国の全面禁輸措置の方針を批判した。米メディアによると、トルコ政府高官は先週、原油輸入をめぐり「トルコがイランを見捨てることはない」と強調。米国が禁輸措置を講じても従わない意向をにじませた。
 ≫(日本経済新聞)


≪「敵失」追い風、ウクライナとの融和めざすロシア
編集委員 池田元博
旧ソ連のウクライナで大統領選の決選投票が実施され、コメディアンの新人候補ボロディミル・ゼレンスキー氏が現職のペトロ・ポロシェンコ氏を大差で破り、当選した。選挙戦でロシアとの対決姿勢を誇示したポロシェンコ氏は国民の支持を集められず自滅した。ロシアは政権交代をひそかに歓迎し、極度に悪化した両国関係の改善をめざす構えだ。


 


 「4月21日は決定的な選択の日だ」。選挙戦でポロシェンコ陣営はこんな標語とともに、大統領とロシアのプーチン大統領が対峙するポスターをつくって国民にアピールした。

ロシアは2014年 3月、ウクライナ領のクリミア半島を自国に併合。続いて、ドンバスと呼ばれるウクライナ東部地域で起きた政府軍と親ロシア派武装勢力による泥沼の戦闘にも加担した。ポロシェンコ大統領はウクライナ国民にとって「最大の敵」となるはずのロシアを政策の争点に掲げ、ゼレンスキー氏を暗にロシアの回し者と吹聴する一方で、プーチン大統領に互角に対抗できる指導者は自分しかいないと強調したわけだ。

だが、ポロシェンコ陣営は選挙戦略を大きく見誤った。「次の大統領は就任後の最初の 100日間で何をすべきか」。キエフ国際社会学研究所が決選投票前の4月中旬に実施した世論調査では、公共料金の引き下げがトップで39.1%を占めた。さらに大統領や議員、裁判官に対する不逮捕特権をなくす法案の提出(35.5%)、大規模な汚職犯罪捜査の着手や加速(32.4%)と続いた。国民の関心は、生活環境の改善や政財界にはびこる汚職対策に向いていたといえる。

一方、当選したゼレンスキー氏は、これまで政界とは全く無関係だった。一部で報じられているように、平凡な教師が大統領になって汚職対策などに奮闘する連続テレビドラマで、主人公を演じて人気を博した。選挙戦ではドラマさながらに庶民派を自任し、オリガルヒと呼ばれる大物財界人と政界の癒着や既存政党の汚職体質の打破などを訴えた。政治家としての資質は未知数ながら、「すべてに反対する候補者」(ロシア上院のコンスタンチン・コサチョフ外交委員長)として国民の人気を集めたようだ。

ウクライナの国家指導者が誰になるかは、旧ソ連の盟主である隣国ロシアにとっても大きな関心事だった。民族的にはともにスラブ系が主体で、かつては兄弟国といわれたのに、クリミア併合後の両国関係は完全に冷え込んでいる。大統領選の結果はそんな関係を修復できるかどうかを占う重要な要素となるからだ。実際、国営メディアは選挙戦の状況を詳細に伝えるとともに、専門家を集めた討論会などを連日のように放映してきた。

では、ロシアのプーチン政権にとってゼレンスキー氏の当選は、理想的なシナリオといえるのだろうか。実は最終的に39人もの候補が乱立したウクライナ大統領選を巡り、クレムリンが暗に支持してきた候補は別にいた。野党候補の1人でロシアとの対話の必要性を訴えたユーリー・ボイコ氏と、世界的に著名な女性政治家のユリア・ティモシェンコ元首相だ。


 


ボイコ氏については 3月31日の第1回投票に先立つ 3月下旬にモスクワに呼び、メドベージェフ首相が直接会ってウクライナに対するエネルギー支援の可能性などを話し合っている。一方のティモシェンコ元首相は必ずしも親ロ派ではないが、ロシアとも欧米とも良好な関係づくりを演出できる政治家だ。天然ガスを中心にエネルギー利権を押さえているともいわれ、ロシアも水面下で交渉できると踏んでいたようだ。ただし、2人とも決選投票に進めなかった。

選挙戦の発言をみる限り、当選したゼレンスキー氏のロシアに対する見方は厳しい。地元メディアのインタビューでは、「プーチン大統領を敵とみなすか」という質問に「当然だ」と答えている。ウクライナ東部地域の親ロ派武装勢力に恩赦を与える可能性も完全に否定している。当然のことながら、「クリミアは(ロシアに)占領されたウクライナの領土」としてロシアによる併合を容認していない。

ゼレンスキー氏自身は「単なるビジネスの関係」と否定するが、同氏の後ろ盾はウクライナの大富豪イーホル・コロモイスキー氏ではないかとされている。そのコロモイスキー氏はウクライナ東部地域の紛争で私財を投じて親衛隊を組織し、親ロ派武装勢力による占領地区の拡大を阻止した経緯がある。

とはいえ、ゼレンスキー陣営はクリミア問題やウクライナ東部の紛争を収拾する目的もあって、プーチン大統領との首脳会談には前向きだ。クレムリンもこうした対話姿勢は前向きに評価している。ゼレンスキー政権の発足後、比較的早期に首脳会談が実現する可能性がある。

そもそもポロシェンコ政権は14年の政変で親ロ派のヤヌコビッチ政権が倒され、それを受けて発足した。ロシアは政変による政権交代を「違法」とみなして当初から激しく反発。対するポロシェンコ政権も対ロ強硬策を次々と打ち出すとともに、クリミア併合やウクライナ東部に軍事介入したロシアの「罪」を国際社会に繰り返し訴えてきた。

関係は大きく悪化し、いまや両国間を直行する航空便が運航できない状況が続いている。経済制裁の応酬も続き、ウクライナは天然ガスを欧州から調達せざるを得なくなった。昨年11月にはクリミア周辺の海域で、ロシア軍がウクライナ艦船を銃撃して拿捕(だほ)する事件も発生。プーチン大統領は大統領選を控えたポロシェンコ政権による陰謀と非難し、逆にポロシェンコ大統領は戒厳令を導入し、ロシア国籍の成人男性のウクライナ入国を一時的に禁止したこともある。

プーチン政権がポロシェンコ大統領を嫌っていたのは間違いなく、仮に再選されればウクライナとの関係修復は不可能とみなしていたはずだ。プーチン政権は思わぬ「敵失」を追い風に、当面はゼレンスキー次期政権との間で融和に向けた対話を続け、懐柔策がどこまで可能かを模索していくことになろう。その際にまずは、天然ガス供給を含めたエネルギー分野の協力をちらつかせる公算が大きい。

先のキエフ国際社会学研究所の世論調査に再び戻ると、外交政策で興味深いウクライナ社会の風潮が垣間見えている。ロシアとの対話の再開を望む声(23.3%)が意外に大きかったことだ。半面、ポロシェンコ政権が非ロシア化の一環としてめざしてきた欧州連合(EU)への加盟問題については、交渉開始を求める声は3.3%にすぎなかった。ロシアとウクライナの関係改善は決して容易ではないが、ゼレンスキー氏の大統領当選がその転換点となる可能性は否定できない。
 ≫(日本経済新聞)

続 昭和の怪物 七つの謎 (講談社現代新書)
保阪 正康
講談社

 

アメリカ(河出新書)
橋爪大三郎,大澤真幸
河出書房新社

 

違和感のススメ
松尾 貴史
毎日新聞出版
コメント

●ちょいと変 浮かれてリスクを忘れた株式市場

2019年04月21日 | 報道

●ちょいと変 浮かれてリスクを忘れた株式市場

改元、新札、新天皇即位、G20,オリンピック、万博……。

安倍政権は、ふたつの統一地方選、そして、本番の参議院選までの間、兎に角、自分自身の活躍をNHKを核とするテレビ局に追いかけるよう命じているようだ。

そうすることで、日本の政治には、自民党、延いては安倍晋三と「こんな人たち」しかいないような、「空気」を作りだしている。

世界全体の経済は、米中経済摩擦、英国ブレグジッド、中国経済の減速、トランプの保護主義と、客観的に見て、良い方向ばかりとは言えない。

経済界では、AIだ、ロボットだ、自動運転だ、ips治療だ、5Gだ、ブラックホールだと、手を変え品を変え、次なる時代の経済成長のエンジンはこれだ、と囃し立てる。

この先々の夢物語は、姑息な安倍晋三のトラップ、改元、新札、新天皇即位、G20,オリンピックなどと、或る意味で変わらない臭いがする、などと、皮肉な筆者はいつも思う。

