借金がある。
といっても、債務者ではなくて、こちらは債権者。仕事上で付き合いのあったコンピュータセールスマンに、5年前に貸した20万がそのままになっているのだ。
こちらの状況も変わったが、彼の状況も変わっていて、コンピュータにもセールスにもかかわりを失くしてしまった状態。いわば、爺フリータの自分と同じような環境にある。立派な多重債務者のステイタスを自慢していい。
ということは、こちらの貸し金は大した額ではないわけで、返却順からいれば大分後ろにいるわけだ。果たして全額回収ができるのかどうか、いささか心もとないが、年末ということで一度は会って、イヤミのひとつも聞かせようというわけで、しつこく電話をして捕まえ、今日は文字通り1年ぶりの再会となった。
債権を確認しておこうと「借入金確認書」なるものをタイプし、出来そうもなさそうな「先一年の返却計画」をあわせて持って行った。駅に車で現れた彼は、着るものこそユニクロの安フリースだが、以前の太りすぎが調整されて、動きも大分軽快になったようだ。これなら仕事があってもいいのだが少しもあせった様子がない。イヤミを云おうにも張り合いのないことだ。
喫茶店に入り、コーヒーを注文。他愛のない馬鹿話からスタートする。サラリーマンの仕事が続いていれば、そろそろ定年を視野にいれる年代になるわけだから男の分別盛りなのだが、いたってマイペース。食えているうちは死なないとばかりの開き直りも見える。社会適応を誤ったこういったタイプの人間も世の中には結構いるのかもしれない。
2時間ほど話し合ったが、あまり先は見えない。結局、借入金確認書にサインを書かせて、駅で近いうちの再会を約して分かれた。来年も督促がつずくことになりそうだ。 どうやら餌採りの巧い借金鳥にはなれない自分を発見した。
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