ゆきたんくの高校生活は全寮制高等学校での生活だった。
規則正しい生活、管理された環境、素晴らしい人材の育成。
イギリスのパブリック・スクールをお手本とする母校のスタイルである。
一方、ゆきたんくの生活はそれと相反する部分にスリルを覚えていた。
もちろん、酒タバコは自分の首をしめることとなるのでやらない。
もっとも、タバコに関しては中一で懲りているので(そのうちアップだな)再び手にはしない。
さて、6:30の起床から23:00の消灯までの間にどれだけ自分の時間を作るかが、ここでの生活楽しむポイントとなる。
ただし、自分の思い通りにならないことは多々ある。
部活動が終わると同時に食事当番。
食事当番後に先輩からの呼び出し(まあ、ほとんど自分に責任がある)。
3時間の学習時間(19:30~22:30 別名自由時間…笑)。
22:30~23:00までの先輩立会いによる筋肉トレーニング。
今頃の時期にそんな状態だと、気持ち悪くて寝ることができない。
さて、いつ風呂に入るか。
消灯後をねらった時があった。
消灯後、舎監の先生は各部屋や寮の周辺に気を配る。
タバコを吸っていないだろうか、酒を飲んでいないだろうか、同室の者をいじめていないだろうか、タッパー・ラーメンを食べていないだろうか・・・
そう、風呂までは見回りにこないだろう。
友人と真夜中の入浴に出かける。
もちろん風呂入り口の鍵はしまっている。
実は、更衣室側のガラスが大きく聴く割れていることを知っていた。
あそこから入ればいい。
怪我をしないように入り、風呂場に入り込む。
シャワーなんてとんでもない、音は立てられないのだ。
不謹慎ではあるが、湯船のなかで体を洗うことにした。
まだ湯は暖かい。
一日の汗が流れていく。
とても気持ちがいい。
その時、友人の「ハアァ~アァ~」という声。
ゆきたんく「!」
気持ちの良さのあまり、大きな声を出してしまったのである。
固まる二人。
じっとしている二人の耳に音が聞こえてくる。
ザッサッザッザ・・・
風呂の外を舎監の先生が懐中電灯でこちらを照らしながら歩いている。
割れた窓ガラスのところから中を照らし始めた。
ゆきたんくと友人は、寮生や自分たちの体の汚れがたくさん溶けた湯の中に全身を沈めた。
30秒ぐらい我慢したと思う。
もう良いだろうと湯船から頭を出し、目を開けた時に目に飛び込んできたのは・・・
照明のついた風呂場と、仁王立ちしている舎監の先生であった。
舎監室に連行され、ものすごく絞られた。
ちなみにその先生はゆきたんく夫婦の仲人である。