あやふやな安倍のイベント攻勢や、あやふやな21世紀のテクノロジー賛美と云う現象は、或る意味で似ているのだろう。

世界の株価は、未だにマネーの吹き溜まりとなり、経済を反映する指標から、幾弾も遠のき、経済指標として、説明できる段階を失った。

毎日新聞にエコノミストの熊野英生氏が以下のように述べている。


≪ 回復する日米株価「でも皆さん楽観的過ぎませんか?」
2019年2月27日 熊野英生 / 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

 日経平均株価は、昨年末の12月26日に直近の安値1万8948円(取引中の安値)をつけた時は、「2万円割れして株価はどこまで下がるのか」と心配させた。

 それが一転、最近は2万1000円台まで回復している。株価急落前の高値は昨年10月4日の2万4247円(取引中の高値)で、これからみるとまだ半値戻しに過ぎないが、年末年始の悲観からは抜け出したようにみえる。

 こうした株価の変動は、ニューヨーク株価とも連動している。ニューヨーク株価の方がより堅調で10月初の水準近くまで回復している。日本株が相対的に回復が遅れているとしても、ニューヨーク株価に次第に追い付いていく公算は大きい。

■株価を支えているのはFRBなのか
 株価回復の理由は次の三つが挙げられる。(1)米中貿易協議への楽観的期待(2)米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ停止に動いた(3)トランプ政権が大胆に動きにくくなった--である。

 米中協議を巡ってはさまざまな思惑が交錯する。米国産品の輸入拡大や人民元安誘導の制限など閣僚級協議で合意できた部分もあるが、知的財産保護問題のように前進しない部分もある。ただ、ここにきてトランプ米大統領は、3月中にも習近平・中国国家主席と首脳会談を開き、さまざまな問題をトップ会談で解決させたい意向を示している。ニューヨーク株価の回復は、協議の前進を好感するものだろう。

 しかし、仮に米中貿易摩擦問題が解決の方向に向かったとしても、これまでの経済悪化が進んでいく流れが改善するとは思えない。

 深刻なのは、米国よりも中国だ。特に中国の対米輸入は、2019年1月は前年比41%減と著しい。7月から8月にかけて制裁関税が課され、9月に2000億ドル相当の中国製品へ10%の関税がかけられたことへの報復関税が効いている。こうした打撃が、協議がうまくまとまったから即座に改善するとは思えないことには留意が必要だろう。

 だとすると、株価を支えている影の主役は米国の金融政策なのか。FRBは、利上げをいったん停止して様子見する姿勢に変わった。6月から再度利上げを再開するという見方があるが、もう利上げを打ち止めにするという見方が支配的になってきている。

 米長期金利は、3%近くから2.6~2.7%へと低下した。利上げ打ち止めの観測は、景気を減速させる要因がなくなるという意味で株価にプラスである。また、米国の利上げはドル建て債務のコスト上昇を通じて新興国の利払い負担を高める懸念もあったが、そうした懸念をやわらげる効果もある。

■鈍る「トランプ外交」はプラスに作用
 昨年はトランプ大統領は大暴れだったが、中間選挙で、下院で共和党が多数派を失ってから微妙に変わってきた。

 一見このことは、経済に悪影響とみられやすい。トランプ大統領が議会での主導権を失うのだから経済にもマイナスという見方である。しかし、少し時間がたつと、トランプ外交が自由度を縛られることは株価にもプラスの側面があるように思えてきた。

 例えば、日米物品貿易協定(TAG)交渉は、当初の1月から春先の4月ごろまでずれ込みそうだ。米国内でトランプ大統領が議会調整に力を奪われて、18年ほどは外交に集中できない。

 貿易交渉では、日本や欧州連合(EU)との交渉をできるだけ簡単に済ませて、中国に集中する構えである。否、議会で民主党に足かせをはめられた今、中国との貿易交渉も早期結着させるプレッシャーがかかっている。

 株価は、トランプ外交が思ったほど強権を振るえなくなったことを見透かして、貿易交渉のソフトランディングを予見しているのかもしれない。

■米国の小売りは「期待を裏切る」
 日米株価が年末からリバウンドしてきたのは、最悪の事態からの回避に反応したもののように思える。だが、四半期決算が予想以上に悪く、中国経済の減速が日米企業の業積をさらに厳しいものにしていくとみるならば、株価は再び悪化する可能性もある。

 好調が予想されていた米国の小売売上高は期待を裏切った。米政府機関閉鎖の悪影響は必ずどこかに表れてくるとみられる。悪材料が注目されにくい理由は、投資家心理が悪い条件に驚かなくなり、政策面での期待の方に敏感だからであろう。この状態を「楽観的」という。経済が悪化するとまたFRBが助けてくれるという期待も楽観しすぎだ。

 結論として、筆者は日米株価の回復には懐疑的である。「回復が続く」に3割、「もう一度下落が進む」7割といった感じであろう。明言できないのが苦しいが、みな少し楽観的だと思う。
 ≫(毎日新聞:熊野英生の「けいざい新発見」)


熊野氏の株式展望は、テクニカルにも正鵠を得ている。

筆者の場合、NY株式市場に関しては、米国社会のファンダメンタルから考えて、マネーの動きや、株式市場の動きは、テクニカルに考えて問題はないと思う。

しかし、東京市場の株価については、日銀やGPIF等のマネーが湯水の如く投入され、日経平均で5000円は下駄を履かされている事実を見逃すことは出来ない。

つまり、日経平均が2万2千円であれば、実質は1万7千円と考えておけば良い。

この数字は、日銀が債務超過に陥る株価の線上を、未だに綱渡りしていると云うことだ。

また、アメリカ社会にも、トランプ爆弾と云う不安材料はあるが、産業構造の変化は確実に進められており、人口構成上の不安も大きくはない。

白人人口の比率云々問題はあるが、白人が絶対的に優勢なわけでもないのだから、世代間バランスは許容範囲だ。

しかし、官製相場で株式を大きく膨らましている日本の市場は、本質的に違う。

無論、根本的、人口減少社会が鮮明なわけだから、NY市場と連動する局面もあるだろうが、或る閾値を越えたとき、そこからの連動を期待するのは間違いなのだろう。

東京市場が、幻の22,000から23,000円を保持している間に、日銀がいくばくかでも、売り抜け、身を軽くしてくれれば良いと願っているが、スーパーコンピュータの監視の中では無理なことだろう。

コメント

●参議院第一党? タローの新選組に、立憲+共産+社民+有権者

2019年04月20日 | 報道

 

僕にもできた! 国会議員 (単行本)
雨宮 処凛,山本 太郎
筑摩書房

 

山本太郎 闘いの原点: ひとり舞台 (ちくま文庫)
山本 太郎
筑摩書房

 

みんなが聞きたい 安倍総理への質問
山本 太郎
集英社インターナショナル


●参議院第一党? タローの新選組に、立憲+共産+社民+有権者


これからの左翼は、共産党を含めて自民党の右派ポジションを奪いに行くべきだ。イデオロギーがどうだこうだは、奪ってから考えろ。

安倍の“改悪民営化政党”に歯止めをかけられるのは、逆張りで、有権者に、「まだ、その手が残っているのか!」と気づかせる“反NHK”な話題がSNSで盛り上がる必要がある。

NHKが正しそうに報じることを、ことごとく否定して、嘘を暴き、日本が向かうべき道は、緊縮ではなく、大盤振る舞いだと主張。無論、穴埋めは、高所得者や、民営化で不当に利益を得ている勢力への課税で補う。
 
民営化ではなく、公営化である。

NHKは即刻、国営化である。国営企業は準公務員の給与体系に合わせるので、現状の7割程度の収入になる。

筆者の山本太郎「れいわ新選組」の綱領をみると、以下のような事が書いてあった。それに、筆者の考えを加えた形なら、共産党・立憲が乗れなければ、彼らも、実はニセ改革派の正体がばれてしまう。

■日本に必要な“緊急政策”として、*れいわ新選組が言っているものとは異なる
・消費税の廃止 ・奨学金徳政令(支払免除等)

・全国一律最低賃金1500円

・保育・介護・原発作業員の公務員化(曖昧な民営化で、搾取を阻止)

・一次産業戸別所得補償(100年先の日本の生き方で重要)
 ” 第一次産業が、今後の日本の社会構成の根幹になる。縄文的生き方、元禄文化と徳川幕制を機能的組み合わせる  ”

・デフレ脱却給付金月3万(一種の臨時低額ベーシックインカム)インフレ2%達成時に終了)

・財源問題は、実績財政事情考慮。状況により、税の応能負担原則に立ち返る。(法人税増税と累進課税は当然。タックスヘイブン違反者は国外退去)

・日米地位協定の見直し  (辺野古基地建設は中止。普天間即時の運用停止。在沖海兵隊にはカリフォルニア等への移転をお願いし、これまでの駐留経費と同等の費用を日本側で持つことを前提に、米国側と再交渉。沖縄の民意を尊重します。)

・「トンデモ法」の一括見直しと廃止 (TPP協定、PFI法、水道法、カジノ法、漁業法、入管法、種子法、特定秘密保護法、国家戦略特別区域法、所得税法等の一部を改正する法律、派遣法、安全保障関連法、刑訴法、テロ等準備罪など)

・原発即時禁止 (エネルギーの主力は火力。自然エネも拡大します) Etc.

