立憲民主党 山としひろ「パワフル日記」

立憲民主党 衆議院富山1区公認内定者
44歳 
人にやさしい政治

反対討論 道路特定財源の確保に関する意見書

2008年03月20日 | Weblog
【反対討論】
 議員提出意見書案第1号 道路特定財源の確保に関する意見書

 「議員提出意見書案第1号 道路特定財源の確保に関する意見書」について、ガソリン税暫定税率の廃止、および道路特定財源を将来的に一般財源化させることを求める立場から、反対の意見を述べさせていただきます。

 道路特定財源制度は、道路整備を緊急的計画的に行うため、一般的な租税原則である「応能主義」とは異なる「応益主義」に基づき、その受益者である自動車利用者に課税し、税収を道路整備の財源として充当するシステムです。1954年に創設されて以来、わが国の社会資本としての道路整備を進める上で力を発揮してきたことは率直に認めるところであります。

 そのおかげで、全国的に道路舗装率は80パーセントに達しています。道路総延長も1960年当時と比べて23万キロも増えており、道路整備の8~9割が達成済みとなっています。道路密度(国土面積あたり道路延長)で比較すると、フランスの2倍、韓国の3倍強、アメリカの4倍強、ドイツの5倍弱など欧米諸国、近隣諸国を上回る水準となっています。

 これだけ道路整備の水準が高まったことを踏まえて、従来と同じ考え方で道路整備を続ける必要があるのか検証する必要があります。約59兆円を使って道路を造るという前提で税率上乗せを10年間維持する、すなわち、道路建設とガソリン税の暫定税率を固定的にリンクさせる手法には疑問を抱かざるを得ません。

 この間、国会では論戦が繰り広げられてきました。道路建設にだけ予算をつぎ込むのはおかしいのではと聞かれると、いや渋滞や開かずの踏切対策にも使うし、これは環境にもいいという答弁がありました。それなら一般財源化すればいいと言われると、それではユーザーの理解が得られないと受益者負担の原則を振りかざしました。道路特定財源に関するこの間の政府答弁はまさに「ああ言えばこう言う」のたぐいばかりでした。結局、「10年間で59兆円」の「道路の中期計画」の枠組みを死守しようという思惑ばかりが見え隠れしています。

 しかし、次々と明るみに出た事実はどうでしょうか。

 事業の前提となる交通需要予測は過大であり、「道路関連事業」という名目での地下鉄や河川整備、使われない駐車場整備への予算転用などなど………挙げればきりがありません。啓発ミュージカルや職員旅行、レクリエーションなどに至っては、明らかに流用と言うほかありません。高規格道路の着工基準である費用対便益もいつの間にか「1.2」から「1.0」に変更されていました。

 さらに、未完成の高規格道路の8割強が、4車線用で用地取得したことで割高な「暫定2車線」仕様で工事中であることが社民党議員の追及で分かりました。未完成2900キロのうち3分の2の建設は国幹会議の審議が不要で、その中の450キロは将来の高速道路への格上げを予定していることが分かっており、暫定2車線建設は高速道予算を先食いする手法ともいえます。

 こういう状況下では、必然的に、ガソリン税の暫定税率も見直し対象となります。ガソリン税は揮発油税と地方道路税をあわせた通称で、暫定的に1リットルあたり25円10銭を上乗せしています。上乗せ分は本則分(28.70円)に匹敵しています。2008年度の道路特定財源は国・地方で計5.4兆円にのぼる見込みで、うち2.6兆円が暫定税率分です。

 政府は、「恒久」的減税(定率減税)をすぐ廃止しながら、「暫定」を30年以上も維持してきました。これをさらに延長すること、特に今回は10年も延長することには反対です。道路整備が延々と続けられることで、環境にやさしくない負の側面もあります。また、原油価格が高騰し生活を直撃しています。時代や情況の変化を踏まえ廃止する方向で見直すべきではないでしょうか。

