のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

2012年3月の読書

2012年04月11日 22時10分38秒 | 読書歴
ようやっと本を読み始めました。
えらいこと長く本から離れていたもんだ。
最近は図書館に行くたびに甥っ子君用の絵本も借りています。
これがまた楽しいのです。絵本大好き!

15.おっとりと論じよう/丸谷才一
■内容
桜の名歌、夏目漱石と明治の精神、勘三郎の歌舞伎、日本美100の選出などなど。日本の美しさについて、文学、歴史、言葉について、著名人とおっとりと論じる。発見と刺激、そして味わいに満ちた対話集。

■感想 ☆☆☆☆
ある意味、ジャケ借りの1冊。切り絵風の表紙に心惹かれて手に取りました。丸谷さんの随筆を読んでみて、言葉の選び方や感性が好きだな、と思ったのも手をとった理由のひとつ。実に、実に豊かな発見に満ちた一冊でした。すごくすごく面白かった。「好きなもの」について楽しそうに薀蓄を語る人の言葉は、たとえ私自身がその「好きなもの」に対しての知識を持ち合わせてなくても興味深く聞くことができます。というよりは、「好きなもの」について、興味を持っていない人に対しても「聞かせてしまう」言葉を持っている人だから、こうやって本として成り立つのかな。歌舞伎について興味をそそられました。

16.日本のイキ/大石静
■内容
ファーストキッチンの「ガリポテト」で知る若者の味覚、視聴率至上主義の真の背景、「全然いい」などデジタル化する日本語、子供に「翔人」と名づける親、ますます“若尊老卑”化する社会。どんどん便利になる日本、でもどこか病んではいないのか。人気脚本家オオイシが、仕事、人生、恋愛を通して日本人の心イキを問う痛快エッセイ。

■感想 ☆☆*
うーん。面白かった。のです。面白かったけれど、好みのラインからは少し外れていました。何に対して「違う」と感じたのかな?とずっと考えていましたが、やはり私は「エッセイ」や「随筆」は「あはは」と笑って読み終えられるものが好きなんだろうな、と思います。もしくはさらりと読み終えてしまう感じのもの。でも、太田光さんの随筆は好きだったことを思うと、本当に些細なところで何かがひっかかったのでしょう。脚本家さんって大変な仕事だな、としみじみ思いました。いや、楽な仕事なんて本当はないんだけど。

17.飲めば都/北村薫
■ストーリ
日々読み、日々飲む。書に酔い、酒に酔う。新入社員時代の失敗、先輩方とのおつきあい、人生のたいせつなことを本とお酒に教わった文芸編集女子小酒井都さんの酒とゲラの日々。本を愛して酒を飲む、タガを外して人と会う、酒女子の恋の顛末は?等身大のリアルな恋のものがたり。

■感想 ☆☆☆
日々飲み、日々読む。なんて理想的な生活なんだろう・・・とうっとりしながら読み終えました。仕事にしてしまうと大変なこと、「好き」だけではすまないこともたくさん出てくるけれど、「好き」だからこそ乗り越えられる大変さってあるんだろうなぁ、とどんなに飲んでもオシゴトをきちんとこなす素敵女子、小酒井都さんを尊敬の眼差しで見上げながら読み終えました。お酒大好きな小酒井さんがどんなに飲んでも、どんなに羽目をはずしても、どこかで品性を保っているあたりが北村さんらしくて好きです。私もこんなふうに酔い倒れたいものです。・・・無理だなー。

18.いとま申して~「童話」の人々/北村薫
■ストーリ
若者たちの思いが集められた雑誌「童話」には、金子みすゞ、淀川長治と並んで父の名が記されていた。創作と投稿に夢を追う昭和の青春。父の遺した日記が語る「あの時代」の物語。

