万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌3656 秋萩に3397

2020年07月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌3656 秋萩に3397

秋萩に 匂へる我が裳 濡れぬとも
君が御舟の 綱し取りてば  阿倍継麻呂

3397     万葉短歌3656 ShuH150 2020-0717-man3656

□あきはぎに にほへるわがも ぬれぬとも
  きみがみふねの つなしとりてば
〇阿倍継麻呂(あへの つぎまろ)=「天平七年(735)四月二十三日、正六位上より従五位下。新羅からの帰途、天平九年の一月、対馬で病没(3578~86・・・)」。訓は、姓は依拠本に、名は『万葉集事典』に、それぞれ拠る。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第79首。「七夕(しちせき)仰観天漢(あまのがは)各(おのもおのも)陳所思(おもひをのべて)作歌三首」の第1首。(女歌に擬して)男。左注に、「右一首大使」。「彦星を待ちわびる織女になりきって読んだ・・・。」
【訓注】秋萩(あきはぎ=安伎波疑)[02-0120秋芽之(あきはぎの)、-0231野辺秋芽子(のへのあきはぎ)、など]。匂へる我が裳(にほへるわがも=尓保敝流和我母)。君が御舟の(きみがみふねの=伎美我美布祢能)。


万葉短歌3655 今よりは3396

2020年07月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌3655 今よりは3396

今よりは 秋づきぬらし あしひきの
山松陰に ひぐらし鳴きぬ  〇

3396     万葉短歌3655 ShuH142 2020-0716-man3655

□いまよりは あきづきぬらし あしひきの
  やままつかげに ひぐらしなきぬ
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第78首。「至筑紫館・・・四首」の第4首。男。
【訓注】秋づきぬ(あきづきぬ=安伎豆吉奴)。あしひきの(安思比奇能)。ひぐらし(日具良之)。


万葉短歌3654 可之布江に3395

2020年07月15日 | 万葉短歌

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万葉短歌3654 可之布江に3395

可之布江に 鶴鳴き渡る 志賀の浦に
沖つ白波 立ちし来らしも  〇

3395     万葉短歌3654 ShuH142 2020-0715-man3654

□かしふえに たづなきわたる しかのうらに
  おきつしらなみ たちしくらしも
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第77首。「至筑紫館・・・四首」の第3首。男。左注(読下し)に、「一には<満ちし来(き)ぬらし>といふ。」
【訓注】可之布江(かしふえ)[「福岡市東区香椎の地の入江」]。志賀の浦(しかのうら=之可能宇良)。沖つ白波(おきつしらなみ=於枳都之良奈美)。


万葉短歌3653 志賀の浦に3394

2020年07月14日 | 万葉短歌

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万葉短歌3653 志賀の浦に3394

志賀の浦に 漁りする海人 家人の
待ち恋ふらむに 明かし釣る魚  〇

3394     万葉短歌3653 ShuH142 2020-0714-man3653

□しかのうらに いざりするあま いへびとの
  まちこふらむに あかしつるうを
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第76首。「至筑紫館・・・四首」の第2首。男。
【訓注】漁りする海人(いざりするあま=伊射里須流安麻)。家人(いへびと=伊敝妣等)。


万葉短歌3652 志賀の海人の3393

2020年07月13日 | 万葉短歌

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万葉短歌3652 志賀の海人の3393

志賀の海人の 一日もおちず 焼く塩の
からき恋をも 我れはするかも  〇

3393     万葉短歌3652 ShuH142 2020-0713-man3652

□しかのあまの ひとひもおちず やくしほの
  からきこひをも あれはするかも
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第75首。「至筑紫館(つくしのたち)遥望本郷(ほんがう)悽愴(かなしびて)作歌四首」の第1首。男。
【訓注】志賀(しか=之賀)[「福岡市東区の志賀島〔(しかのしま)〕」]。一日(ひとひ)。おちず(於知受)[3647参照]。からき恋(からきこひ=可良伎孤悲)[「塩からい、つらい〔恋〕」。11-2742辛恋毛(からきこひをも)、17-3932可良吉恋乎母(からきこひをも)。3か所とも「焼く塩の」に接続する]。我れ(あれ=安礼)。筑紫館(つくしのたち)[「博多湾沿岸にあった館。外国使節や官人の宿泊や接待に用いた公館。のちには<鴻臚館>」]。本郷(ほんがう)[「本国、故国。ここは都のある大和」]。


