僕たちはいつまでこんな働き方を
続けるのか?
小暮太一著
星海社新書
を読み終えた。
本の裏表紙の裏には、次のような文章がある。
みなさんは以下の質問に論理的に答えられ
ますか?
なぜ、僕たちは「残業代」も出ないのに「終電」
まで働くのか?・
なぜ、僕たちの「年収」は「窓際族」のオジサン
たちよりも低いのか?・
なぜ、僕たちは「成果」を2倍あげても「給料」
は2倍にならないのか?・
なぜ、僕たちの「人件費」は「発展途上国」より
も高いのか?・
なぜ、僕たちは「1000万円プレーヤー」になっ
てもしんどいのか?・
なぜ、僕たちは「会社」を替えても「働き方」
は変えられないのか?
なぜ、僕たちは「幸せな働き方」を選べないの
か?
以上。
読者に
論理的に答えられますか?
という問いかけだが
そういう視点で、普段は考えないので、突然、
聞かれると、考えこんでしまうのだが。
そして、表表紙の裏には
マルクスと金持ち父さんが教えてくれた”目指
すべき働き方”
私は、大学時代に経済学の古典『資本論』と、
お金の哲学を扱った世界的ベストセラー『金持
ち父さん貧乏父さん』を深く読み込むことで、
その後の人生が大きく変わりました。
実はこの2冊は全く同じことを言っています。
それは、資本主義経済の中で私たち。労働者”
が必然的に置かれている状況についてであり、
そこから考え始めることで、どういう「働き方」
を選択すればラットレースに巻き込まれず、幸
せに暮らしていける
かがよくわかるのです。
今の働き方に疑問を持っているのであれば、転
職や独立、ワークライフバランスを考えても意
味はありません。しんどい働き方は、もっと根
本的なところから考え、変えていかないといけ
ないのです。
と書かれている。
わたしは、この本を読んで、マルクスの資本論
の話が出てきたので、びっくりしてしまった。
まさか、今どき、である。
それも、『金持ち父さん貧乏父さん』の本とセッ
トになって出てきたので、尚更だった。
著者は、「実はこの2冊は全く同じことを言って
います。」語ったが、わたしたちの世代からは、
そのよう発想は出てこないと思う。
わたしたちが、若いころに、この二冊が店頭に
並んだら、資本論を買う人が、『金持ち父さん貧
乏父さん』の本を買うことは、考えがたい。
ところで、そう言っているわたしは、20代の頃、
資本論を読んでみたいと思った。しかし、買った
ものの、経済学と関係のないわたしには、途中で
飽きてしまった。何度も読破しようと思ったも
ののできなかった。結局、マルクス経済学の本
を読んで、資本論の概要を知るにとどまってし
まったことがある。
今でも、時たま、読破できたら、思ったりする
ことはある。しかし、もう、思うだけだ。
若い頃は、金を疎ましくおもうところがあった
が、実際に社会に出て働いてみると、金儲けも
多大な努力ができてのことと、金儲けのできる
人に、若干敬意を感ずるようになった。
50代になって、わたしはデイトレを始めた。
退職後は、結構はまった。しかし、これは、完
全に失敗だった。かなり、散財してしまった。
しかし、それなりのルールに則って、金を儲け
る行為について、かなり肯定的になってきた。
現在は、散財した頃のルールとは違うルールで
トレードは、続けている。少しは、賢くなった
ように思っている。
『金持ち父さん貧乏父さん』、この本、50代のど
こかで、読んだはずだ。
理屈は、分かったが、アメリカだからできたこと
でもあるような気がした。
1977年生まれの37歳の若者の著書で、このよう
なことが書かれるとは、あまりも想定外でびっく
りしている。
マルクスの資本論を読破できなかったものの、労
働力が商品であるという考え方は、かなり、わた
しの職業人生に影響を与えてきた。
労働力が商品である以上、自分の労働力の商品価
値を常に向上させなければならない。という点で
ある。
ましてや、給料が年功序列であがる以上、日々、
研鑽しなければならない。という考え方である。
そういう視点に拘り続けてきたことが、周りの同
僚との壁を作ってきたとも思っている。
この本には、労働力を「消費」せずに、「投資」
する。という項目があり、自説を展開している
が、まさに、わたしの職業生活を通して、拘っ
てきた視点でもあった。
それだけに、自分の仕事をするために、多く自
腹を切って、仕事をしてきた。
そのような生活を何十年も続けてきたのだが、
このことについては、同僚の誰にもその胸の内
を吐露できる人がいなかったのは、ちと苦しい
ものがあった。
多くの若者に読んでもらえたらという感想をもっ
た。