様々な視点、思惑が交差するように、ソレスタルビーイングという存在をどう扱うか?という一点を中心に描かれた第4話、非常に見応えがありました。
次々と変わる視点。
しかしながら、その誰もがソレスタルビーイングの行動を注視し、どう出るのか、また自分たちがどう出るのか、と自分たちの視点で言葉を繋げる。
それはまたソレスタルビーイング自身も同じ。
複雑なようでいて、演出的には分かりやすく視点を整理してくれているという、構成にもまた面白味がありました。
特にマリナ・イスマイールと沙慈・クロスロードという視点を入れて物語を進めたのが非常に良かったですね。
政治面と一般庶民の視点。
この辺の対比も上手く表現されていて、この30分は見せ方という意味でも非常に面白かったです。
ガンダムダブルオー、面白いなぁ。
■出来レース
今回の話は僕ら視聴者に情勢とか、国の対応とかこんな感じです、と説明するには非常に上手かったなぁ、というのが第一印象。
(そりゃあ、細かく言えば、というのはあるんだろうけども)対外折衝というタイトルが示すように、こういうイメージなんだよ、というのを印象付けるのには非常に上手い見せ方だったと思います。
中・高生にも理解できるように解説が入っていたし、できれば頑張ってついてきて欲しいですねぇ。
タリビアの独立宣言にも近い声明を受けての、今回の一連の出来事。
世間としても非常に注目が高かったわけです。
ソレスタルビーイングがどう出るか?
介入しなければ、その理念が瓦解する。
介入しなければならない状況。
介入するか、しないか。
介入したならば、どちら側に攻撃をしかけるのか。
ソレスタルビーイングももちろんそれを理解していて、それを踏まえたうえでの介入。
双方の試金石。
結果的にタリビア側を紛争幇助という形で攻撃する形になったわけですが、そこに至るまでの各国の思惑・視線の見せ方が面白かったですね。
基本的にはアザディスタン王国のマリナ・イスマイールとその秘書?の人がうまーく視聴者側へ解説を入れてくれていて、それに連動するかのように、各国の首脳陣がコメントを繋いでいく、という形、非常に分かりやすかったですね。
タリビア(首相)の思惑としては、どっちに転んでも美味しかったわけですし、それはアメリカも同じ。
双方の(暗黙の?)合意のもと、今回の紛争が起きた。
これも一つの紛争の形。
タリビアとしては、もともと反米感情の高まりがあって、それをどうするか?というのが首相の悩み。
単純にアメリカ追従を表明しては民意は得られないし、かといって、単独で独立を宣言しても軍備的に厳しい。
ならばソレスタルビーイングを使おう、というのが大本の流れ。
タリビアに加勢すれば、タリビアとしては軌道エレベーターの近くなんだからそこで軍事的に優位に立てればアメリカに交渉はしやすいし、逆にタリビア側を攻撃してくれば国民に対してはポーズとして反米を示すことができ、実際には合法的にアメリカの援助を受けることがでる、というどっちに転んでも良い状況だったわけです。
またアメリカとしても、ソレスタルビーイングを見極めるためにも、ガンダムを捕獲するためにも、ステージが欲しいと思っていて、タリビア政権の反米感情を「いなす」意味もあり、タリビアでのケースはタイミングとしては美味しいと思った、という感じですかね。
両者の思惑は一致しているわけです。
ソレスタルビーイングは必ず介入してくる。
ならばどちら側に介入するか?
