「麗[レイ]~花萌ゆる8人の皇子たち」オリジナル・サウンドトラック | |
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ポニーキャニオン |
新作視聴に行き詰まると、保存版としているお気に入り作品を引っ張り出して、再度視聴することが多い私。
今回は、「麗<レイ>~」。
言わずと知れた、イ・ジュンギssi、IUさん主演の高麗を舞台とした史劇です。
高麗を建国した偉大な太祖王建を父に持つ皇子たちの人生を、後に4代王光宗となるワン・ソと、現代からタイムスリップしへ・スという少女の身体に魂が入り込んでしまったコ・ハジンを中心に描いています。
王建は高麗という国を建国するに当たり、周辺の有力な豪族と縁を結びながら勢力を拡大させました。
その所為で、妻の数も子女の数も、かなりの数。
長男のワン・ムを後継者として立ててはいるものの、豪族たちの思惑や、夫人たちの思惑もあって、すんなりと王位継承とはいきません。
特別に事情が無い限り、長子を後継者とするという王建の考えによって、ワン・ムが後継者と定められているわけですが、ワン・ム自身はいつも自分が王にふさわしいかどうか、懐疑的な思いを抱いていたようです。
周囲の様々な謀略によって追い詰められると、自分じゃ無い別の誰かが王位に就く方がよいのではと考える事も多々ありました。
その理由の一つに、母親の身分があまり高く無かったと言う事があるようですね。
堂々とした如何にも長男という風貌で、とても心優しい人物として描かれています。
王建はワン・ムを信頼していました。
共に戦って高麗という国を作り上げたという同志のような気持ちもあったのかもしれません。
王建の死により、2代王恵宗となったワン・ム。
作品では、弟たちによって少しずつ毒を盛られ、結局、2年ほどの在位に終わりました。
そして、3代王に就いたのは、ワン・ヨ。
ずっとワン・ムに対して敵意を抱いていて、隙あらば後継者の地位を我がモノに・・・と常に何らかの画策をしていました。
王建が危篤状態になった時、どさくさに紛れて遺言状をすり替え、自分がワン・ムに代わって2代王となろうとしたのですが、弟のワン・ウクの裏切りによって、あえなく失敗。
謀反とみなされ、追われます。
で、韓国歴史ドラマ定番の崖から転落・・・という事態になり、死んだものとされるのです。
ところが、生きているんですよね、これが。
後年、密かに都に戻り、毒で弱っているワン・ムから、あっという間に王座を奪うのです。
ワン・ヨの後ろには、母親の皇后ユ氏が常にいました。
ユ氏は、自分の息子を王位に就け、自分は皇太后という地位につきたいと言う強い願望を持っていまして、ワン・ヨは最有力の駒だったのです。
その為には、邪魔者を始末するのに躊躇はしません。
昔、王建が唯一心から愛した女性が身ごもった時、毒を盛って、流産させたこともあったようです。その後、その女性は、女官として、王宮殿で自分が愛する男性王建の夫人たちの世話をする道を選びました。
残酷ですよね、それって。
イ・ジュンギssi演じるワン・ソは、ユ氏の実の息子です。ワン・ヨの弟にあたります。
幼い頃、王建が別の女性と結婚することに激怒した実母ユ氏によって、顔を傷つけられてしまうのです。丁度その時、ユ氏の子供が亡くなった直後だったようです。
このタイミングで結婚?・・・とユ氏が激怒するのも、分からないではありませんが。
この時代、美しさと言う事が、特に重要視されていたと描かれています。そんな時代だと、顔に大きな傷痕が残るワン・ソは、皇子として生きていくのは相当辛いものだったでしょう。
ユ氏は、自分によって醜い傷がついたワン・ソを憎みます。自分の愚かな行動の生き証人とも言える息子を、可哀相とは思えず、ただただ見たく無かったようですね。
そんな冷酷な母親を、ワン・ソはひたすら求め続けます。