 もちろん、暫定税率の廃止の主張は、「道路整備なんか一切やらなくてもいい」ということを意味しているわけではありません。道路整備にあたっては、地域事情や住民要求、自治体の財政状況についても十分配慮していくべきであります。社民党は、暫定税率廃止に伴う地方の財源不足(約9000億円)は国が全額補填するべきであると考えています。その財源は、大企業とカネ持ち優遇の不公平税制の是正から目をそらさず、その見直しによる財源を充てるべきであると提案しています。具体的には、法人税及び高額所得者の所得税減税廃止で約3兆3000億円の財源が生み出されます。

 ガソリン税の暫定税率を廃止して、中央集権的な税財源の仕組みを地方分権型に改めていこうではありませんか。必要な道路は交付金で対応すればいいのです。また、本当に正しいと思うならば、一般財源を工面して造ればいいのです。福祉、医療、介護、教育、建設、農業………限られた財政の中で、市民の意見を尊重した上で優先順位を決め、裁量権を行使することに地方自治の魅力があり、また地方分権の目指すところであるということを申し上げ、反対討論を終わります。
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反対討論 江南市一般会計予算など

2008年03月20日 | Weblog
 【反対討論】
 議案第30号 平成20年度(2008年度)江南市一般会計予算
 議案第31号 平成20年度(2008年度)江南市国民健康保険特別会計予算

 「議案第30号 平成20年度(2008年度)江南市一般会計予算」「議案第31号 平成20年度(2008年度)江南市国民健康保険特別会計予算」について、社民党所属の議員を代表して反対の立場から討論いたします。

○ 特定健康診査・特定保健指導事業 1億1795万1千円 P199

 2008年度からメタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)を主眼とした新しい「特定健康診査・特定保健事業」が始まります。糖尿病などの生活習慣病有病者・予備軍25パーセント削減の目標が設定され、40歳から75歳未満の国民全員に受診義務が課されます。

 健診の精度と安全性について、生活習慣病対策の診断基準となるメタボリックシンドロームは、欧米の学会で批判され、国内からも異論が出ています。科学的根拠に基づく適切な検診や保健指導でなければ、逆に健康を害し医療費が増加します。また、特定健康指導は医師・保健師・管理栄養士が中心になって行なうこととされていますが、絶対数が不足しています。市の職員体制も整っていません。そのため、健診・保健指導の外部委託が可能とされており、民間企業の市場が拡大し、保険料に跳ね返る危険があります。

 保険者(健保連、政管健保、国保)には検診率が65パーセントになるよう義務付けられ、数値目標達成のため、各都道府県単位、市町村単位で検診計画を立てなければなりません。

 数値目標が達成できなかった自治体は健診を手抜きした=老人医療費を増やしたとみなされ、後期高齢者医療制度に拠出する医療費の支援金が最大10パーセント増額されるというペナルティが科せられます。

 また、健診を行う責任のかなりの部分は保険者が担い、税源は主に保険料でまかなわれます。加入している医療保険、広域連合、住んでいる自治体によって、健診受診の自己負担額や検診項目にも差異が生じる恐れがあります。

 老人保健法の第1条の「目的」に明記されていた「健康の保持」の文言が削除され、高齢者の医療に関する法律には、代わりに「医療の適正化」の文言が加わりました。これまで自治体が担ってきた住民健診・保健事業(一部)は、保険者に特定健診・特定保健指導として行なうことが義務付けられますが、住民の健康保持・増進に関する国及び自治体の公的な責任が削除されたことは大問題です。

 一方で、75歳以上の後期高齢者に対する健診・保健指導は、後期高齢者医療制度の下で努力義務に格下げされました。詳細は都道府県単位の広域連合で判断することになります。

 付言すると、厚生労働省は、健診と介護保険に関わる生活機能評価を原則、同時に実施し対応するよう広域連合に求めています。しかし、実施に要する財源の確保について国の補助は未定となっていることは問題があるといわざるを得ません。

○ 後期高齢者医療制度関連事業 P203

・ 保険料収納支援事業 1億1829万5千円
 後期高齢者医療特別会計繰出金
・ 広域連合支援事業 2581万1千円
 愛知県後期高齢者医療広域連合の運営負担金

○ 保育園指定管理者制度導入事業 444万8千円 P215

・ 指定管理者合同保育委託料

 指定管理者が雇用する予定の保育士4人を6ヶ月間派遣することになっています。しかし、同じ保育士が6ヶ月間派遣されるということではなく、適切な引継ぎがなされるのか疑問です。また、時間給は江南市の臨時保育士の時間給単価1100円をもとに算定されていますが、あくまでも「委託料」ということで労働者に支払われる賃金水準が低くなることも問題があります。

