のりぞうのほほんのんびりバンザイ

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10年先も君に恋して

2010年10月06日 00時11分11秒 | テレビ鑑賞
■10年先も君に恋して
■火曜22時 NHK総合テレビ放送
■出演
 上戸彩、内野聖陽、高島礼子、藤竜也、劇団ひとり、
 木南晴夏、渡辺いっけい、渡辺えり、染谷将太、林丹丹、
■脚本 大森美香
■ストーリ
 出版社の編集をしている里香は、仕事は順調だが、男運のない人生を
 送っていた。しかし、ひょんなことから知り合った博が
 「宇宙エレベーター」について熱く語る姿を見て、運命を感じる。
 その直後、10年後の博だと言う変な男と遭遇する里香。
 確かに現在の博の面影があるその男は、10年後、里香の夫となった
 未来の博だった。
 10年後の博は、10年後のふたりがお互いに傷つけあった結果
 離婚を選択したこと、お互いに不幸だと感じていることを現在の
 里香に伝える。そして、未来の不幸を回避するために、出会った
 ばかりの里香と博を別れさせるためにやって来たというのだった。
 将来の夫と現在の恋人との奇妙な三角関係が始まる。

■感想 ☆☆☆☆☆
 大森作品外れなし!
 というか、もう私の好みどストライクなんだろうなぁ。
 他のドラマさんたちとは、少し時期がずれてますが、
 それでも「今期」に入れると、この作品がもっとも好きな作品でした。
 脚本が好み、というのは勿論のことながら、NHKらしい丁寧なつくりに
 安心感溢れる演技のキャスト陣、そしてドラマの雰囲気によくあった主題歌、
 すべてが揃った本当に本当に素敵な作品でした。

 現在の博と里香も、10年後の博と里香もお互いのことを思いあっていて
 その様子が表情から、しぐさから伝わってくるために、とても幸せで
 同時にとても切ない恋愛ドラマでした。
 現在の博と里香は出会ったばかりで遠慮があるから、ほんの少しの
 いざこざも、お互いが努力し合い、ベクトルをお互いの方向に向け合う
 努力ができる。だから、すぐに仲直りもできてしまう。

 10年後の里香と博は結婚して、長年、一緒に過ごしてきたからこそ、
 お互いに遠慮がなくなっているし、お互いに伝える努力を怠って
 しまう。相手にわかってほしい、という気持ちが強すぎて、自分が
 きちんと伝えることを忘れている。でも、相手のことを好きだという
 気持ちも、このまま離れていくのは嫌だという気持ちも持っていて
 それなのに、その気持ちを素直に表せない。そんなジレンマが伝わって
 きて、すごく切ない気持ちになりました。

 なんで恋愛って、お互いに好きだという気持ちを持っているだけでは
 ダメなんだろう。なんで、自分の正直な気持ちを相手に伝えるのに
 こんなにも躊躇してしまうんだろう。

 博の師事している教授がとてもキュート。未来から来た博をまったく
 疑うことなく受け入れ、お仕着せがましくなく、目立たずそっと
 博と里香をサポートする。その存在感も、そして発するアドバイスも
 どれもがとてもあたたかく、だからこそ説得力あるものだった。

 「喧嘩したとき『離婚しよう』と言い出すうちは、まだ好きという
  気持ちがどこかにあるんですよ。相手にとって自分がまだ必要だと
  確かめたくて『離婚しよう』と切り出してしまうんですよ。」

 ラストはヒロイン里香が10年後の自分に向けた手紙の言葉で
 締めくくられる。
 「どうか未来を諦めないで。こんなはずじゃなかったのに、と
  後ろを振り向かないで、前を見てしっかり歩いて。
  今の私はとても幸せです。
  だから、どうか、今の幸せな気持ちを忘れずにいて。」
 この言葉で終わりを迎え、ふたりのその後は明示されない。
 けれど、10年後に戻った博と里香の関係は劇的には修復しないし、
 まだまだ問題は山積みのままだ。きっとまた喧嘩もするだろう。
 それでも、10年後の未来に戻った博の前には、10年前の里香から
 現在の里香にメッセージが届くというささやかな奇跡が起こる。
 奇跡、というのも大袈裟なほどささやかな奇跡。
 そのささやかな奇跡がきっと未来を変える。そう信じられるラストだった。
 「過去と人は変えられない。けれど、自分と未来は変えられる。」
 使い古されたこの言葉があたたかく胸にしみわたる素敵なラストだった。

 それにしても上戸彩ちゃんが美しくて美しくて。ひたすら見とれました。
 最近の上戸さんは本当に輝きを増しております。美しすぎる。
 でもって演技もとてもキュート!
 恋にも仕事にも一生懸命に体当たりしていくヒロインを可憐に、
 コミカルに、魅力的に、演じていました。くるくる動く瞳と
 表情が今回のヒロイン像にぴったり!
 そして、脇をしっかりと固めた劇団ひとりさん、高島姐さん、
 渡辺姐さんに大森脚本の常連組、いっけいさん。
 特に渡辺えりさん、いっけいさんは出演場面がそんなに多くないにも
 関わらず、大森テイストの厳しさと暖かさをドラマにしっかり
 付与されていました。本当にいいドラマだったなー。