問題点や疑問点もあるようだが、日本と云う国を、国民の手に取り戻そうとする意思を感じる緊急政策案だ。



≪改革バカにケンカを売る山本太郎「れいわ新撰組」の本気度

 山本太郎が自由党を離党し、政治団体「れいわ新選組」を立ち上げた。団体名からして、維新的なもの=安倍晋三、菅義偉的なもの=改革バカにケンカを売っている。それだけでも笑えるが、打ち出した政策を見て声をあげて笑ってしまった。完全に保守のど真ん中。あまりにも直球なので優秀なブレーンがいるのだろうが、山本も政治家として急成長している。

 私は以前、週刊誌で山本を批判したことがある。国会で出される弁当は「ベクレてる(放射能汚染されている)」などと風評を流すデマ体質の左翼だと当時は思っていたが、自民党を筆頭に政治家が劣化していく中、山本のまっとうな部分が目立ってきたのは皮肉な話だ。

 まだ社会的には誤解されている人だと思うし、私も全面的に信頼しているわけではないが、政策の9割は高く評価できる。残りの1割もツッコむ場所があるといった程度の話。

 消費税の廃止、安い家賃で住める公的住宅の拡充、奨学金チャラ、最低賃金1500円……。平成の30年間にわたりメディアが垂れ流した「構造改革」神話に洗脳された人にはほとんどデタラメに聞こえるかもしれないが、実現までのプロセスは政策に書いてある。額に青筋を立てて「財源はー!」と騒ぐ前にその部分はチェックすべきだ。

「公務員数の増加」という項目も素晴らしい。「世界から見て日本は公務員の数が少なく」「1万人あたりの公務員数をみると日本は、英国の約3分の1、米国の約2分の1」とあるが、こちらも「民営化=善」という妄想からの脱却を目指しているように見える。

 1次産業戸別所得補償、防災庁の創設、国土強靱化、公共投資の拡充、独立国家を目指すための日米地位協定の改定、辺野古基地建設中止などの政策もいい。今大事なことは安倍政権の売国を止めることだ。これまで押し通されてきた「トンデモ法」(TPP、水道法、カジノ法、漁業法、入管法、特定秘密保護法、国家戦略特別区域法など)の一括見直し・廃止も唱えているが、これはすぐにやってほしい。

 実現には困難がつきまとうだろうが、日本にも「保守政党」がひとつくらいあってもいい。

 山本は「政策と言論を持って天誅を加える」と言っているが、本気かどうかはすぐに判明する。参院選に誰を擁立するかである。

*適菜収作家 1975年生まれ。早大で西洋文学を学び、ニーチェを専攻。ニーチェの「アンチクリスト」を現代語訳した「キリスト教は邪教です! 」、「ゲーテの警告 日本を滅ぼす『B層』の正体 」など著書多数。近著に「もう、きみには頼まない 安倍晋三への退場勧告 」。
 
≫(日刊ゲンダイ)

シルバー・デモクラシー――戦後世代の覚悟と責任 (岩波新書)
寺島 実郎
岩波書店

 

幸福の増税論――財政はだれのために (岩波新書)
井手 英策
岩波書店

 

「幸福な日本」の経済学 (講談社選書メチエ)
石見 徹
講談社
コメント

●国民から千円植林費収奪 山林無断伐採業者のツケ払い

2019年04月19日 | 報道

 

ニュースが報じない神社の闇――神社本庁・神社をめぐる政治と権力、そして金
「リテラ」神社問題取材班
花伝社

 

対米自立
木村 三浩
花伝社

 

一億総他責社会 (イースト新書)
片田 珠美
イースト・プレス


●国民から千円植林費収奪 山林無断伐採業者のツケ払い


時折、投稿サイトなどで、引用元サイトとして紹介される“長州新聞”という新聞社がある。

この新聞社は、山口県下関に本社を構える、れっきとした新聞社である。隔日紙であるが、時折、きらりと光る記事を書いていることがあるので、注目している。

山口県かとか、長州かとか、時折、腐すようなことを書いている筆者が、長州の新聞社を称賛するのも奇妙だが、まぁ、山口県や長州のすべてを腐しているわけではないので、この際はさておこう。

なぜ、今回長州新聞を取り上げたかと云うと、ひとつは、同紙の“「100年の計」の森林管理を放棄 知らぬ間に進む戦後林政の大転換”と云う記事に注目したことがひとつ。

そして、同社の編集理念(編集綱領)に納得したからである。以下に、その編集綱領を紹介しておく。


≪ 長州新聞【編集綱領】
・一、勤労人民の新聞として政党、政派や思想信条、職業にかかわりなく、正しい世論を代表し、日本社会の進歩発展のため、真実の報道につとめる。

・一、権力をほしいままにするひとにぎりの独占ブルジョアジーの搾取と抑圧、軍国主義と戦争政策に反対し、労働者、農漁民、都市勤労人民の生活と民主的権利を擁護し、人民文化の発展につとめる。

・一、世界のいたるところで帝国主義勢力が諸民族を搾取、抑圧し、植民地再分割のための世界戦争への道をすすんでいることに反対し、世界史の発展のためにたたかう。 

・一、われわれの目標は、貧困も失業も戦争もない、すなわち搾取と抑圧のない自由な社会を、幾千万大衆とともに実現することである。
≫(長州新聞HPより抜粋)


我が国のマスメディアにも、同様の編集綱領が存在する可能性は高いのだが、実態は、綱領通りの編集をし、新聞を発行している社は稀である。

各省庁に設けられた“記者クラブ”が各省庁の広報的役割を果たし、利益共同体と化している現実は、無惨なほどである。

特に、強権と嘘、隠ぺいが得意の安倍政権になってからは、わが国のマスメディアは、権力によって完璧に去勢されてしまった。

まぁ、筆者の思い込みはさておき、早速、当該新聞の記事を紹介してみよう。


≪「100年の計」の森林管理を放棄 知らぬ間に進む戦後林政の大転換
2019年4月17日
 農業や水産業に続き林業をめぐっても、国民の知らないところで戦後林政の大転換が進行している。昨年5月に国会で成立し今月から施行となった民有林対象の「森林経営管理法」と、そのための財源づくりである「森林環境税」(3月に国会で成立。今月から施行)、そして現在国会に提出中の「国有林野管理経営法案」がそれである。森林科学者やジャーナリストが、これまでの「持続可能な森林管理」を放棄し、林業を外資をはじめとする民間企業に開放するものだとして警鐘を乱打している。どんな内容なのか調べてみた。

■公共性高い森林整備の役割
 森林経営管理法は、安倍政府の規制改革推進会議が主導して成立させたもので、「林業の成長産業化」を掲げ、「日本では意欲の低い小規模零細な森林所有者が多く、手入れが行き届きにくくなっている」といって森林所有者に経営管理権を手放させ、市町村に経営委託する。そして市町村が森林の集約を進めたうえで、もうかる森林は民間企業に再委託し、もうからない森林は市町村で管理するというものだ。