○ 住民税オンライン改修事業 2693万3千円 P139

・ システム開発費 2567万3千円
・ 納税通知書等印刷製本費 126万円

 個人住民税における公的年金からの特別徴収制度は、「公的年金受給者の納税の便宜や市町村における徴収の効率化を図る観点から、個人住民税に公的年金からの特別徴収制度を導入する(2008年10月支給分から実施)」ものです。今回、地方税法等の一部を改「正」する法律案で、2008年度から公的年金からの特別徴収制度を創設するよう、第321条の7の2以下が変えられることになっています(法案は参議院で審議中)。

 全国市長会などは、「公的年金等からの特別徴収については、所得税や介護保険料において同様の制度が既に導入されていることを踏まえ、公的年金等からの特別徴収制度を創設すること」(2005年11月)と要望しています。政府税制調査会基礎問題小委員会も「個人所得課税に関する論点整理」(2005年6月)の中で、「税負担の公平や税収確保の観点から、徴収率の向上を目指した執行面・制度面からの検討を行う必要がある。特に、公的年金等からの特別徴収については、所得税や介護保険料において同様の制度が既に導入されていることを踏まえ、早急に実施すべきである」としています。

 政府は、「冬、お年寄りがわざわざ役場まで納税に行くのは大変だ」といっていますが、とりっぱぐれがないというのが本音です。しかし、国保税も介護保険料も後期高齢者保険料も住民税も引かれると老後の生活の糧はなくなってしまいます。そもそも「消えた年金」「宙に浮いた年金」といった問題が解決されていないのにもかかわらず、住民税を天引するのはおかしいのではないでしょうか。個人住民税の公的年金からの天引きは安心して生活する権利を侵害することになり、プライバシーが侵害される懸念もあります。

○ 住民基本台帳システム改修事業 157万5千円 P32

 公的個人認証サービスとは、行政機関へ電子申請・届出を行う際、都道府県知事が発行する電子署名(自署や押印に相当)と電子証明書(印鑑証明書に相当)とを利用することにより、なりすまし申請などの問題を解決し安全な手続を可能とするサービス。インターネットによる電子申請の場合には、印鑑は使えないことから、「インターネット上の印鑑証明」が求められることになり、自治体が発行する電子証明書によってお互いに本人であるのか正しく確認できるシステム(個人認証サービス)が考えられました。

 しかし、公的個人認証サービスについてはさまざまな批判がなされています。
① 公的に個人認証制度を創設しなければならない理由が納得できるようなものでないが、公的認証制度をつくるのであれば、住基ネットとは切り離したものにすべきである。
② 総務省が予測するような需要(2004年度~2006年度の3年間に電子証明書1,000万枚発行)があるとは考えられない。
③ 同じ納税者にもかかわらず外国人登録者は一切使えないという不平等な取り扱いがある。
④ 記名された住基カードに電子証明書を収納することで、不正利用が起きる可能性がある。
⑤ 自治体の制度であるとの体面を取りながら、実質的には自治体の理解を得ることなく、政府によって一方的かつ強引に進められている。
⑥ 情報公開もほとんどされておらず、国民への説明責任が全く果たされていない。
⑦ 電子証明書がインターネット上だけでなく、店頭や街頭など現実世界においても身分証明書として取り扱われる可能性がある。

 さて、公的個人認証と住基ネットとの関係について意見を述べます。住基ネット稼働への批判が高まっている中、「システム利用の安易な拡大を図らないこと」という住民基本台帳法改正時の附帯決議に反し、住基ネットのなし崩し的な利用拡大を認めるものとなっています。

 公的個人認証サービスも、公的な本人確認証明として、商取引でも使われることが期待されており、住基ネットの民間利用への拡大につながることも懸念されます。さらに、認証システムの指定機関として、住基ネットの指定法人である地方自治情報センターもあり得るという国会答弁がなされ、国民の個人情報を集中するスーパー機関になってしまうのではないかという問題もあります。

