のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

イズ・エー

2005年03月09日 21時38分26秒 | 映画鑑賞
◆ストーリー
 渋谷の飲食店で発生した爆弾事件。
 犯人は14歳の少年ユウヤ。4年後、民生委員の
 養子となり苗字を変え、社会復帰したユウヤは、
 運送会社の倉庫で働き始める。一方、事件で
 息子を失った刑事は、わずか4年で更生する
 ものかと疑っていた。そんなとき、一件の
 殺人事件が発生する。

◆感想
見終わった後、絶望に押しつぶされそうな
気持ちになった。それほど重い重いテーマだ。
だが、ここ数年の少年犯罪の激増はすさまじく、
この映画は決して絵空事ではない。

人はたった4年で変わることができるのか。
そもそも人は変わることが可能なのか。
そして、私たちは彼らが抱える心の闇を
本当に理解することは可能なのか。

家族を失い、犯人に復讐心を抱き続ける刑事。
息子の更生を信じ、家族の再生を願う父親。
犯罪を犯した息子とどう接していいかが分からない母親。
爆破事件の際、生き残ってしまった女性。

映画は決して語り過ぎない。
ホーリーナイトの友人が彼の母親と妹に
どんなことをしたのか。
一体、殺人事件の犯人は誰(どちら)なのか。
語りすぎてはいないものの陰惨さを
察知することができる構成力に感心させられる。
そして語り過ぎないからこそ、
起こったことの悲惨さが際立つのである。

また映画内ではホーリーナイトの行動に対する
説明は一切行われない。
彼がなぜ心の闇を抱えるようになったのか。
彼が何を考えているのか。

「私にはもう何もわかりません。」
父親の悲痛な叫びが耳に残る。
現実に残酷な少年事件が頻発している現代で
私たちが抱いている思いの代弁と言えるだろう。

ラストは陰惨でやりきれない想いが残る。
信じた息子に裏切られ、自分の手で
決着をつけようとし、反対に殺されてしまった父親。
刑事に撃たれ、笑みを浮かべて死ぬホーリーナイト。
そんな彼をみつめる刑事の絶望の表情。
彼は復讐してようやく家族が戻らないこと
何も終わっていないこと、何も変わらないことに
気がついたのだろう。

彼はこれからどう生きていくのか。
何を支えとするのか。
私たちはこの映画から何を学び
今の社会をどう変えていくべきなのか。
答えはまだ見つからない。 

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