私的図書館

本好き人の365日

雨の日の本棚

2004-05-04 09:09:00 | 日々の出来事
せっかくのGWだというのに、外では雨が降っていますね。

春雨と呼ぶにはもう遅く、梅雨の気配がただようような降り方です。

雨は好きです☆

しとしとと窓の外から聞こえてくる雨の音。
激しく打ちつけ、家をゆらす風。
濡れそぼった草木に雨上がりの澄みきった空気。

大粒の雨が降り出した時は、当たらないように空を見上げて雨粒をかわしたり(避け切れるわけないのに~)、轟く雷鳴を聞きながら、窓に張り付いて飽きることなく稲光を見つめていたり。

外に遊びに行けなくても、こんな日はのんびり読書なんかをするのが一番♪
音楽と魔法瓶を用意して、お気に入りの飲み物を作りながら、日がな一日ページをめくっています。

では、最近読んだ本の中からいくつかここでご紹介しましょう。

まずは川上弘美著、文春文庫の一冊。

『蛇を踏む』

ある日公園で蛇を踏んでしまう。
蛇は「踏まれたらおしまいですね」と言い、どろりと溶けて形を失い、やがて人間の形になる。
そこから始まる奇妙な蛇との共同生活。

表題作「蛇を踏む」を含め、いくつもの不気味で素適、官能的でさえある作品が収められた短編集。
500円玉一個でおつりがくるのに、この贅沢な内容は二重マル◎
巻末の解説はいらないような気もするけれど、日常の中で展開する尋常ではないもの達の物語は、作者の内面の表れのようで、人の無意識の表れと言われる夢の世界(眠っている時見る方)をのぞいているみたい。

つづきまして、ピーター・ヘイニング編。
創元推理文庫から出ている、14人の作家の「魔法」と「学校」をテーマにした作品を集めた、

『魔法使いになる14の方法』

まず作家陣がすごい!
E・ネズビットに始まり、レイ・ブラッドベリ。ラッセル・ホーバン。ジョーン・エイキン。その他、最後はダイアナ・ウィン・ジョーンズ(*(ハート3つ)*)

兄ハリーのいたずらで、庭に”植えられ”てしまった妹のルーシー。
なんとかリチャードおじさんに掘り出してもらったものの、怒りはおさまらず、密かな復讐のために、〈ドロロ・ドゥ・ララ教授〉のお店で魔法を買い付けます。
それもたったニペンスで。(もちろんルーシーの全財産!)
翌朝起きてみたら、さあ大変!
たしかにドゥ・ララ教授はたいした魔術師らしい。それもかなり腕の立つ…

このドゥ・ララ教授。かなりイイ性格で、意地悪、皮肉屋、冷血漢。鉄面皮で高慢ちきで自信家でうねぼれ屋ときている。
でもそんな彼がとっても魅力的☆

このE・ネズビットの「ドゥ・ララ教授とニペンスの魔法」の他、魔女の池に住むヒキガエル、グラッブスライムに飛び方を教えてもらおうとする女の子、レベッカがほうきに乗ってあっちこっちぶつかる物語。ジャクリーン・ウィルソンの「飛行術入門」
九つの命を持つ大魔法使い、クレストマンシーが活躍するダイアナ・ウィン・ジョーンズの「キヤロル・オニールの百番目の夢」と、もう見どころ読みどころがいっぱい♪
特にこのクレストマンシーの登場する物語はシリーズ化されていて、今回のお話も、外伝「魔法がいっぱい」(徳間書店)という本の中に収められているので、もっと読みたいという方はそちらをどうぞ。

あと私の大好きな作家、新井素子の十二冊目のエッセイ集『明日も元気にいきましょう』もちょっと紹介。

新井素子は方向音痴でぬいぐるみが”異常”に好きで、その関係で布団カバーを愛していて、本棚の上に家を建てて住んでいるらしい…
眼鏡を八つ持っていて、電話との相性が悪くて、ウイルス名前のついた猫を飼っている。「ヒカルの碁」の影響で囲碁を始め、今は九級の腕前だとか。

一応「あるといいなこんなもの」をテーマに書いていますが、日常生活が”異常”に面白い☆
息抜きに読むのにはもってこいですよ。

今はジャック・フィニイの短編集『ゲイルズバーグの春を愛す』を、鬼束ちひろのアルバムを聞きながら読んでいます♪

今日は平和にすぎていきそうです。