5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

ギーゼキングの中古CDを買う

2011-09-23 23:16:51 | 音楽
昨日は金山の中古CDショップで久しぶりにCDを一枚買った。

ドイツのピアニスト、ワルター・ギーゼキングがカラヤンのフィルハーモニアをバックに弾いたグリーグのピアノ協奏曲と叙情小曲集Ⅱを入れたイタリアCEDER盤。1枚300円と安いのは旧いモノラル録音だということだろう。

録音はコンチェルトが1951年録音、独奏が53年とクレジットされている。スタジオ録音とわざわざ断りもあって、カラヤンがフィルハーモニア・オーケストラを使っていることから、原盤は英国EMIの録音だとわかる。戦後まもない当時はフィルハーモニアとの演奏と録音が盛んに行なわれているからだ。LPが出回りはじめた時期である。

1895年生まれのギーゼキングはコンチェルトの録音当時は56歳。一方のカラヤンは1908年生まれだから43歳と二人とも音楽家として最盛期にあったわけだ。独奏曲の録音は3年後だから、ピアニストは59歳になって、死去する2年前の録音ということになる。

久しぶりにこのCDを買った訳は、学生時代に聴いた25センチLPのグリーグと同一録音だろうと思い、なつかしい音が突然耳の奥に浮かんできたからだ。

モノラルLP時代の音は、現代のフルデジタルに比べれば貧相には違いないが、そこは録音にこだわったカラヤンの伴奏。スタジオとは思えないアコースティックに、ダイナミックレンジの広いピアノとオケがしっかり捉えられている。

若い頃に何度も何度も聞き込んだギーゼキングの演奏は、すっかり自分の音楽脳に刷り込まれて、グリーグ演奏のデファクトになっている。今の若い連中の聴き方とはずいぶん違うことに気がついた。

ギーゼキングは立派な体躯の持ち主だったということだが、明るい高音部からダイナミックな低音部までを多彩な音色と表情をもって聴かせる。運指のトレーニングを嫌いイメージを完璧に頭に入れて演奏に臨んだというとおり、曲の解釈ははっきりしていて迷いがない。職人・カラヤンの伴奏にも破綻はなく安心して聞けたのは、LPの昔と同じであった。

さて、秋分の日の今日は、やはり金山の特設会場で開かれている複数の中古CDショップ合同の廉価市を覗いてみた。

結構な人だかりの会場には、なぜか中年男性の来場者が多いようだ。ジャズ、ロック、歌謡曲、ポップス、クラシックと雑多なジャンルの中古CDやLPが並んで、皆懸命にお目当ての商品を探しているようだ。

ヒヤカシが目的のこちらは、ぶらぶらと平台の間を廻りながらCDやLPをランダムに抜き出して値付けを読んだ。廉価市という呼び込みの割りには最低でもCD一枚500円と割高な感。出品業者の申し合わせでもあるのだろうか。

興味の沸くクラシックCDにはどれも1200円以上の値がついている。以前は少なかったLPも中古として出回るらしく結構な量が置かれていて、こちらも1500円程度の高値である。

何も買わずに会場を出て秋風の吹く歩道を歩きながら、新品の6掛程度の値がつくのなら自分のCDライブラリーを処分してもいいなあと考えた。

栄のHMVがいつのまにか女物衣料店に入れ替わっているように、CDの売上げは凋落の一途のようだ。名も知らぬ若手音楽家のCDや、焼き直しコンピレーションCDばかりが目立つCD市場には、愛好家の欲しいCDはもはや見つからないのかもしれない。

音楽愛好家の気持ちとしては、全盛期に出回ったオールドCDやLPを中古ショップで探し回る方がうれしかろう。中古が値崩れをしない理由はそんなところにあるのかも知れない。







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