5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

ベルリンの「荒城の月」

2012-03-11 22:37:48 | 音楽
ツイートメンバーのITSさんは、現在、ドイツのベルリンにいる。親馬鹿を自認する彼は、娘の参加するW大オケのドイツ・オーストリア演奏旅行の旅程の一部に自分の旅をジョイントしているのだ。

今日がオヤジの最後の日程。折りしも学生オケはなんとベルリンフィル本拠地の「フィルハーモニー」でマチネの演奏をしたのである。そして、その実況映像が、ベルリンから生でインターネット配信がされて、こちらも誘いに応じて、それを眺め終わったというところなのである。

プログラムは、R・シュトラウスの「アルプス交響曲」、交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》、由谷一幾「和太鼓と管弦楽のための協奏曲」という、学生オケにしてはいかにも挑戦的なもの。技巧を見てくれというわけだろうか。

現地時間の午前11時(日本時間の午後7時)から始まる日曜日のマチネということからか、映像でみるコンサートホールはほぼ8割ほどの埋まり。やはり、日本と同じでヒマな年寄りたちの顔が目立つ。

ベルリンフィルは音楽のデジタル配信にも力をいれているらしく、WEBを覗くと、たくさんのコンサートプログラムが有料で提供されている。この学生オケのプログラムは何故か無料になっているのを幸いに、2時間30分をフルで眺めてしまった。PCの性能や回線スピードにもよるのだろうが、せっかくデジタルの綺麗な映像と音声なのだから、途中でブツブツ途切れるのが余計に気になる。

立ち上がりは少し眠そうな音をだしていたオケも、途中からは気が入ってなかなか元気な演奏を聞かせた。演奏の技術だけで云えば、下手な音大オケよりもよほど上手である。シュトラウスを選んだ理由もわかりそうだ。

それにしても女性プレイヤーの多いこと。弦セクションだけでなく管や打楽器にもたくさん。しかもプリンシパルの席に座っているものも一人二人ではないのだから、男は分が悪い。コンマスは男だが、これも譲ってもらった感じがする。

その女性達が黒いドレスを着ているのだから、ステージ上は真っ黒。何故かリクルートファッションを思い浮かべた。親馬鹿に買ってもらった高そうなステージ衣装だが、綺麗には見えないから損をしている。

指揮者の田中というのは誰だろう。学校のWEBを探すと、学生オケOBで元N響のコントラバス奏者だとある。だからだろうか、真面目な指揮だが面白みはない。オケにも色気が出てこない。技術はあるが「カンタービレ」ではないのだ。せっかくの海外公演、しかもベルリンなんだから、もう少し若くて花のある指揮者に振ってもらえばいいのに。

アルプスが終わってのインターミッションには、短いPRフィルムが放映された。いわゆるインフォマーシャルだが、イヤミではない。

3曲目は日本人作曲家による「和太鼓」コンチェルト。3人の太鼓打ちが登場して曲打ちを披露する。外国公演向けに作られた作品のような気がしておもしろくなかった。アンコールにも外山雄三の「ラプソディ」を持ってきているから、田中氏のお好みということなのだろうか。やっぱり、ふた昔前のチョイスである。

レパートリーが無事終わってのアンコール。大震災犠牲者追悼というお題目はどうしたと思っていたから、「荒城の月」が演奏されてホット安心した。イングリッシュホルンのソロも心に響く。これも女性プレイヤーだ。

「ラプソディ」に続いて最後は「ベルリンの風」、ベルリンフィルの十八番を拝借したということで、聴衆はこれを一番喜んだのではなかろうか。緊張で引きつっていた学生たちの顔もやっとほころんで笑顔に変っている。

コンサートホールで純生を聴き終えたはずのITSさんには、「WSOみたいに巧いねえ」とツイートしておいた。










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