のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

氷点~第一夜~

2006年11月25日 23時20分55秒 | テレビ鑑賞
■ストーリ
 辻口病院長(中村トオル)の妻、夏枝(飯島直子)が
 青年医師(北村一輝)の求愛に耳を傾けていた時、
 三歳の娘ルリ子は殺された。妻への屈折した憎しみと
 「汝の敵を愛せよ」という教えへの挑戦とで、辻口は
 殺人犯の娘(石原さとみ)を養女に迎える。
 事情を知らない夏枝と長男徹(手越祐也)は養女陽子に
 温かく接し、陽子も明るく素直な少女に育っていく。
 だがある日、彼女が殺人犯の娘であることを知った夏枝は
 態度を急変させる。

■感想 ☆☆☆
 原作をはじめて読んだのは中学生のとき。
 衝撃を受けつつも貪るように読み、折に触れては
 何度も読み返している大好きな作品だ。
 「大好き」というと違和感を感じる。
 「大好き」と明るく言える本ではない。後味はよくない。
 読み返すたびに登場人物たちを歯がゆく想い
 憎らしさを感じ、そしてやりきれなさが残る。
 けれども読み返さずにはいられない求心力を持った
 作品である。そして、読むたびに自分の背筋を正される。

 その作品のドラマ化。
 正直言って、ドラマ化をすると古臭さは否めない。
 言葉遣いも感覚も時代を感じさせる。「今」の女優が
 演じると余計にうそ臭さを感じさせると思う。

 それでも食い入るように見てしまった。
 食い入るように見た原因は自分自身の心の変化に
 驚いたから、だと思う。
 今までは読むたびに主人公陽子に同情していた。
 彼女の明るくまっすぐな性格に同情し、彼女のように
 生きたい、と願っていた。

 「憎まれても憎しみを返さない。
  私は誰も憎まずに生きたい。」
 そう願う彼女の凛とした姿勢が好きだった。
 だからこそ、彼女を憎む母、夏枝が憎らしくてたまらなかった。

 けれども、今回、久々にテレビドラマで氷点を見て
 誰よりも感情移入できたのは、この「夏枝」だった。
 彼女は陽子が自分の子どもを殺した犯人の子どもだと知り
 陽子を憎む。憎しみが彼女の心を更に冷たくしていく。
 周囲の人間が陽子をかばえばかばうほど、
 陽子への憎しみは更に募っていく。

 意固地になっていく彼女の気持ちが痛いほどに分かって
 辛くてたまらなかった。陽子を憎めば憎むほど
 夏枝も苦しくてたまらなくなる。彼女に辛い仕打ちを
 続ければ続けるほど、夏枝も追い詰められたような
 表情になっていく。
 周囲が陽子をかばうことによって彼女はきっと
 ずっと疎外感や孤独を味わっていたのだろう。
 自分の子どもが死んだのは陽子のせいではない
 頭で分かっていても自分のこの憎しみを誰にぶつければ
 いいのか分からず、彼女はずっとずっとひとりで
 苦しみ続けていたんだろう。

 なにより、陽子が明るくて素直でよい子だったから。
 夏枝の仕打ちに泣きもせず、笑顔で自分になついてくるから。
 だから余計に彼女は謝るきっかけをなくして
 しまったのだと思う。心に闇を抱えた人にとって
 人の善意はまぶしすぎるのだと思う。
 「正しいこと」「優しさ」が人を傷つけることもあるのだ。
 甘えかもしれない。勝手すぎる言い分かもしれない。
 けれども、長年、理解できなかった夏枝の苦しみが
 私は今、ほんの少し理解できたように思う。

 勿論、だからといって、彼女のしたことが
 許されるわけではない。
 ただ、彼女は夫に騙され、誰にも本音を言うことができず
 ただただ寂しい人だったのだと思うと責められない気が
 するのだ。何より、私自身が彼女の立場だったら
 同じように心に闇を持つだろう、と共感してしまうから。

 明日は第二夜。「続氷点」の内容にまで触れるようで
 楽しみで仕方がない。

 ・・・それにしても北口さんにはがっかり。
 いや、がっかりするのはとっても失礼だとは思いますが。
 でもでも、私の中で北口さんはあと20倍は
 かっこいいんですっ。・・・なんだかなー。
 あまり知性を感じさせない面立ちじゃありませんか?
 いえ、別に窪塚弟ファンに喧嘩を売ってるわけではありません。


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