ここがタリビアのみならず、世界中の注目の的だったんですね。
タリビア側に付けば、それを見た国が追従して、我も我もと反旗を翻す可能性があり(これがアザディスタン王国の言っていた可能性の方)、アメリカ側につけば紛争をしかけようとする勢力は一旦様子を見ざるを得なくなる。
今回はソレスタルビーイングは(どちらをとっても辛くなるけど)、後者を積極的に受容したわけです。
後者を取った場合、世論の操縦の仕方としては、いみじくも沙慈・クロスロードが言ったように、タリビアはまだ何もしていないのに、ソレスタルビーイングはただいたずらに紛争を引き起こすテロ組織である、という方向性を帯びるわけですね。
だからスメラギさんは全てのケースを予想して、それでも尚、どのケースを選択しても辛いわね、と言っていたんですね。
全てがどっちに転んでも対応できるように判断して行動した。
まさに対外折衝というタイトルに相応しい回でした。
基本的にこういうのは普通に生活していても行われていることで、国家間に限らず企業間、企業内でも同じようになされていると思うんですよね。
だから僕らあたりなんかは結構理解しやすいと思うんです。
#でも若い年代の人にはまだ経験しないところのような気もするので、そういう意味で幅広い年齢層を内包するガンダムという作品で、こういう描き方をしたのは凄く上手いなと個人的には思います。
企業体というのはトップメッセージが明確な方がそりゃよいわけですが、そこに至るまでとか、その最中とか、やはりどう動いても、どう転んでも何とかやれるように軸足を残しておいたりして、結構模索しながら、状況を読みながら、状況を作っていく感じ、そんな風にしてやってますわね。
#これは会社、もしくは組織のトップに近い裏方がいろいろと(トップの意向を受けて)検討してたり、そういう状況を作るネゴを常にしていると思います。
#逆に現場サイドではこの動きは見えないので、沙慈・クロスロードの視点はそういう風に見えるでしょうね。
#この辺は僕の最近の仕事がそういうのだから、余計に親近感が湧くというか、既視感がある、そんな感じ?
この出来レースに対して、腹黒いとか思うかもしれないけれども、極論に振れないように、絶えず何かと天秤にかけるように、慎重に模索している方が実は健全なスタイルだったりするんですよね。
でもそれは劇的変化を遅らせる可能性もあるわけで、ソレスタルビーイングはその劇薬であり、痛みになろうとしているのだから、今回の行動やその積み重ねがどう繋がっていくのか?その辺が一番楽しみですね。
ああ、面白かった。満足です。
■沙慈・クロスロード
この作品って複数のアイポイント(目線)が登場してくるんだけれども、それが結構整理されているので、非常に分かりやすいですね。
今回で言えば、
マリナ・イスマイールは小国の持たざる国としてのアイポイント
#またタリビア首相はある意味マリナのIF的アイポイント
ユニオンや人革連のトップは大国は持っている国として、リーダーとしてのアイポイント
どこにも位置しないソレスタルビーイングとしてのアイポイント
そして沙慈・クロスロードにおける民衆としての(視聴者としての)アイポイント
今回はこの4つを上手く表現してくれたわけですが、沙慈・クロスロードの視点があるおかげでこの物語って凄く面白味を増している気がします。
#スイカに塩をかけると甘みが増すみたいな?
#ちなみに僕は塩をかけない派だけども(笑)。
ハイブローに進んでいく物語の中で、日本の平和な時代に生きる一学生である沙慈・クロスロードを入れることによって、ある意味俯瞰できるという効果。
凄くいいですね。面白い。
刹那のIFなのかもしれないけれども、今後の沙慈くんと刹那の絡みというのも期待したいところです。
■刹那
ターミネーター2を思い出したんですが、刹那が白昼に見た惨劇は、世界で紛争が今このときにも行われているのに、何故ここはこんなにも平和なのか、また、その平和も紛争が起きれば一瞬で惨劇と化すのに、というような思いから流れ出たイメージなのかもしれないですね。