 専門家によれば、住基ネットを利用しない個人認証システムも構想できるようです。また、民間でも個人認証サービスがあり、それが使えない人のために公的個人認証サービス自体はやむをえないとしても、住基ネットと連動させなくてもいいのではないでしょうか。

 今回、公的個人認証サービスの電子証明書が軽微な修正により失効することを防止するため、住民基本台帳法施行規則の一部改正が行われました(2007年9月25日総務省令第108号、2008年8月1日から施行)。今回の改正は、軽微な修正について、氏名又は住所に係る記載の修正のうち実質的な変更を伴わないものを追加することにより、公的個人認証サービスの電子証明書が軽微な修正により失効することを防止するものです。確かに、電子証明を使っている人からは、再発行の手間や手数料がかからなくなることにつながり利便性が向上することになります。

 総務省は、市町村側のシステム改修をしないと軽微な修正による失効防止ができないとしていますが、パブリックコメントでは、市町村に迷惑をかけるなという意見も寄せられています。江南市が全額負担するということには同意できません。

○ 公用車更新事業 625万5千円 P109
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反対討論 布袋北保育園民営化関連議案

2008年03月20日 | Weblog
 【反対討論】
 「議案第21号 江南市立保育園設置条例の一部改正について」
 「議案第22号 江南市立保育園に係る指定管理者の指定について」

 「議案第21号 江南市立保育園設置条例の一部改正について」と「議案第22号 江南市立保育園に係る指定管理者の指定について」、社民党所属の議員を代表して反対の立場から討論いたします。
 公立保育園の民営化問題をめぐって、私は今回の定例会を含めて3回にわたり、当局の見解を質してきました。布袋北保育園、古知野西保育園の保護者をはじめとする市民のみなさまと何回も意見交換をしてきました。保育園での保護者説明会も傍聴しました。当局の方ともたびたびお話し、資料もいただきました。さらに、東京都西東京市、瀬戸市、尾張旭市を訪問し、保育園の民間委託の現状を調査させていただきました。
 まもなく議員生活1年目が終わろうとしていますが、これまでを振り返ると、公立保育園の民営化問題に一番情熱を注いできたのではないかと思っています。
 やはり、私は公立保育園の民営化に賛成することはできません。これから反対する理由をいくつか述べます。

1 説明責任と情報公開

 今回、江南市は当事者である保護者や市民から、民営化について十分な理解と合意を得ることができませんでした。行政主導で都合よく民営化を進めようとするあまり、保護者や市民への説明責任を軽視した行動がたびたび見られました。
 そもそも、なぜ保育園を民営化するのか、なぜ布袋北保育園を民営化対象園としたのかについて、納得している保護者はほとんどいないと思われます。また、先の一般質問で同様の質問をしましたが、その答弁は理解に苦しみます。
 民営化対象園の発表、指定管理者選定委員会の結果発表にあたって、保護者説明会を開催したものの、平日のしかも日中にどれだけの保護者が参加できたというのでしょうか。通過儀礼として、一方的に定めた日時で開催した1回きりの短時間の説明会は、むしろ保護者の不信を増幅させ、不安に駆り立てたのではないでしょうか。
 また、民営化対象園の保護者代表を指定管理者選定委員会のメンバーに加えておきながら、プレゼンテーションを非公開にしました。しかも、その選定委員会の会議録を作成していないことが明らかになりました。メモさえ残さず、どうして選定結果報告書を作成できたのでしょうか、不思議でなりません。今後、選定委員会の議論を事後検証することができるのでしょうか。
 選定委員会の結果と江南市の方針を伝えただけでは、単なる「報告」に過ぎません。自ら積極的に情報公開を進めることによって、行政の内部決定に至る過程を明らかにして、はじめて説明責任を果たしたといえます。この点について、認識を新たにしていただきたいものです。

