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シヨンは“5353”の救急搬送に同行しました。
担当することになったイ医師は、シヨンが精密検査もしないで腎臓を調べてほしいと言ったことに疑念を抱きました。
根拠を尋ねても、シヨンが答えられなかったのを見て、察しました。
“チョンイル刑務所の6288が指示した”・・・と。
これまでも何度か同じような事があったようですね。
おそらく、ろくな検査も無しに病状を言い当てて来たのでしょう。医師としてプライドを傷つけられたと思ってるのかもしれません。
だから、シヨンに“6288を信じるな”と言いましたが、検査結果が出ると、態度を変えました。
ヨハンの予想通りの結果が出ていたのです。
「推測される診断名は?」
と、イ医師がシヨンに尋ねました。
その時、ジョンナムから電話が入りました。かけて来たのは、ヨハン。
シヨンが尋ねると、信じるかな・・・とヨハンが言いました。
「ファブリー病。」
かなり稀な病気だそうです。
イ医師はすぐには信じませんでした。
相当稀な病気でもあるし、診断も難しいんだとか。治療薬も高価で入手困難でした。
そんな低い確率のせいで、患者が死ぬかもしれない・・・とシヨン。ヨハンの受け売りでした。
でも、その言葉で、イ医師も精密検査をする気になりました。遺伝性疾患だから、患者の家族について調べてくれとシヨンに指示しました。
シヨンはその夜の飛行機に乗る事は出来ませんでした。
計画を変更せざるを得なかったわけですが、表情は明るいものでした。
ジョンナムには、マダガスカルを諦めたわけじゃないと言いました。
ヨハンは、シヨンに治療薬を手に入れろと指示して来ました。
シヨンは、あちこちの病院に連絡し、やっとのことで手に入れることが出来ました。
診断がファブリー病じゃないと出たら、返却する約束です。
駆けまわるシヨンを見るジョンナムは、嬉しそうでした。そんな生き生きしたシヨンを見るのは久しぶりだったからです。
でも、連絡したシヨン母は、シヨンを家に帰すように・・・とジョンナムに頼みました。
万が一患者が死ぬようなことになったら、シヨンは立ち直れないと思ったのです。復帰して最初の患者だから。
ジョンナムから、家に帰らないかと言われたシヨンは、断りました。
患者がこの病気である可能性より、自分が仕事に戻れる確率は低かった・・・とシヨンは言いました。患者が治れば、自分も戻れるかもしれないと思ったのです。
“患者には時機がある。それを逃したら手遅れになる。医師は駆け付ける用意が出来ていないと”
と言うヨハンの言葉がシヨンの脳裏に浮かびました。
シヨンはしっかりと自分の靴紐を結び直しました。
ジョンナムも、そんなシヨンを嬉しそうに見つめていました。
シヨンの医療事故と言われる一件は、どうも父親の死に関わっているようです。
病院で父親の死を知らされた時、彼女は血まみれの体でした。
手術室から出て来た母、泣きながら部屋に入ろうとするのを止められた妹ミレ、シヨンは呆然と座り込んでいました。
その時の様子は、シヨンにPTSDを起こさせるほどに強烈に刻まれています。
患者の検査結果が出ました。
それによって、ファブリー病ではないと、イ医師は判断しました。
間違った診断で振り回されてしまったと、イ医師はヨハンへの怒りをシヨンにぶつけました。
勢いで、ヨハンの罪状をシヨンに明かしたのです。
シヨンはヨハンを信用するようになっていました。
しかし、イ医師から告げられ、詳細を刑務所に戻って調べ、愕然としました。
そこに記されていた罪状は“殺人”。
末期のガン患者を安楽死させた罪で服役していたのです。
その患者が問題でした。幼児2人を誘拐し殺害した犯人だったのです。
ショックでした。
「チャ・ヨハン・・・ですよね。」
シヨンはヨハン本人に、知ったばかりの事実を突きつけました。
ヨハンは認めました。全く悪びれてはいない様子です。
問い詰めるシヨンの方が、緊張していました。
その様子を見て、ヨハンが聞きました。
「経験があるのか?君もやったのか?患者を放棄して見捨てて、息の根を止め、心臓を止めたのか?」
シヨンの目にいまにもこぼれ落ちそうな涙がたまっていました。
何も言葉が出ません。
「本当は救えたのか?治療可能だったのか?回復する可能性があったのか?答えろ本当は助かったのか?」
いいえ救えませんでした救えなかったんです救うのは無理でした
シヨンは叫びました。
ヨハンは驚いたようにシヨンを見つめました。
哀れみを感じたような表情でもあります。
「何もできなかったのか?苦痛を止める以外に何も出来なかった?だから苦痛を止めてあげたのか?苦痛を和らげられないなら断ち切ってあげないと。何もしなければ患者の苦痛は続く。今、この瞬間も患者は苦しんでる。パク・ジョンボ患者は今も苦しんでるんだ。」
戻って、君が治すんだ・・・とヨハンが優しく言いました。
シヨンは涙を止めました。そして、落ち着いて考えました。
その時、“5353”パク・ジョンボが病室から姿を消したと刑務官が慌てて知らせに来ました。
駆けだそうとしたシヨンに、ヨハンが言いました。
ファブリー病の証拠とされる物質は、検査しても見えない場合があると。ファブリー病の可能性が高いと言う事ですね。
パク・ジョンボは病院の屋上にいました。
朦朧とした状態で、手すりの外側に立っていました。
シヨンが見つけ、イ医師が必死に抱き留め、無事に助ける事が出来ました。
パク・ジョンボの父親が、別の病院での治療を望みました。
イ医師もファブリー病ではないと判断していますから、その意思に沿うつもりでした。
シヨンは今すぐに治療を始めるべきだと言いました。
必死に止めるシヨンを振り切ろうとした時、ヨハンが突然病室に現れました。
その日、ヨハンは刑期満了で出所する予定だったのです。
ヨハンとイ医師の意見は対立しました。
無視して治療薬を使おうとしたヨハン。でも、彼は逮捕されたことで医師免許は奪われています。治療は出来ません。
代わりにシヨンが治療薬をパク・ジョンボの点滴に注入しました。
私が責任を取ると言って。このままでは患者の苦痛は続きます、医師が何もしなければ・・・と。
結局、パク・ジョンボはファブリー病だと診断されました。
治療が開始されました。
シヨンが気づいた時、既にヨハンは病院を出て行こうとしていました。
気付いて追いかけましたが、無理でした。
次にシヨンがヨハンと会ったのは、何と、病院に復帰したその日。
シヨンは、勇気を出して、職場に復帰したのです。周囲はまだ反対する者も多いようですし、妹のミレすら、彼女に敵意むき出しの態度ですから、苦労しそうですけどね。
ふっとため息を漏らした時、ヨハンの姿が目に留まったのです。
また会ったな・・・と言うのが、ヨハンの第一声でした。