■感想 ☆☆☆☆*
完全なる「創作」だと思って読んでいましたが、北村さんのお父様の実際の日記を元に描かれた作品。つまり、この本は北村さんとそのお父様の共著となります。けれど、お父様の日記を北村さんが丁寧に読み込み、細かく分かりやすく時代の空気を補足してくれているからこそ、伝わってくる「昭和のあの時代」の空気があります。みんなが貧しく、学びたくても学べなかった人がたくさんいた時代、志半ばにして病に倒れてしまった人がたくさんいた時代、貧富の差が今よりももっと大きかった時代。年代は少し異なるけれど、久世光彦さんや向田邦子さんの語る「昭和」がどこか温かく毅然としていて品格を留めているように、北村さんの語る「昭和」初期も、静謐で清潔感溢れています。時代の空気がぴんと張り詰めていて、品のある時代。物語はまだまだ始まったばかり。「書かれるべく待っている」物語を私も待ち望みます。

19.ちょちょら/畠山恵
■ストーリ
江戸留守居役とは、江戸時代の外交官。兄がなくなり、江戸留守居役を継ぐことになった新之介。欲しいのは「情報」なのだが、弱小藩ゆえ金子も伝手もまったくない。そこに勃発した藩取りつぶしの危機。兄上はなぜ死んでしまったのか。兄上の許婚であった千穂殿は今何処にいるのか。胸に思いを秘め、困窮する多々良木藩の留守居役をまっとうしようとする新之介だが・・・。

■感想 ☆☆*
ストーリもさることながら、今までまったく知らなかった江戸留守居役のお役目や、武家社会のしきたりや藩同士の外交の方法など、そういった薀蓄がひたすらに興味深い作品でした。時代劇は大好きなのに、知らないことが多すぎる・・・。

20.どんぐり姉妹/吉本ばなな
■ストーリ
姉の名はどん子、妹の名はぐり子。突然の事故で奪われた、大好きだった両親の笑顔。気むずかしいおじいさんの世話をしながら、学んだ大切なこと。苦しい時間を姉妹は手をとりあって生きてきた、とめどなく広がる人生で自分を見失わないように。
「私たちはサイトの中にしか、存在しない姉妹です。私たちにいつでもメールをください。時間はかかっても、お返事をします。」気持ちが少し楽になる居場所、それが「どんぐり姉妹」。

■感想 ☆☆☆
ばななさんの作品はどれもこれも作品が醸し出す雰囲気が似ています。新作を読んでも「吉本ばななさんの作品。」という印象が一番大きいと思うのです。それは作風が安定しているってことだと思うし、それこそが彼女らしさで好きだなぁ、とも思うけれど、初期の作品で味わったがつんとした感じ、一作一作にインパクトあるエピソードがある感じが少し懐かしいかな、と思いました。どんぐり姉妹も大好きだけれど、「どんぐり姉妹」としての活動についてのエピソードがあまりなくて、それがとても残念でした。彼女たちの活動を、彼女たちがメールを通して出会った人たちのことをもっと知りたかったな。と、本気でそう思ったぐらい「どんぐり姉妹」が大好きでした。それは、きっと彼女たちが「どんぐり姉妹」を始めるまでのエピソードが丁寧に描かれているからなんだろうな。言葉には力がある。メールで伝わる「何か」はきっとある。そういった希望の物語だと思いました。

21.プリンセス・トヨトミ/万城目学
■ストーリ
このことは誰も知らない。五月末日の木曜日、午後四時に大阪はその機能を全停止した。長く閉ざされた扉を開ける「鍵」となったのは、東京から来た会計検査院の三人の調査官と、大阪の商店街に生まれ育った二人の少年少女だった。

■感想 ☆☆☆☆
万城目さんの作品を読むたびに、小説家って、なろうと思ってなれる職業じゃないんだな、すごい人たちなんだな、としみじみ感嘆します。どこからこんな話を思いつくのか、ぜひ教えて欲しい。小説っていうのは、壮大なほら話であり、でも、読む人をまったく不快にさせないどころか、無条件で楽しませてくれる良質のエンターテイメントなんだなぁ、と幸せな気持ちになります。
ただ、前半はやや冗長で、クライマックスまでがやや長く感じられます。でも、だからこそクライマックスが盛り上がるのかな。結末のつけ方はややあっけないし、タイトルにまでなっているのに、「プリンセストヨトミ」の扱いがぞんざいすぎないかしら?と違和感を抱きもしますが、日本人にとっての「象徴」とか「大切にしているもの」って案外、そんなものなんだろうな、と納得もしました。大切なのは、それ自体ではなく、「ずっと大切にしてきた」という想いだったり、受け継がれてきたものの歴史的な重みとか「伝統」なんだろうな。「いくらなんでもやりすぎやろう」から始まる伏線についての説明は、私がイメージしている大阪人気質と非常にマッチしていて、楽しく読み終えました。
映画、見たいなー。

