のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

本所深川ふしぎ草紙/宮部みゆき

2008年08月09日 00時04分27秒 | 読書歴
53.本所深川ふしぎ草紙/宮部みゆき
■ストーリ
 近江屋藤兵衛が殺された。下手人は藤兵衛と折り合いの悪かった
 娘のお美津だといううわさが流れたが・・・。幼い頃、お美津に
 受けた恩義を忘れず、ほのかな思いを抱き続けた職人がことの真相を
 探る「片葉の芦」。その他「送り提灯」や「消えずの行灯」
 「置いてけ堀」「落葉なしの椎」など、深川七不思議を題材に
 下町人情の世界を描く7編。

■感想 ☆☆☆*
 深川七不思議を江戸で起こる事件と絡めた時代小説版「日常の謎」
 とでも言うべき作品。日常の謎を七不思議と絡める手腕が
 とにかく見事。「なるほど。こういうふうに繋がるのか。」
 とタイトルとの絡み具合を楽しみながら読み進めた。

 もっとも、ストーリは「堪忍箱」に引き続き、やはり苦味のある
 ものばかり。心からのハッピーエンドはないような気がする。
 描かれているのは、人と人とのすれ違い。
 立場の違いや思いの違い、信念の違いからすれ違う人たちが
 静かに描かれている。ただ、「堪忍箱」ほど、苦味が前面に
 出ていないのは、登場人物たちがその苦味に飲み込まれて
 いないからだろう。彼らは、それぞれの事情で愛する人、
 大切な人と分かり合えず、すれ違ってしまったとしても
 決して腐ったりしない。まっすぐ生きることをやめない。
 人を信じることを諦めない。
 そのストレートな愚直さが静かに私を勇気付けてくれた。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
宮部さんの話はお腹がすく・・・ (ゆきの)
2008-08-09 20:46:44
こう…美味い蕎麦とかが食べたいですね!お寿司もいいですけれど。ふふふ。

懐かしいな~。

最後に読んだのは2~3年ぐらい前でしたが、かつて何度も読んだものだっただけに、タイトルを聞いただけで、お話を思い出しました。

個人的には堪忍箱より、こっちの方が好きだったような…。

「片葉の葦」は特に派手な展開があるわけでもないですが、最初と最後ではお美津の印象が全く違ってくることに驚きましたし。

本当の意味での優しさとは、思いやりとは、人のために行動するとはどういうことなのか、を考えさせられたものでした。

「置いてけ掘」は…やはり前半がどうしようもなく哀しく、「落ち葉なしの椎」も…「不思議」が解き明かされた瞬間は、物悲しい思いに駆られましたが、読後感は割と良かったですね。

個人的に好きな宮部さんの「江戸人情モノ」は「あかんべえ」とか「初ものがたり」とか「日ぐらし」とか…ヤバイ、枚挙に暇がないってぐらい、ずらずら出てきますので、この辺で。
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お返事☆ (のりぞう)
2008-08-10 23:10:42
■ゆきのさん
 あぁ!分かります!
 本当におなかがすきますよねー。
 お吸い物とかお寿司とかが恋しくなります。
 そして、見事にワタクシが次に手を伸ばした作品も当ててくださって 笑。
 「初ものがたり」では、お腹が更にすきました 笑。

 「あかんべえ」と「日ぐらし」は
 まだ読んだことがないんですよね。
 ぜひ手を伸ばしてみたいです。
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