『暗数』と言うのは、Wikipediaによると“実際の数値と統計結果との誤差”を指す言葉だそうです。
つまり、何らかの原因で統計に現れなかった数値のこと。
この映画の場合、暗数とは、犯罪統計において、警察等の公的機関が認知している犯罪件数と実社会で起きている件数との差を指します。
キム・ユンソクssiと、チュ・ジフンssiの2人芝居にも見える、実話をもとにした作品です。
ある日、キム刑事=キム・ユンソクssiは、カン・テオ=チュ・ジフンssiから呼び出され、随分昔に、死体を運んだことがあると告白されました。
あまりにも平然と話すテオですが、肝心な事になると、誤魔化そうとします。お金を払わないと話せないってね。
ところが、その時、突然大勢の刑事たちが飛び込んで来て、テオを逮捕したのです。
あっけにとられたキム刑事。
なんと、恋人を殺し死体を遺棄した罪です。
キム刑事がテオのことを忘れかけた頃、突然、拘置所のテオから連絡が入ったのです。
面会に来てくれと。自分が殺したのは、7人だと。
ここから、2人の神経戦が始まります。
テオは知能が高く、記憶力も優れていて、刑法に関する知識も豊富に持っていました。
見かけは、ナンパで嘘つきでいい加減な信用ならない人物なんですが、とにかく口が上手い。
テオの話は、どこからが真実でどこまでが嘘なのか、キム刑事は混乱させられます。
署の上司や同僚たちは、誰もテオの話をまともに聞こうとはしませんが、キム刑事だけは違いました。
テオは、キム刑事には、一点の曇りもない事実だと話しておきながら、裁判では一転してそんなことは言っていないと供述を翻したりします。
キム刑事をいいように弄んでいる感じです。
同僚の誰もキム刑事を理解しません。
以前も、一人の犯罪者に固執してしまって結局刑事を辞める羽目になった人がいて。
キム刑事もそうなる前にテオに関わるのを辞めろと忠告するのですが、キム刑事は止まりません。
唯一、協力してくれるのが、チン・ソンギュssi演じる同僚刑事。
2人だけでテオの犯罪を立証しようと、必死に活動するのです。
そうする理由を、キム刑事はこう言いました。
「今のままでは、自分が定年退職した後、テオは出所します。また殺人を犯すに違いない。しかし自分はもう刑事じゃない。」
もう捜査する事が出来ないのです。
「テオの言葉は嘘かもしれないし、踊らされてるだけかもしれないが、それならまだ良い。自分がピエロになるだけなんだから。」
そして、テオにも言いました。
「お前に殺された被害者たちが、誰にも探してもらえず、ウジ虫の餌になってると思うと、気の毒だ。刑事でいるのが面目なくて。だから諦められない。」
地道な捜査の結果、テオの犯罪の証拠を発見したキム刑事たち。
テオは無期懲役を言い渡されました。
テオはそれからもキム刑事に何度となく連絡をして来ました。
もっと殺してる・・・と。
死刑囚になりたいとか。
キム刑事のモデルとなった実在の刑事は、2018年、まだ捜査を続けていたそうです。
そして、テオのモデルとなった殺人犯は、服役中に自殺してしまったんだとか。
久しぶりの韓国映画。
血生臭いシーンが比較的控えられていたように思えます。だから、見やすかったですね。
キム・ユンソクssiと、チュ・ジフンssi、良かったです。
チュ・ジフンssiのまた新たな面が見られたように思えます。