私的図書館

本好き人の365日

いま、伝えたいこと⑤

2011-05-27 23:10:00 | 伝えたいこと

今回お世話になったボランティアの支援団体は、被災地から車で1時間ほど内陸に入った場所に本部を置いていました。
その町では電車も普通に走り、お店も営業しています。
通勤する人々、制服を着て学校に向かう中学生たちを横目で見ながら、ボランティアは毎朝バスで被災地に向かうのです。

その途中では、朝から農作業をしている人、川で魚釣りをしている人の姿も見かけました。
そんな日常が、わずか1時間たらずで一変します。
見渡す限りのガレキの山に‥

最初はこの落差に落ち着きませんでした。思わず振り返って釣りをしている人が本当にいるのかどうか確かめたかったくらいです。
いや、いいんですよ。釣りをしていても。日本中が震災から復興するまで悲しみに沈んでいる必要なんてないんだし、それぞれの生活を大切にすることが一番です。

私が感じたのは、被災地とそうでない地域の距離が近いということ。
物資も入ってきています。輸送の問題さえ何とかなれば、もっと被災地の不便さを解消できるはず。
車で1時間のところで釣りを楽しんでいる人がいて、一方で水が使えなくて困っている人がいるなんて、こういう時こそ国がちゃんと資源の集中と配分をきちんとやってくれないと‼

いや、釣りをしていてもいいんですよ。象徴として例に上げただけです。
総理大臣、サミットもいいけれど、もっと重機と人手を回して下さい。まだまだ全然足りません。お願いします。
これから梅雨に入るので衛生面も心配です。

先日お手伝いした旅館は、一階部分には津波の被害はあったものの、建物が丈夫だということで、二階から上が避難所として一時的に使われていました。
2ヶ月以上たった今でも、食器を片付けようとすると海水が溜まっていてひどい臭いがします。でもこれなんかまだいいほう。未だガレキの下には加工用のサンマなどが残っていて、これがすごいことになっているそうです。
これも重機でガレキを撤去してからでないと回収できない。

先程の旅館は、一時孤立していましたが、今は道路が使えるようになったので、避難していた方々は別の避難所に移ったそうです。
玄関の自動ドアの所に誰かが訪ねて来た時のためのメモ書きが貼り出されていましたが、そこには近所の人たちらしき名前が書かれていて、その横に消息も書かれていました。
ほとんどの人の名前の横には「行方不明」の文字。
そして、さらにその横に訂正された「死亡確認」の文字‥

それを見た時、言葉を失いました。
何げなく貼り出されていた一枚の紙。
事務的に書かれている、その文字の表している重い現実。

ニュースで流れたりすると、つい数でまとめて見てしまいがちですが、被災者の方にとっては一人一人が顔見知りで言葉を交わし共に生きてきた人々のはずです。
‥もう何も言えません。

自分の中に整理できないものがあって、整理しないまま書いてきたので取りとめのない文章になってしまいました。
でも、今回のことは自分で抱えこもうとしないで、整理しないまま、現実として横に置いておこうと思っています。
語弊があるかも知れませんが、わかったふりをして自分を誤魔化したくないから。
ズルイかも知れませんが、自分で抱えこめるほど、私は強くありません。とにかく生きていくのが最優先、だと思うから。

長々と書いてきましたが、明日は家に帰ることになります。
ボランティアとして短かい間しかお手伝いできなかったのが心残りです。