#だからそこで一般学生たる沙慈くんが登場する、という演出が効いているわけなんですが。
こういう積み重ねシーンが今後、演出として効いて来るんだろうなぁ。
それにしても沙慈くんは刹那との対比として非常に効果的ですね。
という感じで、非常に密度も濃くて、演出も上手いなと、満足な回でした。
この物語における世界はこんな感じだぜ、というのを視聴者に伝える、という意味では僕は個人的に成功なんじゃないかと思います。
やっぱり見せ方、上手いよね。面白かったです。
■ガンダム OO(ダブルオー) DVD第1巻
次々と変わる視点。
しかしながら、その誰もがソレスタルビーイングの行動を注視し、どう出るのか、また自分たちがどう出るのか、と自分たちの視点で言葉を繋げる。
それはまたソレスタルビーイング自身も同じ。
複雑なようでいて、演出的には分かりやすく視点を整理してくれているという、構成にもまた面白味がありました。
特にマリナ・イスマイールと沙慈・クロスロードという視点を入れて物語を進めたのが非常に良かったですね。
政治面と一般庶民の視点。
この辺の対比も上手く表現されていて、この30分は見せ方という意味でも非常に面白かったです。
ガンダムダブルオー、面白いなぁ。
■出来レース
今回の話は僕ら視聴者に情勢とか、国の対応とかこんな感じです、と説明するには非常に上手かったなぁ、というのが第一印象。
(そりゃあ、細かく言えば、というのはあるんだろうけども)対外折衝というタイトルが示すように、こういうイメージなんだよ、というのを印象付けるのには非常に上手い見せ方だったと思います。
中・高生にも理解できるように解説が入っていたし、できれば頑張ってついてきて欲しいですねぇ。
タリビアの独立宣言にも近い声明を受けての、今回の一連の出来事。
世間としても非常に注目が高かったわけです。
ソレスタルビーイングがどう出るか?
介入しなければ、その理念が瓦解する。
介入しなければならない状況。
介入するか、しないか。
介入したならば、どちら側に攻撃をしかけるのか。
ソレスタルビーイングももちろんそれを理解していて、それを踏まえたうえでの介入。
双方の試金石。
結果的にタリビア側を紛争幇助という形で攻撃する形になったわけですが、そこに至るまでの各国の思惑・視線の見せ方が面白かったですね。
基本的にはアザディスタン王国のマリナ・イスマイールとその秘書?の人がうまーく視聴者側へ解説を入れてくれていて、それに連動するかのように、各国の首脳陣がコメントを繋いでいく、という形、非常に分かりやすかったですね。
タリビア(首相)の思惑としては、どっちに転んでも美味しかったわけですし、それはアメリカも同じ。
双方の(暗黙の?)合意のもと、今回の紛争が起きた。
これも一つの紛争の形。
タリビアとしては、もともと反米感情の高まりがあって、それをどうするか?というのが首相の悩み。
単純にアメリカ追従を表明しては民意は得られないし、かといって、単独で独立を宣言しても軍備的に厳しい。
ならばソレスタルビーイングを使おう、というのが大本の流れ。
タリビアに加勢すれば、タリビアとしては軌道エレベーターの近くなんだからそこで軍事的に優位に立てればアメリカに交渉はしやすいし、逆にタリビア側を攻撃してくれば国民に対してはポーズとして反米を示すことができ、実際には合法的にアメリカの援助を受けることがでる、というどっちに転んでも良い状況だったわけです。
またアメリカとしても、ソレスタルビーイングを見極めるためにも、ガンダムを捕獲するためにも、ステージが欲しいと思っていて、タリビア政権の反米感情を「いなす」意味もあり、タリビアでのケースはタイミングとしては美味しいと思った、という感じですかね。
両者の思惑は一致しているわけです。
ソレスタルビーイングは必ず介入してくる。
ならばどちら側に介入するか?