2 保育の質と保育士のあり方

 公立保育園の民営化によって保育の質が低下するのではないか、と保護者や市民が懸念しています。
 保育の質の確保は保育士のあり方と大きく関わっています。というのは、保育士は保護者との信頼関係を前提に、子どもと長時間にわたって過ごし、さまざまな援助をするからです。
 保護者としては、これまで安心して預けられ相談できた保育士との関係が破壊されることは、まさに保育の質の低下です。子育てには、子どもにとって安定した関係、共感的な関係の維持発展が望まれるのであり、不安定な状況を人為的に作り出すこと自体が保育の質を低下させます。
 ですから、民営化にあたって保育士のあり方にきちんと目配りする必要があります。
 まず、保育士にはそれ相応の経験が求められます。経験豊かなベテラン保育士の存在が不要だという人はいません。実際、市内に18ある公立保育園の園長の平均勤続年数が33年以上、園長代理が31年以上となっています。そうしたことを考慮すれば、「指定管理者業務仕様書」の人員配置要件に定めた実務経験年数は妥当なものであるということができます。「実務経験年数のハードルが高く、応募事業者が少なかった」という指摘は、参入を目指す事業者の立場に与するものであって、保育の当事者本位のものでないことは明白です。
 次に、高度な専門的知識と技術も欠かせません。今、子育てや保育の世界は対象である子どもや家族が急速に変化しており、障害や母子保健の知識技術、さらには世界的な保育実践の知識など、学習と研修を欠かすことができません。更新されない知識と技術は役に立たないどころか有害さえあります。そうした認識のもとで、江南市は保育の質を高めるために長年にわたって研究や研修を実践し、評価されています。これまでの実績を民営化によって投げ出すのではなく、さらに継承発展させることを考えるべきではないでしょうか。
 同時に、経験を積み専門性を維持向上させて仕事への使命を高めていくためには、保育士をプロとして処遇する労働環境を保障しなければなりません。果たして、民営化は専門職である保育士の力量を高め労働条件を引き上げ、保育の質を高める方向に作用するでしょうか。答えはおのずと分かります。
 しばしば、保育園の民営化を実施した自治体を参考にして、「民営化後に園児数が増加した」「保護者からの苦情もほとんどなく運営がうまくいっている」から「民営化は成功した」と評価する向きがあります。しかし、その評価には、そこで働く人のことが考慮されておらず、大きな間違いです。
 2006年度の園児数をベースに、江南市と日本保育サービスが試算した人件費を比較すると、年間1,719万円、つまり約2割もの差が生じています。また、人件費が支出に占める割合は、日本保育サービスが提出した収支計算書では73.7パーセントとなっており、江南市18園の割合(84.3パーセント)よりも随分少なくなっています。
 このような話をすると「私立保育園やその保育士はダメだというのか?」と憤慨される方がいらっしゃるかもしれませんが、決してそういうことではありません。全国的に、公立保育園の民営化・廃止は私立保育園への補助金カットとセットで行なわれており、国の保育制度改革の狙いは保育の市場化にあります。そして、その次の段階で私立保育所と企業保育所が競わされることになります。
 つまり、公立保育園の民営化は単に対象園に限った問題にとどまらず、その地域全体にとっての問題です。今後、私立保育所も巻き込みながら保育の市場化へ突き進む可能性が十分にあります。ですから、公立保育園をきちんと守ることは、安定的な環境のもとで地域の保育の質を確保することにつながります。私立保育園やその保育士の安定的雇用、賃金水準を守ることにもつながります。「公」「民」を二項対立でとらえるのではなく、公が一定の水準を確保することで、地域全体の保育が守られるということを認識していただきたいものであります。

