A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

グループの調和のさせ方は色々あるが、親子の調和を図るには・・・

2014-02-07 | CONCORD
Overtones / Al Cohn

日頃の不摂生が祟ったのか、風邪をこじらせ4日間もダウンしてしまった。ゆっくりジャズでも聴けるかと思ったが、気分の悪いときに聴くジャズはあまり心地よいものではなかった。半分上の空で何を聴いたかもあまり覚えていない。ジャズを聴くにも体調管理が重要だということだ。

風邪をこじらせた原因は体調の悪い中無理して出かけた日曜日のライブ。それも2つダブルヘッターで。
最初は会社の先輩のバンド。ジャズ研出身なので今はやりのオジサンバンドとはいえ、そこそこの腕前。今回はプロのピアノを加えて女子アナのボーカルのバックを努め、第2部は本格レゲエ歌手を加えてサンタナやディープパープルの曲をやるという盛りだくさんのステージ。最後はスペシャルゲスト大徳俊幸のピアノで大いに盛り上がっていたが、最後まではいられず次なる会場へ。

そちらはお馴染み東京TUC。この日の出し物はBasie Sound Orchestra。
最近では高瀬龍一のビッグバンドがベイシーレパートリーだけをやるといって有名だが、このバンドも徹底的にベイシーとのふれ込み。以前からあるようだが、情報収集不足で知らなかった。ということもあり是非一度聴いてみようということで風邪をおして行く事に。

たいした事が無かったら一部で失礼させて貰おうと思ったが、予想に反して(失礼ながら)なかなか素晴らしいバンドであった。特にベイシーでは大事なリズムセクションだが、ピアノの小池勇気、ギターの加治雄太はきっと他のグループでもいい演奏をしそうだ。メンバーを良く見ると各セクションのリーダー格には、トランペット小澤篤士(最近どこのバンドでも大活躍)、トロンボーンは久々に藤井裕樹、サックスには米田裕也とキーマンを配置して、メンバーは若手だが実にいい感じのベイシーサウンドを満喫できた。要ウォッチのバンドがまたひとつ増えてしまった。おかげでアンコールまでたっぷり付き合って家路に。どうもこの最後の熱気が風邪をこじらせたようなので自業自得であるが。

さてアルバムの方だが、ペッパーアダムス関連が続いたので次なるConcordを。この辺りは偶然か意図的かは分からないが、前作につづいてNew York録音が続く。

コンコルドに登場してからのアルコーンはアレンジャーとしてはなく、テナープレーヤーとしての側面が前面に出されている。初期から何枚かのアルバムに顔を出していたが、本格的にはワンホーンで昔の仲間たちと自由奔放なプレーを繰り広げたリーダー作のNonpareilから。このアルバムは1981年度のグラミーにノミネートされた作品にもなった。

この頃のコンコルドは絶好調で年間40タイトル近くがリリースされ、メンバー達はConcord All Starsとして世界中のコンサートでプレーを繰り広げていた。新加入のコーンも一員として大活躍し、この間ライブを含め多くのアルバムに登場しているが、どのアルバムでもプレーヤーとしてのアルコーンを楽しむことができる。

ミュージシャンの世界も2世ミュージシャンが存在する。音楽的な素養は子供の頃の家庭環境に大きく左右されるといわれるが、音楽家の子供は身近に先生がいるようなもので、その点アドバンテージを持っている、しかしその後は政治家と違って大物の子供といってもそれなりの実力がないと、親の七光りだけではプロとしての活動は長続きしないものだ。

コンコルドでは、音楽家2世としてはテッドナッシュのデビューアルバムがあるが、このテッドナッシュなどは親を超えた活躍をしている一人であろう。
他にも、ブルーベック親子の演奏ピアニストであるルーロウルズの娘との共演、少し変わったところでは評論家レナードフェザーの娘のデビュー作などがあるが、いずれも2世の演奏はどうしても親のDNAがどう引き継がれているかが気になる。

このアルバムはアル・コーンが息子のギタリストジョー・コーンと初めて共演したアルバム。親子一緒のプレーは日頃はあったようだが本格的なアルバムとなると、またプレー振りも緊張したものなるであろう。どんな曲を選び、他のメンバー選びも。

選ばれたメンバーは、ピアノのハンクジジョーンズとベースのジョージデュビビエ。親父の方が選んだのかもしれないがこれは無難な選択。この2人であればフロントにどんな演奏がこようとも上手く立ち回れる。ところがトラムには息子とプレーをしていたAkira Tanaという日系人のドラマーが加わる。
確かに親父がセットした親父の仲間に囲まれてのプレーは想像しただけでもやり難くそうだ。ドラムに一人息子の知人を入れただけである種の緊張感が生まれる。

選曲は、アルのオリジナルに、スタンダード、それにハンク・ジョーンズのオリジナルも加わる。これでハンク・ジョーンズの役割も単なる親子対決の伴奏ではなく、グループサウンド作りのメンバーの一員となった。ジョーンズの曲Vignetteはコールマンホーキンズの名盤ハイアンドマイティーホークにも収められていた曲で自分のお気に入り。テナーメインにはピッタリの曲かもしれない。

結果は、やはりアルコーンのテナーのほうが、圧倒的に存在感がある。息子を前面に出すというにはまだ親としても躊躇があったのかもしれない。したがって作品としても単なる親子対決に終わらせず、新旧の組み合わせの5人のコラボが生まれた。
Overtoneというタイトルどおり親子の組み合わせで醸し出す「2人だけの倍音」が基本だとは思うが、5人の組み合わせが生み出す「和音」が「より深みのある倍音」を生み出しているように思う。

このJoe Cohnは今でもしっかり活躍してるようなので、どうやらちゃんと引き継がれた親のDNAを無事に発揮できているようだ。



1. P-Town         Al Cohn 4:19
2. Woody’s Ament      Al Cohn 5:18
3. Hogh On You       Al Cohn 4:42
4. I Love You        Cole Porter 3:59
5. Vignette         Hank Jones 4:21
6: Pensive         Al Cohn 5:58
7. I Don’t Want Anybody At All Al Cohn 6:21
8. Let’s Be Biddies     Cole Porter 4:39

Al Cohn (ts)
Joe Cohn (g)
Hank Jones (p)
George Duvivier (b)
Arira Tana (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer : Edward Trabanco
Recorded at Soundmixers in New York, April 1982

Originally released on Concord CJ-194


Overtones
Al Cohn
Concord Records
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