 これに対して愛媛大学名誉教授の泉英二氏(森林学)を委員長とする国民森林会議提言委員会が、「林政をこのような方向へ大転換させてよいのか」と題する提言を発表した。そのなかで泉氏は、「林業構造全体を、公共的な利益から経済性の追求に転換させるものだ。これまでの政策では、災害の防止を目的とした間伐に重点が置かれていた。しかし今後はもうけるために大量の木材を供給する主伐(皆伐)を主軸に据え、所有者から経営管理権を奪ってまで主伐しようとしている」と批判している。

 森林生態学では森林の発達段階を、「林分初期(幼齢)段階」=10年生ぐらいまで、「若齢段階」=50年生ぐらいまで、「成熟段階」=150年生ぐらいまで、「老齢段階」=150年生以上、と評価する。そして若齢段階までの森林は構造が単純で、生物多様性が乏しく、土壌構造は未熟で、水源涵養機能は低い。森林生態系は時が経つほど生物多様性が豊かになり、植物と動物の遺体(落葉、落枝、死骸、糞)の質量は増え、土壌生物の活動が活発化し、そうなると土壌孔隙など土壌構造が発達して保水機能は高まる。  ところが森林経営管理法では、政府・林野庁は「日本の人工林は50年前後をもって主伐期に達した」と評価し、若齢段階で皆伐する短伐期皆伐・再造林方式を推進しようとしている。それは以上の自然法則に逆らい、災害に対して今以上に脆弱な森林をつくることにならざるをえない。また、一度にすべてを伐ってしまうと、苗木を食べ尽くすシカの被害のリスクも高まり、成林が困難になると指摘する研究者もいる。

 この法律でもうかるのは、大型木材産業とバイオマス発電業者である。2012年に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まってから、各地で伐採量にこだわる大規模な皆伐が横行し、丸裸になる山が急増しているという。

 そして、この財源をひねり出すために新設されたのが森林環境税だ。2024年度から、住民税に国民一人当り一律1000円を上乗せして徴収し、それを国が都道府県と市町村に分配する。なぜ2024年かというと、その前年度に東日本大震災の復興特別税の1000円が終わるからで、追加負担をごまかすための姑息なやり方である。今年度から23年度までの自治体分配金は、国が税金で立て替える。

 それに加え、国有林野法を改定する国有林野管理経営法が国会に提出されている。ジャーナリストの橋本淳司氏はこの法律を、国有林を水道民営化と同じコンセッション方式で外資に売り飛ばすものだと批判している(『世界』5月号)。

 同法案は、農林水産大臣が外資を含む特定の林業経営者に、50年以内という長期間、国有林の樹木採取区に成育する樹木を伐採する権利(樹木採取権)を与える、というもの。その下敷きになったのが、未来投資戦略会議の「国有林について、民間事業者が長期・大ロットで使用収益を可能とする仕組みを整備し、コンセッションを強化する」という方針だった。

 日本の商社がコンセッション契約を結んだフィリピンやインドネシアの森林で、木材を大量伐採してはげ山にした後、同国に返還したという例もある。橋本氏は、現在国内では大規模なバイオマス発電の燃料用木材チップの需要が急増しており、企業が安価な木材の大量供給を国産材に求めていること、そこにこの法律を使って、成長の早い品種を用いて短期間に伐採して回転率を上げる企業が参入する可能性があることを指摘している。

■国土の7割が森林の日本
 「100年の計」といわれる森林経営に、短期的利益追求主義を持ち込むことがいかに危険かは明らかである。日本の国土の67%は森林であり、先進国のなかでこれほど豊かな森林率を持つ国はまれだ。日本の林業の成り立ちは3世紀ともいわれ、長い歴史を誇っている。

 だが、第二次大戦中は過伐が進み、戦後復興から高度成長期にも木材需要が拡大し続けた。この時期政府は、天然材を伐採してスギやヒノキなどの人工林にかえる拡大造林政策をとった。この人工林が成長して伐採可能になった1990年代以降、日本の木材供給量(生産量)は増大するはずだったがそうならず、60年代からの半世紀で3分の1に縮小した。原因は1961年の丸太の輸入完全自由化を手始めに、木材関連の関税を撤廃したからだ。安い外材が流入し、輸入自由化前に90%以上あった自給率が、今では36%に落ち込んでいる。

 一方、国内の人工林の多くが間伐されないまま放置されている。お互いもたれあうようにして立つヒョロ長い木の集団は、根系の支持力も弱く、強風や冠雪で一気に共倒れを起こすし、豪雨時には表層崩壊を起こしやすい。また、密集した人工林は非常に暗く、下層植生がきわめて乏しいため、雨水による土壌の浸食を招きやすい。それが、台風や集中豪雨のたびに大規模災害を引き起こす要因の一つになっている。

 森林科学者の藤森隆郎氏(元農林省林業試験場勤務)は、日本の自然を生かした第一次産業を軽視することは、日本社会の持続可能性を根底から危うくすると指摘している(築地書館『林業がつくる日本の森林』)。

 健全な森林は、それぞれの地域の気象緩和、水資源の保全、土壌保全、生物多様性の保全といった、国土保全に不可欠な機能を持っている。また木材は、光合成によって水と二酸化炭素をもとに生産し続けることができるし、木材は長期にわたって炭素を貯蔵し続け、使用後は燃焼や腐朽などによって二酸化炭素と水に還元される。この木材を、森林生態系の持続性を損なわない範囲でできるだけ多く生産し、有効に利用するなら、人間社会に利益をもたらす。

 林業先進国ドイツでは、林業は国の安全保障に欠かせないとして、林業従事者に所得補償や補助金を出し、林業の振興に努めているという。それとは対照的に、民間企業の利益を優先し、森林の国土保全、水源涵養機能は壊れるにまかせるという日本政府に、厳しい批判の声が巻き起こっている。
 ≫(長州新聞)


我が国の林業が廃れたのは、わが国の法律が輸入材の関税を限りなくゼロにしたために起きた現象だ。

ここにも、マクロ経済学者のインチキが透けて見える。

輸入する外材が輸送コストを加えても、国内木材より安価に輸入されていると云うことは、他国の森林を、タダ同然の価値で伐採輸入できるからだろうが、他国の森林伐採イコール他国の山がまる裸と云う足跡を残すことを忘れてはならない。

この地球規模の資源の損金が計上されないのが、自由貿易や市場原理主義の重大な欠点だ。

地球の環境にとってマイナスな事実は、最終的に、我が国にとってもマイナスな出来事だと云う思想を持たない。

つまり、マネーによって突き動かされる人間の行為は、善悪といった判断能力がない点に注目しておく必要がある。

ゆえに、政治が、競争の原理が必要と認めても、その競争が正当なルールの中で行われるように監視していくのが責務のはずだが、今の安倍政治などは、率先して、その監視監督の責任を放棄し、積極的に加担しているフシまで垣間見える。

それにしても、木材の需要が急増した理由が、バイオマスだと云う事実も衝撃的だ。

このエネルギー産業への知識が乏しかったが、バイオマスエネルギーなどは、小規模の発電だと思い込んでいたが、木質ペレットを資源として、大規模事業が試みられているのが現状のようだ。

現に、この事業で代表的企業であるイーレックス株式会社は東証一部に上場する規模の会社なのである。この辺、時代は見えない中で、猛烈に動いているようだ。

原発からの撤退や化石燃料発電の縮小など、自然エネルギーへの転換が叫ばれている世界的傾向から、たしかにバイオマス発電も有効性が認められるが、その材料(チップ)として、自国の山を丸裸にすると云うのは、どこか本末転倒な動きに思える。

最近の豪雨災害や土砂崩れの現状をみると、必ずしも森林が土壌を強くするとは限らないような議論も生まれるが、実際には、無理な宅地開発によるものだと言われている。

しかし、本質的に考えた場合、森が多い国土というものは、豊富な水にも恵まれるわけだ。 :豊富な水は、農業用水や飲み水に欠かせないわけで、我が国が工業製品の輸出で、経済大国の仲間入りをした時代において、縁の下の力持ち的役割をしていた事実を、国民はあまり知らない。

昨今では、その我が国の大きな自然のメリットが、世界中の“ハゲタカマネー”の目に留まり、商売の材料に使われようとしている事実を報じている。

その上、バイオマスエネルギーの為に切り払われた山林に植林するための費用を、国民に押しつけようとしているとは、夢にも思わなかったが、事実のようだ。

この特別税は、確信犯的に、東日本大震災の特別復興税、1000円が終わるのに乗じて、ドサクサ紛れの森林環境税を国民から搾取しようと云うのだから、悪意の徴税である。

かの田沼意次もビックリな所業だ。

経産省のバイオマス発電事業者の窮状を伝える、なかばエクスキューズなきじがあったので、公正公平な報道の為に、以下に参考掲載しておくが、放置されている山林の伐採と植林は必要だろうが、植林費用を国民に押しつけるのには納得いかない。


