私的図書館

本好き人の365日

生きるヒント

2004-10-27 23:35:00 | 日々の出来事
一日に一回、自分自身を抱きしめてあげよう。

朝、起きたときでも、夜、ベットに入ってからでもいいから、両腕でギュッと自分を抱きしめてみる。

確かに体がそこにあって、自分が確かに存在していることが感じとれるまで。

優しい気持ちに落ち着くまで。

そしてときどき、大好きな人に抱きしめてもらおう。

ちょっときゅうくつなくらい強く、相手の体温が伝わるくらいに。

触れ合わなければ分からないこともある。

お互いに温かい体を持った人間なんだと思い出すまで。

お互い、ひとを温めることができる存在なんだと気が付くまで。

僕らはみんな体の中に、

温かい太陽を持っている。





              2004.10.27.


十月の本棚 3 『われはロボット』

2004-10-27 01:44:00 | 日々の出来事
 ロボット工学の三原則

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。

第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。



さあ、今回は私の大好きな作家の一人。
アイザック・アシモフの『われはロボット』をご紹介します☆

原題は『I,ROBOT』。
今映画が話題になっていますね。

八歳の女の子グローリアは、「ロビイ」が大好き。
かくれんぼやお馬ごっこをして遊んだり、ロビイの好きなシンデレラのお話をグローリアがしてあげたりと、二人はいつでもどこでも一緒。

たとえロビイの体が硬い金属でできていようと、電気と陽電子の頭脳だろうと、グローリアにとってはかけがえのない友達。

ところが、あまりにグローリアが「ただの機械」に夢中なことを心配した彼女の両親は、グローリアの知らないうちに、ロビイを販売会社に返してしまいます。

この「ロビイ」。
しゃべることはできないし、旧式のため単純な作業しかできない。
それでも八歳の女の子よりは、当然早く走れるし、力だって強いのに、その能力を抑えてグローリアにわざと負けたりする。

その健気さったらまさに人間顔負け♪

「どうしてもロビイをさがさなくちゃ」
でも八歳の女の子に何ができるわけでもなく、ロビイを求めるグローリアは、しだいに憔悴しきってふさぎこんでしまいます。

このあと、感動の再会が待っているのですが、その時とんでもない事故が!
グローリアの身に何が?
その時ロビイのとった行動は?

ロビイを探してたずね歩くグローリアの姿がこれまたすっごく健気です☆

この少女と子守り用ロボットの”心”の交流を描いた『ロビイ』他、水星探険に派遣されたロボットが、ロボット工学の三原則に生じたジレンマのために、酔っ払ってしまう『堂々めぐり』。

哲学に目覚めたロボットが、人間に作られたことを否定し、唯一の理性的な存在として、”主”によって創られたものこそがロボットだと結論づける『われ思う、ゆえに』。

さらにさらに、人の心を読むことができるロボット、ハービイに翻弄される人々を描いた『うそつき』など、魅力的な短編が目白押し☆

上記の「ロボット三原則」によってSFの世界に革命を起こしたともいわれるアイザック・アシモフ。
それまでの荒唐無稽な夢物語から、論理と理屈にあった、新たなロボット像を世に送り出した功績は、多くのその後の作家の作品にまで影響を与えました。

ロボットの行動に一定の規則性を付けたことで、より本物っぽく、しっかりとした背景を持つ登場人物の一人として、物語の中にロボットが登場するようになった意味は計り知れません。

そうした様々な論理的、SF的土台を設定した上で展開される物語は、とってもユーモアにあふれていて、しかもちょっぴり刺激的。

登場するのはロボットなのですが、その純粋なまでに人間に奉仕する姿が、かえって奉仕される側の人間の姿を浮き彫りにしているみたい。

変な言い方ですが、この本の中の物語はどれも、ロボットによるヒューマンドラマなのかも知れません☆

欧米のロボットのイメージが、人間の敵という色合いが強い中(ロボットのもともとの意味はチェコ語で「強制労働」とか「奴隷」を意味する)、アシモフ博士の描き出すところのロボットは、優しくてあったかくて、とっても親近感を持てます。

なぜかすべてのロボットがちょっと生意気なのは、作者の性格を反映しているのかも(笑)

連作短編のような形になっていますので「SFなんて…」と敬遠していた方でも、わりと入りやすい本だと思います☆

それにしても、21世紀には、ロボットが街を闊歩していると思っていたのに、それはまだ先みたいですね。

でも、早く実現するといいな~☆





アイザック・アシモフ  著
小尾 芙佐  訳
ハヤカワ文庫