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晩夏に捧ぐ/大崎梢

2008年11月05日 23時16分53秒 | 読書歴
87.晩夏に捧ぐ ~威風堂書店事件メモ(出張編)~/大崎梢
■ストーリ
 今は故里に帰り、地元の老舗書店に勤める威風堂の元同僚、美保から
 杏子のもとに一通の手紙が届いた。勤務先の宇都木書店、
 通称「まるう堂」に幽霊が出るようになり、店が存亡の危機に
 立たされている、ついては名探偵のアルバイト店員を連れて
 助けに来い、というのだ。
 杏子は気が進まぬながら、多絵を伴って信州の高原へと赴く。
 そこで待ちかまえていたのは、四半世紀ほど前に弟子の手で殺された
 という老大作家の死に纏わる謎だった。

■感想 ☆☆☆
 「威風堂」シリーズ2作目。初の長編作品だ。
 本屋を離れて出張してしまうため、他の2作品ほど、
 本屋にまつわる話はちりばめておらず、中盤は「謎」に話の大方が
 費やされてしまう。
 それが推理小説としての正しい形だとわかってはいるのだけれど、
 この作品に限っては、「本屋ならでは」のエピソードから離れてしまうと
 このシリーズの世界観も変わってしまうようで、 とても残念。

 ただ、書店員、杏子さんが自分の店を離れて、他の書店を訪れる場面は
 話の筋にはまったく関係ないにも関わらず、かなりのページが割かれていて
 そこは「本屋好き」にはたまらない個所となっていた。
 杏子さんの本屋を見る目、本屋を楽しむ感覚、そのこだわりと熱意は見事。
 そうそう!一口に本屋さんと言っても、その店によって雰囲気はバラバラで、
 自分にとって居心地の良い本屋さん、長時間は楽しめない本屋さん
 ついつい買いたくなる本が揃っている本屋など、色々とあるんだよね!
 その店ごとの特色を見極めるのも面白いんだよね!と共感しながら
 その箇所を楽しんだ。

 こういった本屋エピソードが見事に謎と結びついているところが
 1作目、3作目と2作目の違いかもしれない。
 それでも、十分に楽しめたし、杏子さんと多恵ちゃんのコンビは素敵だった。


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