≪バイオマス発電8割動かず 林業人手不足、燃料輸入頼み
2018/12/11
植物などの生物資源を燃やして電気をつくるバイオマス発電がカベに突き当たっている。燃料の確保が難しく、政府の固定価格買い取り制度(FIT)の認定を受けた案件の8割以上が稼働していない。天候に左右されない安定した再生可能エネルギーとして期待がかかるバイオマス発電だが、人手不足もあって国内の森林資産を生かし切れず、燃料の輸入頼みに拍車がかかっている。

国内のバイオマス発電で主に燃料とするのは、木くずなどを固めた木質ペレットとパームやしの実の殻(PKS)だ。光合成で二酸化炭素(CO2)を吸収する植物を使うことで、燃焼時のCO2排出を相殺するとされる。

政府が掲げる2030年度の電源構成の計画では、バイオマス発電は全体の4%程度を占める。同7%の太陽光よりも低いものの風力(同1.7%)を上回る。国内の林業や製材業で生じる木材を有効活用できる安定的なエネルギー源として期待されている。

■FIT認定のうち稼働2割弱
しかし現状はそのシナリオ通りに進んでいるとは言いがたい。18年3月時点で政府がFITで認定しているバイオマス発電の容量は約740万キロワット。当初、買い取り価格が1キロワット時当たり24円と高く設定されたため、地場企業から大手電力まで多くの企業が参入。ただそのうち稼働したのは約130万キロワットと2割弱にとどまっている。

「燃料の調達が難航している」。福島県にバイオマス発電所の建設を予定していたある再生エネ事業者の担当者はこう明かす。19年春の稼働を予定していたが、燃料の確保のメドが立たず大幅に遅れる見込みだという。

■輸入量は5年で6倍に
バイオマス発電の主な燃料となる木質ペレットの場合、国内生産量は過去5年間、ほぼ横ばいだ。日本は国土の3分の2を森林が占めるが、山が多いため木材を切って下ろす手間がかかる。林業の従事者は高齢化が進み年々減少しており、生産量を増やすことは簡単ではない。

一方、木質ペレットの輸入量は5年間で約6倍に増加しており、「自給率」は約2割に低下した。ただ輸入燃料を確保できている事業者は一部に限られると見られ、多くが稼働にたどり着けない状態が広がっている。

再生可能エネルギーのレノバが16年に稼働させた秋田県の発電所では、県内の未利用木材が燃料の80%を占めた。それでも21年に稼働する7万5000キロワットの大規模発電所では国産燃料の利用は数%程度にとどまる見込みだ。

燃料不足に目を付けた海外企業も攻勢をかけている。木質ペレット世界大手の米エンヴィーヴァは三菱商事や丸紅と長期契約を結び、21年から年150万トンを米国から輸出する。豪アルタス・リニューアブルズも10月、木質ペレット10万トンを10年間供給する契約を三井物産と結んだ。

新電力大手のイーレックスは自ら燃料調達に乗り出した。東南アジアのPKS集積所に出資し、12月上旬にはマレーシアからPKSを積んだ船が日本に到着する。自社で使うだけでなく、外部のバイオマス発電事業者への販売も始める。

■安定調達にリスク
自然エネルギー財団の相川高信上級研究員は燃料の輸入依存が強まっていることについて、「長期的な調達のリスクが高まる」と警鐘を鳴らす。

例えばPKS。主産物であるパーム油の生産過程で熱帯雨林を伐採するため、環境破壊につながるとの声も多い。すでにパーム油の生産量は頭打ちで、副産物であるPKSの供給量は増えにくい状況だ。

間伐材からつくる木質ペレットについても、プラスチックの代わりに木材を使う動きが世界的に広がるなど、市場環境が一変する可能性がある。

11月末の自民党の再生エネを巡る議連では、国産材の活用を重要視する声が上がった。ただ木質ペレットの場合、国産の価格は海外メーカーの工場で生産される輸入品の2~3倍とされる。バイオマス発電ではコストの約7割を占めるとされるだけに、発電事業者が割高な国産燃料を使う動機が働きにくい。

FITでは買い取り価格の一部を電力価格に上乗せしており、家庭や企業が負担している。国民負担分が燃料を供給する海外企業に流れることを問題視する声もある。バイオマス発電を持続可能なエネルギー源とするためには、燃料のコスト低減を促す仕組みのほか林業の活性化が必要になりそうだ。(坂本佳乃子)    ≫(日本経済新聞)


世界一のモノづくりで競っているドイツだが、この国には、銭儲けと云う知恵と別に、倫理道徳的非合理性を認める文化がある。

残念だが、今日の日本政府や経団連などとはかなり違う世界にまで考えが及んでいるようだ。

ドイツは、この、倫理道徳的非合理性のために、アメリカや日本より不利な経済競争に晒されるが、その不利益も、ナチスの所業への贖罪と納得している部分もあるのだろう。

ドイツでは、時代的に、利益を捻出出来ない農林業従事者に対して、所得補償や補助金を出してでも、森林を守ろうとしているそうだ。

尤も、反動的歴史修正主義なファシズム賛美を主張する一定の勢力が台頭しているのは、複雑な流れだが、ドイツにも、日本にも、似たような考えの人は生まれるようである。

出鱈目な、経産省のベースロード電源の末席に、このバイオマスも含まれるが、上記の日経の記事が報じるように、バイオ資源の高騰で事業がどん詰まり状態のようである。

そこで、長州新聞が報じるような無茶な課税が、一部バイオ事業者救済に利用されているのであれば、何らかの利益誘導が含まれている疑惑が生まれるのだろう。

正直この問題は、わが国のエネルギー政策と深くかかわる問題で、最終的にはベースロード電源に、原子力を入れるべきかどうかと云う議論に繋がるので、さっさと片付く問題ではなさそうだ。

この経産省作成の、尤もらしい“ベースロード電源疑惑”に突入せざるを得ないが、直ぐに手をつけるつもりはない。多くの場合、暗く深い闇に阻まれ、苦戦するのが確実だから、簡単には手を出せない(笑)。

フェイクと憎悪 : 歪むメディアと民主主義
永田 浩三
大月書店

 

タネはどうなる?!~種子法廃止と種苗法運用で
山田 正彦
サイゾー

 

自民党という病 (平凡社新書)
佐高 信,平野 貞夫
平凡社

 

コメント

●縄文が売り払われる 戻るべき原点の喪失は痛恨

2019年04月18日 | 報道

 

資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
佐々木 実
講談社

 

完本 しなやかな日本列島のつくりかた: 藻谷浩介対話集 (新潮文庫)
藻谷 浩介
新潮社

 

食の戦争 米国の罠に落ちる日本 (文春新書)
鈴木 宣弘
文藝春秋


●縄文が売り払われる 戻るべき原点の喪失は痛恨


個人的な考えだが、日本と云う国の仕組みや、人々の、最も優れている部分は、この国土に1万年にわたり続いた“縄文の精神”ではないかと、常々考えている。

平易な言葉で表現するなら、「地産地消」と云うことだ。

ところが、この「地産地消」すべき原材料が、金融資本の餌食にされているのが現状である。

以下の、守旧派と批判に晒される東大農学部教授鈴木宜弘氏のコラムを読む限り、“生み育てる農林漁業”こそが縄文の精神に根づいた制度の生き残りだったが、この制度を根こそぎ金融資本からに叩売りしているのが、今の経産省主導の安倍政権の行動だ。

本質的に、このような国民が固有に有していた「社会的共通資本」を、国内外のハイエナ企業に売り渡す行為は、売国である。

百歩譲って、竹中平蔵的な金融資本主義や市場原理主義による“金儲け”が実際に実現し、国と国民が豊かになれるなら、そういう“今だけ、金だけ、自分だけ”も、まあ一つの選択だと言える。

しかし、この金融資本主義も、規制改革と国富の叩売りと云う宴が終わった時点で、国が、国民の生活を保障しない日本と云う国が出現することを、国民が十分理解出来ずに、ことが進んでいるのが大問題だ。

