■ストーリ
僕、坂木司とひきこもりの友人、鳥井真一の間にも
変化の風はゆっくりと吹き込んでいた。
ある日、僕は同僚から同期の女性の様子がおかしいと
相談を受ける。また、木工教室の講師をすることになった
木村栄三郎さんの家に通うようになった僕たちは
地下鉄の駅で見掛けた少年の謎を解くことになる。
そして僕自身にも町で出会った見知らぬ女性たちから
悪意が降りかかってくる・・・。
ひきこもり探偵リーズ第二弾。
■感想 ☆☆☆☆
第一弾「青空の卵」の感想はコチラ
はやみねかおるさんの解説がとにかく印象的だった。
と、本作よりも解説の感想から伝えるのは
どうかと思うけれど。覚えておきたい言葉なので
以下に抜粋を書き留めておく。
----------------------------------------------------
「心はどこにあると思いますか?」
質問の意味を深く考えずに、「心」と聞いて、僕は
ハートをイメージしました。だから、なんとなく
心臓あたりにあるんじゃないかと思いました。
「心は、自分の胸にあるのではなく、自分と相手の
間にあるのです。
だから、ひとりの子どもの心が痛いという状況は、
まわりの子どもたちが作っているんですよ。」
坂木先生の物語を読むと、ぼくは、いつも考えます。
心ってなんだろう。
ぼくの心はどこにあるんだろう。
ぼくは、誰かの心に痛みを与えてないだろうか?
------------------------------------------------------
今作でも、坂木君はよく泣く。
周囲の人の寂しさに共感して。
周囲の人の哀しさを思いやって。
そして、鳥井君はそんな坂木君を心配する。
まるで母親の心配をする幼子のように。
鳥井君にとって、坂木君はそれだけ大きな存在なのだ。
その存在の大きさは前作と変わらない。
けれども、前作では鳥井君にとって
坂木君=世界、だったことを考えると
今作では、鳥井君はわずかながらに外の世界や
外の世界の住人とコンタクトを取り始め
坂木君が広い世界の一部(というよりは
「大部分」ではあるけれど)になっていることが見て取れる。
窓から外を眺める勇気が身についている。
それはきっと、坂木君の優しさのおかげなのだ。
困っている人を見かけたら、どうすればいいのか。
全員を助けられるわけではない。
自分の力ですべてを解決できるわけでもない。
けれども、だからといって見てみぬふりをするのは
あまりにも哀しすぎる。
自分にはどうにもできないことであっても
ただ傍にいるだけ、自分が見ていることを
相手に伝えるだけで、救われることもある。
自分はひとりではない、という思いだけで
どうにか踏ん張ることができるはず。
そういった作者の思いが坂木君というキャラクターを
作り上げ、傷ついている鳥井君も見守らせているのだろう。
このシリーズ、あと1作で完結らしい。
次を読むのが楽しみのような、寂しいような気分だ。
僕、坂木司とひきこもりの友人、鳥井真一の間にも
変化の風はゆっくりと吹き込んでいた。
ある日、僕は同僚から同期の女性の様子がおかしいと
相談を受ける。また、木工教室の講師をすることになった
木村栄三郎さんの家に通うようになった僕たちは
地下鉄の駅で見掛けた少年の謎を解くことになる。
そして僕自身にも町で出会った見知らぬ女性たちから
悪意が降りかかってくる・・・。
ひきこもり探偵リーズ第二弾。
■感想 ☆☆☆☆
第一弾「青空の卵」の感想はコチラ
はやみねかおるさんの解説がとにかく印象的だった。
と、本作よりも解説の感想から伝えるのは
どうかと思うけれど。覚えておきたい言葉なので
以下に抜粋を書き留めておく。
----------------------------------------------------
「心はどこにあると思いますか?」
質問の意味を深く考えずに、「心」と聞いて、僕は
ハートをイメージしました。だから、なんとなく
心臓あたりにあるんじゃないかと思いました。
「心は、自分の胸にあるのではなく、自分と相手の
間にあるのです。
だから、ひとりの子どもの心が痛いという状況は、
まわりの子どもたちが作っているんですよ。」
坂木先生の物語を読むと、ぼくは、いつも考えます。
心ってなんだろう。
ぼくの心はどこにあるんだろう。
ぼくは、誰かの心に痛みを与えてないだろうか?
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今作でも、坂木君はよく泣く。
周囲の人の寂しさに共感して。
周囲の人の哀しさを思いやって。
そして、鳥井君はそんな坂木君を心配する。
まるで母親の心配をする幼子のように。
鳥井君にとって、坂木君はそれだけ大きな存在なのだ。
その存在の大きさは前作と変わらない。
けれども、前作では鳥井君にとって
坂木君=世界、だったことを考えると
今作では、鳥井君はわずかながらに外の世界や
外の世界の住人とコンタクトを取り始め
坂木君が広い世界の一部(というよりは
「大部分」ではあるけれど)になっていることが見て取れる。
窓から外を眺める勇気が身についている。
それはきっと、坂木君の優しさのおかげなのだ。
困っている人を見かけたら、どうすればいいのか。
全員を助けられるわけではない。
自分の力ですべてを解決できるわけでもない。
けれども、だからといって見てみぬふりをするのは
あまりにも哀しすぎる。
自分にはどうにもできないことであっても
ただ傍にいるだけ、自分が見ていることを
相手に伝えるだけで、救われることもある。
自分はひとりではない、という思いだけで
どうにか踏ん張ることができるはず。
そういった作者の思いが坂木君というキャラクターを
作り上げ、傷ついている鳥井君も見守らせているのだろう。
このシリーズ、あと1作で完結らしい。
次を読むのが楽しみのような、寂しいような気分だ。
読みたいと思ってくれた?
だとすれば、嬉しいです。
本当に好きな作品なので。
うんうん。この作品を読んでいると
トモダチっていいなーとしみじみ思えます。
一番怖いのは「孤独」なのかもしれないね。
■虚仮さん
おお。娘さんも図書館通いしてらっしゃるんですね。
10冊を選ぶ瞬間も幸せなんです。
あと、帰りのバスで本を読み始める瞬間も。
それすらも喜びなんだよね。
最近、高3の娘が町立図書館通いをしている。
町内巡航バス(無料)で40分かけて行き
1時間ほど滞在して40分かけて戻る。
いつも、本を10冊(限度)借りてくる。
自分勝手に痛くなることってないんだね。
そう考えたら、心を痛めたり思いやれる相手がいるって
とても大事なことなんだね。
もちろん相手に痛めつけられるのは嫌だけど、
痛みすら感じられない一人ぼっちの世界の方がもっと辛いね。