私的図書館

本好き人の365日

柏葉幸子 『つづきの図書館』

2014-05-15 22:46:28 | 児童文学

柏葉幸子さんの『つづきの図書館』を読みました。

主人公の女性は勤めていた会社が倒産。パートの仕事も四十をすぎていては探すことさえ難しく、家賃の支払いも心配なくらい。

そこに舞い込んだ生まれ故郷からの手紙。

市役所の福祉課が、顔も憶えていないような伯母の世話を頼めないかと問い合わせてくる。

独り暮らしで親しい者のいない主人公は、断るくらいのつもりでその町を訪れるのだが・・・

 

著者 : 柏葉幸子
講談社
発売日 : 2010-01-15

 

 

入院しているのに皮肉屋で口のへらない伯母さんがなかなかイイ♪

主人公が四十過ぎてるからって、「若い娘でもあるまいし」とか、「額のシワ」とか言われすぎなのはどうなんだろう?(苦笑)

なんだかんだあって、伯母さんの家、自分が幼い時に過ごした家で寝泊まりしながら病院に通うことになる主人公。伯母さんの人徳なのか、不思議な縁があったのか、昔とっておいた資格のおかげで、町の図書館の小さな別館で、何とか見習い司書として雇ってもらえることにもなります。

ここまででもけっこう魅力的な設定なんですが、ここからがこのお話の真骨頂!

 

ある日、めったに人の上がっていかない図書館の二階で女性が出くわしたのは、上半身裸の、小太りの、白いパンツをはいただけの、八の字ひげをはやしたおじさん。それもどうも外国人みたいで、頭の上には王冠をかぶっていて、その、なんていうか・・・・・「裸の王様」!!!

そして王様はいうのです「青田早苗ちゃんのつづきが知りたいのじゃ」「おお、司書どの、さがしてくれるか?」

 

!!!!!!!!!!!!!!!

 


物語のつづきじゃなくって、図書館で自分たちの物語を借りてくれた子供のつづき、その後が気になってしかたがない物語の登場人物たち!!

物語の世界に入ってしまうというのは、『はてしない物語』や『ナルニア国物語』などの例がありますが、物語の登場人物が現実の世界に出て来てしまうなんて珍しい!(新井素子の『絶句!』とか探せばあるかも知れませんけど♪)

四十すぎた(しつこい?笑)主人公が、物語の登場人物たちをかくまいながら、かつてその本を読んでくれていた子供たちの「つづき」を探し求めます!

笑えて、ドキドキして、ちょっと泣けるストーリー展開はさすが柏葉幸子さん。

不思議なことがたくさんおこっているのに、図書館が舞台だと不思議と納得できてしまうのもなんだか不思議。

とてもワクワクしながら「つづき」が知りたくて、ページをめくるのももどかしいくらいにどんどん読みすすめることができました。

「裸の王様」だけじゃなくって、次から次といろいろなお話の登場人物、いや、人物以外も飛び出してくるのだから大変なことになります(笑)

楽しいひと時でした☆



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2 コメント

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つづき (春庭)
2014-05-22 21:46:13
柏葉作品、「霧のむこうのふしぎな町」を読んだきりでごぶさたですが、物語を読んだ「読者のつづき」って、すごい発送ですね。読んでみたいです。本を読んだ人は、きっと読んだことによってこれまでとはちがう「つづき」を歩むのだとおもいます。
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春庭さん、ありがとう☆ (ホーク)
2014-05-23 23:23:47
私も「読者のつづき」ってびっくりでした。
ある本を読んだことで自分が変わったってこと、気がつかないだけでたくさんあるんでしょうね。
そういう意味で、私の人生にもたくさんの本が影響していると思います。もちろん、出会った人や仕事なんかの影響もありますけど。
そう思うと、本の登場人物に「やれやれ」なんて思われないように頑張らないと、と思いました。
面白かったです。
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