3 公立保育園の公共性・公益性

 さて、公立保育園に求められる役割とは何でしょうか。
 公立保育園があることで、子どもは健やかに成長する環境を享受することができます。近年、核家族化の進行や地域安全に対する不安から、子どもが思いっきり外で遊ぶことができる機会が失われている中で、公立保育園で集団保育を実践する重要性が高まっています。また、地域における人間関係が希薄化していく中で、公立保育園は保護者同士、あるいは保護者と地域を結びつけるネットワークを再構築することが期待されています。
 さらに、歯止めのかからない少子化、離婚の増加、育児不安・ストレスによる虐待、経済格差の深刻化、労働環境の悪化-子どもが貴重な存在になっているにもかかわらず、さまざまな社会問題によって、子どもを取り巻く環境が一段と厳しくなっています。しかし、子どもには何の罪もありません。いろいろな背景を持った子どもを分け隔てなく受け入れることできるのは、公立保育園にしかありません。こんな時代だからこそ、公立保育園には市民の要求に適切に対応できるセーフティネットの役割や、地域の子育ての核としての役割が求められています。つまり、公立保育園は極めて公共性・公益性が高い福祉施設なのです。
 こういうことにも思いをめぐらして、保護者は子どもを公立保育園に預けたがっているのです。そして、公立保育園はある意味で、独自カラーが強くないということに魅力があるのです。先日の一般質問で「公立保育園はなぜ必要なのか」と質しました。しかし、公立保育園の必要性に積極的な意義を見出さない答弁には失望させられました。そうした答弁は、公立保育園を自己否定し、行政責任を放棄しているものと誤解されかねません。私立保育園、企業保育園を否定するつもりは毛頭ありませんが、公立保育園にしかできないことがあります。行政は子どもや市民を先頭に立って守る責任があることを、改めて認識していただきたいものです。
 江南市が公立保育園の民営化を目指す最大の理由は経費削減です。しかし、公共性・公益性の高い保育園を市場原理にゆだねることが妥当でしょうか。保育は人が人を育てる営みです。一番大切なのは人です。人が人を思いやったり、心を響かせあったりするのにお金は必要ありません。市場原理を優先させると、競争による保育、格差を生む保育が活力を生むという考え方が助長されかねません。共同的な保育が破壊され、子どもが儲けの対象とされてしまいます。保育を市場原理のシステム論で考えてはいけません。
 また、2園で民営化を実施するということですが、その他の16の公立保育園は一体どうなるのでしょうか。江南市の保育のヴィジョン、公立保育園の将来像が全く見えないところに強い危機感を覚えます。江南市に求められている保育ニーズは何か、江南市の公立保育園はどうあるべきかという大局観で判断した上で民営化を考えるべきではなかったでしょうか。
 同時に、保育行政は市民に身近に接する自治体に権限がゆだねられている仕事であり、国の方針に追従する考え方そのものが問われなければなりません。なぜならば、保育にとって自治体が存在することに意味がなくなるからです。地方分権化に逆行しているといわれても仕方がありません。

4 おわりに

 縷々反対理由を述べましたが、私は今後とも公立保育園を守っていくために、市民のみなさまと力をあわせていくことをお約束し、討論を終わります。
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反対討論 後期高齢者医療制度関連議案など

2008年03月20日 | Weblog
 3月17日、市議会本会議で議案の採決が行なわれ、閉会しました。以下、私が反対した議案の討論原稿をUPします。





【反対討論(4議案について一括で討論)】
  議案第6号 江南市後期高齢者医療に関する条例の制定について
  議案第15号 江南市国民健康保険税条例の一部改正について
  議案第16号 江南市国民健康保険条例の一部改正について
  議案第38号 平成20年度江南市後期高齢者医療特別会計予算について

 私は社民党所属の議員を代表し、後期高齢者医療制度そのものに強く反対する立場から、「議案第6号 江南市後期高齢者医療に関する条例の制定について」「議案第15号 江南市国民健康保険税条例の一部改正について」「議案第16号 江南市国民健康保険条例の一部改正について」「議案第38号 平成20年度江南市後期高齢者医療特別会計予算について」、一括で反対の討論をいたします。