早い話が、市場原理主義の貫徹で、日本が勝てる要素がまるでない。つまり、敗北しか見えない。


狩猟民族としてのDNAがあるアングロサクソンと、採取民族のDNAを持つ日本人が、同一の土俵で戦ったら、採取民族が敗れるのは火をみるよりも明らかだ。

このような考え方をすると、「しっぽを巻いて逃げるのか」との非難があるが、合理的に考えて、勝てない戦場に出向くのは、愚かなだけだ。

安倍晋三などは、日本スゴイ!、日本人スゴイ!を提唱する日本会議やネトウヨらにの支持を得て、選挙制度の罠で政権を握っている内閣にとっては、自由貿易で、正々堂々戦おう、と主張するしかないのだが、勝ち目はゼロの土俵だ。

まさに、第二次世界大戦に踏み込んだ時と同一な、質的過ちに陥っている。

今さらヤメラレナイ。

そんなことはない。


あっ!場所、間違いました。会場は隣の部屋でした、と扉を閉めれば良いことだ。

人口の増加が見込めない。領土の増加も見込めない。経済活動に必要なエネルギー資源がない。

ITやAIの技術的ノウハウも世界レベルとは言いがたい。ビッグデータも1億人あまりでは、たかが知れている。14億に敵うはずもない。

しかし、どう猛なアメリカ人や、それに挑む4千年の歴史に裏打ちされた中国の戦場に、同じルールで参戦するなど、愚の骨頂だ。

本質論的な話だが、なぜ縄文時代が1万年も続いたのか、その辺を紐解きながら、日本は、独自の土俵を作り、その土俵の中で、独自の文化や文明を築くことに本気になる方が、生きている満足度や幸福度は、相当上昇するものと考える。

逃げるのではなく、異なる世界を切り拓くのだ。ヒントは、縄文文化と元禄文化だ。

そういう意味で、その土台となる、日本の農業や林業、漁業が持っている“既得権”は、悪の権化ではなく、実は、次の時代の日本の宝なのである。

それを売り払われるのだから、この痛手は大きい。買い戻すのに、売却費の何倍もの資金が必要になるからだ。

ハゲタカな資本とは、そういうものだ。

まぁ、今さらやめさせようとしても、当分は、行くところまで行くのだろう。


≪コラム:食料・農業問題 本質と裏側
■2019.04.04 
【鈴木宣弘・食料・農業問題 本質と裏側】霞ヶ関の奮起に期待する
 霞が関の「変節」を批判するのはたやすいが、良識ある官僚とOBの「闘い」にも目を向ける必要がある。

◆TPP交渉参加はあり得ない選択肢だった
 振り返ると、日本の農林漁業を守り、国民への安全な食料供給の確保を使命としてきた農林水産省にとって、TPP(環太平洋連携協定)交渉への参加は、長年の努力を水泡に帰すもので、あり得ない選択肢であった。何としても阻止すべく、総力を挙げて闘ったが、押しきられた。痛恨の極みだった。次には、重要5品目を除外する国会決議も守れなかったが、コメなどの被害を最小限に食い止めるために農水官僚が必死に頑張ったのは確かだ。  

◆築き上げたものが次々と崩壊させられる~民有林・国有林の「盗伐」も合法化
 重要品目の国境措置だけでなく、酪農の指定団体制度(畜安法)も、種子法も、漁業法も、農林漁家と地域を守るために、知恵を絞って作り上げ、長い間守ってきた仕組みを、自らの手で無惨に破壊したい役人がいるわけはない(特定企業による民有林・国有林の「盗伐」も合法化し、森林環境税まで補助金として供与する)。それらを自身で手を下させられる最近の流れは、まさに断腸の想いだろうと察する。

 官邸における各省のパワー・バランスが完全に崩れ、従来から関連業界と自らの利害のためには食と農林漁業を徹底的に犠牲にする工作を続けてきた省が官邸を「掌握」している今、命・環境・地域・国土を守る特別な産業という扱いをやめて、農林漁業を「お友達」の儲けの道具に捧げるために、農水省の経産省への吸収も含め、農林漁業と関連組織を崩壊・解体させる「総仕上げ」が進行している。  

◆世界に例のない酪農協弱体化法
 2017年6月には、生乳の特質から世界のすべての国が全量出荷を義務付けているのに、日本だけが酪農協の共販の弱体化を図る畜安法改定を断行した。懸念を表明した(将来を嘱望されていた)担当局長と課長は「異動」になった。それでも、「省令で『いいとこどり』の二股出荷は拒否できるように規定するから」と担当部局は酪農関係者に説明し、実際、彼らは一生懸命知恵を絞っていた。しかし、「上」からの「小細工すると、わかっているよね」との圧力で、結局、有効な歯止めはできなかった。  

◆海は企業のもうけの道具に差し出せ
 水産庁は、様々な形で立体的・重複的な「漁場利用の分割不可性」に基づく資源の共同管理の有効性・必要性を指摘していた(農林中金総研.田口さつき主任研究員)が、その根幹となる漁業法における、漁家の集合体としての漁協による共同管理を優先する仕組みは、あっけなく崩壊させられた。

 長年にわたり、そこに住み、前浜を生業の場とし、資源とコミュニティを持続させてきた地元漁家たちから、「適切かつ有効に」海面を利用して「成長産業化」する=漁家のノリ養殖を企業のマグロ養殖に明け渡せば何倍もの利益が上がる、として、漁業権を剥奪する。資源管理もコミュニティも崩壊する。

 これは「強制収用」より悪質である。強制収用も大問題だが、それは空港建設など公共目的のために補償して合意の上で権利を剥奪するものであるが、今回は、特定企業の利益のため、補償もなく、合意もなく、地元漁家の生存権が剥奪されるというのだから、憲法29条に対する重大な違反である。

 農・林・水、すべてに関わる特定企業もある。国家「私物化」特区で農地買収し、森林「盗伐」によるバイオマス発電も合法化してもらった同じ企業が、洋上風力発電で海にも参入する。

 また、沖合漁業についても、水産庁は「個別割当方式・譲渡性個別割当方式の概要と我が国における導入の考え方(論点整理)」(平成20年11月7日)で
(1)漁獲量の迅速かつ正確な把握のための多数の管理要員など、多大な管理コストを要する(437億円と試算)
(2)操業が各漁業者の判断に委ねられ、漁業者団体による管理が行われなくなった場合には、価格の高い時期に漁獲が集中し、市場が混乱するおそれ
(3)特に、譲渡性個別割当方式を導入し、全面的に自由な割当ての移譲を認めた場合、 ・各種規制(トン数規制、操業区域、操業期間、操業方法等)の見直し、撤廃に伴い操業秩序が混乱するおそれ ・生産性が高く資本力のある漁業者に割当てが集中し、結果として、漁村地区が崩壊するおそれ、を指摘し、欧米型の資源管理には問題点が多く、我が国の漁業形態にも合わないと論陣を張っていた(前出・田口氏)。

 ところが、今回は、一転して、漁獲の個別割当から譲渡性個別割当に移行させ、さらに、船のトン数制限も撤廃して、一部企業の漁獲独占を後押しする方向が露骨に示された。漁業権の個別付与も含め、水産庁が「やるべきでない」と主張し続けてきたことを一気に「すべてやる」ことになってしまった。良識ある官僚やそのOBには許容できるはずがない。実は、「水産庁内での議論がないどころか、案文もほとんどの人は知らなかった」との指摘さえある。  

◆種はグローバル種子企業に渡すと決めたのだ
 種子法の重要性を理解していない農水官僚はいない。しかし、グローバル種子企業の世界戦略は世界の種を握り、買わないと生産・消費ができないようにすること。それには公共種子が一番じゃま。これをやめてもらって開発した種子はもらう。さらに、自家採種を禁じて種を買わせる(在来の種は勝手に登録して農家を特許侵害で訴える)。F1(一代雑種)化、GM(遺伝子組み換え)化すれば、買わざるを得なくなり、これで生産者・消費者の支配完了となる。

