A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

821 Sixth Avenue, New York はジャムセッション用のロフトであった

2014-02-10 | PEPPER ADAMS
David X. Young Jazz Loft

ジャズのメッカニューヨークでは、昔から次世代を背負う若いミュージシャン達は、夜な夜な集まってはジャムセッションを行う切磋琢磨し合っていた。よくアフターアワーズセッションといわれるものだ。出演しているクラブで営業終了後ということもあったと思う。またミュージシャンにとっては仕事の休みが多い月曜日の夜も集まりやすかった。さらに、クラブが終わった後午前3時を過ぎて朝までひたすら演奏し続けるために集まる場所もあった。

その一つが、この821番地のビルの4階のLoftであった。

このLoftはEugin Smithというライフのカメラマンが借りたもの。普通であれば、その事実が単に記録に残っているだけであるのだが。
例えば、ペッパーアダムスの活動記録を見ると、

Dec 24: New York: Jam session at Gene Smith's Sixth Avenue loft.
Dec 31: New York: New Year's Eve jam session at Gene Smith's Sixth Avenue loft, with Lee Morgan, Zoot Sims, Sam Parkins, Jimmy Raney, Sonny Clark, Doug Watkins, Louis Hayes.

とある。
クリスマスイブの夜、そして大晦日のセッションにアダムスは参加していたということだが、その内容はこれだけでは分からない。

ところが、カメラマンであったスミスはそこに集まったミュージシャンだけでなく、その4階の窓から外の街の様子も写真に収めていた。この建物にまつわるドキュメントとしての写真だ。
1957年から1965年の長期間に渡ってその数は4万枚にも及ぶ。その一部が写真集として発売されているが、さすがにカメラマンが撮った写真である。その一枚一枚が当時のLoftの様子、そして窓の外の人々の日々の生活の一瞬をありのままに残していて時代を直接に訴えてくる。



さらにスミスの素晴らしいのは当時まだ世に出たばかりのテープレコーダーを用意して、その場を簡易のスタジオにして演奏の様子を残したこと。レコーディングを目的としたものではないので、ミュージシャン同士の熱いディスカッションや時にはラジオ放送や電話の話声、そして外のサイレンなどの生活のノイズまでがそこには残されている。その数は何とオープンリール1740本4000時間に及ぶ。
テープのケースにメモられたミュージシャンの数だけで139人、その後のインタビューでその全貌が明らかになると、このロフトを訪れたミュージシャンは300人を超えるとも言われている。そして、単にジャムセッションだけでなく、あのモンクのタウンホールコンサートのリハーサルなどもここで行われていた。



スミスの死後それらはJAZZ Loft Projectとしてアーカイブ化されているようなので、いずれ全貌が明らかになるであろう。このプロジェクトに関してのラジオ番組コンテンツも公開されているので、興味のある方はこちらをどうぞ。

Jazz Loft Project


さらに、アダムスの記録に残る1959年12月24日のセッションは、Loftでのミュージシャンの姿を絵として残した画家David X Youngの作品とのコラボという形でCDとなって世に出ている。
恋人たちが愛を語り合っているクリスマスイブの夜、次世代のジャズ作りに燃えるアダムス達が熱くセッションを繰り広げてい入る様子を垣間見ることができるだけでも、このコンテンツは意味があるものだと思う。

アダムスにとっても、このジャムセッションへの参加で1959年の活動を終える。
ここでは、ズートシムとの気楽なセッション。

アダムスの本の中でもこのクリスマスイブのロフトで出来事について語られている。
この日、ピアノのモーズアリソンは、用があって早めに帰らねばならなかった。
皆に残るように懇願さえたが、I'll Remenber Aprilの時に帰ってしまった。ズートとジムホールがデュオでスタートし、皆の演奏になった時誰かがピアノを弾いているのが分かった。
演奏を終えると、そのピアノを弾いていたのはペッパーアダムスであった。
リーダー格のズートが、ペッパー、やるじゃないの。どこで習ったの?それじゃー、続きを・・・といいうと、
ペッパーは全部で3曲しかできないんだと。
それじゃー、残りをやろうか。

ピアノがいなくなってからの出来事だそうだ。そんなやりとりをしながら和気藹藹の雰囲気のLoftでのセッションであった。


翌1960年はいよいよ、ドナルドバードとのコンビが本格的に活動をスタートする。
次回以降順次追ってみることにしよう。

1. It’s Don’t Mean A Thing If It Ain’t Get That Swing
(12/15/1958)
 Zoot Sims (ts),Don Ellis (tp),Hall Overton (p), Bill Crow (b)、unknown (ds)

2. Spuds
(04/1965)
Bob Brookmeter (vtb), Dave Mckenna (p), Jimmy Raney (g), Jim Hall (g)
Bill Crow (b), unknown (ds)

3. Dark Cloud
(04/1965)
Zoot Sims (ts), Dave Mckenna (p), Steve Swallow (b), unknown (ds)

4. This Can’t Be Love
(12/24/1959)
Zoot Sims (ts), Pepper Adams (bs), Mose Allison (p), Bill Takas (b), Jerry Segal (ds)

5. Zoot and Drums
(12/24/1959)
Zoot Sims ts), Jerry Segal (ds)

6. Stomp’n At the Savoy
(12/24/1959)
Zoot Sims (ts), Pepper Adams (bs), Mose Allison (p), Bill Takas (b), Jerry Segal (ds)

7. Dog Story
Zoot Sims & Bill Crow Telling the Story of Zoot’s Dog Hank


CD2
1. There Will Never Be Another You
(1957)
Bob Brookmeyer (vtb), Hall Overtone (p), Jimmy Raney (g), Jim Hall (g), Bill Crow (b), Dick Scott (ds)

2. Wildwood
(1957)
Bob Brookmeyer (vtb), Hall Overtone (p), Jimmy Raney (g), Jim Hall (g), Bill Crow (b), Dick Scott (ds)

3. 821 Blues
(12/24/1959)
Zoot Sims (ts), Bob Brookmeyer (vtb), Bill Takas (b), Jerry Segal (ds)

4. When The Sun Comes Out
(12/24/1959)
Zoot Sims (ts), Dave McKenna (p), ,Bill Takas (b), Jerry Segal (ds)

5. Groovin’ High
(12/24/1959)
Zoot Sims (ts), Pepper Adams (bs), Jerry Lloyd (tp), Mose Allison (p), Bill Talas (b), Jerry Segal (ds)
コメント
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