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あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

山之口獏詩文集

2007年02月22日 22時54分55秒 | 読書歴
■内容
 「お国は?と女が言った/さて僕の国はどこなんだか、」
 沖縄の清高な魂と風土をたっぷりと身につけて生まれ育ち、
 二十歳の頃失恋の痛みを抱え、上京。自虐的なまでの
 深い自己凝視を独特のユーモアに解き放った詩人
 山之口貘(1903~1963)。その心優しい詩78篇と、自伝的小説2篇、
 詩論随筆12篇を以てこの希有の現代詩人の宇宙を集成。

■感想 ☆☆☆☆☆
 大好きな大好きな大好きな詩人のひとり、山之口獏さんの詩を
 久々に読みたくなって手に取った。
 彼のことを知ったのは、フォーク歌手、高田渡さんの
 ドキュメンタリー番組を見ていたときだった。
 高田渡さんが愛し、その詩に曲をつけて歌ったという説明の後に
 歌が流れ、詩人の簡単な説明が行われた。
 簡単な説明でも十分にインパクトの大きい詩人、
 それが山之口獏さんだった。数十年も続けた放浪生活と
 貧乏生活の中で書き綴った詩の数々は獏さん独特の
 ひょうひょうとした文体だ。一見、軽やかに見えて
 ずしんと重いテーマの詩もたくさん書いている。
 真摯に詩と向き合い、日々を生きた詩人、それが私にとっての
 獏さんだ。私の中で「典型的な詩人=獏さん」なのだ。

 そんな獏さんの詩はでかい。そしてずしりと重い。
 久々に読んで、変わらぬそのでかさと重さと軽やかさに
 自分の身を投げ出すことができた。
 獏さんは日本という国どころか、地球さえも軽々と超えて
 宇宙に自分を投げ出して生きている。
 私には絶対に真似できない彼の天才的な生き方と
 彼の言葉の選び方に久しぶりにどっぷりとはまって楽しんだ。
 
 今回読み直して、もっとも心に残った獏さんの詩から
 お気に入りの一部分を抜粋する。
 
 世間はひとつの地球で間に合っても
 ひとつばかりの地球では
 僕の世界が広すぎる。

 彼の世界の大きさに、読み返すたびに鳥肌が立つ。


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