1. 総論

 2006年6月「医療制度改革関連法案」が強行採決されました。老人保健法は実質的に廃止され、「高齢者の医療の確保に関する法律」によって後期高齢者医療制度がスタートします。
 医療制度改革は本来、国民の命をどう守るかに重点を置いて議論するべきであったのに、その手段でしかない財政政策中心の議論に終始しました。そのため、医療費の抑制・削減が自己目的化し、本末転倒の改革になってしまいました。
 すでに、高齢者の負担増が相次いで実施されています。小泉内閣の「骨太の方針2005」(2005年6月21日閣議決定)にもとづき、2006年度から5年間かけて、医療費総枠1兆1000億円の削減が行われています(年間2200億円)。また、診療報酬の引き下げ、現役並み所得がある70歳以上の医療費窓口負担の引き上げ、70歳以上の療養病床入院患者の食住費の全額自己負担化、高額療養費(定額部分)の自己負担限度額の引き上げなどが実施されており、安心して医療を受けられなくなっています。後期高齢者医療制度はこうした一連の医療改悪の集大成として位置づけられます。
 政府(厚生労働省社会保障審議会)は、75歳以上の高齢者は①老化に伴う生理的機能の低下により、治療の長期化、慢性疾患が見られる(複数の病気にかかっている)②症状の軽重は別として、認知症の人が多い③いずれ避けることができない死を迎える-という「心身の特性」に応じた医療サービスを提供する必要がある、ともっぱら医療内容の面から後期高齢者医療制度の必要性を訴えてきました。しかし、高齢者の医療の確保に関する法律に掲げられた「医療費の適正化」「国民の共同連帯の理念」という目的を大義名分にして「高齢者は応分の負担をせよ」と迫り、さらなる医療費抑制に向けた高齢者の負担強化を迫る意図があることは明白です。
 政府が目の敵にする医療関連給付は年間約30兆円です。しかし、保険の効かないおむつや薬代などの自己負担を合わせると1.5倍の45兆円になり、国民は強い負担感を持っています。
 実際、総医療費に占める自己負担割合(現金支払い経費)はアメリカ14.1パーセント、フランス10.2パーセント、ドイツ10.3パーセントに対して、日本は17.3パーセントと先進7カ国で最高となっています(OECDの2005年データ)。
 逆に、日本の医療費は本当に高いのでしょうか。OECD(経済開発協力機構)が2006年に発表したデータによると、GDPに占める医療費の割合はアメリカ15.3パーセント、ドイツ10.9パーセント、フランス10.5パーセント、カナダ9.9パーセント、イタリア8.4パーセント、イギリス8.3パーセント、日本8.0パーセントとなっており、先進7カ国で最低となっています。また、OECD加盟国30カ国の中でも21位となっています。
 日本の経済規模に照らした適正な医療費とはどのくらいなのかという議論をせず、高齢者の負担増を強行することは許されません。

2. 後期高齢者医療制度の本質的問題

 後期高齢者医療制度の本質的問題は、弱者連合ともいえる75歳以上の高齢者を切り離した上で、保険料と医療サービスを密接にリンクさせていることです。

国民皆保険崩壊の危機

 そもそも、経済力の弱い75歳以上の高齢者だけを切り離した保険制度は理論的にはありえません。リスクを社会的にシェア(分け合う)ことが保険の意義であるのに、医者にかかるリスクが高く、かつ経済力が弱い高齢者だけを対象とした制度を設計したことに無理があります。また、「後期高齢者」という形で一律・強制的に分けるのは年齢差別であり、高齢者の尊厳を踏みにじる暴挙です。
 それに、大企業労働者の健康保険組合、公務員の共済組合、中小企業労働者の政府管掌健康保険、空洞化が深刻な国民健康保険、これらに加えて後期高齢者医療制度というふうに制度を分断することが、少子高齢社会のセーフティネット作りではないはずです。
 1961年に国民皆保険を達成してから47年、わが国は世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきました。WHO(世界保健機構)が2000年に行った報告では、日本の保健システムは世界1位であると評価されています。このままでは不十分ながらも堅持されてきた国民皆保険が崩壊してしまうのでないでしょうか。