22.「IT断食」のすすめ
■内容
大量のゴミメールに、時間ばかり取られるパワポ資料。現場を忘れた技術者に顧客と会わない営業マン。生産性を向上させるはずのITにみんなが振り回され、会社全体が疲弊している不条理。深く静かに進行する「IT中毒」の実態を明らかにし、組織と現場の力を取り戻す方法を解説する。

■感想 ☆☆☆☆
納得することだらけの一冊でした。「確かに!確かに!!」と手を取り合いたくなる説明ばかり。「なんかおかしい」「なんか仕事が増えてる」と思っていた「なんか」の部分が具体的に説明されていて、すっきりしました。読みながら、これらの事象って「IT業界」に限らず、すべての業界に言えることなんじゃないかな、とも思いました。って、多くの業界を知りはしませんが、でも、よく話を聞く機会のある「教育分野」「介護業界分野」に関しては、同じように情報や書類に振り回されているな、年々、本質ではない仕事が格段に増えているな、という印象を抱いています。

23.四畳半神話体系/森見登美彦
■ストーリ
数式による恋人の存在証明に挑む阿呆。桃色映像のモザイクを自由自在に操る阿呆。心がへこむと空間までへこませる阿呆。彼らを阿呆と呼ぶなかれ。狭小な正方形に立て篭もる彼らの妄想は壮大な王国を築き上げ、やがて世界に通じる扉となるのだから。

■感想 ☆☆☆
これまた、よくこんなお話を思いつくなぁと感嘆する作家さんの作品です。そして、よくこんなに練りこまれたお話を作れるなぁ、と尊敬する作家さんの作品でもあります。7つのお話が少しずつリンクし、どこかで影響しあって、最後の作品へつながっていく。読んでいてただただ純粋に面白い。また、これまで読んだ森見作品の登場人物さんたちともひょっこり出会うことができて、そちらも楽しみです。「四畳半神話体系」はまだ読んだことがないので、そちらもぜひ読みたいところ。

24.背表紙は歌う/大崎梢
■ストーリ
「とある地方の小さな書店が経営の危機にあるらしい」よくある悲しい噂のひとつだと思っていたが、書店営業仲間の女性がそのことを妙に気にしていて・・・。個性的な面々に囲まれつつ奮闘する井辻くんは、東に西に今日も大忙し。出版社の新人営業マンの活躍を描いた、本と書店を愛する全ての人に捧げるハートフル・ミステリ。出版社営業・井辻智紀の業務日誌シリーズ第二弾。

■感想 ☆☆☆
第2弾だったんだ・・・と読み終えて知りました。第1弾も探さなければ!書店を舞台とした「威風堂」シリーズともほんの少しリンクしていて嬉しい気持ちになりました。書店員の仕事も出版社の仕事もとっても大変そうだけれど、学生時代に本屋さんでバイトしておけばよかったなぁ、と今頃後悔。

25.ファーストレディ物語~ホワイトハウスを彩った女たち~/宇佐美滋
■感想 ☆☆☆*
歴代の大統領、およびファーストレディについてダイジェストでまとめた作品。短くまとめてくれているので、読みやすいです。また歴代の大統領の功績よりも人間味あふれるエピソード中心にまとめられていて、「偉くなんかならなくていい。平凡に心穏やかに暮らせればそれでいい。」というような気持ちになります。人生ってプラスマイナスゼロなんだなぁと改めて思いました。私はブレ幅の大きい人生よりも、波風の少ない人生が好きです。


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