27.百万の手/畠中恵
■ストーリ
僕、音村夏貴はときどき過呼吸の発作を起こす14歳の少年。
ある日、親友の正哉が目の前で焼死してしまった。悲しみにくれる
僕の耳に、慣れ親しんだ声が聞こえてきた。死んだはずの正哉が
携帯から語りかけてきたのだ!あの火事は不審火だったという正哉。
真相を探るために僕は正哉と動き出す。
■感想 ☆☆☆☆
ファンタジーテイストの始まり方をした本作だが、中盤以降は
SFテイストに。そして社会派テイストの問題提起でラストを
迎える。ひとつの作品で色々なテイストを楽しめる作品だった。
大きなテーマは「クローン」。
クローンについては、漠然と「反対」と思っていたが
なぜ反対なのか、明確な理由を述べることができないでいた。
それは、私が明確な理由を言えるほど、クローンについての
知識を持っていなかったからだ。クローンについて、ほとんど
知らなかったけれど「反対」と考えていた理由は、本能的な
怖さなんだろうと思う。
それぐらいの知識しかない私に、本作は具体的、かつ倫理的に
クローンのデメリットを教えてくれた。「クローン」に対して
抱いていた「怖さ」を明確な言葉で理解することができた。
けれど、おそらく、「クローン」技術はいずれ、今よりも
進歩していくだろう。世論の反対ぐらいでは、人間の好奇心や
探究心を制御することなどできないだろうと思う。
何より、私たちは欲望に弱い。利益には更に弱い。
タイトルになっている「百万の手」は、主人公がクローンの
生み出す利益について知った際にイメージした利益を求めて
宙を掴む人間の姿かたちのことだ。利益を求めて闇をうごめく
百万の手。その先にあるはずの顔は見えない。そんな百万の手
の様子を私もまざまざと思い浮かべることができた。
主人公や主人公を取り巻く登場人物はとても魅力的で、軽く
読み進めることが出来る。それだけに、当初の予測を大きく
裏切るほろ苦い結末が印象深い作品だった。
■ストーリ
僕、音村夏貴はときどき過呼吸の発作を起こす14歳の少年。
ある日、親友の正哉が目の前で焼死してしまった。悲しみにくれる
僕の耳に、慣れ親しんだ声が聞こえてきた。死んだはずの正哉が
携帯から語りかけてきたのだ!あの火事は不審火だったという正哉。
真相を探るために僕は正哉と動き出す。
■感想 ☆☆☆☆
ファンタジーテイストの始まり方をした本作だが、中盤以降は
SFテイストに。そして社会派テイストの問題提起でラストを
迎える。ひとつの作品で色々なテイストを楽しめる作品だった。
大きなテーマは「クローン」。
クローンについては、漠然と「反対」と思っていたが
なぜ反対なのか、明確な理由を述べることができないでいた。
それは、私が明確な理由を言えるほど、クローンについての
知識を持っていなかったからだ。クローンについて、ほとんど
知らなかったけれど「反対」と考えていた理由は、本能的な
怖さなんだろうと思う。
それぐらいの知識しかない私に、本作は具体的、かつ倫理的に
クローンのデメリットを教えてくれた。「クローン」に対して
抱いていた「怖さ」を明確な言葉で理解することができた。
けれど、おそらく、「クローン」技術はいずれ、今よりも
進歩していくだろう。世論の反対ぐらいでは、人間の好奇心や
探究心を制御することなどできないだろうと思う。
何より、私たちは欲望に弱い。利益には更に弱い。
タイトルになっている「百万の手」は、主人公がクローンの
生み出す利益について知った際にイメージした利益を求めて
宙を掴む人間の姿かたちのことだ。利益を求めて闇をうごめく
百万の手。その先にあるはずの顔は見えない。そんな百万の手
の様子を私もまざまざと思い浮かべることができた。
主人公や主人公を取り巻く登場人物はとても魅力的で、軽く
読み進めることが出来る。それだけに、当初の予測を大きく
裏切るほろ苦い結末が印象深い作品だった。