yoosanよしなしごとを綴る

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2020.3桜を歩く 鉢形城・氏邦桜

2022年06月20日 | 旅行

埼玉を歩く>   2020.3 桜を歩く 円良田湖 少林寺 鉢形城・氏邦桜

 2022年4月の花見のときも2020年3月の花見でもかんぽの宿 寄居に泊まった。長瀞から荒川、秩父鉄道と並行する国道140号線=彩甲斐街道を下ればおよそ10km、15~16分と立地がいい。宿は高台に建ち、部屋からも温泉からも眼下に秩父鉄道、国道140号線、荒川、その向こうに丘陵が遠望できる。風景が広々していて、ゆったりできる。
 2020年3月は駐車場のソメイヨシノが6~7分だったが、2022年4月は満開だった。翌朝、車を走らせるとボンネットの花がひらひらと舞い飛び、春を感じる。・・2022年は宿から美の山の向かったが別記する・・。

 2020年3月は宿に近い円良田湖、少林寺、鉢形城公園の氏邦桜を訪ねた(図)。
 円良田湖(つぶらだこ)は、1954年に農業用ため池として造られた周囲4kmの人造湖で、65万トンの水を貯め230haの水田に供給、と紹介されている。ワカサギ、ヘラブナの釣り場としても人気があるそうだ。
 湖沿いにソメイヨシノが植えられていて、満開を待っている(写真)。花びらを受けながらワカサギやヘラブナを釣り上げるのはさぞかし気分がいいのではないだろうか。
 
 円良田湖から、かつて花園城が築かれた小山を南に回ると少林寺がある(次頁上写真)。
 花園城は、室町時代に初代関東管領になった上杉憲顕に始まる山内上杉家の重臣藤田家の居城で、後述の鉢形城の支城だったそうだが、いまは石積みの一部が残るだけらしい・・歩いていない・・。
 少林寺は、山内上杉家に代わり関東を支配した後北条家の2代当主北条氏綱(1487-1541)に仕えた藤田国村が1511年に開基した曹洞宗の寺と伝えられている・・後北条家を起こしたのは伊勢盛時=伊勢宗瑞=北条早雲(1456-1519)である。関東各地では豪族が虎視眈々、しのぎを削っていて、やがて戦国時代の歴史が展開する・・。
 少林寺境内は静かである。桜は見当たらないが、ヤマツツジだろうか、赤紫の花が咲き誇っていた。うっそうとした山道に五百羅漢像千体荒神石碑が並べられている(中写真)。羅漢、荒神を見ながら20分ほど上る。
 標高247mの羅漢山頂には釈迦牟尼仏、脇侍の普賢菩薩文殊菩薩の坐像が安置されている(下写真)。合掌。

 少林寺をあとにし、県道349号線を南に走り、荒川を渡り、県道294号線を左に折れて八高線の踏切を渡り、鉢形城公園駐車場に車を止める。見どころは、埼玉桜名所に紹介されている氏邦桜である。駐車場の隣に鉢形城歴史館が建っていて、史跡鉢形城跡・曲輪配置図の説明板があった(次頁写真、右が北)。
 武蔵国・鉢形城についてはまったく知識がなかった。曲輪配置図によれば、城跡北側の西から東に荒川が流れ、城内の南から北に流れる深沢川が荒川に合流する。駐車場、歴史館を含む深沢川の東側が外曲輪、荒川と深沢川に挟まれた北側が本曲輪=本丸、続く中ほどが二の曲輪=二の丸、南側が三の曲輪=三の丸である。
 鉢形は、荒川と支流の深沢川に挟まれた断崖絶壁(中写真、城跡から見た荒川の断崖、下写真、深沢川の断崖)の上に築かれた自然の要害で、上州、信州を望む交通の要衝だった。関東管領山内上杉家の家臣長尾景春(1413-1514)はこの立地を生かし1476年に鉢形城を築いたと伝えられている。
 1478年、長尾景春に代わり山内上杉家11代山内顕定(1454-1510)が入城する・・長尾景春と山内顕定とのあいだに確執があったらしい・・。その後、山内上杉、扇谷上杉、相模の後北条、甲斐の武田とのあいだで抗争が続き、1546年に後北条3代北条氏康(1515-1571)が武蔵国の覇権を握る。
 1564年、氏康4男北条氏邦が鉢形城に入り、大改修を行う。その後、鉢形城は後北条氏の北関東支配の拠点となるが、戦略上の重要性から武田信玄や上杉謙信らの攻撃を受ける。1590年、豊臣秀吉による小田原攻めと同時に豊臣方連合軍が鉢形城を攻め、氏邦軍は降伏して開城する。のちに廃城になる。

 駐車場から氏邦桜を目指して歩くと、深沢川の断崖に行き当たる(前掲下写真)。攻めてきた敵軍は防衛戦を破って外曲輪に進入できてもこの断崖で足止めになる。荒川の断崖と深沢川の断崖に挟まれた本曲輪=本丸はまさに自然の要害である。
 いまは公園に整備されているので、上り下りしながら歩くと二の曲輪あたりに氏邦桜が大きく枝を広げ満開の偉容を誇っていた(写真)。桜はエドヒガンでソメイヨシノより開花が早く、一足早い花見を楽しむ人で賑わっている。
 推定樹齢約150年、樹高18m、枝張りは22~24mもある。愛称を募集したところ、時代はまったく異なるが鉢形城主北条氏邦にちなんだ氏邦桜が選ばれたそうだ。

 鉢形城公園内を通り抜ける道路の向こうに城山稲荷神社の一之鳥居が立ち、参道に桜並木が続いている(写真)。
 鳥居で一礼し、6~7分咲きのソメイヨシノの並木を歩く。氏邦桜は人出が多かったが、こちらの桜並木はほかに一組だけで静かに花見を楽しむ。二之鳥居で一礼、稲荷神社で一礼する。
 そのまま公園を歩く。鉢形城址の発掘調査が行われていて、虎口、積土塁、馬出などの説明板が立てられ、四脚門と土塀が復元されていた(写真)が、花見ついでの散策では鉢形城全容は想像しにくい。
 帰りしなに城址北東偶に展示されている地形模型を見た。地形に加え、本丸や曲輪、櫓、城門、城壁などを図解してくれると自然の要害が理解しやすいのではないだろうか。
 鉢形城公園をあとにして、家路につく。  (2022.6)

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