万葉短歌3650 ひさかたの3392

2020年07月12日 | 万葉短歌

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万葉短歌3650 ひさかたの3392

ひさかたの 天照る月は 見つれども
我が思ふ妹に 逢はぬころかも  〇

3392     万葉短歌3650 ShuH130 2020-0712-man3650

□ひさかたの あまてるつきは みつれども
  あがもふいもに あはぬころかも
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第73首。第74首は旋頭歌。「佐婆海中・・・八首」の第7首、男。第8首は旋頭歌。
【訓注】ひさかたの(比左可多能)。天照る月(あまてるつき=安麻弖流月)。我が思ふ妹(あがもふいも=安我母布伊毛)。


万葉短歌3649 鴨じもの3391

2020年07月11日 | 万葉短歌

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万葉短歌3649 鴨じもの3391

鴨じもの 浮寝をすれば 蜷の腸
か黒き髪に 露ぞ置きにける  〇

3391     万葉短歌3649 ShuH129 2020-0711-man3649

□かもじもの うきねをすれば みなのわた
  かぐろきかみに つゆぞおきにける
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第72首。「佐婆海中・・・八首」の第6首、男。
【訓注】鴨じもの(かもじもの=可母自毛能)[0050(長歌)鴨自物 水尓浮居(かもじもの みずにうきゐ)]。蜷の腸(みなのわた=美奈能和多)[下記注]。か黒き髪(かぐろきかみ=可具呂伎可美)。
【編者注-蜷の腸】〈みなのわた〉。〈みな〉は「小さな巻貝」(『詳説古語辞典』)、「かわにな」(『学研全訳古語辞典』)。「蜷の腸が黒いところからとも、焼いた肉が黒いところからともいう。」(『デジタル大辞泉』) 集中に5か所。05-0804(長歌)美奈乃和多 迦具漏伎可美尓(みなのわた かぐろきかみに)、07-1277弥那綿 香烏髪(みなのわた かぐろきかみに)、13-3295(長歌)蜷腸 香黒髪丹(みなのわた かぐろきかみに)、15-3649美奈能和多 可具呂伎可美尓、16-3791(長歌)三名之綿 蚊黒為髪尾(みなのわた かぐろしかみを)。


万葉短歌3648 海原の3390

2020年07月10日 | 万葉短歌

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万葉短歌3648 海原の3390

海原の 沖辺に灯し 漁る火は
明かして灯せ 大和島見む  〇

3390     万葉短歌3648 ShuH129 2020-0710-man3648

□うなはらの うみへにともし いざるひは
  あかしてともせ やまとしまみむ
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第71首。「佐婆海中・・・八首」の第5首、男。
【訓注】海原(うなはら=宇奈波良)。漁る火(いざるひ=伊射流火)。大和島(やまとしま=夜麻登思麻)。


万葉短歌3647 我妹子が3389

2020年07月09日 | 万葉短歌

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万葉短歌3647 我妹子が3389

我妹子が いかに思へか ぬばたまの
一夜もおちず 夢にし見ゆる  〇

3389     万葉短歌3647 ShuH129 2020-0709-man3647

□わぎもこが いかにおもへか ぬばたまの
  ひとよもおちず いめにしみゆる
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第70首。「佐婆海中・・・八首」の第4首、男。
【訓注】ぬばたまの(奴婆多末能)。一夜もおちず(ひとよもおちず=比登欲毛於知受)[一夜も欠かさずに]。夢(いめ=伊米)。


万葉短歌3646 浦みより3388

2020年07月08日 | 万葉短歌

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万葉短歌3646 浦みより3388

浦みより 漕ぎ来し船を 風早み
沖つみ浦に 宿りするかも  〇

3388     万葉短歌3646 ShuH129 2020-0708-man3646

□うらみより こぎこしふねを かぜはやみ
  おきつみうらに やどりするかも
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第69首。「佐婆海中・・・八首」の第3首、男。
【訓注】浦み(うらみ=宇良未)。漕ぎ来し船(こぎこしふね=許芸許之布祢)。沖つみ浦(おきつみうら=於伎都美宇良)。


