A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

IVORY HUNTER / BILL EVANS & BOB BROOKMEYER

2007-01-09 | MY FAVORITE ALBUM
「室内楽的なJAZZ」と言われるものがある。
代表的なのはMJQ。「真夏の夜のJAZZ」に出ていたチコハミルトンのグループもその範疇かもしれない。
50年代の後半、スイングでもない、ハードバップでもない、ウェストコーストでもない。
クラシック風でもあり、JAZZの要素もある。そんな演奏スタイルだ。
退屈な演奏もあれば、非常に緊張感を持った演奏もある。

ピアノのBILL EVANSも最初はそんな流れの中の一人だったかもしれない。
50年代の後半、ピーターソンが大活躍し、ウィントンケリーやハンクジョーンズ達が台頭してきた時、色々なセッションに顔を出していたBILLEVANSが、自分の世界のトリオの演奏に注力し始めた。
彼はもともとクラッシクの造詣が深かったらしいが、他のジャズピアノのトリオ演奏とは明らかに違うサウンドを醸し出している。

このエバンスのスタイルが、その後現在に至るまで、「ジャズピアニスト」といわれる範疇の大部分のピアノプレーヤーに大きく影響を与えているのだろう。
単に「室内楽的な」というのとは全く違う、新しい領域をつくり上げて。

1958年の1月にRiversideにトリオの録音があるが、その時一緒に吹き込まれたソロの演奏でEVANSは一人別世界を歩き始めた感じがする。
そして、1959年の1月に再びトリオでの録音。そして、3月には有名なマイルスの「KIND OF BLUE」のセッションに付き合い、その年の12月にはあのスコットラファロとの出会いの録音につながる。
50年代最後の年、1959年はEVANSにとって、大きく変化した年であったのであろう。
きっとこの辺りの事情については、JAZZの研究家や愛好家が色々調べていると思う。
機会があったら、詳しく知りたいものだ。今まで、ちゃんとJAZZの歴史を勉強した訳ではないので。

前置きが大分長くなったが、マイルスの「KIND OF BLUE」が録音された10日後に、少し変わったセッションが録音されている。

それがこのアルバム。EVANSとBOB BROOKMEYERとの共演だ。
BROOKMEYERは、トロンボーン(それもスライドではなくバルブ)の名手で、作編曲にも強い。ジェリーマリガンやスタンゲッツとの共演も有名だし、あのサドメルのオーケストラにも長く在籍した。
実は、自分はBROOKMEYERをこの流れで知ったのだが。

このアルバムでは、トロンボーンを置いて、BROOKMEYERも全編ピアノを弾いている。エバンスとのピアノの連弾。それも、2台のピアノで全面対決だ。
ライナーノーツによれば、そもそもこの録音はBROOKMEYERのトロンボーンとの共演の予定が、スタジオにピアノが2台あったので急遽企画が変更されたとも書いてあるが。
真偽の程は果たして?

結果は、対決というよりは、2人のコンビネーションの素晴らしさがこのアルバムの売りだ。最近でこそピアノのDUOアルバムはあるが、この頃、JAZZでピアノのDUO自体が珍しい。
管楽器の掛け合いと異なり、ピアノはある時はメロディ楽器に、そしてある時はリズム楽器に自在に変身する。普通はそれが左右の手だが、2人で4本の手になると実に多彩な音が聞こえる。

曲は有名なスタンダード曲ばかり。
急な企画変更が本当とすると、事前のアレンジや打ち合わせもないはずだ。自然発生的な2人のコラボレーションが素晴らしい。
例の、アンダーカレントのジムホールとのコラボ。スコットラファロとの掛け合い。ひょっとしたら、これがエバンスの得意技かもしれない。

あまり派手な、話題になるアルバムではないが、実は何か大きなエポックメーキングとなったアルバムだったような気がしてならない。

お気に入りは、アップテンポのTHE WAY YOU LOOK TONIGHTと、やはり一番最初に録音されたI GOT RHYTHM。

HONEYSUKLE ROSE
AS TIME GOES BY
THE WAY YOU LOOK TONIGHT
IT COULD HAPPENED TO YOU
THE MAN I LOVE
I GOT PHYTHM

Bob Brookmeyer (p)
Bill Evans (p)
Percy Heath (b)
Connie Kay (ds)

Recorded on March 12,1959
コメント
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