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あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

舞妓Haaaan!/2007年日本

2007年07月02日 20時46分39秒 | 映画鑑賞
■舞妓Haaaan!
■監督:水田伸生
■脚本:宮藤官九郎
■ストーリ
 鬼塚公彦(阿部サダヲ)は東京の食品会社で働く平凡な
 サラリーマン。ただひとつ普通じゃないのは、修学旅行で
 京都を訪れて以来、熱狂的な舞妓ファンだということ。
 そんな公彦に転機が訪れる。念願の京都支社に転勤が
 決まったのだ!死に物狂いで仕事して、最高峰の壁
 「一見さんお断り」を強引に乗り越え、やっとの思いで
 お茶屋デビュー!だがそこでお茶屋常連の野球選手・内藤(堤真一)
 と出会った公彦は、内藤に異常な競争心を燃やし・・・。

■感想 ☆☆☆*
 思う存分笑った前半。畳み掛けるように笑いどころが押し寄せてくる。
 やはりクドカンはすごい人だとひたすら笑いながら思った。
 「笑い」に勢いがあって、なおかつ知性が感じられる。
 やりたい放題にやっているように見えて、どこまでも計算しつくされた
 客観的な眼が感じられる。

 しかし、もっとすごいのは、そんな脚本の魅力を失うことなく、
 見事に演じきった役者陣たちだとも思うのだ。
 トーク番組で一度見た素の彼からは想像も出来ないような
 テンションの高さを最後まで維持し続ける阿部サダヲ。
 かっこいいのに嫌みったらしくて、癖のある男が
 とてもよく似合っている堤真一。
 花街での生き様に誇りを持っている女将を
 これでもか、というくらい色っぽく、かっこよく演じる真矢みき。

 「一見さんお断り」という伝統ある風習と
 「それでも入りたい、舞妓さんと野球拳がしたい」という
 シンプルな野望を持ち続ける主人公との攻防を
 ミュージカル風に壮大に歌い上げたレビュー風の場面が
 私にとって、この作品の最大の山場だった。
 どうせなら、ラストも阿部サダヲと堤真一の芸者姿などではなく
 こういった中盤の盛り上がり部分をうまく使った終わり方に
 すればよかったのに、と思う。
 ラストの堤真一と阿部サダヲの唐突な芸者姿は、
 着地点を見つけることが出来ずに
 とりあえず芸者姿にさせて無理矢理「ラストです!」と
 言い放っているような印象を受けた。
 なんだか明確なオチがなく、セットがどんどん壊れて
 舞台上の人物がわたわたして終わるドリフの舞台のような印象。
 それが悪いというわけではないんだけれど、
 せっかく途中までは色々と練りつくされていたのに
 勿体無いなぁ、と思ってしまうのだ。

 多くの日本人が主人公と同じように「舞妓」に対して
 憧れのような特別な思いを抱いていると思う。
 だからハイテンション炸裂で、普通であれば到底共感できるとは
 思えないような主人公の行動も、分かるかも、と思わせられるのだと思う。
 だからこそ、もっと「伝統」と「現状」の葛藤に
 深く足を踏み入れてほしかったな、とも思った。
 中盤以降、話が「舞妓」におさまりきれていないのがとても残念。
 とは言え、思う存分笑わせてもらった。
 元気になりたいとき、何も考えずに楽しみたいときにお勧め。

 わずか1シーンしか出番がないにも関わらず
 ひょうひょうとしたたたずまいで見事に場面をしめた植木等さんに
 そして、映画のラストで出された植木さんに対する弔辞には
 思わずしんみりとしてしまいました。


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