万葉短歌3645 我妹子は3387

2020年07月07日 | 万葉短歌

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万葉短歌3645 我妹子は3387

我妹子は 早も来ぬかと 待つらむを
沖にや住まむ 家づかずして  〇

3387     万葉短歌3645 ShuH129 2020-0707-man3645

□わぎもこは はやもこぬかと まつらむを
  おきにやすまむ いへづかずして
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第68首。「佐婆海中・・・八首」の第2首、男。
【訓注】我妹子(わぎもこ=和伎毛故)。家づかず(いへづかず=伊敝都可受)[下記注]。
【依拠本注-家づく】・・・(02-0153)の「辺付く」〔(へつく)〕や「秋づく」(08-1564)、「夕づく」(16-3820)と同類で、家に寄り着く、家に近づく、の意。「つく」はここは自動態四段で、これが他動態下二段に働くと、「色づく」(3699)、「垢づく」(3667)の形となる。


万葉短歌3644 大君の3386

2020年07月06日 | 万葉短歌

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万葉短歌3644 大君の3386

大君の 命畏み 大船の
行きのまにまに 宿りするかも  雪宅麻呂

3386     万葉短歌3644 ShuH129 2020-0706-man3644

□おほきみの いのちかしこみ おほぶねの
  ゆきのまにまに やどりするかも
〇雪宅麻呂(ゆきの やかまろ)=「伊吉連〔(いきのむらじ)〕の一族で、渡来人系の人らしい。往路、壱岐で病死」。3688題詞には「雪連宅満」。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第67首。「佐婆(さば)海中忽遭逆風(げきふう)漲浪(ちゃうらう)漂流経宿(けいしゅく)而後幸得(さきくして)順風到著豊前国(とよのみちのくちのくに)下毛郡(しもつみけのこほり)分間(わくまの)浦於是(ここに)追怛艱難(かんなんをいたみし)悽惆(かなしびて)作歌八首」の第1首、男。左注に、「右一首雪宅麻呂」。
【訓注】大君(おほきみ=於保伎美)。大船(おほぶね=於保夫祢)。まにまに(麻尓末尓)。佐婆海中(さばのかいちゅう)[「」周防灘の一部、山口県防府市沖合付近]。豊前国(とよのみちのくちのくに)[「福岡県東部と大分県北西部」]。下毛郡分間浦(しもつみけのこほりの わくまのうら)[「大分県中津市の海岸」]。


万葉短歌3643 沖辺より3385

2020年07月05日 | 万葉短歌

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万葉短歌3643 沖辺より3385

沖辺より 船人上る 呼び寄せて
いざ告げ遣らむ 旅の宿りを  〇

3385     万葉短歌3643 ShuH123 2020-0705-man3643

□おきへより ふなびとのぼる よびよせて
  いざつげやらむ たびのやどりを
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第66首。「熊毛浦舶泊之夜作歌四首」の第4首、男。左注(読下し)に、「一には<旅の宿りを いざ告げ遣らな>といふ。」
【訓注】沖辺(おきへ=於吉敝)。船人(ふなびと=布奈妣等)。


万葉短歌3642 沖辺より3384

2020年07月04日 | 万葉短歌

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万葉短歌3642 沖辺より3384

沖辺より 潮満ち来らし 可良の浦に
あさりする鶴 鳴きて騒きぬ  〇

3384     万葉短歌3642 ShuH123 2020-0704-man3642

□おきへより しほみちくらし からのうらに
  あさりするたづ なきてさわきぬ
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第65首。「熊毛浦舶泊之夜作歌四首」の第3首、男。
【訓注】沖辺(おきへ=於枳敝)。可良の浦(からのうら=可良能宇良)[「熊毛の浦の一部」]。


万葉短歌3641 暁の3383

2020年07月03日 | 万葉短歌

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万葉短歌3641 暁の3383

暁の 家恋しきに 浦みより
楫の音するは 海人娘子かも  〇

3383     万葉短歌3641 ShuH123 2020-0703-man3641

□あかときの いへごひしきに うらみより
  かぢのおとするは あまをとめかも
〇=出典未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第64首。「熊毛浦舶泊之夜作歌四首」の第2首、男。
【訓注】暁(あかとき=安可等伎)。家恋しきに(いへごひしきに=伊敝胡悲之伎尓)。海人娘子(あまをとめ=安麻乎等女)。