弟のワン・ジョンを溺愛する様子を見ると、ジョンがいなくなれば良い、自分がジョンの代わりになりたいと思うのです。
結局、最期までユ氏はワン・ソを憎み続け、拒絶し続けます。
ワン・ムから奪った王位を、ワン・ヨもまた3年くらいしか手にする事は出来ませんでした。
彼は徐々に精神を病んで行きました。
自分が王位を手にするために、殺した弟のワン・ウンや父王建の幻影に悩まされます。
病が進むと、ユ氏はジョンに譲位するよう迫りました。なんて冷たい・・・。
ワン・ヨは、その時初めて母に冷遇され続けてきたワン・ソの気持ちが理解できました。ワン・ヨもまた母に愛され続けるために、良き息子になろうと足掻いて来たのだと思います。
で、やっと母の希望通り王位についたのに、病だと知った母はあっさりとその地位を弟に譲れと言うのですから・・・。
ショックだったでしょう。
死期を悟ったワン・ヨは遺言書を書きます。
でも、後継者の欄は空欄でした。誰の名前も書いていなかったのです。
書いた直後、ワン・ヨは息絶えます。
一番最初に遺言書を見たワン・ソは、それを破り捨てました。空欄だと分かると、誰かに利用される恐れは充分ありましたから。
定宗ワン・ヨは、弟の自分に譲位すると遺言した・・・とワン・ソは宣言しました。勿論、嘘です。
ワン・ソは、第4代王光宗となりました。
元々、ワン・ソは王位に何の興味も持っていませんでした。順番を考えても、自分に王座が回って来るとは思えない位置でしたしね。
養子に出されていましたし・・・。
でも、ワン・ムの後ワン・ヨが王位についたことによって、何の罪も無いワン・ウンが妻と共に無残に殺されるなど、横暴な治世を行うのを、いつまでも黙って見ている事ができなくなったのです。
自分が思うような世の中にするために、王位につかなくてはと思ったのです。
ワン・ウンの妻の父パク将軍たちの協力もあり、ワン・ヨに反旗を翻しました。
この時、ワン・ソの異母弟ワン・ウクもまた王位を狙っていました。
ワン・ヨの余命がわずかと知ると、有力豪族の元に駆け付け、協力を願おうとしたのですが、一足遅かった。
ワン・ウクが王宮を留守にしている間に、王位はワン・ソに奪われてしまいました。
ワン・ウクの不運は、実母と実の妹の裏切りでした。
ワン・ウクが不在の時に、ワン・ソが軍を引き連れて王宮殿に迫ったわけです。ワン・ヨを守る兵によって王宮の門は閉ざされて、ワン・ソたちは入る事が出来ません。
その時、門が中から開いたのです。
ワン・ウクの母と妹は、不在の彼を捨て、ワン・ソを選んだのです。それが彼らファンボ家の生き残る術だと考えたのです。
王の母、王の妹という立場ではなく、王妃を、そしてやがて生まれる次の王の母となる事を選んだのです。
心をとって貧しく忘れられたように生きるか、心を捨て国の中心で生きるかの選択。女性も家門を背負って逞しく雄々しく生きた時代だったのでしょう。
女性としての願いや想いが無いわけじゃありません。
傷ついても辛くても、家門の繁栄のために必死に耐えたのです。
こんな現代とは全く異なる環境、思考の世に、突然落ちて来たIUさん演じるコ・ハジン。
身分の差が物凄く大きな意味を持ち、人が人を傷つけたり殺したりすることが当たり前のように起る日常。不便で窮屈な生活。
でも、ハジンはへ・スという少女の肉体を借りて、自然にその生活に慣れていきます。
考え方や行動は、現代人のままですから、周囲の人たちはあっけにとられるばかり。
へ・スの、これまで見たことの無い自由さを、皇子たちは愛しました。
ある者は親友と思い、ある者は心奪われ・・・。
ワン・ソは血のつながった家族がいながら、誰からも愛された経験を持たず、成長してきました。
常に尖った感情を露わにし、兄弟すら一線を引いてるような状況でした。
でも、へ・スだけは違いました。彼の顔の傷を見ても、怖がる事無く手を差し伸べてくれました。それが、愛情だと誤解しても仕方がないでしょうね。
ワン・ソはへ・スの愛情を求めました。
