のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

ナビィの恋/1999年日本

2007年05月04日 11時01分23秒 | 映画鑑賞
■ストーリ
 祖父母の暮らす沖縄・粟国島に里帰りした奈々子(西田尚美)。
 幼馴染みのケンジ(津波信一)が操縦する島への連絡船で、
 奈々子は白いスーツの老紳士を見かける。奈々子を迎える
 ナビィおばあ(平良とみ)とおじぃの恵達(登川誠仁)。
 ひょんなことで恵達の家に滞在することになった風来坊、
 福之助(村上淳)も交えてにぎやかな雰囲気になるが
 ナビィおばあの様子が落ち着かない。奈々子が船で見かけた
 男性は、60年ぶりに島へ帰ってきたナビィおばあの
 かつての恋人・サンラー(平良進)だったのだ。

■感想 ☆☆☆☆
 いろんな方から「いい映画」「感動する」と聞いていた
 この映画を初めて見た。確かに素敵な映画だった。
 けれども、私にとっては哀しい映画だった。
 なぜ、おじぃはあんなにも大きな愛でおばぁを
 愛せるのだろう。なぜ、おばぁはそれでもサンラーを
 選んでしまうのだろう。なぜ、愛情という感情には
 理屈が通用しないのだろう。

 60年ぶりに帰ってきたかつての恋人、サンラーに
 「忘れようと思っても忘れることができなかった。」
 と感情をぶつけるおばぁ。結ばれなかったが故に
 より一層、募る想いがよく伝わってきて切ない。
 けれども、ひとりの女に戻っていくおばぁを横で
 じっと見守り続けるおじぃの優しい穏やかな表情は
 更に切ない。
 「うちのおばぁは日本一さぁ。」
 「おばぁと一緒になれて、わしはベリィベリィハッピィさ。」
 誰彼憚ることなく、おばぁへの愛情を表明するおじぃは
 一番におばぁの変化に気付く。けれどもおばぁを
 問い詰めることも、引き止めることもしない。
 おじぃは愛する人の幸せを一番に考える。

 でも、だからこそ。
 こんなにも大きな愛情を向けられて60年間過ごし
 子どもや孫ができ、家族が出来上がっているにも関わらず
 昔の恋人を忘れられないおばぁの気持ちが分からないのだ。
 いや、分かる。分かるというよりも憧れる。
 ひとりの女性として、そこまで愛し続けられる存在と
 出逢えたおばぁに。
 憧れる。だけど、切ない。
 「思われる」ほうよりも「思い続ける」ほうに感情移入
 してしまうから。おじぃの60年間の壮大な片想いに
 感情移入してしまうから。

 とはいえ、哀しい映画ではない。見終わった後は爽やか。
 なぜなら、おじぃは幸せだから。ひとりにはならないから。
 もっとも愛する人は胸の中に、そして大好きな島人たちや
 孫娘夫妻は身近なところにいるから。

 見終わった後に、本作がミュージカル映画だということを
 知った。見終わって、解説を読んで初めて気付くぐらい
 音楽が風景に、日常に溶け込んでいる映画だった。
 民謡の独特の節回しが私たちにとって、いかに「自然」で
 「耳心地のよい」音楽であるかに気付かせてくれる映画。
 そして、おじぃのおおらかな「おっぱいは大きいほうが
 いい。」「でもちっさいおっぱいもなかなか捨てがたい。」
 といった薀蓄に心温まる映画でもあった。おおらかに
 えろい話をされると、ほんわかした気持ちになるなんて
 大きな発見だった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