A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

スーパーマンとは万能人間のことなのか?一芸に秀でている人間なのか?

2014-09-11 | JAZZ LIFE



What’s Up ? / Michel Camilo

ミシェルカミロというピアニストがいる。元々がドミニカ出身なので、ラテンのミュージシャンかと思いきや、今ではジャズだけでなくクラシックも。ジャンルを問わず何でも演奏する。そしてソロもあればデュオも得意、自らビッグバンドを率いたと思ったら、クラッシックのオーケストラとも共演する。
バーサタイルという言葉があるが、世の中マルチ人間が求められる時代、このような人間のことをいうのかもしれない。

先日、東京ジャズ2014が開かれたが、このカミロも来日した。今回は人気の上原ひろみとデュオであったが、そのピアノ演奏の迫力と、一方で繊細さ、そして表現力を目の当たりにして改めてそのプレーに度肝を抜かれた。
当日の模様はFMでも中継されていたようなので聴かれた方も多いと思う。テレビ放送も10月にある様なので楽しみだ。
YouTubeに今年7月のイタリーでの同じ二人の演奏のライブ映像があった。曲は東京でも演奏されたCaravan。こんな感じだ、ホールに響き渡る音は再現できなくとも、雰囲気だけでも伝わってくる。。



このカミロ、昨年はビッグバンドを率いての来日であった。メンバーには、ルーソロフ、クリスハンター、そして大好きなペッパーアダムスの後継者ゲイリースマルヤンの姿も。
他のオーケストラでもお馴染みの個性ある名手の顔が多かったが、このカミロのバンドに加わると皆のサウンドはカミロ色に変る。当たり前と言えば当たり前だが。レギュラーバンドではないので、バンドカラーをすぐに出すのは難しいと思うのだが、これはアレンジだけではないカミロのリーダーシップ、ディレクター、そしてバンドを指揮する彼の手腕だろう。

他にも、このソロアルバムの発売に合わせてソロのライブも行われた。まさに、毎回八面六臂の活躍ぶりである。

実は、このカミロとプライベートに数十年の付き合いをしている私の友人がいる。今回は短い滞在期間ではあったが、「彼と会食をする機会があるので一緒に来ないか」との嬉しい誘いを受けた。
もちろん二つ返事でお相伴に与って、このコンサートの夜、ご夫妻同士の会食の末席に割り込ませて頂いた。

昼間の真剣勝負のプレーぶりとは違って、実に穏やかで、フレンドリーで、終始和やかな雰囲気を崩すことは無かった。会話上手でもあり、いわゆる偉そうな感じを全く感じさせず、人の話も良く聴く素晴らしい人物であった。
あっというまの4時間であったが、友人とはプライベートな付き合いなので、音楽の話はそこそこに、ニューヨークの音楽仲間の話しから、世界中を回っている各地の話し、健康の秘訣の話、そして最後は世界経済の話まで、その知識と体験は只々驚くばかり。

ピアノへの拘りもすごく、演奏会場で使用するピアノ選びにも厳しい。今回もリハーサルで最初に使用したピアノは一曲でダメ出しお引き取り願ったそうだ。
日々4時間から6時間、時には9時間を超える練習を欠かさず、その毎日の演奏が今でもどんどん身に付いているそうだ。ピアノの演奏だけでなく、こうやって話をしていることも日々身についていっているので、自分のピアノは「この体そのもの」であり、すべて体の中に納まっているのだと。
それ故、今日はソロ、明日はビッグバンド、明後日はクラシックでも、全部身についているので大丈夫。ジャズだって、「スコットジョプリン、アートテイタム、ピーターソン、ハンコック誰でも、何でも、どんなスタイルも弾けるよ」とのことでした。
超人とはこのような人の事をいうのだろう。

この話を聞いてソロピアノを聴くと、ただ超絶的テクニックに感嘆するのではなく、一音一音にカミロの人生のメッセージが込められているのを楽しまねばと改めて思い直した次第だ。

昔、あるプロゴルファーとラウンドしている時の言葉を思い出した。プロは練習場ではほとんど寸分違わない同じショットができる。だからミスショットなんかしないのだ。しかし、コースに出ると、風も吹き、時には雨も降り、傾斜もあれば芝の状態も違う。その状況を瞬時に把握し、数百のチェックポイントを経て、その状況に最適なスイングをする。結果は、見事に読み通りの事もあるが、実際には何か見落とし判断ミスがあったり、体が違う反応をしてしまうので100点にはならない。日々の練習があってこそ、イメージ通りの一打が打てる、それは練習場とは違って1000回打って1000回違うものだと。

何か、カミロのピアノにも同じプロの世界を垣間見た感じがする。

カミロのバーサタイルというのは何もピアノのプレーだけでなく、人生そのものがバーサタイルであり、その経験があってピアノのプレーにも生かされているのを思い知った。
何の世界でも、その道を極めたプロというのは人物、人格的にも別格な人が多い。
本当のプロというのはとても凡人には真似のできない世界を生きているのだろう、並のマルチ人間とは別次元のような気がする。

1. What's Up?          Michel Camilo 3:43
2. A Place in Time       Michel Camilo 4:55
3. Take Five          Paul Desmond 5:08
4. Sandra's Serenade       Michel Camilo 6:31
5. Island Beat         Michel Camilo 4:43
6. Alone Together   Howard Dietz / Arthur Schwartz 5:28
7. Paprika           Michel Camilo 4:03
8. Love for Sale       Cole Porter 4:56
9. Chan Chan  Amparo & Francisco Repilado Con Grupo Compay Segundo 5:33
10. On Fire           Michel Camilo 4:43
11. At Dawn          Michel Camilo 3:04
12. I GOt Rhythm     G. & I. Gershwin 3:40

Michel Camilo (p)

Recorded at The Carriage Hpuse Studios,Stamford, CT on February 14,15 20113

#12 at Teatro Nacional in Diminica June 28,2011


ワッツ・アップ?
Michel Camilo
SMJ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする