私的図書館

本好き人の365日

新美南吉記念館

2012-08-04 17:00:00 | 旅行

愛知県は知多半島の付け根にある、半田市の「新美南吉記念館」に行って来ました☆

「ごんぎつね」や「手袋をかいに」、「おじいさんのランプ」などの作品が有名ですよね♪

来年、2013年はちょうど新美南吉生誕100年目にあたるそうで、これからいろいろイベントが用意されているようでした。

まずは外観。

 

 

 

大地と一体化したような建物。

芝生の屋根って素敵ですよね♪

敷地内には小川が流れ、自然道が整備されていて、森や広場を散策することもできます。

 

 

館内ではちょうど、この「私的図書館」でも紹介したことのある、平成22年度文化庁若手アニメーター育成プロジェクトとして制作されたアニメーション、新美南吉の「おぢいさんのランプ」特別展、『巳之助の灯り』が開催されていました。

 

 

「巳之助(みのすけ)」というのは「おぢいさんのランプ」の主人公の名前。

孤児だった巳之助は、町でみかけた文明開化の証、石油ランプを販売する仕事を思いつき、それまで灯りといえばロウソクに頼っていた田舎の村々にランプを売って歩きます。

その商売はうまくいき、巳之助はお嫁さんをもらい、子供にも恵まれて幸せに暮らすのですが、ある日、町で大きな木の柱を何本も立て、その間を黒い線で結んでいる男たちを目にするのです。

立てていたものは電柱。

黒い線は電線。

そう、町に電気が引かれることになったのです。

石油を使わず、しかもランプの何倍も明るく輝く電球を見てたまげる巳之助。

文明開化の激しい波の中で、古いものと新しいものがぶつかりあっていた時代。

新美南吉は物語の中で、自己保身のために村に電気を引くことに反対する巳之助を描き、そして巳之助自身に気付かせます。

時代が変わったのなら、自分も変わらなくちゃならないことを。

 

アニメ化にともなって使われた絵コンテ、原画、動画、レイアウト、イメージボードなどが展示されていて、元アニメーターとしては興味深かったですし、とても懐かしかったです。

でもカット袋まで展示されていたのには驚きました。

あれ、ただの紙袋ですからね。

ま、確かに必要ですけど、現役時代一度も大切に扱った記憶がない(苦笑)

 

その他、常設展として、新美南吉の作文や日記、生原稿なども展示されていました。

特に私の心を打ったのが、小学生の頃の作文のうまさと、日記に書かれたこんな言葉です。

 

 私の作品には私の性質や考えが込められている。私が死んだとしても、私の作品が読まれ続ける限り、私は生き続ける。これほどの幸せが他にあろうか。(あくまで私の印象を文章にしたもので、必ずしも新美南吉の文章とは一致していないと思います)

 

物を創る人って、こういうところがあるのかも知れませんね。

作品は自分自身の分身。

すごいなぁ~

実際に知多半島に初めて電気の灯りがついたのが今から100年前の明治45年(1912年)

新美南吉が「おぢいさんのランプ」を書いたのが昭和17年(1942年)で、ちょうど70年前になるそうです。

確かに「おぢいさんのランプ」もいいけれど、私は「手袋をかいに」が好きかな(笑)

子狐が、手袋を買いに人間の町におつかいに行きます。

母狐に片方の手だけを人間の子供の手にしてもらった子狐は、何度も念を押されたにもかかわらず、絶対に出しちゃいけないといわれていた狐の方の手を出してしまいます。

「このお手々にちょうどいい手袋を下さい」

時に無垢な者の行動が、知恵者の配慮を上回ることが現実でもありますよね。

長く人生を経験すると、警戒するクセがついてしまう。

それが自身で作った壁だと、物語は教えてくれているような気がします。(あくまで個人的な感想ですよ☆)

 

SF界の巨匠、ハインラインの『夏への扉』という作品の中に、こんなセリフが登場します。

―なんどひとに騙されようとも、なんど痛い目をみようとも、結局は人間を信用しなければなにもできないではないか。

新美南吉の作品とは関係ありませんが、結局、他人を信用しない人間は、余計な苦労を背負い込むことになるんですよね。

世界は自分一人じゃ回らない…

今回知多半島をめぐる旅に付き合ってくれたのは、YAMAHAのバイク「ドラッグスター」

 

 

このバイク、免許を取る前から憧れていたんですよね!

文系人間ですが、こういう物にも乗るんです!!

カッコイイでしょ?(笑)

夢がまたひとつかないました♪