負担増大かつ医療サービス抑制

 近年、相次ぐ年金給付の切り下げ、定率減税の廃止、扶養控除の廃止、公的年金控除の廃止、老齢者控除の廃止、介護保険料の天引き、医療費の自己負担の引き上げなどによって、高齢者の年金収入は大幅に減っています。本当に、新たな医療保険料の負担に耐えられるのでしょうか。
 愛知県後期高齢者医療広域連合の試算によれば、1人あたりの平均保険料は年間で93,204円、月額で7,767円と高額です。これまで被用者保険や国民健康保険の扶養家族になっていた高齢者も、扶養からはずされ保険料を負担しなければなりません。
 さらに、東京都や練馬区などの調べで、国民健康保険加入者1,100万人について、年収170万円~200万円層で保険料負担が2倍前後にまで増加する一方で、300万円以上の人の保険料はむしろ軽くなるデータも出されています。貧しい人々により多くの負担をさせるということは社会保障の理念に反するものといわざるを得ません。
 今後、少子高齢化が進み被保険者が増え、また医療給付費が増えれば、保険料を値上げするか医療給付内容を劣悪化するかが迫られます。どちらをとっても高齢者は「痛み」しか選択できない、あるいは両方を促進する仕組みとなっています。
 特に、「保険料収入が頭打ちなのだからこの程度の医療しかできない」という流れが強まるのではないか懸念されます。「心身の特性などにふさわしい医療体系」の名目で、疾病単位や患者単位の定額制として、医療行為や医療材料をまとめた報酬が導入されると、個々の患者の病態に応じて必要な治療を何回行っても、同じ報酬ということになります。治療の難易度に関わらず支払われる報酬は同じであるため、積極的に治療すればするほど医療機関の持ち出しになり、医療に制限が加えられ、治療内容の劣悪化するのではないでしょうか。

保険料の天引きと厳しい罰則

 保険料は年金からいやおうなく天引きされます。生計費は非課税にするという原則に反しており、「消えた年金」「宙に浮いた年金」問題を棚にあげた横暴と言わざるを得ません。
 また、保険料を滞納すると保険証取り上げ、資格証明書発行という厳しい制裁が課せられます。これに関連して、条例案の第7条から第9条で、国民健康保険にはなかった罰則規定(過料)が盛り込まれていることには強い憤りを覚えます。
 現在、市町村国保の滞納世帯は480万世帯を超え、全世帯の20パーセント近くを占めています。資格証明書の発行は35万世帯を超えました。こうした滞納者が保険料を支払う能力があるでしょうか。保険証を取り上げると、適切な医療が確保されないばかりか、受診抑制、重症化、医療費増大の悪循環を引き起こすことが強く懸念されます。

 この他にも、指摘したいことがたくさんありますが、話しをすればするほど、怒りがこみ上げてきますので、この程度とさせていただきます。

3. 成人一般への悪影響

 後期高齢者医療制度ばかりが注目されていますが、私たち若者をはじめとして成人一般もこの制度と無関係ではありません。新たに創設された後期高齢者医療制度の保険者負担分である支援金を支払うため、現行の医療給付費分及び介護納付金分に加え、後期高齢者支援金分の課税限度額(12万円)が定められます。これに伴い、全体の課税限度額が引き上げられ最高57万円の保険料を支払わなければなりません。ただでさえ高い国保税を引き上げることに市民の理解が得られるでしょうか。
 世帯内の国保被保険者全員が65歳以上75歳未満の世帯主から、国民健康保険税が特別徴収(天引き)されます。「消えた年金」「宙に浮いた年金」問題が一向に解決されない中で、天引きを強行することは許されません。介護保険料に加えて国保税も天引きされると、老後の生活の糧がなくなってしまうことを懸念します。

4. 後期高齢者医療制度は廃止するしかない

 75歳以上の高齢者は戦前に生まれ、戦時中、「若者はお国のために死んでくれ」と徴兵され青春を台無しにされました。戦後の貧しく苦しい時代においては、平和憲法のもとであたらしい社会づくりに参画され、わが国の発展に多大な功績を残してこられました。いま、国は高齢者の尊厳を守り、安心して生きることができるよう尽くす義務があるにもかかわらず、財政の論理を優先して「お年寄りはお国のために死んでくれ」と言わんばかりに、問答無用に高齢者の生きる権利を奪う「姥捨て山保険制度」をつくりました。命の沙汰も金次第ということでしょうか。まさに、一連の医療制度改革は、憲法25条の「生存権」、14条の「法の下の平等」、13条の「幸福追求権」を侵害する稀有の悪法です。絶対に認めることはできません。
 2月28日、社民党、民主党、共産党、国民新党の野党4党は、後期高齢者医療制度を廃止する法案を衆議院に共同提出しました。社民党は、いつでも、だれでも、どこでも平等に医療が受けられ、持続可能な国民皆保険制度を目指していくことをお約束し、反対討論を終わります。
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