のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

スクールデイズ/2005年日本

2006年02月12日 22時23分33秒 | 映画鑑賞
■ストーリ
 0歳で芸能界デビュー、天才子役として一世を風靡したのち
 8歳で「普通の子供に戻りたい」と言って引退した相沢晴生。
 それから8年、家庭でも学校でもロクなことがないまま
 高校生になった晴生は、再起をかけて超人気学園ドラマ
 「はみだし!スクール☆デイズ」のオーディションを受け、
 見事合格!ドラマの中の熱血教師・鴻ノ池先生の教えに
 感銘を受けるうちに、なんと現実世界にも鴻ノ池先生が
 登場するようになる。

■感想 ☆☆☆
 予告編で田辺誠一さんのはじけた演技に惹かれて鑑賞。
 一緒に予告編を見た友人と
 「空っぽのペットボトルを渡されると思っていたら
  ビール瓶を渡されたような裏切られ感だよね。」
 「とにかく重い・・・・。」
 と感想を伝え合った。

 映画中盤まではいじめられっこ晴生の生活を織り交ぜつつ
 それでもコミカルにストーリーは進んでいく。
 しかし、ドラマの役柄にのめりこんでいく晴生と共に
 ストーリーは大きく方向転換を図り始める。

 現実世界が虚構世界に侵され始める晴生。
 はみ出し先生の声が聞こえ、彼のアドバイスに感動し
 そのアドバイスに従う晴生。
 その一方で虚構世界があくまでも「ニセモノ」でしかないことも
 きちんと実感している晴生は、虚構の世界に
 現実世界を求め始める。

 階段落ちの場面をスタントなしで演じ、ナイフでさされる場面では
 ホンモノのナイフを使わせて欲しいと頼み込む。
 「ニセモノでは意味がないんだ!」
 吐き出すように訴える晴生。

 合間合間に挟み込まれる晴生の両親。
 豆腐だけを食べ続ける母親。
 豆腐を壁にたたきつけ泣き崩れる母親。
 浮気を続ける父親。
 母親が生のハンバーグを出し続けてもおとなしく食べる父親。

 どこかが壊れている現実世界と
 どこまでもまっとうで正しく楽しい虚構世界。

 その境界を崩そうとする晴生が
 狂っているようでまともな神経を保っている様子が
 最後まで痛々しい。

 彼が求めていたのは、彼の姿を認め受け入れてくれる存在。
 「天才子役」という肩書きを取り戻したかったわけでも
 現実世界を変えようと思ったわけでもなく
 ただ、自分がここに存在していること、
 現実世界で実感をともなってもがいていることを
 両親や友人や片想いの相手や先生に
 見つけて欲しかっただけ。認めて欲しかっただけなのだろう。

 ラスト、担任の一言に顔をくしゃくしゃにさせ
 両親と久しぶりに同じ食卓を囲み、同じものを食べる
 晴生の姿にほんの少し希望が見える。

 けれども、この現実と虚構のあいまいな線引きが
 あまりに「時代」と合っていて、薄気味悪さを感じた映画だった。



 【追記】
  もっとも、前半のコミカルな部分はかなり笑えます。
  特に「キン○チ先生」のオープニングを忠実に
  再現して笑わせてくれたハミダシ先生には脱帽。
  仲間内で楽しく作ったような部分も多いだけに
  終盤のブラックな展開にくらってしまったのかもしれません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