ここがタリビアのみならず、世界中の注目の的だったんですね。
タリビア側に付けば、それを見た国が追従して、我も我もと反旗を翻す可能性があり(これがアザディスタン王国の言っていた可能性の方)、アメリカ側につけば紛争をしかけようとする勢力は一旦様子を見ざるを得なくなる。
今回はソレスタルビーイングは(どちらをとっても辛くなるけど)、後者を積極的に受容したわけです。
後者を取った場合、世論の操縦の仕方としては、いみじくも沙慈・クロスロードが言ったように、タリビアはまだ何もしていないのに、ソレスタルビーイングはただいたずらに紛争を引き起こすテロ組織である、という方向性を帯びるわけですね。
だからスメラギさんは全てのケースを予想して、それでも尚、どのケースを選択しても辛いわね、と言っていたんですね。
全てがどっちに転んでも対応できるように判断して行動した。
まさに対外折衝というタイトルに相応しい回でした。
基本的にこういうのは普通に生活していても行われていることで、国家間に限らず企業間、企業内でも同じようになされていると思うんですよね。
だから僕らあたりなんかは結構理解しやすいと思うんです。
#でも若い年代の人にはまだ経験しないところのような気もするので、そういう意味で幅広い年齢層を内包するガンダムという作品で、こういう描き方をしたのは凄く上手いなと個人的には思います。
企業体というのはトップメッセージが明確な方がそりゃよいわけですが、そこに至るまでとか、その最中とか、やはりどう動いても、どう転んでも何とかやれるように軸足を残しておいたりして、結構模索しながら、状況を読みながら、状況を作っていく感じ、そんな風にしてやってますわね。
#これは会社、もしくは組織のトップに近い裏方がいろいろと(トップの意向を受けて)検討してたり、そういう状況を作るネゴを常にしていると思います。
#逆に現場サイドではこの動きは見えないので、沙慈・クロスロードの視点はそういう風に見えるでしょうね。
#この辺は僕の最近の仕事がそういうのだから、余計に親近感が湧くというか、既視感がある、そんな感じ?
この出来レースに対して、腹黒いとか思うかもしれないけれども、極論に振れないように、絶えず何かと天秤にかけるように、慎重に模索している方が実は健全なスタイルだったりするんですよね。
でもそれは劇的変化を遅らせる可能性もあるわけで、ソレスタルビーイングはその劇薬であり、痛みになろうとしているのだから、今回の行動やその積み重ねがどう繋がっていくのか?その辺が一番楽しみですね。
ああ、面白かった。満足です。
■沙慈・クロスロード
この作品って複数のアイポイント(目線)が登場してくるんだけれども、それが結構整理されているので、非常に分かりやすいですね。
今回で言えば、
マリナ・イスマイールは小国の持たざる国としてのアイポイント
#またタリビア首相はある意味マリナのIF的アイポイント
ユニオンや人革連のトップは大国は持っている国として、リーダーとしてのアイポイント
どこにも位置しないソレスタルビーイングとしてのアイポイント
そして沙慈・クロスロードにおける民衆としての(視聴者としての)アイポイント
今回はこの4つを上手く表現してくれたわけですが、沙慈・クロスロードの視点があるおかげでこの物語って凄く面白味を増している気がします。
#スイカに塩をかけると甘みが増すみたいな?
#ちなみに僕は塩をかけない派だけども(笑)。
ハイブローに進んでいく物語の中で、日本の平和な時代に生きる一学生である沙慈・クロスロードを入れることによって、ある意味俯瞰できるという効果。
凄くいいですね。面白い。
刹那のIFなのかもしれないけれども、今後の沙慈くんと刹那の絡みというのも期待したいところです。
■刹那
ターミネーター2を思い出したんですが、刹那が白昼に見た惨劇は、世界で紛争が今このときにも行われているのに、何故ここはこんなにも平和なのか、また、その平和も紛争が起きれば一瞬で惨劇と化すのに、というような思いから流れ出たイメージなのかもしれないですね。
#だからそこで一般学生たる沙慈くんが登場する、という演出が効いているわけなんですが。
こういう積み重ねシーンが今後、演出として効いて来るんだろうなぁ。
それにしても沙慈くんは刹那との対比として非常に効果的ですね。
という感じで、非常に密度も濃くて、演出も上手いなと、満足な回でした。
この物語における世界はこんな感じだぜ、というのを視聴者に伝える、という意味では僕は個人的に成功なんじゃないかと思います。
やっぱり見せ方、上手いよね。面白かったです。
■ガンダム OO(ダブルオー) DVD第1巻