 公共種子事業をやめさせ(種子法廃止)、国と県がつくったコメの種の情報を企業に譲渡させ(農業競争力強化支援法)、自家採種は禁止する(種苗法改定)という3点セットを差し出した。もっと言えば、特定のグローバル種子企業への「便宜供与」の「7連発」、
(1)種子法廃止、
(2)種の譲渡、
(3)種の自家採種の禁止、
(4)non-GM表示の実質禁止、
(5)全農の株式会社化・買収、
(6)輸入穀物のグリホサートの残留基準値の大幅緩和、さらには、
(7)ゲノム編集を野放しにする方針、が進められ、世界中でグローバル種子企業の排斥が強まる中、日本国民が「世界で最後の唯一最大の餌食」にされようとしている。

 種子法の廃止(2018年4月1日)にあたっても「従来通りの都道府県による推進体制が維持できるよう措置する」との附帯決議(与野党が頑張ったアリバイづくり)が入ったが、案の定、都道府県への「通知」(2017年11月)は、都道府県は事業を続けてよいが、それは民間に移譲する移行期間においてのみで、その期間における知見も民間に提供しろと指示した。

 つまり、至れり尽くせりで、グローバル種子企業が儲けられるよう早く準備しろと要請しているだけだ。  実は、役所の担当部局と主要県の担当部署が相談して「都道府県は事業継続できる」との案を作ったのだが、「上」からの一声で、「それは企業に引き継ぐまでの間」と入れさせられてしまったのだ。酪農と同様、担当部局が頑張っても、最後は「鶴の一声」でジ・エンドである。

 漁業法でも、法に明記されなかった「適切かつ有効に」の詳細を定める省令などに期待する声もあるが、畜安法や種子法と同様に、そもそも、「既存漁家(漁協)から参入企業に漁業権を付け替え、その権利を固定化する」ために入れた「お上の意思」は重い。抵当権設定も可能にして、競売で企業が権利を集積していく(浜を買い占めていく)道筋もつけられている。

 それでも、良識ある官僚とOBは頑張って闘っていることは忘れてはいけない。全国の都道府県の自治体も、現場の農林漁家も、国民も、農協も、漁協も黙ってはいない。農水省をなくしてはならない。
 ≫(JAcom:コラム鈴木宜弘)

 

悪夢の食卓 TPP批准・農協解体がもたらす未来
鈴木 宣弘
KADOKAWA

 

タネはどうなる?!~種子法廃止と種苗法運用で
山田 正彦
サイゾー

 

種子法廃止でどうなる?: 種子と品種の歴史と未来 (農文協ブックレット)
農文協(編集)
農山漁村文化協会
コメント

●腑に落ちない新元号、次時代を予感 「令」は冷たい

2019年04月17日 | 報道

 

天皇はなぜ生き残ったか (新潮新書)
本郷 和人
新潮社

 

「承認欲求」の呪縛 (新潮新書)
太田 肇
新潮社

 

違和感のススメ
松尾 貴史
毎日新聞出版


●腑に落ちない新元号、次時代を予感 「令」は冷たい


世論調査などによると、新元号「令和」は6~7割の国民が好感を持って受けとめたとの報道がめだつ。

端から新元号にケチをつけるのも憚られるので、「まぁ、良いんじゃないですか」と云う感じの回答が多かったようである。

そういう意味では、日本人は如才がないと云うか、よほど“忖度”が好きな国民なのだろう。

古代史を紐解くと、日本と云う地においては縄文と云う時代が一万年も続いていたのだそうだ。

つまり、縄文人の一万年の歴史が土台にある国と考えれば、ここ10年くらいで起きた出来事で、四の五の考えるのは冗談的でもある。

イメージ的にも、言葉の響き的にも、“rei”には温かみはない。“wa”が温かいから良いじゃないかと云うが、冷温で帳消しだ。

以下のコラムで指摘するように、筆者も確認したが、”「令」を大修館書店の「大漢語林」を繰った。令の項には(1)命ずる。いいつける。法令などを発布する。「命令」(2)みことのり。君主の命令。「勅令」(3)のり。おきて。法令。布告書。「律令」……と続く。”と。

安倍晋三首相は発表当日の自民党役員会で「令はいい意味」と説明したが、「よい」の意味が出てくるのは6番目だ。旧い漢和辞典なら7番目に漸く「よい」と云う意味が出てくるが、ほとんどが「命令」的な意味合いで、律すると云う上から目線な文字だと言える。


そもそも、無理やり国書だと言いながら、古事記や日本書紀からならいざしらず、謂わば、当時の歌謡曲である歌集から選んだ点である。

穿った見方をすれば、当時の藤原の統治権力を正当化させる古事記、日本書紀ではなく、政治性の薄い万葉集から選びました、とエクスキューズを言いたいところだろうが、正当な歴史哲学が欠けており、田舎育ちの長州武士的だとも 言える。

しかし、日本の歴史の中において、点にしか過ぎない議院内閣制から誕生しただけの安倍総理が、己の物のように「元号」を扱うのは控えたら如何なものだろう。

NHKのニュース報道などを見聞きしていると、安倍総裁の所有物であるような扱いが目立つのは、顰蹙ものである。

しかし、わが国の愚民な人々は、安倍政権の手柄であり、内閣支持率を5~8ポイント上昇させるのだから、目出度い。いや、フェークな調査なのかもしれない。

まぁ、暗黒の時代の幕開けとして、残念であるが“暗黒の令和”と云うゴロの良さも手伝い、かなり日本には厳しい時代が訪れるようだ。

しかし、国の立場が厳しくなる時代には、救世主のように多くの国民が目覚めるとも言われているので、その歴史的事実に期待しよう。


≪新元号「令和」 礼賛一辺倒だが…「負」の面にも目を
世の中が新しい元号「令和」ブームに沸いている。各種の世論調査で7割前後の人が「好感が持てる」と回答。出典となった万葉集にも注目が集まり、関連本の増刷も相次ぐ。だが、そんな「礼賛一辺倒」に疑問を投げ掛ける人もいる。【小松やしほ】 「いやあ、参りましたよ」。東京大学史料編纂(へんさん)所の本郷和人教授は開口一番、こう言って頭を抱えた。テレビの歴史バラエティーやクイズ番組で、分かりやすく楽しい解説で人気の教授が何に「参った」のか。

 新元号が発表された翌2日のこと。テレビ朝日の情報番組に出演し、「令」の字の「悪口」を言ったことで、ツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で猛批判され、胃の痛む日々を過ごしているという。

 そんな思いをしてまで、口を開いたのはなぜか。「僕がテレビに出てバカやっているのは、歴史学の面白さを少しでも多くの人に分かってもらうため。学界と皆さんをつないで、研究の成果を分かりやすく伝える人間が必要だと考えているからです。そんな僕が今回、元号の問題に目をつぶって『政府万歳』ってやったら、曲学阿世(きょくがくあせい)と言われてもしかたない。さすがにそれはできないなあと思いました」  曲学阿世--。学を曲げて世にへつらう、の意。学問の真理に背いて時代の好みにおもねり、世間に気に入られるような説を唱えることを言う。「研究者にとって一番の恥だ」と本郷さんは断言する。

 さて「令和」である。この元号を評価しない理由を改めて聞いた。候補となった6案の中でふさわしくない漢字は「令」の字だけだという。「一度、漢和辞典を引いてごらん」と本郷さん。大修館書店の「大漢語林」を繰った。令の項には(1)命ずる。いいつける。法令などを発布する。「命令」(2)みことのり。君主の命令。「勅令」(3)のり。おきて。法令。布告書。「律令」……と続く。安倍晋三首相は発表当日の自民党役員会で「令はいい意味」と説明したが、「よい」の意味が出てくるのは6番目だ。

 「令和を『order and peace』と訳した海外メディアがありました。それに対して外務省が『Beautiful Harmony』と伝えるよう在外公館に指示したそうですが、漢字の意味からすれば、その解釈には無理がある。安倍首相は、憲法9条を拡大解釈している現状が嫌だから改憲したいと言うならば、元号も拡大解釈はやめるべきです。ダブルスタンダードの極みですよ。安倍さんの周りには誰も『令という字は良くないですよ』という人はいなかったんですかねえ」

 令嬢、令息、令夫人は令を「良い」の意味で使った熟語だが、本郷さんが令を使った熟語でまず思い浮かべたのが「令色」であり「巧言令色鮮矣仁(巧言令色、鮮(すくな)し仁)」だ。「論語」に出てくる孔子の言葉で、巧みな言葉を用い、表情をとりつくろって人に気に入られようとする者には、仁の心が欠けている--という意味だ。「孔子にとって一番大切な概念が仁。今の言葉で言えば愛です。その仁に一番遠いのが巧言令色。言い換えれば、そんたくです」