最初、ワン・ウクの落ち着いた穏やかな優しさに惹かれたへ・ス。
でも、ワン・ウクは一族の長として様々なしがらみがあり、自分の欲望を最優先することが出来ません。ちょっとしたタイミングのずれもあり、へ・スは心が離れて行きます。
そして、嘘の無い真っ直ぐなワン・ソに惹かれて行ったのです。
王となったワン・ソは、全てが自分の意のままになると思っていましたが、そう簡単な地位じゃありませんでした。
王権を支える基盤となるのは豪族であり、実母ユ氏と仲の悪いワン・ソは実家の援助を受けられません。
父王建と同じように、縁組によって豪族を取りこむしか、方法はありませんでした。
だから、へ・スを皇后に・・・という彼の願いは叶えられなかったのです。
へ・スにとっても、結婚の持つ意味が現代とは違うことを思い知らされる恰好となりました。
結婚できなくても、傍に居れば、想いが変わらなければ、ずっと添い遂げられると思った二人なんですが、これまたそうは行きませんでした。
王権を強固なモノとし、高麗という国を末永く繁栄させていく責任がある王とすると、諦めなければいけない事も多々ありました。
辛い気持ちを封印して、厳しく当たらなくてはいけない事もありました。本音だけを貫く事が難しい立場でした。
やはり、王は孤独な存在なのです。
変わりたくはないけど、変わらざるを得なかったのでしょう。
結局、ワン・ソとへ・スは、添い遂げることは出来ませんでした。
この世の事は全て忘れます・・・とへ・スは最期に言い、ワン・ジョンの腕の中で息絶えたのです。
そして、全て忘れて現代に戻ったへ・ス。コ・ハジンとして、それまでと同じように生活していました。
ところが、彼女の中で記憶は削除されていたのではなく、封印されていただけでした。
封印が解けた時、全ての記憶が甦ったのです。
夢ではない、実際に自分が経験して来たことだ・・・と。
死ぬその時まで心から愛した人が、たった一人宮殿にたたずむ姿を見て、どんな気持ちだったでしょう。
ごめん・・・一人にして・・・とハジンは泣き崩れます。
悔しくて、悲しくて、済まなくて・・・。
どうしようもないじれったさもあるように思えます。
ドラマの世界でフィクションなんですが、ラストシーンが一番リアルに私には感じられました。
史劇を見ていると、現代と比べてとても不自由な生活のように思えますが、それは比較する今があるからです。
便利を知っているから、不便を感じるというふうに。
もしかすると、当時の人々は私が思うよりずっと自由な生き方をしていたのかもしれません。
この作品は、バックに流れる曲も素敵で、耳にするだけで、映像が思い浮かびます。
トップの写真は、中でも一番印象的なシーンです。
しかも、ヨナ本人はワン・ソに興味を持ってて…。いや待てよ、父親同じなんですけど…。
調べたら婚姻関係が持てるらしいです、当時は。
だから今の韓国の方って同じ姓で先祖が同じ人同士は結婚できない(そういう法的な拘束力があるのか、暗黙のルールなのかまではわからないのですが)みたいです。
昔、コン・ユとコン・ヒョジンの噂があった時に2人は元を正すと同じ先祖?にたどり着くらしく、それを理由に恋愛否定してる記事を読んだ記憶があります。
まぎぃさん気付いてました?
この作品の舞台、高麗という時代、婚姻は母親が違っていれば可能だったと何かの本で読んだ気がします。
だから、ワン・ヨがヨナを妃にするのも、ヨナがワン・ソの妃になるのも可能だったと言う事ですね。
最近まで、韓国では同じ姓の人同士の結婚は禁止されてきたと私も耳にしたことがあります。
同じ姓、中でも同じ血筋(本貫)に当たる人との結婚は禁止されていたとか。
でも、確か今はその禁止条項が無くなったんじゃなかったかしら?
韓国は日本ほど姓の種類が無いので、なかなか厳しい慣習だったんじゃないかと、思います。
さすが、博識でいらっしゃる!
韓国ドラマを視聴し始めて、やっと少しずつ知るようになりました。