ゆきたんくの楽しみは3度の飯だった。
秋川高等学校は全寮制である。
厨房で調理員さんたちが、生徒の食事を作って下さるのだが、盛り付けは自分たちである。
とはいっても、学年がいくつかの班に分かれていて、食事当番なるものがあるのだ。
そして用意が整うと、生徒の代表(日替わり)がマイクで「姿勢を正していただきます。」と食事の合図をする。
びっくりしたのが、15分間の食事の時間をフルに食べて入る者はいないのである。
早い早い、2分ぐらいで平らげる。
1分でも自由な時間を増やすための知恵なのだ。
先輩に聞いた。
ゆきたんく「食事を早く食べるこつって何ですか。」
先輩「それは味わわないことだ。」
分かりやすい説明である。
早く食べないと食事当番も早く片付けることができない。
よって、みんな早くなる。
一人っ子でゆっくり飯のゆきたんくも、高校時代は食べるのが早くなったのは、ここで生きるための術だったのである。
秋川高等学校14…風呂での競技会 へ続く