 本郷さんは「令旨(りょうじ)」という言葉を挙げて、令は皇太子につきものの漢字でもあると解説してくれた。「令旨とは、皇太子の命令を言います。学問的に見れば、令という字のついた天皇なんて、皇太子殿下に失礼ではないですか」。平安時代の高級貴族は政所という私的な役所を持つことを許され、役人に荘園の経営や管理を任せた。そのトップを令という。「家令という言葉がありますが、令は律令に規定のある役人であり、使用人です。それを元号に入れるとは」

 本郷さんは自身を「日本の伝統文化が大好きな愛国者だ」と言う。「元号を国書から選ぶことは構わないし、国民が選んだなら民主主義なので文句を言いません。だけども、候補を公に示さず、『これに決まりました』と。その中に令という字が入っている。これでは、政府は国民に何かを下す存在なんだと思われてもしかたがない。黄櫨染(こうろぜん)のように天皇陛下だけが着られる色があるように、上に立つ人にはそれにふさわしい字がある。安倍首相に皇太子殿下を侮辱しようという意図があったとは思いませんが、周りの学者は何をしているのかと。気がついていないなら学者として失格だし、気がついていて言わないなら、それこそ最大のそんたくですよ」

■歌集は格下、戦争利用の過去も
 万葉集の研究者も喜んでばかりではない。青山学院大の小松靖彦教授は、万葉集を出典としたことは「意外だった」と言う。なぜなら、「万葉集が編まれた7~8世紀には、中国文化圏に由来する厳然とした書物の序列があった」から。一番上は、仏教や儒教、道教の経典、次に律令などの法典、そして時の政権の正統性を説明する日本書紀などの歴史書、その下に政治の担い手である教養人が文章や詩を作る時に手本にする漢詩文集。歌集はそれよりも格下だ。「元号が国書から選ばれるかもしれないと言われても、古事記や日本書紀からと思っていました」

 そして、「万葉集が注目されるのはうれしいですが、戦争で利用されたという歴史もきちんと知っておかなくてはいけない」と言うのだ。まず、万葉集の成り立ちとその魅力を解説してくれた。

 「舒明天皇に始まり、聖武天皇に至るまでの皇統の歴史を描こうとしたものであり、天皇のための古代の理想像の歌集です。けれども一つ一つの歌には歌集の意図を超える力がある。それは古代人が洗練して作り上げた詩であると思っています。言葉を磨きに磨いた末に、文学の持つ力に気がついた、その時代に生きた人々の大事な証言です。人間が生きていく、そのどこか根本的なところに触れるような調べがある。そこが最大の魅力だと思います」

 次に、小松さんは「かつて、万葉集が戦争に利用されたという歴史に、今日、あまり触れられていない」ことを危惧する。

 万葉集の歌風は「勇壮な男子」を意味する「ますらをぶり」が特色とされているが、「当時の貴族か官僚にしか使わない表現です。例えば兵士である防人(さきもり)には、自分のことを『ますらを』などと、恐れ多くて絶対に言えないという意識が当時はありました」。

 ところが、時代が下り、幕末の倒幕派の志士たちがこの言葉を使い始めた。「彼らは身分が低いので、自分たちのことを『侍』や『もののふ(武士)』と名乗るのに抵抗があったようです。彼らは万葉集に古代の天皇中心の理想的国家像を見て、天皇に忠誠心を持つ勇壮な男性は『ますらを』だと。自らそう名乗り、自分たちの行動に意味を与えようとしたのです。以後、この精神は徐々に浸透し、日清、日露戦争を経て、太平洋戦争下で一気に広まりました」  例えば、楽曲「海ゆかば」は万葉集巻十八の大伴家持の長歌から引用されている。

 海行かば 水(み)漬(づ)く屍(かばね)  
 山行かば 草生(む)す屍  
 大君(おおきみ)の 辺(へ)にこそ死なめ  
 かへりみはせじ

 「満州事変(1931年)後に万葉集が小学校の教科書に載るようになりました。『海ゆかば』の曲は楽曲としては優れたものですが、これを胸に死んでいった人たちがたくさんいたことを忘れてはならない」と小松さん。戦中、「万葉の精神で」や「醜(しこ)の御盾(みたて)となって」という言葉も飛び交った。「万葉集をどう享受し継承していくか、それは今を生きる私たちにかかっています」

 おめでたいムードにけちをつける気は毛頭ない。だが、こうした「負」の部分もしっかり見つめて、新しい時代に踏み出したい。  ≫(毎日新聞)


≪新元号発表、どうして支持率が上がるの?
 この国は、新しい元号「令和」が発表されて、政権の支持率が上がるという不思議の国だ。こんなものが手柄になるなら毎年元号を変えればいい。一体、その人たちは何を評価したというのだろうか。ある調査では、10ポイント近くも跳ね上がっている。第一、政権が元号の選考に口出しするという、越権というかやぼというか、その差し出がましさのどこに支持率を上げる要素があるのかまったく理解不能だが、こんなことを言い出せばきりのないこの数年間ではある。

 元号は伝統文化の一つであるとは思う。文化、伝統として尊ぶのであれば、古式ゆかしく命名すればいいと思うのだが、歴史に名を刻みたいのだろうか、とにかく自身の影響で何かを変えたかったのだろう。

 出典が中国由来ではなく、初めて和書からの抽出でつけられたふうなことに胸を張る人々がいるが、それとて中国の書物からの孫引きになっているということには不思議と頓着しない。なぜここで伝統の形をゆがめてまで日本の書物から取った元号にこだわったのか、これまた不可解だ。

 「レイワ」と音読みになっている時点で中国由来の印象は残るから、それほどこだわりたいのならば訓読みにしても良かったのではないか。そして、中国で作られた漢字ではなく、いっそのこと、日本で生まれた平仮名にすればいい。いや、平仮名とて漢字を崩してできたものだから中国由来だが、そこまで言えばきりがない。だが、「万葉集」から取ろうが「古事記」や「日本書紀」や「古今和歌集」から取ったとしても、そもそも元号の制度自体が中国に倣ったものではないか。

 私たちの生活で、ちょっとした煩わしさをもたらすこの西暦と和暦の併用は、これから先も続いていくのだろうか。最近運転免許を更新した人によると、今までは「平成34年○月○日まで有効」などと表記されていたのが、西暦が加えられるようになったらしい。国際化する中で、旅行でやって来たり日本で暮らしたりしている外国人に、このドメスティックな文化を強要する必然は感じられない。さらなる外国人の労働力に頼らねばさまざまな産業の維持ができないといわれる状況の中で、これからもこの「和暦」なるものを公文書などでは使い続けるのだろうか。

 よく話題に上るのが、この「令和」の発音アクセントだ。「こんぶ」「つばき」「たぬき」のように最初の文字にアクセントを置いて発音するのか、「かつお」「さくら」「きつね」などと同じように平板で発音するのか。これはもちろん、前者なのだが、なんでも平板化する昨今では、後者の発音で話す人も多い。  4音の元号は、「安政」「大正」「平成」など、アクセント核の無い平板で発音する(平板型)が、3音で読む元号は、「元和」「元治」「明治」など、最初の音にアクセントを置く(頭高型)。しかし、「昭和」だけは使われた期間が過去247の元号で一番長く、長くなじんだものは平板化する傾向があるので、結構な年配の人でも平たく発音する人が多い。

 在りし日の立川談志師匠と「昭和」のアクセントについて、小論争になったことがあったが、師匠は平板説を唱えておられた。しかし、話の中で何度も無意識に頭高型で発音しておられたのがおかしかった。

 蛇足ながら、どこかのアナウンサー氏、元号を「248個目」と。「個」で数えることには違和感があるなあ。(放送タレント、イラストも)
 ≫(毎日新聞)

 

団地と移民 課題最先端「空間」の闘い (角川書店単行本)
安田 浩一
KADOKAWA / 角川書店

 

東大教授がおしえる やばい日本史
本郷 和人,和田 ラヂヲ,横山 了一,滝乃 みわこ
ダイヤモンド社

 

橋の下のゴールド
泉 康夫
高文研

 

コメント

よろしくお願い

https://blogimg.goo.ne.jp/img/static/admin/top/bnr_blogmura_w108.gif