A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ビッグバンドの良し悪しはやはりアレンジに因るところが大きい・・・・

2014-02-23 | MY FAVORITE ALBUM
Dave Siebels and Gordon Goodwin ‘s Big Phat Band


昨日は、三宅裕司率いるビッグバンドLight Joke Jazz Orchestraのライブに出かけてみた。前から一度聴いてみたかったがなかなか機会がなく、これまでは映像で見ただけであった。
リーダー自身がテレビではお馴染みの人でありもあり、映像を通じてみると彼自身がドラムを叩くので余計にドラムが気になってしまい、どうしてもオーケストラが主役になりにくい。ライブでは、オーケストラの本当のパフォーマンスを聴けるのではないかという期待が半分あった。

今回は、「GSでSWING」とタイトルされたライブ。ジャズをもっと身近なものにしたいという三宅さんのコンセプトにはうってつけのテーマだ。特に我々世代にとっては、グループサウンズは誰にとっても青春の思い出でもあるし。



初のライブであったが、三宅さんのMCとバンドの演奏が上手く演出されていて、普通のライブというよりは、ステージショーといってもいいかもしれない。GSサウンドがテーマという事で、軽いノリのビッグバンドをイメージしたが、一曲一曲色々考えられた凝ったアレンジであった。

アレンジを担当したのはこのオーケストラの実質的なリーダー羽毛田耕二。というよりはこのバンド自体が羽毛田耕二のビッグバンドと言ってもいいようなものだ。
今回の彼のアレンジの特徴は、GSの曲が持つメロディーに過去のジャズの名演、名アレンジの断片を上手くシンクロさせるというアプローチ。ある時はコルトーンであり、ある時バディーリッチのビッグバンドであり、実によく考えられていた。
ソロも当然そのコンセプトを受け継いでのソロになるので、オリジナルのフレーズを意識したソロとなる。
かと思えば、「亜麻色の髪の乙女」に英語の詩をつけてジャズのスタンダードのような節回しにしてしまうという芸当も。

アンコールも2曲タップリと、1ステージ1時間半を軽く超えるステージは充実して大満足。想像以上に楽しめたライブであった。
ビッグバンドの良さはアレンジの良し悪しで決まると常々思っているが、今回は素材がGSの曲だっただけに余計にそれを実感した。ありきたりのアレンジだったらきっとつまらないステージであったと思う。

アレンジといえば、先日発表されたグラミー賞にもアレンジの部門がある。グラミー賞受賞と言っても、そのカテゴリーは全部で82もあり、実に細々と色々なジャンルにわたって賞が設けられているのでその全貌はまったく分からないが。
ジャズのビッグバンドのアレンジが関係するのは“Best Instrument Arrangement”部門。
今回の受賞は、Gordon GoodwinのOn Green Dolphin Streetであった。

このゴードン・グッドウィンのビッグバンドが今年も来日するようだ。ビッグバンドを身近なものにするという点では、このグッドウィンのバンドも大きな役割を果たしていると思う。西海岸のアレンジャーが率いるバンドの中では、エイトビートも得意として若者にも人気があるバンドだ。とはいうものの、単にブラスロックやファンクオーケストラにならないのがグッドウィンのビッグバンドの良さであろう。グッドウィンのバンドの素晴らしさは、このグッドウィンのアレンジの素晴らしさに因るところが大きいと思う。

此の所、グッドウィン率いるBig Phat Bandは毎年のように来日しているが、それだけ日本でのファンの裾野が広がっているのだろう。その点では、三宅裕司と同様ビッグバンドファンを増やすのには一役買っている。

というわけで、久しぶりにBig Phat Bandだが、このアルバムは少し嗜好が違ってオルガンのデイブ・シーベルをフィーチャーしてバックをBig Phat Bandが務めたアルバム。
オルガンとビッグバンドというのは相性がいいように思う。ジミースミスとサドジョーンズのバンドとの共演アルバムがあるが、あまりジャズのアルバムとしてはこの組み合わせは多くない印象だ。

昨年、辰巳哲也ビッグバンドがオルガンとビッグバンドのアレンジばかりを集めたライブをやったが、オルガン自体を普段あまり聴けないのに加えてビッグバンドをバックにしたオルガンが実に新鮮なライブであった印象が残っている。

このアルバムだが、まずは主役のデイブ・シーベルなるプレーヤーを知らない。オルガンというのは他の楽器と違って個性やタッチの違いが分かりにくい。際立った個性がある訳でもなく、どんな曲でもそつなくプレーできるオールマイティーのプレーヤーに聴こえてしまう。となるとバックのオーケストラのアレンジ次第でどうにでもカラーがでてくるという事になるのだが。

曲は、シーベルスの曲が7曲、後は有名な曲が3曲。特に、ザ・キャットはジミースミスとの対比が演奏もバックのアレンジも気になるところだ。ヘフティーのガールトークとオルガンというのも相性がいい。

グッドウィンのアレンジというのも、映画音楽をやっているせいもあると思うがどんな曲想もいけるし、本来ソリストに合わせたアレンジを得意にしている。自分のバンドである時は、それが際立ってバンドカラーとなって出てくる。いつもはテンポやリズムも自由自在も変化するが、このアルバムではグッドウィン色は出ているものの、いつもの自分のバンドで見せる尖がった部分が少ないような気がする。

同じアレンジャーでもアレンジの違いが出るものだ。



1. The Coupe                  Dave Siebels 5:24
2. Not That There's Anything Wrong with That  Dave Siebels 5:09
3. Da Blues                  Dave Siebels 5:19
4. Girl Talk Neal Hefti             Dave Siebels 5:37
5. I Wish                   Stevie Wonder 6:10
6. The Gospel According to Hammond      Dave Siebels 5:05
7. I Love You Even More Again         Dave Siebels 4:04
8. The Cat                  Lalo Schifrin 3:54
9. Sort of Like a Samba            Dave Siebels 4:41
10. The Eleventh Hour            Dave Siebels 6:18

Dave Siebels (org)
Gordon Goodwin (p,ts.arr)

Wayne Bergeron (tp)
Dan Fornero (tp)
Pete DeSiena (tp)
Roy Wiegand (tp)
Dan Savant (tp)
Charlie Morillas (tb)
Andy Martin (tb)
Alexander Iles (tb)
Craig Ware (btb)

Brian Scanlon (ts)
Sal Lozano (as,fl)
Eric Marienthal (as)
Jeff Driskill (ts)
Ed "Edgardo" Smaert (ts)
Jay Mason (bs)

Grant Geissman (g)
Rick Shaw (b)
Brad Dutz (per)
Dave Spurr (ds)
Bernie Dresel (ds)

Pat Boone Executive Producer
Produced by Dave Siebels & Gordon Goodwin


Dave Siebels With Gordon Goodwin's Big Phat Band
Dave Siebels &Gordon Goddwin
Pat Boone's Gold
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