A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ピアノトリオだけのバックだが、父親譲りの才能と技を思う存分発揮して・・・

2014-10-29 | MY FAVORITE ALBUM

Me and My Shadow / Michele Hendricks


先日カウントベイシー、5月にはディーディーブリッジウォーターのライブを聴いたが、それぞれ久々に充実したライブを堪能した。
今年のクリスマスには今度は2人の共演ライブが聴けそうだ。その前に、ボブミンツァーのビッグバンドとニューヨークボイセズの共演も予定されている。大物同士の共演もまた楽しいステージであり、年末向けてライブ通いの予定が増えそうだ。

ビッグバンドと歌手の関係というと昔は専属歌手。ビッグバンドに帯同して歌手もメンバーの一人としてツアーにも参加していた。スイングバンド時代の専属歌手というのは自分の出番の無い曲でもバンドの前に座って演奏を聴いていたのが普通であったようだ。それ故、ビッグバンドの専属歌手になると自然とスイング感が身に付いてきたと話を聴いた事があるが、果たして真意の程は・・・?

一度はお蔵入りしていたレコードを再び聴くようになったのは今から8年前、このブログを始めたきっかけにもなった。実はまだ自宅にはお蔵入りしている物がある。VTRのテープにレザーディスク、カセットテープ、それにオープンリールのテープもある。
VTRはVHSの前はβ派だったのでこれらテープもあるが、デッキが壊れて完全にお蔵入りしていた。先日ベータのデッキを入手したので、久々にベータのテープをかけてみた。大部分がテレビのエアチェックだが、昔はジャズの番組が沢山あったのを改めて思い出した。

テープをちゃんと保管していなかったせいかノイズの目立つ物もあったが何とか再生することはできた。その中にベニーカーターのビッグバンドのコンサートのライブの映像があった。Mt. FUJIなどのフェスティバル物はドキュメンタリー風であまりじっくり聴ける映像は少ないが、このベニーカーターのオーケストラのライブはコンサートホールでの演奏という事もありたっぷり聴けた。
その中でゲストのボーカルが登場したが、それが何とミシェルヘンドリックスであった。
カーターと来日したこともすっかり忘れていたが、堂々とした歌いっぷりに改めて感心した次第。

とりあえずアップしておきました。



ミシェル・ヘンドリックスと言えば、父親のジョンヘンドリックスと一緒のコーラス物が有名だが、ソロアルバムも何枚かある。その一枚がこのアルバムだが、コーラス経験豊富な安定感に加え、ボーカリーズで鍛えられたスキャットの卓越さはソロになっても抜群である。
メロディーを歌い終えると自然とスキャットに入る流れは、とってつけたようなスキャットとは異なり実に自然である。
彼女はビッグバンド専属歌手ではなかったが、何といってもビッグバンドの演奏をコーラスに仕立て上げた父親譲りのスイング感が身に付いている。というよりは子供が上手く育つかどうかは、親の影響と家庭環境と良く言われるが彼女はまさにその象徴のような気がする。

このアルバムの一曲目はお馴染みのSummer Timeで始まる。いつものバラードと異なりいきなりアップテンポのサマータイプにびっくりさせられる。ライナーノーツの書き出しに、彼女の特徴は昔から歌われているスタンダードをよく歌うが、「いつも他の歌手とどう違えて歌うかを考えている」とある。結果的に、スタンダード曲でも彼女のスタイルになってしまうということだろう。

それに加えこのアルバムのもう一つの目玉は、当時いつもバックを務めているデヴィットレオンハートに替わって、曲よってバックのピアノにジェイムスウイリアムが参加している点だ。
ボーカルが軟弱だとバックのピアノに迫力があってもアンバランスになるが、ボーカルもこのヘンドリックスのようなテクニシャンになると、ピアノも曲に合わせて様々な技を披露できる。ウィリアムスがボーカルのバックを務めたアルバムというのはあまり知らないが、このアルバムでの組み合わせには合点が行く。ボーカルのバックのピアノというとどうしても軽快なピアノを思い浮かべてしまうが、実力者同士の真剣勝負は2人の間にまた別の気迫を生むものだ。

かと思うと、ピアノレスでベースだけをバックにしたI've Got the World on a Stringがあり、彼女の自作のNa na naは軽快なカリプソ風のリズムに乗った曲だが、バックコーラスをスタジオの皆が参加する楽しい曲。この曲のアイディアは日本のツアーの最中に思いつき思わず手元のチケットにメモをしたそうだ。

ボーカルアルバムだとなかにはCD一枚を通して聴くと飽きがくるものがあるが、このヘンドリックスとかブリッジウォーターは不思議と次々に取り込まれてしまう。
ビデオを整理したお蔭でまたしばらく聴かなかったアルバムをたっぷり聴けた。棚卸をやることが益々増えそうだ。

1. Summertime     George Gershwin / Ira Gershwin / DuBose Heyward
2. But Beautiful            Johnny Burke / James Van Heusen
3. Misty                  Johnny Burke / Erroll Garner
4. Almost Like Being in Love       Alan Jay Lerner / Frederick Loewe
5. Funny Walk                    David Leonhart 
6. Na Na Na                     Michele Hendricks
7. Always                        David Leonhart 
8. May I Come In?                 Marvin Fisher / Jack Segal
9. Me and My Shadow            Dave Dreyer / Al Jolson / Billy Rose
10. Never Never Land              Betty Comden / Jule Styne
11. I've Got the World on a String          Harold Arlen / Ted Koehler
12. Spirit Song                    D. Pullen

Michele Hendricks (vol)
David Leonhardt (p)
James Williams (p)
Ray Drummond (b)
Marvin “Smitty” Smith (ds)

Produced by Don Sickier
Recorded at A&R Studio NYC on February 12, 1990
Engineer : James Anderson




Me & My Shadow
Michele Hendricks
Muse Records

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