夢七雑録

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稲荷百社詣その十

2007-12-26 19:24:21 | 稲荷百社詣

(27)榛の木稲荷 (墨田区両国4)★

 両国駅の南側に、本所に居住する武士の弓馬の稽古を目的とした馬場があったという。この馬場にあった稲荷がこの榛の木稲荷である。勝海舟はこの辺を遊び場にしていたらしいので、勝海舟の馴染みの稲荷ということになる。稲荷を介して遠い日の勝海舟に挨拶してから、次の稲荷へ行く。

(28)駒止稲荷 (墨田区横網1)

 国技館の北側にある旧安田庭園の中にある稲荷で、洪水の隅田川を馬で乗りきった阿部豊後守が、この場所に駒を止めた事から、この名が出たと言う、まことしやかなお話がある。稲荷に対決するような位置に駒止石という石が置かれているが、駒止石が先で稲荷は後から祭られたらしい。単なる境界石でも時代が経てば有難い石になるってわけだ。とはいえ、ここの稲荷は、隅田川の治水の要になっているやも知れない。決して粗末には出来ないと言うことで、隅田川の安全を稲荷に祈願。ついでに石の方にも頭を下げておく。

(29)徳之山稲荷 (墨田区石原1)★

 この稲荷は、本所築地奉行をつとめた徳山五兵衛の屋敷稲荷であったという。五兵衛は日本左衛門こと浜島庄兵衛を捕らえ、屋敷内で処刑したといわれ、境内には日本左衛門首洗井戸跡の石碑も建っている。この稲荷は日本左衛門供養の役割を担っていたようだが、後に本所開拓の功績があった徳山五兵衛も合祀してしまったから、呉越同舟の稲荷ということになる。どうも妙な稲荷である。ひょっとして、徳つながりの元徳餅を供えると、何か良い事があるのかとも思ったが、わざわざ買いに戻る気もしないので一礼して辞す。

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