のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

劇団新感線「メタルマクベス」

2008年09月25日 22時34分19秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■劇団新感線「メタルマクベス」
■脚本:宮藤官九郎
■キャスト
■ストーリ
 西暦2206年。繰り返される戦争によって瓦礫の荒野と化した未来。
 レスポール王(上條恒彦)率いるESP王国が誇る無敵の将軍
 ランダムスター(内野聖陽)は、親友エクスプローラー(橋本じゅん)と
 共に城へと帰る途中、三人の魔女にこう告げられる。
 「万歳!マクベス!いずれは王になるお方」

 居城で待つランダムスター夫人(松 たか子)は、夫がやがて王となる
 という予言を知り、それを確実に実現させるため、王を殺すことを
 けしかける。
 ためらうランダムスター、短剣を差し出すランダムスター夫人。
 「やるなら今しかないのよ、ランディ」
 その言葉に、ランダムスターは意を決し、しっかりと剣を握りしめ
 王の寝室へと向かった。

■感想 ☆☆☆☆☆
 今年は予定があわず、実に4年ぶりぐらいに、キャラメルボックスの
 舞台を見に行くことができませんでした。キャラメルさんたちが
 福岡に来ているとき、ワタクシは東京へ。すれ違いも甚だしい。
 というわけで、寂しく悲しい夏でした。

 そんなとき、舞台を撮影したDVDを映画館で上演する
 「ゲキ×シネ」というイベントが今年も行われることを知りました。
 キャラメルと縁がなかった今年ですが、ずっとずっと見てみたかった
 劇団新感線の舞台をとうとう見ることができる!!と
 喜び勇んで、仕事帰りに見てきちゃいました。
 劇団新感線に興味はあったものの、まったく見たことがないと
 それはそれで劇団のカラーが見えず、DVD購入はためらわれるのです。
 なんてったって、DVDは7,000円以上。
 (新感線さんは、比較的有名な俳優さんも競演するため
  DVDはかなりお高いのです。)冒険で買える値段ではありません。
 でも「ゲキ×シネ」なら大スクリーンで見て、2,500円!!
 素敵過ぎる!!

 第1弾は「メタルマクベス」。
 シェークスピアの名作「マクベス」を現代版に、そしてミュージカル風に
 アレンジしたもの。シェークスピアは大好きですが、悲劇が苦手な
 ワタクシは「真夏の世の夢」や「じゃじゃ馬ならし」などは、
 何度も読み返したものの、「マクベス」「リア王」は流し読みで
 1度読んだきり。「ロミオとジュリエット」に至っては、読み終える
 ことができませんでした。筋金入りの悲劇嫌いです。

 そんなわけで、実に先入観なく、まっさらな状態で舞台を
 楽しむことができました。

 予想以上にハイスピードな舞台と生演奏ならではの迫力あふれる音楽。
 原作が古典演劇だとは思えないほどスタイリッシュな衣装と
 斬新なアレンジ。人間味あふれる登場人物たちに共感を覚え、
 あっという間に、舞台上の世界に引き込まれました。

 息もつかせぬ展開に見入りながら感じたのは、「人間の業」。
 自分とは器が違うと分かっていても、ほしいと願わずにはいられない
 人間の欲の深さ、そして、異なる大きさの器を手に入れてしまった
 人間に与えられる苦しみの大きさ。このふたつでした。

 ランダムスター夫人(マクベス夫人)がランダムスター(マクベス)に
 語りかける「器の小さな人間が大きなものを手に入れるためには、
 器に見合った大きなことをしなきゃいけないの!!」という言葉。
 そして、主君を殺した後、眠れなくなってしまったランダムスターが
 同じように苦しんでいる夫人に囁く「器の小さな人間が大きなことを
 するのは大変なんだな」という心からのつぶやき。
 それらが表す人間の欲の深さ、可笑しさ、哀しさ、罪への恐れ。
 決して悪人ではなかったランダムスター夫妻が欲におぼれ、
 狂っていく様は、決して他人事ではなく、だからこそ、嫌いにもなれず
 見終わった後に感じたのは、ただただ「憐れみ」「哀しさ」でした。

 とはいえ、脚本家はクドカンさん。
 笑いあり、ドタバタあり、お色気あり、尻出しあり、とハチャメチャ
 な展開。3時間半、大いに笑いました。

 それにしても、改めて松さんの演技力に感動。
 前半は、色っぽく、かわいらしく、ふてぶてしいランダムスター夫人を
 とても魅力的に演じ、そして後半は狂っていく夫人をリアルに哀しく
 演じきっていました。とにかくかっこいい!
 そして、キャラメルでもおなじみ栗根まことさん!
 メリハリのきいた小気味いい台詞回しは、今回の顔ぶれの中でも
 ピカイチだったと思う。その台詞回しとコメディセンス、そして
 シリアスな立ち回りが彼の魅力を一層引き立てていました。

 初めての新感線の舞台は大満足。
 しかも、今回はゲキ×シネの舞台第1弾。
 あと4作品も見ることができるのです。今年の秋は、喜びのたくさん
 つまったゲージュツの秋になりそうです。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
シェイクスピア (いも男爵)
2008-09-26 02:06:27
アテネのタイモン。このマイナーな作品が何故か好きです。
返信する
お返事☆ (のりぞう)
2008-09-28 23:55:28
■いも男爵どの
 そりゃまた珍しい作品がお好きなのね。
 ワタクシは断然「真夏の夜の夢」です。
 「ガラスの仮面」を読んで更にこの作品が好きになったんだよね。
返信する

コメントを投稿