のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

まつさをな/興奮冷めた後に

2007年05月13日 21時16分10秒 | 舞台(キャラメルボックス)
興奮がようやくおさまり、舞台の余韻を楽しむ。
何度も何度もかみ締めるように印象に残った場面を懐かしむ。
それは「祭りの後」を改めて実感する寂しさと
あの場にいた人たちと確かに舞台を共有した、共に同じ時間を
過ごしたと実感できる幸せが入り混じった不思議な時間だ。
舞台は映画やテレビに比べて、後からかみ締めるものが多くて
それが私を舞台にまた導く原動力になっているのだと思う。

今回の舞台のキーワードは
 「信じること」そして「生きること」。
登場人物はみな何かを信じていたり信じられなかったり
誰かを無条件に信じていたり、信じたいと思ったり、
でも信じられずにいたりしている。
日本という国の未来、藩の未来を信じる家老、青柳。
父の理想を、そして自分たちの明日を信じる青柳の息子、啓一郎。
自分の未来も国の未来も信じられずに絶望している
啓一郎の幼馴染、静馬。
藩の不正を発見し、信じるもののために立ち上がる鉄之助。
夫と息子と千鶴を信じて見守っている青柳の妻。
愛する鉄之助の無実を信じ、ついていこうとする静馬の妹、はるひ。
幼馴染と愛する人のどちらも信じたいと願い、悩む啓一郎。
愛する人に信じてもらうことを願うヒロイン、千鶴。

無数の気持ちが交錯し、誤解と信念が入り混じって
舞台が作られている。

「どうして、ただ信じてあげることができないの?」
「一度でいい。まるごと信じてあげれば良いじゃないの!」

一貫して伝えられるのは、信じることの難しさ、力強さ。
どんなに愛していても、不利な状況の中では
無条件に信じることは難しい。
けれども、そういった状況の中で信じてくれる人がいることの
心強さはどれほどだろう。誰も信じてくれない中、
ただひとり、味方になってくれる人がいることで
どれだけ救われるだろう。生きる力が与えられるだろう。

信じてくれる人がいるから生きたいと願う。
「生きること」はきゃらめるぼっくすがどの作品でも
常に伝えているメッセージだ。

人は生きなければいけない。
罪を犯したら、生きて償わなければならない。
これは「TRUTH」のテーマだった。
そして、今回、「まつさをな」では
「人は生きている限り、やり直せるんだ。」
と力強く訴える。人は必ずやり直せる。
だから生きることをあきらめてはならない。

いつも以上に見終わった後、爽快な気持ち、幸せな気持ちを
味わえる。クライマックスまでの展開からは想像も
つかないようなハッピーエンドだ。けれども、このハッピー
エンドがこの舞台には必要だったのだと思う。
「信じること」「生きること」の先には必ず幸せが待っている、
という劇団からのメッセージなのだと思う。

語りきれないエッセンスは他にもたくさんある。
2時間の中にいろんな人の人生があって
それぞれがそれぞれの人生の中で、懸命に生きているから
様々な感情が伝わってくる。だから舞台が愛おしいのだ。


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